ソードアート・オンライン ~PotetoEdition~ 作:水名(仮)
それではどうぞ
メニューを開いて時間を確認してみると夜の10時を過ぎていた
窓を見てみるとまだ雪は降っていて窓から見える前庭の立ち木はすっかり真っ白だった
私達はしばらく居間の真ん中で立ってその様子を見ていた
ふとキリトさんは何かを思いついたかのように左手の人差し指にはめてある指輪のプロパティを開いた
「名前は〖シギル・オブ・リュースラ〗か マジック効果は…お AGIに+1とスキル熟練度の上昇にちょびっとボーナスか 結構いい効果だな…」
「ふーん…」
「結構いい効果ですね」
貰った指輪の説明を聞いた私は早速ポーチから指輪を取り出すと右手の人差し指にはめた
少し指輪をはめた手を見ているとアスナが慌てて指輪をはめている指を変更しているのが見えた
その様子を見ていたキリトさんがアスナに対して質問した
「どうかしたのか?」
「な…何でもない!」
アスナの反応に対してキリトさんはこくこくと頷いた
「えぇっと…俺はそろそろ寝るけど…その前に1つだけ教えてほしいことがあるんだ」
「な…何?」
「さっき城主様の名前についていたビスカウント…?って何か知ってます…?」
アスナはキリトさんの質問を聞いたとたんに微妙な顔をしてから長い溜息をついた
「ヴァイカウント」
「え?」
「だから Viscountって書いてヴァイカウントって読むのよ 意味は子爵ね」
「な…成程… 因みに子爵ってどれぐらい偉いんだ?」
「一般的には順番で言えば公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の順番で偉いから 子爵は上から4番目」
アスナがViscountの正しい呼び方と意味を言うとキリトさんはどのぐらい偉いのかと返したためアスナは子爵は4番目ぐらいだと言って「ダークエルフの貴族制度がどうなっているのかは知らないけど」と付け加えた
「りょ…了解… 解説どうも… それじゃぁ明日は少し早いけど朝の6時にここで集合でいいかな…?」
「大丈夫です」
キリトさんはアスナに対してお礼を言うと明日は朝の6時に居間に集合と提案したので私は頷き、アスナとておさんも黙って頷いた
「じゃぁそういう事で…オヤスミ…」
「キリト君」
「ハッ…はい!」
キリトさんはそそくさと寝室に向かおうとしたがアスナがそれを呼び止めたためキリトさんは驚いた様子で振り向いた
「それからタコミカとテオ君も…お風呂に行く前にも言ったけど今日は本当にありがとう 現実世界で過ごしたクリスマス・イヴよりずっと楽しくって素敵だった」
それから私達の名前も呼んだのでアスナの方を向くとアスナは今日のことについてお礼を言っていた
その数秒後にキリトさんが1つ質問してきた
「向こうじゃどんなクリスマスだったんだ?」
「うーん…」
キリトさんの質問にアスナは分厚い絨毯をブーツのつま先でグリグリしながら答えた
「毎年家族でクリスマスパーティをするから家にいなさいって言われてるけど結局母親も父親も遅くまで帰ってこなくって1人でケーキ食べて終わり…っていう感じかな…」
「そっか… タコミカ達はどうだったんだ?」
そう言ったアスナに対してキリトさんは相槌を打つとキリトさんは今度は私達に対して同じように質問してきた
「私はここ最近は兄妹のみでクリスマスパーティでしたね… 一番上の兄がいつもケーキを作ってくれて 昔は家族全員で外食とかにも行きましたけどここ数年ぐらいはお父さんもお母さんも忙しくて…」
「そう考えたら俺はまとも…なのかな…? 家族と家で買ってきたチキンとケーキを食べるだけだけど…」
私達がそう答えるとておさんはキリトさんに向かって「お前はどうなんだよ? 俺らが答えたのにお前だけ答えないのは不公平じゃないか?」と言ったのでキリトさんは少しだけ焦っていた
「お…俺もテオと同じような感じだったよ」
キリトさんがそう答えたが肝心のておさんは少しだけ疑っているような様子だったのでキリトさんは話題を変えるようとしていた
「…ま…まぁ 楽しんでもらえたんだったらよかったよ どうせだったらケーキも用意できたらよかったんだけどな」
不明瞭な声でキリトさんはそう言うとアスナの口元の笑みが少しだけ明瞭になったような気がした
「そうね でもそれはまた来年に取っておくわ」
「そうだな…」
「じゃぁ私もそろそろ寝るわね お休みなさい」
「お休み」
「うん お休み」
「あぁ」
私達が挨拶を済ませるとアスナはキリトさんとておさんの方の寝室とは反対の方の寝室に入っていった
「それじゃぁ私もそろそろ寝ますね おやすみなさい~」
「あぁ お休み」
「お休み~」
それに続いて私も挨拶を済ませるとアスナと同じ寝室へと向かって行った
~~~~~~
ふと目が覚めたのでベッドから起き上がって辺りを見回してみたがアスナはいなかった
「あれ…?」
もしかしたら居間にいるかもと思ってそっと居間の扉を開けるとソファにアスナとキリトさんが寝てた…
「やっぱりこっちにいたんだ」
私はそんな2人を横目に私は外に向かうために部屋の扉をそっと開けるとそこから早歩きでエントランスへと向かった
エントランスへと向かうと大扉を開けると雪はまだ降っていて、一面の銀世界が広がっていた
「お~ 凄い!」
しばらくその景色を見ていると誰かが私に声をかけてきた
「ここにいたのか」
「あっ! すぐに戻るつもりだったんですけどね…」
ておさんに声をかけられたので私はすぐに戻るつもりはしていたと答えた
そこからは少しだけ無言で空を見ていたがふと口を開いた
「あの ておさん」
「どうした?」
「本当に私達はこのゲームをクリアできますよね…?」
私の質問に対してておさんは答えなかったけど誰も答えなんて知らないし分からないから…
それに加えて私が弱音を吐くのはこれが初めてだなと心の中で少し思った
「どうだろうな… でもきっと毎日積み重ねていったらクリアできると俺は考えてるよ」
ておさんがそう言ったため私は少し無言になって話題を変えることにした
「…少し辛気臭い話になっちゃいましたね 戻りましょうか」
「…そうだな」
私が戻ろうというとておさんはそれに同意した
~~~~~~
そこから部屋に戻って眠り、翌日の25日とその次の日である26日は〖瑠璃の秘鍵〗の回収のためのクエストをこなしているうちにあっという間に過ぎてしまった
難易度は優しくはなかったけど私達のレベルが1ずつ上がったのとキズメルが頼もしかったこともあってか2日目の夕食前には〖瑠璃の秘鍵〗を回収してヨフェル城へと戻ってくることが出来た
そしてヨフィリス閣下にクエスト報告を済ませ、部屋を出ると廊下の西の突き当りにある大窓から真っ赤な光が差し込んでおり、キリトさんはその光を浴びながら大きく伸びをしていた
「っと…どうにか予定通りに第2の秘鍵は回収できたな 城主様が椅子の後ろの小部屋にしまってたけど第1の秘鍵もあの場所にあるのかな…」
キリトさんは独り言のつもりだったらしく小声っぽかったがそんなキリトさんの疑問に答えたのは久々にドレスから鎧に着替えたキズメルだった
「その通りだ つまり森エルフ達に城の5階まで攻め上がられたら2つの秘鍵を奪われてしまう可能性が高い ヨフィリス閣下はレイピアの名手でなれど、ご病身の閣下に御自ら戦って頂くわけにはいかぬからな…」
「大丈夫よ 5階どころか桟橋にも上げないから」
キズメルの言葉に答えたのはこの2日間かなり奮闘していたアスナだった
「敵の船が10隻来ようと20隻来ようと全部沈めてやるわ!」
「それは頼もしいな」
好戦的なアスナにキズメルは笑いながら背中をぽんと叩くとキリトさんの方に眼を向けた
「キリト アスナ テオロング タコミカ たった2日で封印の迷宮から〖瑠璃の秘鍵〗を回収できたのは勿論お前たち自身の力もあるが、お前たちの船の性能に依るところも大きい そして何より私が嬉しいのはあの美しい船に妹の名前をつけてくれたことだ…」
キズメルは一旦言葉を区切ると近くの北向きの窓へと向かって行った
「…妹は幼いころから水遊びが好きだった 9層にある都ではよく一緒に遊覧用の小舟に乗ったものさ ティルネル号を見ているとその思い出が甦ってくる気がするよ…」
昔を懐かしむような声で話したキズメルの右隣にそっと寄り添ったので私もアスナの隣に向かった
少ししてキリトさんはキズメルの左隣に向かうと軽く咳払いをし、口を開いた
「あのさ キズメル ひとつお願いがあるんだ」
「私にできることならば何でも言ってくれ」
「ええっと… 俺たちの幻書の術は船みたいに大きいものは収納できない、だからといって船を担いで天柱の塔を登るわけにはいかないから次の5層に行く時はティルネル号をこの4層のどこかに置いて行かなきゃいけないんだ」
キリトさんは私達が昨夜にじっくり話し合ったことを話すとキズメルは黙って聞いていたが今度はアスナが話しかけた
「だからね キズメル 私達が5層に上る前にティルネル号をあなたに預けておきたいの このヨフェル城の桟橋に泊めておいてくれるだけでいいから…」
ぶっちゃけ言うとかなり怪しい部分ではある 3層の徽章も「そなたから指令に渡しておいてくれ」と言われ、アスナに渡してたし一昨日アスナがキズメルに渡してた紫色の水着も脱衣所で返却されたし…
私達がキズメルの返答を待っているとキズメルは鎧の音を鳴らして窓の方を向いた
そしてしばらくすると静かに、しかし情感を含んだ声が流れた
「…勿論…勿論だとも お前たちの船は私が責任をもって預かろう だが1つだけ約束してくれるか?」
「何 キズメル?」
「またいつかこの城に来て 私をティルネル号に乗せてほしい」
キズメルのお願いを聞いた私達は声を合わせて「勿論!」と叫んだ
もうそろそろ長かった4層編も終わりそうかな…?
それではまた次回に