ソードアート・オンライン ~PotetoEdition~ 作:水名(仮)
それではどうぞ
SIDE:朱猫
私とキリトが前衛、意識とリーファが後衛で何回か戦闘をこなしながら順調に進んでいたが、丁度山岳地帯に入った辺りで翅の光が薄れてきた
リーファの話によるとどうやら飛翔力というものの限界らしく、山の裾にある草原の端へと降下した
そして地面へと着地すると、背筋を伸ばすようにして軽く腕をクロスさせる
現実にはない器官のはずなのに、不思議と翅の根元らへんが運動した後かの様に疲労感が出てくる
周りを見回すと、3人共それぞれの方法で体をほぐしていた
「ふふ 疲れた?」
「まだまだ行けるよ」
「右に同じく」
「こっちもまだ行けるよ」
「へぇ 私も負けてられないわね …と言いたいところだけどしばらく空の旅はお預けよ」
リーファの言葉に思わず首を傾げながら、リーファの方を見る
「? 何で?」
「あの山 見えるでしょ?」
リーファが指差した方向を見てみると、頂点が冠雪するほどに高い山々が見える
「あの山脈が飛行限界高度より高いせいで、山を越えるには洞窟を通らないといけないの
「成程な 因みに洞窟って結構長いのか?」
「かなりね 一応途中に中立の鉱山都市があって休めるらしいけど… 3人共 今日はまだ時間大丈夫?」
リーファの問い掛けに応じるように、キリトは左手を振ってメニューを開くと、時間を確認したのか頷く
「リアルじゃ夜の7時か 俺は当分平気だよ」
「俺も大丈夫だ」
「私もまだまだ大丈夫」
「そう じゃぁここで一旦ローテアウトしよっか」
「ろ…ろーて…って何?」
キリトがローテアウトについて訊ねるとリーファは頷き、答える
「交代でログアウトして休憩することだよ 中立地帯は即落ちが出来ないから、かわりばんこに落ちるの そして、残った人が空っぽのアバターを守るのよ」
「成程、了解 じゃぁお先にどうぞ リーファ」
「じゃぁお言葉に甘えて 20分ほどよろしく!」
そう言って、リーファはウィンドウを出すと、ログアウトボタンを押した
すると片膝立ち状態で固まった
それをぼんやりと眺めていると、腕を指で突かれたのでそちらを見るとキリトが話しかけてきた
「お前も行って来いよ 朱猫」
「いいの?」
「2人もいれば何かあってもまぁ何とかなるだろうし」
「うーん… ま それもそっか じゃぁ2人ともよろしく」
キリトに諭されたので私もログアウト休憩することに決め、メニューを開きログアウトボタンを押した
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目を開けてアミュスフィアを外すと、ベッドから起き上がり自室を後にする
キッチンに辿り着くと、冷蔵庫から冷凍のパスタを取り出し、皿にのせて電子レンジに入れる
因みに今日は両親と兄は仕事で遅いので、適当に済ませても問題はない
そして出来たパスタを食べ終えると、シャワーを浴びて自室へと戻り、再びアミュスフィアを被ってALOへとダイブした
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ALOへと戻った私が見たのは、寝転びながら緑色のストローの様なものを口に咥えているキリトと、同じく寝転んでいるがストローの様なものを咥えていない意識の姿だった
「ただいま 敵とか出なかった?」
「おー おかえり」
「おかえり 出てこなかったよ」
私の質問にキリトと意識は私の方を向き、キリトは口からストローの様なものを離す
「キリト それ何?」
「<スイルベーン>の特産らしい お前もどうだ?」
「じゃ…じゃぁ貰おっかな…」
私がそう言うと、キリトはメニューを操作し口に咥えていたものと同じものを取り出して投げ渡してきた
物は試しというので、試しにキリトがやっていたように端を口に咥えてみるとミントの様な味がした為、思わずストローの様な物を吐き出し、むせてしまう
「ゲホッケホッケホッ…うぇ…これ駄目なやつだ…」
「そうか? 俺は結構好きだけどな」
「そういえばお前SAOでもミント系の味のもの避けてたな」
「ああいうのは好きじゃないからね… 因みにこれどこで?」
「雑貨屋 消耗品類を買うついでに買い込んできた」
「昔から思ってたけど、よく未知のものに手を出せるよね…」
私はキリトに呆れながらも会話を続ける
「お待たせ! なんか楽しそうだね 何話してるの?」
しばらくするとリーファの声が聞こえてきた為、そちらを見るとリーファが戻ってきていた
「おかえり ちょっとね そういえばリーファこれ知ってる? <スイルベーン>の特産らしくてキリトが買ってきたんだけど…」
そう言って、手に持っていたミント風味のストローっぽいものを見せたが、リーファは首を振る
「知らなかったわよ…そんなのがあるなんて」
「NPC店員は<スイルベーン>の特産だって言ってたけどなぁ…」
キリトはリーファに対しそう告げ、例のミント風味のストローっぽいものを投げた
それをリーファは左手で受け止め、端を咥える
「じゃぁ次は俺らが落ちるよ」
「後はよろしく」
「てらー」
「うん 行ってらっしゃい」
そしてキリトと意識はメニューを操作し、ログアウトをすると自動的に残ったアバターが待機姿勢をとる
ぼんやりと空を眺めながら2人が戻ってくるのを待っていると、突然リーファが驚いたような声を上げたのでそちらを見る
「わぁ! …あなたご主人様がいなくても動けるの?」
するとユイちゃんは当然といったような表情で、手を腰に当てる
「当然です! わたしはわたしですから! それとご主人様じゃなくてパパですよ」
「ずっと気になってたんだけど…何であなたはキリト君のことをパパって呼ぶの? もしかして…彼がそう呼ぶように設定した?」
「…パパはわたしを助けてくれたんです そして俺達の子供だ、ってそう言ってくれたんです だからパパです」
「…そう ってことはママもいるはずよね…?」
そしてリーファはこちらに視線を向けてきたので、笑いながら首を横に振る
「違う違う 私はユイちゃんのママじゃないよ」
「朱猫さんはママじゃないですよ」
「そ…そう…」
私に続いてユイちゃんも否定したので、リーファは不服そうながらも納得したように頷く
そもそもの話、私は女顔ってだけだからね
そこからちょっとだけ無言が続いたが、ふと私はリーファに対して少しだけ気になっていたことを口に出した
「リーファはキリトの事、好きなの?」
「え!?」
「反応を見てると何となくだけど、キリトのことが好きなのかな~って思ったんだけど…違う?」
「ベ…別に私は…「どうかしたのか? リーファ」うわぁぁ!?」
リーファがつい大声を出したタイミングで、丁度キリトが戻ってきて話しかけてきたのでリーファは驚いて叫んだ
「あ おかえり キリト」
「2人共何話してたんだ?」
「秘密」
「?????」
私がキリトに声を掛けると、リーファと私を交互に見て先ほどの会話の内容が気になったのか、きょとんとした顔で私に訊ねてきたが、私はリーファのプライバシーを守るために黙秘した
「ず…随分と早かったね ご飯とかは大丈夫なの?」
「あぁ 家族が作り置きしてくれてたんだ」
私達が話しているとある程度落ち着いたのか、リーファはキリトに対して訊ねると、キリトは笑って頷く
「そう じゃぁ意識君が戻ってくるまでちょっと待ちましょうか」
それに対して、リーファはそう言うと再び腰を下ろした
そこから数十秒ぐらい経ったところで、意識が戻ってきたので早速出発しようとしたが、キリトと意識が今まで飛んできた森の方向を向いた為、どうしたのかと訊ねようと思ったが直ぐに私も誰かがこちらを見ているような気がして、思わずキリトや意識と同じように今まで飛んできた森に視線を向ける
「…? どうしたの?」
「なんか誰かがこっちを見ていたような気がしたんだけど…」
「ユイ 近くにプレイヤーは?」
「いえ プレイヤーの反応はありません」
ユイちゃんは小さい首を横に振るが、なんかどうにも納得できない
「見ていたような気が、って… この世界にもその…第6感的なものあるの?」
リーファが不審に思って訊ねると、キリトは右手で自分の顎らへんを撫でながら答えた
「それが案外馬鹿に出来ないんだよな… 例えば誰かがこっちを見ている場合、そいつに渡すデータを得るためにシステムが俺達のことを『参照』するんだけど、そのデータの流れを脳が感じてるんじゃないか…という説がある」
「…は…はぁ…」
キリトの説明に対して、リーファはいまいちわかっていないというような声を出す
私もかつて、SAO時代にこの第6感についてキリトから似たような説明をしてもらったような気がするが、今でも良く分かってない
「でもユイでも分からないんだったら誰も居ないんだろうしなぁ…」
「うーん… もしかしたらトレーサーが付いているのかもしれないけど…」
「トレーサー? 何だい そりゃぁ」
キリトの発言に対する、リーファの呟きにキリトは聞き返すと、リーファは答えた
「追跡魔法よ 大体は小さい使い魔の様な姿で、効果を発動すると術者に対象の位置を教えるの」
「へぇ… 結構便利だな それは解除できないの?」
「トレーサー本体を見つければ出来るけど、術者の魔法スキルの熟練度が高くなるにつれて、対象との間に取れる距離も増えるから、こんなフィールドだとまず無理ね」
「そうか… まぁ、気のせいって可能性もゼロじゃないしな とりあえず先急ごうぜ」
そう言って私達は頷き合うと、地面を蹴って浮かび上がり、視線の先に見える白い山脈へと向かって行った
朱猫はハッカ等のミント系の味があんまり好きではないです
それではまた次回に