ソードアート・オンライン ~PotetoEdition~ 作:水名(仮)
それではどうぞ
P.S.:お気に入り登録者数50人達成しました! 本当にありがとうございます! 何時になるかはわかりませんが何かできたらなと思っております
更に追記:評価10有難うございます! これからも投稿頻度は遅いかもしれませんが応援していただけると幸いです!
SIDE:タコミカ
今、緑色のトーガを着崩した須郷はベッドの上に体を横たえ、顔を背けるアスナの左手を取って肌を撫でまわしている
その気になればいつでも襲えるというこの状況を楽しんでいるのか、須郷はいつにも増して粘つくような笑みを浮かべている
それを見るのが嫌で私も先ほどまでは顔を背けていたが、先ほど背中を触られてからは拒絶したいけど目を離さないようにしている
先程ここにやって来るや否や、ベッドに横たわり、隣に来いと言った時には無論断ろうとしたけど、アスナが不本意ながらといった感じに従ったのでやむを得ず私も従った
しばらくアスナの腕を撫で回していたが、何も反応を返さないことにしびれを切らしたのか、須郷はアスナの体から手を離すと、そのまま仰向けになる
「やれやれ… 頑なな女だねぇ 君も どうせ偽物の体じゃないか 何も傷つきやしないよ 一日中こんな何もない所にいて退屈するだろう? ちょっとは楽しもうって気にならないもんかねぇ」
「…貴方には分からないわ 体が生身か仮想かなんて関係ない 少なくとも私達にとってはね」
「心が汚れるとでも言いたいのかね」
須郷は喉の奥で「くくっ」と笑う
「どうせ僕の地位が確立するまでは君達を外に出すつもりは無い だから今のうちに楽しんだ方が賢明だと思うけどね 君もそう思うだろう?」
そう言って私の方に顔を向けてきたので、私は無言でそっぽを向く
「やれやれ… 折角あるものは有効的に使わないと勿体ないと思うけどね あのシステムはかなり奥が深いよ 知ってた?」
「興味ないわ …それにいつまでもここにいるつもりは無い きっと助けが来る」
「…へぇ? 誰だい? それは …もしかして
思いがけず出たその名前に私は反応し、須郷の話を聞き逃さないように先ほど以上に注目する
その反応を見たのか否か、須郷はニヤニヤと笑みをこぼしながら上体を起こし、勢いよく喋り始めた
「彼…確かキリガヤ君とか言ったかな? 先日会ったよ 向こう側でね」
ふとアスナを見てみると、彼女もまた私と同じように須郷をしっかりと見据えていたが私の視線に気が付いたのか、ちらりと私に視線を向けると小さく、しかし確実に頷いた
「いやぁ… あの貧弱な子供がSAOをクリアした英雄だなんてとても信じれなかったよ それとも筋金入りのゲーマーっていうのは皆ああなのかい?」
奴はアスナの方を向き、嬉々とした表情で捲し立てるようにして話を続ける
「彼と会ったの、どこだと思う? …君の病室だよ! 君の本当の体のある、ね 寝ている君の前で、来週この子と結婚するんだ、と言ってやった時の彼の顔! 君達にも見せてあげたいほど実に傑作だった! 思わず大笑いしてしまいそうだったよ」
須郷は妙な笑い声を切れ切れに発しながら、体を捩じるようにして私達を見る
「じゃぁ君達はあんなガキが助けに来るって信じてるわけだ! 賭けてもいいね あのガキにもう一度ナーヴギアを被る勇気なんてありゃしないさ! 大体どこにいるかすら分かる筈がないのに …そうだ 彼に結婚式の招待状を送らなきゃなぁ きっと来るよ 君のウエディングドレス姿を見にね そのぐらいのおこぼれはあげてやらないとね 英雄君に!」
アスナがゆっくりと俯き、鏡に向いてすすり泣くふりをしている様子に満足したのか、奴はベッドから降りて立ち上がる
「あの時は監視カメラを切っていたから動画を撮ることは出来ていなかったが、次に機会があればしょぼくれた彼の姿を撮ることを試みてみるよ ではしばしの別れだ 明後日まで寂しいかもしれないが、心待ちにしておいてくれたまえ」
そう告げると最後に1回、「ククッ」と笑い、須郷は身を翻してドアへと歩いて行った
須郷の愚かさについてはアスナからかなり聞かされていたが、ここまでとは思ってみてもいなかった
―――キリトさんが生きているのならば、この状況を静観しているはずがない 必ずこの場所を見つけ出し、須郷に対して相応の報いを受けさせるだろう
―――だからといって、ただ待つ訳にはいかない 今、私にできることを1つでも多く見つけ、実行しよう
私の中の決意は奴の言葉によって確たるものに変わったが、それを顔には出さずに須郷を見据える
扉の前までたどり着いた須郷はちらりとこちらを振り返るが、私達の様子を確認すると、直ぐに扉の隣にある金属板を操作し始めた
須郷の手元は遠近エフェクトの影響でまるで靄がかかったように見ることはできないが、
奴が扉の隣にある金属板を操作している間、私はアスナが鏡越しにどこを見ているかを悟られないように須郷の操作している金属板をじっと見る
仮想世界に触れて日が浅い奴は、鏡の作りが現実と全く違うということに気付いていない
現実の鏡は後ろに銀の膜が貼っており、それが光を反射することで物が映るという仕組みだが、仮想世界の鏡は高解像度のピクセルが用いられて、映るべきものが映っている
なので遠近エフェクトの影響が及んでおらず、遠くのものもはっきりと見ることが出来る
このアイデア自体はだいぶ前に思いついたけど、今まで試す機会がなかった
私は1回で暗証番号を覚えるという真似は到底できないので、ここはアスナに任せる他ない
そうこうしているうちに暗証番号を入れ終わったのかドアが開き、それを奴がくぐってしばらくするとドアはガシャリと音を立てて閉まる
そして枝の上の道を歩いて行き、やがて蝶のような翅の後ろ姿が見えなくなったところで、ちらりとアスナの方を見ると、趣旨を理解していたようで私に向けて言った
「…大丈夫 番号は覚えたわ」
「うん ありがと 私には到底できないからね…」
素直にアスナに対し、お礼を言うと拳を握って呟く
「後はチャンスを待つだけ、あと少しで…!」
あと少しでここからアスナを出せるかもしれない そう思いながらふとアスナを見ると何やら寂しそうな雰囲気だったので、思わず声を掛ける
「どうしたの?」
「ううん 何でもない それよりも今は休まないとでしょ?」
「う…うん…」
私はを首振って笑顔を作ったアスナの様子に不安を感じながらも、ベッドに横たわってただひたすらに時間が経過するのを待ち続けた
今回はちょっと短めですがここで終わっておきます
それではまた次回に