ソードアート・オンライン ~PotetoEdition~   作:水名(仮)

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主人公はテオロングと言いつつ意識サイドをやるという…

それではどうぞ


3話:☆決意を抱き

SIDE:意識

 

 

キリト達と別れ、近くの家電量販店でアミュスフィアとアルヴヘイム・オンラインを買った俺は部屋に戻ると早速、アミュスフィアの初期設定を済ませ、ALOのパッケージからROMカードを取り出し、アミュスフィアのスロットにカードをセットした

 

直ぐに主インジケーターが点灯から点滅へと変わったのを確認すると、ベッドに横たわりアミュスフィアを目の前に持ってくる

 

正直に言ってしまうと、まだ不安は拭い切れない …だがこの真新しい機械が俺に力を貸してくれると信じ、自身の頭に装着した

 

そして俺は2年前のあのとき同様、仮想世界へと繋ぐ言葉を口に出す

 

『リンク・スタート!』

 

 

 

 

□■□■□■□■

 

 

 

 

再び目を開けると、そこは暗闇に包まれたアカウント情報登録ステージで、頭上にはアルヴヘイム・オンラインのロゴが映っている

 

直後に女性のウェルカムメッセージが響き渡る

 

その音声ガイドに従い、アカウントとキャラクター設定を開始した

 

まずはIDとパスワードの入力を求められたので、丁度胸の高さ辺りに出現したホロキーボードに特に考えることなくSAOでも使っていたIDとパスワードを入力する

 

その次にキャラクターネームの入力を要求されたので、こちらもまた特に考えずに《Ishiki》と入力、性別は無論男で

 

次いで、アナウンスはキャラクターの作成を促してきた(と言っても選択できるのは種族のみで、アバターは完全ランダムらしいが俺には特に関係ない)

 

事前のテオの説明と帰りに軽くスマホで開いたALOのホームページの説明通り、妖精をモチーフとした九種族の中から選択できるらしい

 

それぞれの種族の得手不得手の説明をある程度聞き流しながらどれにするかを迷っていたが、闇妖精族(インプ)の見た目が気に入ったので、闇妖精族(インプ)を選択し、OKボタンを押した

 

 

それで全ての初期設定が完了したのか、「幸運を祈ります」というアナウンスの後、俺は光の渦に包まれた

 

どうやらアナウンスによると、それぞれの領地からスタートするらしい―――確か闇妖精族(インプ)は高山地帯スタートだった気が…

 

床の感覚が消え、落下していくのを気にすることなく、結構世界樹までは遠そうだなとぼんやり考えていると、段々と闇妖精族(インプ)領が近くなってきた

 

 

 

 

 

 

 

 

―――その時、いきなりすべての画面がフリーズし、ノイズがそこかしこを這い回る

 

 

え? バグった…?

 

 

俺がそう思ったのも束の間、再び落下感と共に漆黒へと落ち始めた

 

 

これ…もしかしなくてもやばくない?

 

 

ゲーム開始早々こんなことになるなんて運営案件だと思いつつ、俺はただ降下するほかなかった

 

 

 

 

~~~~~~

 

 

 

 

「ぐえっ!」

 

永遠に思えた落下の後、俺は顔面から地面へと激突した

 

「いてて…」

 

顔を擦りながら起き上がり、辺りを見回してみるとそこは高山地帯とは似ても似つかわない、深い森の中だった

 

「どこだここ…」

 

ただ1つ分かるのは、ここはあからさまに闇妖精族(インプ)領ではない…その時、嫌な予感がした

 

「ま…まさかな…」

 

慌てて右手を何回か振ってもメニューが出てこず少し焦りそうになったが、直ぐに左手でやることを思い出して、左手を振るとメニューが現れた

 

それはSAOのデザインと全く変わりなかった為、若干慌ててシステムの所を開くと今回はしっかりログアウトのボタンがあった

 

ログアウトボタンを押してみると、ログアウト云々の警告文が出てきた

 

どうやら俺の心配は杞憂だったようだ

 

そこでほっと一息ついたところで、改めて現在地を確認しようとしたところで俺は驚いた

 

何と空のはずのスキル欄が埋まっていたからである

 

 

並んでいたのは、『短剣』に始まり、『軽業』、『体術』といったSAOで取ったであろうスキルだった おまけにそのほとんどが800~900台で中には1000に到達し、マスター表示がされているものもある

 

MMOでこんな数字が初期というのは絶対にありえない

 

「さっきのと言い、本格的に大丈夫かよ…このゲーム…」

 

そんなことを呟きつつ、改めてスキル欄に眼を通すと、なぜかスキルの熟練度に見覚えがあった

 

『短剣』1000…『軽業』982…『体術』891…

 

これ…SAOでのスキルじゃ…!?

 

まぁ幾つかは欠損しているが、そこは共通していないと仮定すれば辻褄が合う

 

でも何故…? 確かSAOは今は無きアーガスがサービスを運営しており、ALOはレクトが運営しているはずだ

 

セーブデータが勝手に移行した…? …いや、それはないはずだ 使っているハードも違うし…

 

だったら…

 

「ここはソードアート・オンライン…?」

 

俺のそんな突拍子もない呟きは風の音にかき消された

 

 

 

頭を振り、もう一度ウィンドウに視線を戻すと気持ちを切り替え、今度はアイテム欄を開いてみた

 

「うわ…」

 

しかしほぼ全てが文字化けしており、何が何かは分からない状況だった

 

こういう時、ALOに詳しい奴に聞ければいいんだけどなぁ…

 

 

その時…

 

「わあああああ…」

 

男の悲鳴が聞こえてきたので、俺は一先ず様子だけでも見てみようとウィンドウを閉じると、悲鳴が聞こえたほうに向けて走り出した

 

 

~~~~~~

 

 

恐らく現場であろう場所に辿り着いた俺を待っていたのは、金髪でポニーテールの女と赤の人魂のような物体(確かリメインライトって言ったはず)とそれを見て唖然とした様子の宙に浮いているリーダー格と思しき男とその手下と思しき男、そしてその元凶であろう黒い男だった

 

俺が樹の影からその様子を見ていると、手下と思しき男が黒い男に切られ、傷口から炎のようなものが噴出し、消滅する

 

 

黒い男はのんびりとした動作で体を起こすと、リーダー格と思しき男を見据え、剣を肩に担ぎ口を開く

 

「どうする? あんたも戦うか?」

 

その緊張感なんて皆無な言葉に、リーダー格の男は苦笑いしたような気配で首を横に振る

 

「いや やめとくよ もうすぐで魔法スキルが900なんだ死亡罰則(デスぺナ)が惜しい」

 

正直な人だこと

 

「正直だな」

 

黒い男も俺と同じことを思ったのか、短く笑いながら言うと、黒い男は金髪の女性に視線を向ける

 

「そちらのお姉さん的にはどう? 彼と戦いたいんだったら止めないけど」

「あたしもいいわ でも、次会った時はきっちり勝つわよ サラマンダーさん」

「正直、君とはタイマンで勝てる気はしないけどな」

 

それだけを言い残し、サラマンダーの男は翅を広げて飛び去って行った

 

 

そこからしばらくは動きが無かったが、2つのリメインライトが消えたのをきっかけとして、金髪の女性は男の顔を見ながら口を開いた

 

「…それで、あたしはどうしたらいいのかしら? お礼を言ったらいいの? 逃げればいいの? それとも…戦う?」

 

それに対して男は剣を左右に振ってから背中の鞘に納め、言った

 

「うーん 俺的には正義の騎士が悪漢からお姫様を助けた って場面なんだけどなぁ」

 

そして男は片頬をニヤリと吊り上げて言った

 

「感激したお姫様は涙ながらに抱き着いてくる的な…」

 

そこで俺は思わず、ズッコケてしまった

 

「何…って… 闇妖精族(インプ)!?」

 

俺が頭をさすりながら起き上がると、金髪の女性は俺に対し、剣を向けてきたので慌てて両手を上げた

 

「違う違う! 俺は戦うつもりは無い! ただちょっと…」

「ちょっと…?」

 

そこで先ほどの件を話すかどうかに関して迷った

 

多分だけど正直に話しても、信じてもらえないだろう

 

「えーっと…あそこに見える世界樹に行きたくて…」

 

なので一部、嘘を織り交ぜて話した

 

「ふーん… でもその割にはそこの影妖精族(スプリガン)同様初期装備みたいだけど…?」

「早く世界樹に行きたくて…ろくに装備も買わずに飛び出してきたんだ」

「ここまで来るのに確か火妖精族(サラマンダー)領のある砂漠地帯を超えないといけないはずなんだけど…それはどうしたの?」

「えぇっと…エネミーが見えたら全力ダッシュで逃げてました」

 

 

我ながら酷い言い訳だなこりゃぁ…

 

予想通り、金髪の女性は俺に対して懐疑的な視線を向けていたが、こちらに敵意が無いのが判ったのか、溜息をつくと、剣を鞘に納めて話し始めた

 

「運がいいのかただの馬鹿か…まぁ多分後者の方ね ついでに聞くけどそっちの影妖精族(スプリガン)さんも同じ?」

「同じ…って言いたいけど俺は単純に道に迷って…」

「ま…迷ったぁ!?」

 

黒い男の言葉に対して、金髪の女性は素っ頓狂な声を上げ、吹き出した

 

「君達ちょっと変すぎない? 闇妖精族(インプ)さんはほぼ初期装備で世界樹目指してて影妖精族(スプリガン)さんは迷ったって!!」

 

金髪の女性はけらけらと笑い、ひとしきり笑った後で何かを思い出したように言った

 

「ちょっと遅くなっちゃったけど助けてくれてありがとう影妖精族(スプリガン)さん 改めて あたしはリーファって言うの」

「…俺はキリトだ」

「俺は意識 まぁよろしく」

 

自己紹介を済ませると、早速キリトが俺の肩を掴んできて、小声で話しかけてきた

 

「なぁ意識」

「どうした?」

「お前ホントに闇妖精族(インプ)領から出発したのか?」

「無論嘘に決まってんだろ 怪しまれないための辻褄合わせだ」

「そ…そうだったのか… よかった…あれ経験したの俺だけじゃなかったのか…」

「あれ…? あぁ…あれか…」

 

キリトの安堵したように言った言葉に俺もあの体験を思い出し、安心していた

 

「つかお前アバターそこまで変わってないのな…」

「そういうお前は結構変わってるな …まぁアバターはランダム生成だからそっちが普通なんだろうけど」

 

何はともあれ、まずはキリトと会えたことに安堵していると、キリトの胸ポケットが少し動いた気がしたので思い切って訊ねることに決めた

 

「そういえばお前胸ポケットに何か入れているのか? さっき動いたぞ」

「えっ!? いや…それは…」

 

俺がそう言うと、何やら光るものがキリトの胸ポケットから飛び出した

 

「やっと出てこれました! 私を放っておくなんて酷いですよ パパ!」

「あっ! こら 勝手に出てくるなって」

 

キリトの胸ポケットから出てきた、小さな妖精はキリトの顔の周りを一通り飛び回り、そのまま肩に座った

 

「ねぇ それって プライベート・ピクシーってやつ? 実物は初めて見るなぁ…」

 

するとその様子を見ていたリーファはプライベート・ピクシーとやらをまじまじと見ていた

 

「あ、私は…「そう! それ!」」

「でも確か手に入れる方法ってプレオープンの販促キャンペーンの抽選配布限定じゃなかったっけ?」

「俺結構くじ運良いんだ だからそれで」

「ふーん…」

 

リーファはキリトに対し、訝しい視線を向けていたがある程度合点がいったのか、頷くと口を開いた

 

「成程 昔にアカウントだけ作って始めたのはつい最近ってことね」

「そうそう 因みにこの子はユイ」

 

あれ? ユイって名前…どこかで聞いたことがあるような…?

 

膨れっ面のユイを横目に、リーファは俺達を見ながら続ける

 

「そういえば君達ってこの後どうするのか決めてるの?」

「うーん… 一応あと1人いるんだけど…そいつと合流する以外には決めてないかな~…」

「そう じゃぁ…お礼に1杯奢らせてくれない? 勿論意識君も一緒に」

 

俺はこの世界に関しての少しでも情報が欲しい為、リーファの提案は非常に有り難かった

 

「俺は良いけど…意識もいいか?」

「勿論だ 色々と聞きたかったからな」

 

なのでその提案を断る理由はないので、即座に返す

 

「色々って?」

「基本的には世界樹への詳しい行き方だな …それ以外にもあるけど」

「いいわよ あたしこう見えて結構古参なの …じゃぁ少し遠くなっちゃうけど北にある中立の村まで飛びましょう」

「あれ? <スイルベーン>って街の方が近いんじゃないのか?」

 

キリトの質問に俺は思わず呆れた

 

「お前ホントに何も知らないのかよ… あのな、あそこは風妖精族(シルフ)領だぞ」

「それの何が問題なんだ?」

「<スイルベーン>の中じゃ俺達は風妖精族(シルフ)を攻撃できないけど逆はありなんだ」

「でも全員が全員襲ってくるわけじゃないだろ? …それにリーファさんだっているんだしさ 風妖精族(シルフ)の国って綺麗そうなんだから一回見てみたいんだよ」

 

ホント呑気な奴だなぁ…

 

まぁだからこそ俺もなんか嫌いになれないけどな

 

「…リーファでいいわよ 本当…可笑しな人ね まぁそう言うのはあたしは構わないわよ…命の保証まではできないけど」

 

リーファはキリトの言葉に肩をすくめると、背中から翅らしきものを出現させた

 

「じゃぁ <スイルベーン>まで飛ぶよ そろそろ賑わってくる時間帯だわ」

 

しかし、俺達は随意飛行のやり方を知らない為、首を傾げる

 

「あれ リーファはコントローラーなしで飛べるの?」

「まあね 君たちは?」

「ちょっと前にこいつの使い方を知った所だからなぁ…」

「俺も大体似たような感じ」

 

リーファの質問にキリトは左手を動かす仕草をしたので、俺もそれに合わせて頷く

 

まだ一回も飛んでないけど

 

「そっか 随意飛行はコツがいるからね 出来る人は直ぐにできるんだけど…まぁ試してみよ 2人共、コントローラーを出さずに後ろ向いてみて」

「あ、あぁ」

「解った」

 

かくして、リーファ先生による随意飛行レッスンが始まった




この小説では初期スポーン位置がシルフ領近くになった原因は同じIPからの接続による混線という設定を採用しています

それではまた次回に
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