ソードアート・オンライン ~PotetoEdition~   作:水名(仮)

130 / 141
今回のタイトルは第74~75層編の8話のタイトルのセルフオマージュです

それと今回は短めです

それではどうぞ


18話:"黒の剣士(勇者)"対"聖騎士(魔王)"

キリトさんは遠い間合いから、右手に持った剣を横薙ぎに振るうが、茅場はそれを難なく盾で受け止める

 

火花が2人の顔を一瞬、照らした

 

それが合図だったと言わんばかりに、2人は一気に加速し、剣技を交わす

 

かつて、デュエルで戦った時とは違い、キリトさんは一切ソードスキルは使わずに左右の剣をただひたすらに、剣が何本にも見える速度で茅場に向かって振るう

 

しかし、茅場は恐ろしいほど正確にキリトさんの攻撃を次々と叩き落とし、少しでも隙が出来ると、キリトさんに鋭い一撃を与えてくる

 

キリトさんはそれをすさまじい反応速度で迎撃する

 

やはりというか、そう簡単に局面は動きそうに無さそう…

 

両者睨み合って、相手の出方を伺っているが、ふと見えた茅場の目は人間らしさなど微塵も無いほど冷ややかだった

 

私はそれに対して、得体の知れない不気味さを感じた

 

うおぉぉぉ!

 

キリトさんもその茅場の視線を見て、私と同じことを感じたのか、絶叫して更に攻撃を激しくするが、茅場は表情を一切変化させず、的確にキリトさんの攻撃を防ぐ

 

「くそぉっ…!」

 

攻撃がすべて防がれることにキリトさんは焦りを感じたのか、キリトさんは両手の剣をライトエフェクトに包んで、ソードスキルを放つという手段を取ってしまった

 

「駄目ッ…!」

「止せっ…!」

 

思わず私とリオンさんが叫び、茅場が勝利を確信したような笑みを浮かべたことで、キリトさんは自分のミスに気が付いたように眼を見開いた

 

しかし既に遅く、1度発動してしまったソードスキルは途中でキャンセルすることはできない それに加え、技の直後には硬直時間を課せられる

 

キリトさんの放つソードスキルは虚しく、茅場の持つ十字盾によってすべて防がれる

 

そして最後の左手の突き攻撃が十字盾の中心に当たって火花を散らした時、キリトさんの持つ〖ダークリパルサー〗が砕け散った

 

「さらばだ―――キリト君」

 

ソードスキルが終わり、硬直時間を課せられたキリトさんの頭上に、茅場はクリムゾンの光を纏わせた長剣を振り下ろす

 

 

…その時、2人の間に飛び込んだ人影があった

 

私は心底驚いた なぜなら、そこにいたのは私達と同じく、麻痺で動けないはずのアスナだったからだ

 

茅場も予想していなかったのか、驚いた表情を見せていたが、もう誰にも斬撃は止められず、キリトさんを庇うようにして立ったアスナの肩口から胸を切り裂いた

 

攻撃を受けたアスナはキリトさんの腕に倒れこみ、かすかに微笑したような気がした

 

 

…彼女のHPバーは消滅していた

 

当然、私は信じることが出来なかった

 

 

その間にもアスナの全身は少しずつ、光に包まれていく

 

「嘘だろ…アスナ…こんな…こんなの…!」

 

彼女を支えているキリトさんも同じなのか、震える声で呟くように言ったが、光の輝きは徐々に増していく

 

そして…

 

 

 

―――ごめんね さよなら

 

アスナはそう音を刻むように唇を動かすと、一際眩い光を放ち、消滅した

 

 

キリトさんは声にならない絶叫を上げながら、必死に輝きをかき集めようとしたが、無情にも拡散し、消滅していき…最後の1つもキリトさんの手の甲に当たって消えた

 

 

 

 

「これは驚いた まるでスタンドアロンRPGのシナリオみたいじゃないか あの状況で自力で麻痺を解除する方法はなかったはずだがな… こんなことも起きるものかな」

 

茅場は大袈裟な身振りで言うが、キリトさんは反応を返さなかった

 

 

おもむろにキリトさんは床に落ちていた〖ランベントライト〗を左手で掴むと、のろのろと立ち上がる

 

「キリト!」

 

ふと誰かが叫んだ気がしたが、キリトさんは振り返らずに茅場に対して、攻撃とも言えない攻撃を打ちかかる

 

茅場はそんなキリトさんの様子に興味を失ったのか、憐れむような表情で溜息をつくと〖エリュシデータ〗を長剣で弾き飛ばし、そのままキリトさんの胸を貫いた

 

 

キリトさんのHPは徐々に減少していき…そのままゼロになってHPバーが消滅した

 

 

そしてポリゴン片となって消滅する――――

 

 

 

 

 

――――その時、キリトさんの体が金色に輝いたような気がした

 

「…まだだ…!」

 

キリトさんは茅場に胸を貫かれながらも、1歩、2歩と徐々に茅場に近づく

 

その様子を間近で見ていた茅場の表情は明らかに驚愕の色をしていた

 

 

はああぁぁぁぁ!!

 

そして最後の距離を詰めるように、左手に持った〖ランベントライト〗で茅場の胸を貫く

 

その尾を引く光は金色に輝いていた

 

 

茅場は動くことはせず、その表情にはもう驚愕はなく、どこか満足したような笑みを浮かべていたような気がした

 

 

やがて茅場のHPバーが消滅し、お互いの体を貫く形でキリトさんと茅場は2年もの間、聞き続けたオブジェクト破壊音と共に消滅した

 

 

 

 

 

私は麻痺が解けると同時に、先ほどまで死闘が繰り広げられていたボス部屋の中央まで駆け寄り、〖エリュシデータ〗と〖ランベントライト〗を拾い上げた

 

「キリトーーーっ!」

「おい…嘘だろ…? キリトよぉ…!」

「キ…キリト…さ…ん…?」

 

その声に重なるようにして、無機質なシステムアナウンスが聞こえてくる

 

―――11月7日 14時55分―――ゲームはクリアされました―――ゲームはクリアされました―――

 

私はただ空を見上げた




それではまた次回に
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。