ソードアート・オンライン ~PotetoEdition~   作:水名(仮)

125 / 141
朝露の少女編はこの話を入れてあと2話ぐらいになりそうかな…?

それではどうぞ


13話:真実に迫る

話し合った結果、廻道さんはサーシャさんと共に教会へと残ることになり、キバオウさんも無闇に動くことが出来ないので、比較的自由に動けるユリエールさん先導で足早に問題のダンジョンへと向かうことになった

 

その為、約2日ぶりに攻略用の装備に着替え、ユリエールさんの後を着いて行っている

 

それと教会を出るときに、アスナはユイちゃんをサーシャさんに預けようとしたのだが、ユイちゃんは行くと言って聞かず、やむを得ず連れてきた 勿論危なくなったら脱出するけど…

 

「あ そういえば肝心なこと聞き忘れてたな」

 

キリトさんは呟くと、前を歩いているユリエールさんに話しかけた

 

「問題のダンジョンってのはどこにあるんだ?」

 

返ってきた答えは実に単純だった

 

「ここです」

「ここって…?」

 

アスナは思わず首を傾げる

 

「この<はじまりの街>の中心地の地下に、結構大きいダンジョンがあるんです …恐らくシンカーはその1晩奥に…」

「まじかよ」

 

キリトさんは呻くようにして言った

 

「βの時にはそんなダンジョン影も形もなかったぞ…」

「ダンジョンの入口は{黒鉄宮}―――つまり"軍"の本拠地の地下にあるんです 恐らく攻略の進み度合いによって解放されるタイプのダンジョンなんでしょうね、発見されたのはグリゴリアが実質的な実権を握ってからで、彼はそこを自分たちだけで独占しようと画策していた様子でして 長らくシンカーや私にも秘密で…」

「成程な 未踏破ダンジョンにはレアアイテムがあるケースが多いからな さぞかし儲かっただろう」

「それがそうでもなかったようでして」

 

ユリエールさんの声色がわずかに痛快といったような感じを帯び始める

 

「基部フロアの…さらに一番最初の街の地下にあるにしては、そのダンジョンの難易度が恐ろしく高くて…基本のモンスターだけでも60層クラスのレベルがありました グリゴリア自身が率いた先遣隊は散々モンスターに追いかけまわされて、命からがら転移脱出する羽目になったそうです 使いまくったクリスタルのせいで大損だったとか」

「あはは 成程」

 

ておさんの笑い声にユリエールさんは笑顔で応じたが、直ぐに沈んだ表情を見せた

 

「でも今は、そのことがシンカーの救出を難しくしています 奴の使った〖回廊結晶〗は、モンスターに追われながら相当奥まで入り込んだところでマークしたものらしくて…シンカーがいるのはそのマークからさらに奥の所です レベル的には1対1なら私でも何とか対処できるのですが、連戦はとてもじゃないですけど無理です …失礼ですが皆さんは…」

「あぁ まぁそのぐらいだったら…」

「何とかなると思います」

 

キリトさんの言葉を引き継いだアスナは軽く頷いた

 

第60層にあるダンジョンを攻略するのに必須なレベルは70だけど、私は既に89レベルになっており、ておさんも88なので問題ないと思い、肩の力を抜く

 

キリトさんとアスナも同様の雰囲気を出していたが、ユリエールさんは気がかりそうな表情のまま続けた

 

「それと…もう1つ気がかりなことがありまして、先遣隊に参加していたプレイヤーから何とか聞き出したのですが、ダンジョンの奥で何やら巨大な影…ボス級のモンスターを見かけたと…」

 

その言葉に私達は思わず顔を見合わせる

 

「ボスの強さも60層程度なのかしら… あそこのボスってどんなのだったっけ?」

「確か石造りの鎧武者でそこまで苦労した記憶はなかったよ」

「あーあれか~ 確かに10層の【カガチ・ザ・サムライロード】の攻撃パターンに似たり寄ったりな感じだったから苦戦した記憶はないな…」

 

アスナはもう一度、ユリエールさんに向かって頷く

 

「まぁそれも何とかなると思います」

「そうですか、良かった!」

 

そこで安心したように口許を緩めたユリエールさんは、私達のことをどこか眩しいものを見るように目を細めながら続ける

 

「そっかぁ… 皆さんはずっとボス戦を経験なさっているんですね… すみません、貴重な時間をわざわざ割いていただいて…」

「いえ、今は休暇中ですから」

 

ユリエールさんの言葉に、アスナは慌てて手を横に振る

 

 

そうこうしているうちに、目の前に{黒鉄宮}が見えてきて、少し歩くと正門が近づいてくる

 

このまま建物の中に入れば生命の碑が安置されている場所へと行けるのだが、ユリエールさんは建物の中には入らず、裏手に回った

 

そこには、高い城壁とそれを取り囲む深い堀があるだけで、私たち以外に人はいない

 

数分歩き続けた後、ユリエールさんが立ち止まったのは、道から水面近くまで階段が下った場所だった

 

中を覗き込んでみると、階段の先の右側に何やら暗い通路が続いていそうな感じだった

 

「ここから、宮殿の下水道に入り、ダンジョンの入口を目指します 少し暗くて狭いんですが…」

 

ユリエールさんはそこで言葉を区切ると、キリトさんの腕の中にいるユイちゃんに視線を向けた

 

恐らくユリエールさんは、ユイちゃんをダンジョンに伴うことに不安を抱いているのだろう

 

しかし、ユイちゃんは自信満々そうに答えた

 

「ユイ 怖くないよ!」

 

その様子を見たアスナは、思わずといった感じで笑みを洩らすと、ユリエールさんに対して安心させるように言った

 

「大丈夫ですよ この子、見た目以上にしっかりしてますから」

「うむ きっと将来は立派な剣士になるな」

 

キリトさんの発言に、アスナはキリトさんと目を見交し笑うと、ユリエールさんが大きく1回頷いた

 

「では行きましょう!」

 

 

~~~~~~

 

 

「うおおぉぉぉぉ!」

 

やはりというか60層クラスのダンジョンにいる敵では

 

「りゃぁぁぁぁぁ!」

 

ユニークスキル持ちのキリトさんの相手ではなく、ある種の蹂躙のような状況になっていた

 

それに加え、ユイちゃんが「パパ~ がんばれ~!」とキリトさんに向かって応援するので、緊張感はかすかにしかない

 

ぶっちゃけ私達要らなかったような…?

 

 

「なんだかすみません…任せっぱなしで…」

 

ダンジョンに入ってから数十分経つが、今まですべてキリトさんが相手をしているので流石にユリエールさんは申し訳なくなったのか、肩をすくめながら謝るとアスナは苦笑いした

 

「あれはもう病気なので、やらせとけばいいんですよ」

「そうそう 思う存分勝手にやらせとけばそのうち戻ってきますって」

「なんだよ ひどいな2人共」

 

アスナとておさんが話していると、敵の集団を蹴散らしてきたキリトさんが戻ってきて、内容を聞いていたのか口を尖らせた

 

「じゃぁ、私かタコミカかテオ君と代わる?」

「も…もうちょっとだけ…」

 

キリトさんはアスナに問いかけられると、小さく呟いたので、私達は顔を見合わせ、思わず笑ってしまう

 

 

ユリエールさんは左手を振ってマップを表示させると、シンカーさんの現在地を示すであろう光点を指で示す

 

光点までのマップデータは無いようで、空白だが全体の距離で見るとあと3割ぐらいのところまで進んできている

 

「シンカーの位置はここ数日動いていないので、恐らく安全エリアにいるのだと思います そこまで到達できれば、あとは結晶で脱出できますので… すみませんがもう少しだけお願いできますか?」

 

ユリエールさんに頭を下げられたので、キリトさんは慌てて手を振った

 

「い…いや こっちも好きでやってるし… アイテムも出るから…」

「へぇ~ 何か出たの?」

「おう!」

 

アスナが興味津々といった様子でキリトさんに訊き返すと、キリトさんはメニューを操作し始めた

 

「なんか嫌な予感がするのは俺だけか…?」

 

私も嫌な予感は地味に感じてる

 

そんな私達の嫌な予感は的中し、キリトさんの手の中に〔どちゃっ〕という音を立てて赤黒い肉塊がオブジェクト化した

 

名状し難いその質感に私はキリトさんから数歩後ずさるようにして離れ、アスナも顔を引き攣らせる

 

「な…ナニソレ…?」

「〖スカベンジトードの肉〗! ゲテモノほど旨いっていうだろ? 後で調理してくれよ」

絶、対、嫌!

 

アスナはキリトさんからそれを奪い取ると、思いっきり明後日の方向に投げ捨てた

 

「あっ! ああぁぁぁぁ…」

 

地面に当たり、ポリゴン状になって消滅するとともに、情けない顔で悲痛な声を上げた

 

「それなら…!」

 

しかしキリトさんはめげずに、ウィンドウを操作すると大量の〖スカベンジトードの肉〗をオブジェクト化するとこちらを向き、腕一杯に抱えたそれを私へと差し出してくる…?

 

「じゃぁタコミカ! お前が調理しろ!」

 

私は有無を言わず、全力でその場を逃亡した

 

「あっ 待て! 逃げるな!」

 

キリトさんは逃亡した私を追いかけようとしたが、ておさんに強めに止められた

 

「やめろ! お前は!」

「絶対旨いから! ほら、カエルの肉って鶏肉みたいな味がするっていうだろ!?」

「味は美味しくても見た目が駄目なんだよ! 判れ!」

 

キリトさんとておさんが〖スカベンジトードの肉〗の押し付け合いをしながら押し問答をしていると、ユリエールさんが我慢出来ないと言った感じにお腹を押さえ、笑いを洩らした

 

その時、ユイちゃんが叫んだ

 

「笑った!」

 

その声に私達は思わず、嬉しそうなユイちゃんを見た

 

「お姉ちゃん、初めて笑った!」

 

それをきっかけとして、アスナがユイちゃんを抱え、2人は押し問答をやめる

 

「さぁ、先に進みましょう!」

 

そうしてアスナが声を出すと、さらに奥に向かうために歩き始めた

 

 

~~~~~~

 

 

このダンジョンは水生生物がメインかと思われたが、階段を下っていくほどにそれがゴーストやゾンビなどのアンデッド系統へと変化していったが、やはりキリトさんの相手ではなく徐々にシンカーさんとの距離を詰めていき、遂に目の前に温かい光の洩れる通路が目に入った

 

「あっ 安全地帯よ!」

 

アスナがそう言うと、キリトさんも索敵スキルで確認したのか頷く

 

「奥にプレイヤーが1人いるな… カーソルはグリーンだ」

「シンカー!」

 

2人の会話を聞いたユリエールさんがもう我慢できないといった感じに1度叫ぶと、走り始めたので私達も慌てて走り始める

 

明かりを目指して数秒ほど走ると、前方に大きな十字路とその先に光の溢れる小部屋が見えてきた

 

小部屋の入口には1人の男性が立っており、逆光で顔はよく見えないがこちらに気が付いたのか、こちらに向かって両手を激しく振っている

 

「ユリエ―――ル!」

 

男性が大声で叫ぶと、ユリエールさんも左手を振って、走る速度を速める

 

「シンカ―――!」

 

涙交じりの声に重なるようにして男性の絶叫が聞こえてきた

 

「来ちゃ駄目だ――っ! その通路には…っ!」

 

それを聞いた私達は走る速度を緩めたが、ユリエールさんには聞こえていないのか、そのまま一直線に小部屋へと向かって行く

 

その時、部屋の前にある十字路の右側の死角部分に、不意に黄色いカーソルが出現した

 

すかさず名前を確認すると、【The Fatal-scythe】…名前に定冠詞があるので間違いなくボスであろう

 

「ダメ―――っ! ユリエールさん 戻って!!」

 

アスナが絶叫すると、黄色いカーソルが左に動き、十字路へと近づいてくる

 

このままだと数秒もしないうちにユリエールさんに出合い頭に衝突するだろう

 

「キリト!」

「解ってる!」

 

2人もそれが判っているのか、ておさんがキリトさんに合図を出すと同時に、キリトさんは俊敏パラメータのあらん限りに走り、背後からユリエールさんの体を抱えると剣を床石に突き立てた

 

凄まじい金属音と大量の火花を立て、十字路の本当に手前で停止した2人の前を巨大な影が横切っていく

 

黄色いカーソルが左の通路に入ってから10メートルぐらい進んだところで、停止したので思わず武器を手に取る

 

キリトさんもユリエールさんの体から手を離すと、床に刺さっている剣を抜いて左の通路に飛び込んでいったので、私達もその後を追いかけた

 

「この子と一緒に安全地帯まで退避をお願いします!」

 

アスナが短く叫び、ユイちゃんをユリエールさんに預け、ユリエールさんが安全圏に退避するのを視界の端で見届けると、私は黄色いカーソルを表示させていた【ザ・フェイタルサイス】へと向いた




いよいよアインクラッド編も終盤に近付いてきたな…

それではまた次回に
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。