ソードアート・オンライン ~PotetoEdition~   作:水名(仮)

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今回で強化詐欺編は完結させます

それではどうぞ

P.S.:最近寒いですのでお体にはお気をつけてくださいね



6話:強化詐欺の真相

私たちは今、ネズハさんの露店の後ろにある宿屋の一室にいる

 

ここにはキリトさんはいない なぜかというとあることをするために私たちとは別行動をしているからである

 

「もうそろそろ来るゾ」

「了解です」

 

アルゴさんにそう言われたため私はネズハさんの方へと集中した

 

「まだ開いているか?」

「はい…大丈夫です! メンテですか? それとも…」

「強化を頼む」

「強化ですか…」

「何か問題でも?」

「い…いえ! 大丈夫です!」

 

因みに今のキリトさんはいつもの黒い服装ではなく鎧をしっかりと着こんでいる

 

そしてキリトさんはネズハさんに強化をお願いした

 

「種類は速さ(クイックネス)素材は料金込みで90%で頼む」

「それだと料金は2700コルですね」

 

私はしっかりと見逃さないようにさらに集中した

 

「アニールの+6の試行2回残しですか… 内訳は鋭さ(シャープネス)+3に丈夫さ(デュラビリティ)+3 使い手は限られてきますけれどすごい剣ですね… この上更に速さ(クイックネス)を強化すれば…」

 

そして

 

「では… 始めます…」

 

強化もとい…強化詐欺が始まった…

 

「強化素材を炉に入れた時のライトエフェクトには確かに見入っちゃうかもしれないけド 見逃しちゃだめだヨ 3人共…」

「わかってます」

 

アルゴさんが言うとアスナさんが返した

 

「…! 皆さん! 今!」

「すり替わったナ」

 

そうして注意してみているとすり替わるのが見えた

 

〔カァン! カァン!〕

 

「随分と心のこもっているナ…」

「そうですね… 思えば私の〖ウィンドフルーレ〗の時もそうでした 必要な回数さえ叩けば叩き方なんて関係ないのに… あの時は強化成功を祈っているのだと思っていたのだけれども違ったのね… 心の底から悼んでいるからなんだわ 詐欺の成功のために犠牲になる剣の事を…」

「すり替えられたあの剣は試行回数残り0回のエンド品… そのエンド品の強化は確実に失敗します」

「そしてその失敗時のペナルティは…」

 

アルゴさんとアスナさん、それから私とておさん話していると…

 

〔パリィン!〕

 

〖アニール・ブレード〗のエンド品が砕けた

 

「すみません…! 本当に…すみませんでした!」

 

ネズハさんが土下座しながら額を何度も地面に打ち付けた

 

「いや… 謝る必要はないよ」

「でも… え?」

 

キリトさんがこちらを向いたため私達は窓を開け、私は頷いた

 

「わかってみると… 案外単純なトリックだったな」

「あなたは!? あの時の…!」

 

キリトさんが元の装備に戻すとネズハさんはとても驚いていた

 

「騙すような真似をしたのは悪かったな 『クイックチェンジ』」

 

そう言いながらウィンドウを操作すると〖アニール・ブレード〗がキリトさんの元へと戻ってきた

 

「あんたはこのスキルMOD(強化オプション)を使って預かった武器と自身のストレージにある同種のエンド品をすり替えた そして俺は今、同じ手口を使って君のストレージから現在装備中の武器を取り返した まさかこんなに早く、しかも非戦闘職である鍛冶屋が武器スキルMODを取得しているなんて思わないよな… しかもメニューウィンドウを商品の隙間に隠して、MODのエフェクトは炉の光と音で掻き消すというカモフラージュまでして 天才的だな… さて、署までご同行願おうか?」

 

キリトさんが手口を解説するとネズハさんを私たちのいる部屋へと連れて行った

 

 

 

~~~~~~

 

 

 

キリトさんはネズハさんを椅子へと座らせ、尋問していた…

 

ネズハさんが言うには詐欺をして稼いだ金額のほとんどは豪遊等をしてほとんど残っていないらしい

でもそれじゃぁ安宿に泊まってた意味は…?

 

「つまり君は攻略組の人たちが言葉通り命を懸けて鍛えた武器を私利私欲で浪費したと…?」

「何とお詫びをすれば…」

 

キリトさんがどこか怒りを帯びた声で言うとネズハさんは俯いたまま話した

 

「やっぱり変よ!」

 

アスナさんが少し大きな声でそう言い

 

そしてネズハさんが疑問に思って顔を上げるとアスナさんは何かを取り出しながら話した

 

「これ… フィールドで偶然会ったソードマンの忘れ物」

 

アスナさんが取り出したのは昨日見せてもらった投剣だった

 

「アルゴさんに調べてもらったけれども、プレイヤーメイドでどこのお店にも並んだ形跡がなかったわ つまり持ち主イコール製作者 今のSAOでこれを作れるのはアインクラッド唯一のプレイヤー鍛冶屋であるあなた以外にあり得ないわ!」

「戦闘職のソードマンなら『クイックチェンジ』を取得していてもおかしくないナ」

 

アスナさんがそう言いながらネズハさんに指を指すとアルゴさんが続けた

 

「確かに前あなたに会ったときそれなりにいい装備で身を固めていたけれど私の見立てだと被害額と計算が合わない…」

「だからそれは… 先ほども…」

「アルゴさんが言うにはあなたは安宿で寝泊まりしているらしいじゃないですか…?」

「えっ…!?」

 

アスナさんが疑問をぶつけるとネズハさんがしらを切ろうとしたため私もアルゴさんから聞いた話を質問してみた

 

「君は現状SAOでの唯一のプレイヤー鍛冶として市場を独占している それに加えて強化詐欺まで働いている そうすると計算が全く合わないんだ そして俺たちは今 こう疑っている 君は荒稼ぎした金を誰かに貢いでいるんじゃないかって…」

「な…何の根拠があって!」

 

キリトさんが私たちの考えていた仮説をネズハさんにぶつけるとネズハさんは目に見えて焦り始めた

 

「根拠…か… あるにはあるぞ "Nazha(ナーザ)"君?」

 

ておさんがそう言うとネズハさんは絶句した

 

哪吒(ナタク)っていう呼び方で覚えててすっかり忘れてたよ… これが君の名前だろ?」

「中国の小説の封神演義に登場する少年の神だナ 宝具と呼ばれる多様な武器を操り、2つの輪に乗って空を飛ぶらしいヨ? すごいネ~ こういうのってなんていうんだっケ…?」

「シャルルマーニュ伝説の"ローラン(オルランド)"や現代の西洋風ファンタジーの先駆けともいえる"ベオウルフ"にも引けを取らない堂々たる…」

 

ておさんが補足をするとアルゴさんが哪吒(ナタク)について説明し、そしてキリトさんが続けると私たちは同時にその言葉を口にした

 

『[伝説の勇者たち(レジェンド・ブレイブス)]』

 

そう言うとネズハさんは項垂れた

 

「やっぱり… 君が彼らのために装備資金を稼いでいたんだな… だからこそ急速に台頭してこれた」

 

キリトさんが言うとおもむろに立ちあがり大声で話し始めた

 

「正直に話してくれ! なぜ君だけがこんな不正を働くリスクを背負ったんだ!? 何か見返りを約束したのか? なぜ君たちはこんなことができたんだ!?」

「キリトさん今大事なのはそこじゃ…「いや! 大問題だ!」」

 

私が話がそれていると思い話したがキリトさんはそのまま続けた

 

「このままいけば彼らは攻略組のトップもぶっちぎるほど強くなる! 詐欺をも厭わない集団がだ! そんな奴らが圏外で襲撃されても返り討ちにすればいいと思うようになったら…!」

「待ってキリト君 多分… 違うんじゃないかしら…?」

 

アスナさんがそんなキリトさんを止めるとおもむろにテーブルに置いてあった投剣を手に取り持ち手の方をネズハさんの方に向けた

 

「取って」

 

アスナさんがそう言うとナーザさんは手に取ろうとしたが取れなかった…

 

「やっぱりあなた片目が…」

「見えないわけじゃないんです ただナーヴギアを通すと遠近感が…」

「FNCか!」

 

アスナさんが片目が見えないのかと聞くとネズハさんは答えた するとキリトさんはネズハさんの症状に心当たりがあるみたいで症状名を答えた

 

「F…?」

「FNCです 民間のナーヴギアだと偶に発生するんです フルダイブ・ノン・コンフォーミングの略称で、脳とフルダイブ機器の間に生じる接続障害のことを指して 最悪の場合だとダイブできないということもありますね」

 

アスナさんが質問しようとしたため私がFNCについて答え、さらに私はネズハさんの場合について答えた

 

「ネズハさんの場合だと恐らく両眼視機能不全… つまりは奥行きを判断できないんだと… この症状はSAOでは致命的と言ってもいいですね ログインは諦めるべきでしたけれども…」

「いや…気持ちはわかるよ ゲーマーだったらSAOを見ずに死ねないからな… 待てよ… じゃぁ彼らはそんな君の弱みに付け込んで汚い仕事を要求した…?」

違う!彼らはそんなこと…!」

 

キリトさんはそう言いながら椅子の背もたれにもたれながら話すとネズハさんは大声で話した

 

「多分だけれど逆なんじゃないかしら?」

「逆?」

「きっと彼らはこの人を見捨てなかったのよ」

 

アスナさんはそう答えた… もしそれが本当だとしたら私達にはできないようなことを彼らはやったということになる…

 

「SAO開始当初フロントランナー達がリソースを奪い合っていた頃 彼らはハンデを抱えた仲間のリカバーを優先して行動していたんだと思う これは想像になっちゃうんだけれどあなたの投剣スキル、2層でも通用できるレベルに上げるのは大変だったんじゃないかしら?」

「…そうか… 1層前半の非効率な狩場に足止めされれば出遅れるのも当然だよな… それが本当だったらすごいよ 俺には絶対真似できない…」

「どう? 間違ってるかしら?」

 

アスナさんが話している間ずっとネズハさんは俯いたままだった

 

「…おっしゃる通りです… 僕は[レジェンド・ブレイブス]の… 仲間の情けに縋り付いてみんなの夢を台無しにしたんです…!」

 

そう言うネズハさんの気持ちは痛いほどに分かった

 

「[レジェンド・ブレイブス]はもう何年も前から活動してきたチームです こう見えて結構いろんなゲームのランカー常連やってて… 本当に最高のチームでした SAOが発売された時にはそれはもう盛り上がりましたよ アインクラッドでテッペン取るんだ! 本物の勇者になるんだ! って…」

 

ネズハさんが話しながらおもむろに立ち上がり叫びながら言った

 

なのにっ! 僕のNFC判定のせいですべてが狂ってしまった!

 

そしてネズハさんは声を震わせながら続けて言った

 

「あの日以来 散々みんなを修行に付き合わせてしまいました… そりゃぁ不満を漏らす仲間もいましたよ… でもリーダー(オルランドさん)だけは決して僕を見捨てようとはしなかった!」

 

 

「結局… どんなに熟練度を上げても投剣スキルが使い物にならないことに気づいて僕が戦闘職を諦めたころには攻略組との差はもう取り返しがつかないほどまでに広がっていました…」

 

ネズハさんがそう言うと震えた声で話し始めた

 

「そんなときです あいつが…あの"黒ポンチョの男"が声をかけてきたのは…」

「"黒ポンチョの男"…?」

 

キリトさんが黒ポンチョの男について聞くとネズハさんはその男について答えた

 

「名前は分からなかったんですけれども… 急に僕たちの話に割り込んできて さっきの詐欺のやり方だけ話してどこかへ行ってしまって… それ以来一度も会っていません それでも詐欺ですから最初はみんな否定的でしたけれど そいつの話を聞いているうちになぜかできるような気がしてきて… 最後は僕もお恥ずかしい話ですけれど、このままみんなのお荷物になるぐらいだったら詐欺の主犯になってお金を稼ぐ方がずっとましだと思ってしまって…」

 

確かに私も同じ状況ならそんなうまい話があればついやってしまうかもしれない…

そう私が思っているとキリトさんがネズハさんに質問した

 

「そいつは何か見返りを求めたのか?」

「いえ…そう言ったものは何も… お金とかはいらないって言って去っていきました…」

 

え? じゃぁその男は何が目的なの…?

 

そう言うとネズハさんは窓のほうまで行き窓を開けた

 

「でも… 僕が強化詐欺を初めて行った日…すり替えられたエンド品が砕けたときのお客さんの顔を見て、ようやく分かりました… これはやってはいけないことなんだって…そこで剣を返してすべてを打ち明けられたらよかったんですけれど… 僕にはそんな勇気もなくて… せめてこの1回でやめようと思って、ひとまずギルドのたまり場に行ったんです…そうしたらみんな喜んでくれて… それで僕はもうどうしたらいいのかわからなくなってしまって…」

 

確かにやってはいけないことだけれどもみんなに褒められたら私も続けてしまうかもしれない…

 

そう思っているとネズハさんはバルコニーへと出た…

 

「だから… だからどうか… これで…!」

 

そしてそれだけを言うとネズハさんは飛び降りた!?

 

 

~~~~~~

 

 

私は咄嗟にネズハさんの足を掴みそんな私をアスナさんが掴みキリトさんとておさんでアスナさんをしっかりと固定していた

 

「うぐぐっ…!」

「は…放してください!」

「嫌です! 大切な人たちに迷惑をかけたくないっていう気持ちは分かりますし 実際途中から自分自身に置き換えて考えていましたよ!」

「だったら何でですか!」

あなたの今やろうとしていることはそんな仲間たちの…オルランドさんの気持ちを裏切るようなことだからですよ!

「っ…!」

 

私がネズハさんを説得している間も徐々にだけど下に落ちていっている…

 

「もう駄目…!」

 

そう言うと急に体が宙に浮き部屋の中へと投げられた

 

「痛たた…」

「うぅぅ…あぁぁぁぁぁ…!」

「キリトさん…あとお願いします…」

 

その時に強く打ったのかまだ少し痛むけど… 私はひとまずあとはキリトさんにお願いすることにした

 

「ネズハ…君の投剣スキルはなかなかのものだと聞く たとえ遠近感が取れなくてもシステムアシストの効く投擲武器なら…「そんなことは分かってます!」」

 

キリトさんがネズハさんの投剣スキルについて話すとネズハさんは大声で言った

 

でもあんなもの実戦では何の役にも立ちませんよ! 弾数が無限でもない限り!

「確かにな 君の言う通りそんなチートみたいな武器は存在しない でも戻ってくるものならある」

 

キリトさんはそう言うと昨日のフィールドボスのLAである〖チャクラム〗を取り出した

 

「フィールドボスのLAである〖チャクラム〗だ」

 

ネズハさんが〖チャクラム〗に手を伸ばそうとするとキリトさんはそれを取り上げた

 

「但し! これを扱うにはとある『エクストラスキル』が必要になる ネズハ スキルスロットに空きはあるか?」

「ありません…」

「では質問を変えようか 伝説の勇者殿…」

 

キリトさんがネズハさんにスキルスロットに空きはあるのかについて質問をするとないと答えたためキリトさんは改めて質問をした

 

「鍛冶スキルを捨てる覚悟はあるか?」

 

 

 




今回はいつもに比べかなり長くなりましたが強化詐欺編は終えられました

それではまた次回に~
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