ソードアート・オンライン ~PotetoEdition~ 作:水名(仮)
結構出すかどうか迷いましたがあのキャラが出ます
それではどうぞ
P.S.:Happy birthday アスナ!
第75層の<コリニア>の転移門から出ると、既に結構な人数集まっており、全員が一様に緊張しているように見える
「結構な人集まってますね…」
「そうだな…」
私達は集団に歩み寄りながら、そんなことを話していると、意識さんと朱猫さんと話しているふわふわの竜を肩に乗せた女の子…確かシリカちゃんって言ったっけ…? が話しているのが見えたので、私は一旦ておさんに一言言ってから離れ、3人に対して声を掛けた
「こんにちは~」
するとこちらに気が付いたようで、全員こちらを向いて手を振ったりしてくれた
「やっほ~ たみちゃん」
「たみさん どうも」
「あっ! こんにちは! タコミカさん!」
挨拶を済ませると、何を話していたのかを訊ねた
「そういえば何話してたんです?」
「特に何も ただシリカちゃんが見送りに来てくれただけ」
私の問い掛けに、朱猫さんはそう答えたので私は「成程~」と呟きながら軽く頷く
「あの! タコミカさんも頑張ってくださいね」
「きゅい!」
「勿論!」
シリカちゃんは私の方を向いて、激励の言葉を掛けてくれて、ピナちゃんもそれに呼応するように鳴いたので、私は再び頷いた
そして流石にこれ以上3人の会話の邪魔しては悪いと思って、その場を後にしようと声を掛けた
「それじゃぁ 私そろそろお暇しますね」
「わかった」
「じゃぁまた後程」
「はい それではまた!」
3人の声を背に、私は歩き始めた
少しは緊張がほぐれた気はするが、まだ十分とはいえない…
私が少し落ち着きのない様子で歩き回っていると、私を呼ぶ声が聞こえてきた
「たみさん」
その声が聞こえた方向に振り返ってみると、ひま猫さんが立っていた
「ひま猫さん! お久しぶりです」
「うん 久々…と言っても2週間ぶりぐらい…?」
「キリトさんとアスナの結婚式の時だから…そのぐらいですかね?」
ひま猫さんの質問に、私は「むむむ…」と唸りながら考え、答える
そこで黒猫団のみんなが周りにいないことに気が付いたので、ヒマ猫さんに訊ねた
「そういえば黒猫団の皆さんは?」
「それだったらあっち」
そう言いながら、ヒマ猫さんが指した方を見てみると、確かに黒猫団のみんなが雑談しているのが見えた
そしてひま猫さんに向き直って、あっちに行かなくていいのかと訊ねた
「ひま猫さんはあっちに行かなくて良かったんですか?」
「ボス戦が始まる前にポテトさん達と話をしておきたかったからね」
「へ~ 因みにポテトさんとは話せたんですか?」
「さっき話したよ」
「ほえ~」
ひま猫さんはどうやら先ほどポテトさんに会ったようで、私の質問に頷いてポテトさんがいるであろう方角を見る
そちらには結構な人が集まっており、ポテトさんの姿は確認できなかった
「み…見えない…」
「ははは… まぁポテトさんも結構忙しい様子だったからね」
そしてひま猫さんは時間を確認すると「そろそろあっちに戻るからまた後で」と告げて、黒猫団のみんなの方へと駆け足で戻っていった
また1人になってそろそろておさんの元へと戻ろうかと思った時、肩を叩かれ、思わず振り向いてみると頬を指で突かれたので、少しだけ不機嫌に返す
「何するのさ」
「ごめんごめん 偶々タコミカを見かけたからつい…ね?」
そこにいたのは、簡単に言えば命の恩人兼親友のミトだった
「ついって… それはそうとミトも参加するの?」
「まぁね 今回のボス戦、かなりやばいって聞いたし」
「そっか 言う必要は無いと思うけど…死なないでね」
「当然 そっちもね」
そこから私達はお互いを見つめ合っていたが、突然どちらからともなく笑い始めた
しばらく笑った後、ミトは辺りを見回してから、私に向かって訊ねてきた
「そういえばアスナはまだ来てないの?」
「多分ね 何か用事?」
「ううん ただボス戦前だから少しだけ話しておきたかっただけ」
「そっか」
私は軽く頷き、転移門の方を見遣る
今も何人か出てきてはいるが、肝心のアスナの姿は見えなかった
「ん~… 来てないね…」
「まぁ 見かけたら声かけるわ」
「そうだね それじゃぁ私、そろそろ行くよ」
「わかった じゃぁね」
そうして私はておさんの元へと向かうためにミトに手を振って別れ、再び歩き始めた
少し歩くと、じんじんさんと話しているておさんを見かけたので、隣まで向かうことにした
「戻りました~」
「おかえり」
「たみちゃん!」
私が声を掛けると、2人がこちらを向いて返してくれたが、念のために邪魔じゃなかったかの確認を取る
「お邪魔でしたか?」
「いや 別に大丈夫だよ」
私のそんな気持ちとは裏腹にておさんは首を横に振った
その時、転移門が開いたのでそちらを見てみるとキリトさんとアスナが現れたのが見えた そして、それを確認した人達は皆、緊張したような表情で目礼を2人に送っており、中には右手でギルド式の敬礼を送っている人もいるのが確認できた
キリトさんは慣れていないのか戸惑っていたが、アスナは慣れた様子で同じように敬礼を返し、キリトさんの脇腹を突いた
「ほら、キリト君はリーダー格なんだからしっかり挨拶を返さないとだめだよ!」
「んな…」
アスナに注意され、キリトさんはぎこちなくではあるが敬礼をした
私達は2人に歩み寄ると、声を掛ける
「こんにちは!」
「おお! 1週間ぶりだな!」
唐突な声かけだったけど、キリトさんはフランクに返しながらこちらを向いた
「そうですね~ ところで…連休直後のボス戦は流石にきつくありませんか?」
「それを言ったらお前らもじゃないのか?」
「私達は大丈夫ですよ 75層の攻略にだって参加しましたし」
「そ…そうだったのか…」
私の返しにキリトさんは少しだけ気まずそうな顔をしたので、私は笑顔でキリトさんに返した
「そこまで気にする必要は無いですって 私達も好きでやってますし」
「まぁな だから心配は無用だ」
私に続いてておさんも頷く
そこでクラインさんとエギルさんが私達に近づいてくるのが見え、ある程度近づいたところでクラインさんがキリトさんの肩を景気良く叩いた
エギルさんは両手斧で武装しているので、どうやら見送りに来たわけではなさそうだ
「よぉ!」
キリトさんは後ろを振り向いてクラインさんとエギルさんを見ると、驚いた様子だったが、直ぐに口を開いた
「なんだ…お前らも参加するのか」
「なんだってことはねぇだろ!」
キリトさんの言葉に、エギルさんは憤慨したように野太い声を出す
「今回はえらい苦戦しそうだって聞いたから、店を休んで加勢に来たんじゃねぇか この無私無欲の精神を理解できねぇとは…」
「ほぉ…ならお前は戦利品の分配からは除外しとくよ」
大げさな身振りで話すエギルさんの腕をキリトさんはポンと叩いて言い放つと、エギルさんは眉を八の字に寄せ、手を頭にやった
「そ…それとこれとは…」
エギルさんの徐々に口籠っていく様子に、思わず私達は笑ってしまう
そして、午後1時丁度になると、再び転移門から数名の人影が出てきた
真紅の鎧に白をベースに赤い十字架が描かれている巨大な十字盾を持ったヒースクリフと、[血盟騎士団]の人達だった よく見ると、ユナさんとノーチラスさんもいる
彼らの姿を確認した人達の間には、再び緊張が走る
ヒースクリフさんとKoBの4人はこちらを確認すると、集団を2つに割りながら、真っ直ぐ私達の方へと歩いてきた
その存在感に威圧されたのか、クラインさんとエギルさん、それとじんじんさんは数歩下がるが、アスナは涼しい顔で敬礼したので、私も少しの緊張の中、それに倣って敬礼を交わした
私達の目の前で立ち止まったヒースクリフさんは軽く頷きかけ、集団に向き直って言葉を発した
「―――欠員はいないようだな よく集まってくれた 状況は既に伝えられている通りだ …厳しい戦いになるだろうが、諸君らの力ならばきっと乗り越えられると信じている――――解放の日の為に!」
ヒースクリフさんの力強い演説に呼応するようにプレイヤー達は
相変わらずヒースクリフさんのカリスマ性には目を見張るものがある 社会性が少し欠けているといってもいいコアゲーマー達をこうやって纏められるとは…
私がヒースクリフさんをぼんやりと見ていると、急にこちらを向いてかすかな笑みを浮かべた
「キリト君 今日は君の『二刀流』 存分に揮ってくれたまえ」
それに対してキリトさんが無言で頷くと、再び集団に向き直って軽く手を挙げた
「では行こうか ボス部屋まではコリドーを開く」
そう言って、ヒースクリフさんは腰のパックから〖回廊結晶〗結晶を取り出した
〖回廊結晶〗は店には売っておらず、宝箱かモンスターのレアドロップに限られるので、そのレア度を知っているプレイヤー達の中から〖回廊結晶〗を易々と使おうとするヒースクリフさんに対して、「おぉ…」という言葉を漏らす人もいた
そんな視線など気にせず、ヒースクリフさんは結晶を持った右手を掲げ、「コリドー・オープン」と発声する
すると濃い青色の結晶は砕け、ヒースクリフさんの前の空間に青く揺らめく光の渦が生まれた
「では皆、ついてきてくれたまえ」
私達をぐるりと見まわしたヒースクリフさんは、青い光の渦へと足を踏み入れる
その姿が瞬時に眩い閃光に包まれて消滅すると、4人のKoBの人達がそれに続く
いつの間にか転移門周辺には見送りの人達が集まっており、中には私の知ってる人もいた
「では行きましょうか」
「…あぁ」
彼らの声援を背に受け、私はておさんと手を繋いで光の渦へと足を踏み入れた
~~~~~~
軽い眩暈のような感覚の後、眼を開くと既にボス部屋の前の広い回廊の前だった
第75層の迷宮区はわずかに透明感のある黒曜石のような素材で構成されており、これだけでも下層の迷宮区とは格が違うことを感じる
私は辺りを見回すと、ておさんに向けて言った
「やっぱり嫌な感じがしますね…」
「そうだな…」
今日にいたるまでの約2年間で74回のボス戦を経験してきた、やはりというかそれだけ経験を積むとボス部屋前で大体ボスの強さを何となくではあるが測れるようになってきた
周囲では三々五々固まって、装備やアイテムの最終確認をしているが表情は硬い
私は装備とアイテムの最終確認を終え、隣のておさんの手を引っ張ると耳元で囁くようにして言った
「あなたは今度こそ私が守るから」
「…普通逆じゃ…?」
「フフフッ…」
ておさんのツッコミに対して、私は小さく笑う
一拍置いて、ておさんも私の手を握るとこちらを向いて囁くようにしていった
「俺も…俺も絶対守るから だから今日のボス戦、切り抜けよう」
「えぇ!」
ておさんの返しに対して、私は頷く
回廊の中央で、ヒースクリフさんが装備を鳴らしながら言った
「皆、準備は良いかな 今回、ボスの攻撃パターンの情報は皆無だ その為基本的にはKoBが前衛を務め、攻撃を食い止める その間に出来るだけパターンを見切り、柔軟に対応してもらいたい」
私達はその言葉に無言で頷いた
そして、ヒースクリフさんはユナさんに視線を向ける
「ユナ君…
「はい」
ヒースクリフさんの合図に応じたユナさんはリュートを取り出し、この場に似合うような勇ましい歌を高らかに歌い始めた
全員がユナさんの歌に耳を傾け、しばらくするとHPバーの端に何種類かのバフがかかった
それを確認したヒースクリフさんは、再び集団に向き直る
「では…行こうか」
ヒースクリフさんがソフトな声色でいうと、ボス部屋へと繋がる大扉へ歩み寄り、中央に手を掛けて扉を開き始めた
私は背中から〖プラトゥム・ベント〗を抜き、[フリッツ・フリット]のみんなに対して声を掛ける
「皆さん 死なないで下さいよ」
「あたぼうよ」
「当然」
「作戦名は?」
「いのちだいじに?」
「アバウトすぎじゃない?」
「これで今までやってこれたでしょ」
「まぁそうだけど…」
「ははは…」
「皆 そろそろ開くよ」
廻道さんの言葉で正面を向くと、長剣を持ったヒースクリフさんが右手を高く掲げ、叫んだ
「戦闘開始!」
その声と同時に、私達は雄叫と共に完全に開き切った扉の中へとなだれ込むようにして入った
部屋の中は広いドーム状になっており、黒い壁が円弧を描きながら高くせりあがっている
全員が部屋の中に入り、自然と陣形を組むと、背後で扉が閉まる音がした これでボスを倒すか、私達が全滅するかまでは扉は開かないだろう
広い部屋を無言で見渡すが、ボスの姿は確認できず、1秒、また1秒と過ぎていく
「おい…」
誰かが沈黙に耐え切れず、声を上げたその時、かすかに足音のようなものが上から聞こえたので、咄嗟に声を上げると同時に頭上を見上げた
「上です!」
天井にいたのは巨大な骸骨の百足で、全長はおおよそ10メートルぐらいはありそうだった
視線を集中させると、イエローのカーソルと共に【The Skullreaper】という名前が表示された 直訳で"骸骨の刈り手"といったところかな…?
無数の足を蠢かせながら、ゆっくりと天井を這っていた【ザ・スカルリーパー】は私達が無言で見守る中、不意に全ての足を大きく広げ、落下してきた
「全員最寄りの壁まで全力で走れ!」
リオンさんの鋭い叫び声で我に返った私達は、大急ぎで最寄りの壁際まで走る
しかし、落下予測地点の真下にいた3人の動きがわずかに遅れた どうやらどっちに移動したらいいのかを迷っているらしい
「こっちだ! 急げ!」
咄嗟にキリトさんが3人に向け叫ぶと、3人はキリトさんの方へと向けて走り始めた
だが、直後に骨百足が地響きを立て、落下した
その瞬間、地面が大きく震え、足を取られた3人がたたらを踏む
そこに【ザ・スカルリーパー】は百足の右足の長大な骨の鎌を横薙ぎに振り下ろす
3人が背後から同時に切り飛ばされて宙を舞い、HPバーが物凄い勢いで減っていき、
「…っ!?」
その光景に思わず、私は息を詰める
レベル制であるSAOではレベルが上がると必然的にHPが上がる為、最悪レベルさえ上げていれば死ににくくなる
特に今回のレイドは高レベルの集団であるので、クォータポイントのボスとはいえある程度は耐えると思っていたが、たった一撃で…
「い…一撃っておい…」
「まじかよ…」
「単純に攻撃力が高いのか…? それとも防御貫通…? 後者の方なら厄介だな…」
同じくその光景を見ていたキャラメレさんとじんじんさんは思わず声を上げ、リオンさんはあくまででも冷静に敵の攻撃を分析していた
容赦なく1人の命を奪った骨百足は、上体を高く持ち上げて轟く様な雄たけびを上げると、先ほど仕留め損ねた2人に向けて突進した
「うわあぁぁ!!」
恐慌の悲鳴を上げ、身動きが取れない2人に向けて、再び骨鎌を振り下ろそうとしたその時、ヒースクリフさんが間一髪で巨大な盾を掲げ、耳をつんざく衝撃音と激しい火花を散らしながらも鎌を防いだ
しかし、鎌は2本あった 左側の鎌でヒースクリフさんを攻撃しつつ、右側の鎌で2人に対して攻撃しようとしていた
「下がれ!」
そこに叫びながらキリトさんが飛び出し、骨鎌の下に割り込むと、2本の剣をクロスさせて、鎌を受けたが鎌は止まらず、火花を散らしながら徐々にキリトさんに迫っていく
私が援護しようと思った時、新しい剣が純白の光芒を引いて空を切るようにして、鎌に命中した
大きな衝撃音が生まれ、鎌の勢いが緩んだ瞬間を見逃さず、キリトさんは骨鎌を押し返した
「2人同時に受ければ…行ける! 私達ならできるよ!」
「あぁ!」
アスナはキリトさんの真横に立ち、言った言葉にキリトさんは頷いた
そして再び横薙ぎに振り下ろされた骨鎌に、2人は完全にシンクロした動きで対処している
「鎌は俺たち3人で防ぐ! その隙に皆は側面から攻撃してくれ!」
「行くぞ! おめぇら!」
「行きます!」
キリトさんの叫び声に呼応するようにエギルさんが叫び、私も3人の為にも早く本体を倒さないとと考え、武器を構えて骨百足の側面へと突撃した
流石に攻撃はあの鎌だけではないと考え、硬直時間が短いソードスキルで【ザ・スカルリーパー】に攻撃を加えた
ボスのHPバーがわずかに減ったことを確認したのも束の間、ボスの後方の方から轟音と悲鳴が上がった
「エギルさん! 大丈夫ですか!?」
ポテトさんがそちらに視線を向け、訊ねる
「俺は大丈夫だが…2人やられた!」
それに答えるエギルさんには、赤いダメージエフェクトが刻まれており、HPも大幅に削れている
どうやら尻尾の方にもダメージ判定があるらしい… しかも、タンク職であるエギルさんがかなり削られたということは紙装甲のアタッカーにとっては致命的なダメージになると思われる
それでも私達はやらなければいけない
私は覚悟を決め、【ザ・スカルリーパー】へと再び向かって行った
タコミカとミトとの出会いはまた閑話で出そうと思います
あとタコミカのほっぺはむにむにです
それではまた次回に