ソードアート・オンライン ~PotetoEdition~   作:水名(仮)

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今回で第4層編は終わります

それではどうぞ~




21話:第4層フロアボス"海馬"戦

アスナに所々端折りながらメッセージの内容を伝えていると大桟橋にたどり着いたのでアンカーを下ろすと大桟橋に飛び移り、キリトさんとておさんの前に大急ぎで向かった

 

「丁度良い所に! 2つだぞ! 2つ!」

 

キリトさんがそう声をかけてくるが今はそんな場合ではない

 

「やけに真剣そうだけど…どうしたんだ?」

「しばらく前に出発しちゃったらしいのよ!」

 

ておさんが只事ではない私達の様子を汲み取って聞いてきたのでアスナが話すとようやくこちらの様子が分かったのかキリトさんが聞いてきた

 

「出発したって…何が?」

「フロアボス攻略レイドがですよ!」

「なっ!?」

 

それに対して私が答えるとキリトさんは驚いていた

 

「いやでも今朝の情報じゃボス攻略が始まるのはどんなに早くても明日の午後からだって…」

「それが思ったよりも早くボス部屋を見つけたみたいで…何なら偵察戦も終わっているみたいでして…こうなったら最寄りの村で補給と休憩だけして午後一番でボス戦やったろうやないかい! っていう意見が出たらしく…」

「誰がその意見を出したかは言わなくていいぞ 分かるから」

 

キリトさんは今朝届いたメッセージの内容を思い出して話したので私は届いたメッセージの内容を伝えるとキリトさんは唸りながらウィンドウを開いた 恐らくフロアマップを確認しているのだろう

 

「レイドが出発した正確な時間は分かるか!?」

「今から55分前です!」

「ならもう塔は上ってるかもな… ここのフロアボスは彼らに任せるしかないか…」

「そうかもね…」

 

キリトさんがレイドが出発した時間を聞いてきたので私が答えるとキリトさんは諦めた感じにそう言ったのでアスナも返した

 

まぁ戦力強化を急ピッチで進めているALSとDKBだったら初見でもある程度は何とかなるし 万が一でもエギルさん達やひま猫さん、めらさんたちがいるから特に問題はないかな…

 

私がそう考えているとキズメルが声をかけてきた

 

「キリト アスナ テオロング タコミカ 天柱の塔の守護獣に挑むのか?」

「あーうん でも俺達じゃなくて他の仲間たちがもう塔を上り始めてるみたいで…」

 

キリトさんが答えるとキズメルの顔に翳りが見えた

 

「そうか… お前たちが信頼する者たちなら問題ないと思うが… 確かこの層の守護獣は…」

 

そこで言葉を区切ったキズメルに代わってヨフィリス閣下が答えた

 

「私達は伝承でしか知りませんが この4層の塔に潜む守護獣は何やら奇怪な力を持つと聞いております」

「奇怪な力?」

 

キリトさんが小さく首をかしげながらヨフィリス閣下が言ったことを繰り返すと少し間を置いて続けた

 

「この層の守護獣はヒッポカンプと呼ばれている前半分が馬、後ろ半分が魚の怪物です そしてどんな乾いた土地にさえ泉を湧き出させ、たちまち海に変えてしまうとか…」

 

そう告げたヨフィリス閣下は更に付け加えた

 

「守護獣と戦う者は水に浮くまじないが必要だと言い伝えられています」

「なっ‥‥!」

 

私達は思わず息を吞んでしまった

 

ヨフィリス閣下の言葉をそのままの意味として解釈するのなら今回のフロアボスはフロアボス部屋全体を水没させる技を使うということになる

 

流石に対策はできるだろうけどボス戦が長引けば長引くほどレイドが不利になるということは明らかだった

 

「は…早くこのことを知らせないと…!」

「駄目だ! 迷宮区にいるプレイヤーにはメッセージは届かない!」

 

急いでティルネル号へと向かおうとしているアスナをキリトさんが止めた

 

「じゃぁどうするの!?」

「俺たちが直接行って扉を開けるしかない …もしかしたら攻略レイドの半分ぐらいは〖浮き輪の実〗を持っているかもしれないからそれで凌いでいるうちに俺たちがボス部屋まで行って 扉を外から開ける他ない!」

 

確かにキリトさんの案が一番確実かつ早い方法な気がする

 

私達は黙って頷くとアスナも覚悟を決めた様子で頷き、キズメルの方を向いた

 

「ごめんねキズメル 私達行かなきゃ… また必ず戻ってくるから!」

 

アスナの言葉を聞いたキズメルは肩をすくめると驚きのことを言った

 

「こういう時 人族の間では『水臭い』というのだろう? もちろん私もいくさ」

「「「「えっ!?」」」」

 

私達は同時に驚愕の声を出したが今回はここで終わらなかった

 

「では私も同行しましょう」

「「「「ええぇぇぇ!?」」」」

 

何と今回はヨフィリス閣下まで来ることとなったので私達は絶叫した

 

 

~~~~~~

 

 

流石にティルネル号に私達とキズメル、ヨフィリス閣下とその護衛と思しき2人の兵士は乗り切れないので迷宮区には黒エルフのゴンドラで向かうことになった

 

兵士さんが操るゴンドラは凄いスピードで進んでいき、偶に現れる水生モンスターを船についている衝角で粉砕していった

 

そして分岐点まで戻ってくると迷わず迷宮区の方へと向かった

 

渓谷の終点から船を降りるとそこは陸路だったがそこもあっという間に駆け抜け、迷宮区の根元にたどり着いた

 

入り口にはアルゴさんと見たことのない男性がおり、キリトさんはアルゴさんにマップデータをもらっていた 流石にヨフィリス閣下のカラーカーソルを見たアルゴさんは顔を真っ青にしていたが気丈に「一緒に行くヨ!」と言ってくれた

 

タワーに入ってからも敵はほとんどおらず、偶にMOBに遭遇してもヨフィリス閣下が瞬殺してくれていた

 

その道中でその男性と会話しているとたまさんだと言うことが分かった

 

どうやらアルゴさんの仕事を手伝っていたらしい

 

再開の間も惜しんで凄い勢いでボス部屋前にたどり着くとボス部屋へと続く扉は固く閉ざされていたが扉の隙間からは水が滲み出ていた

 

「キリト君!」

 

アスナの叫び声にキリトさんは頷くと私達を後ろに下がらせアスナと共に扉の輪っかに手を掛けると全力で引っ張った

 

でもそこまで力を入れる必要は無かったのかキリトさんとアスナが引いた瞬間に凄い勢いで開いた

 

「おわっ!」

 

その時に野太い叫び声が聞こえたのでその方向を見ると大量の水と共に流れてきたエギルさんがいた

 

エギルさんは通路に腹ばいになったままキリトさんを見上げるとニヤリと笑みを浮かべた

 

「よう 来てくれたか」

「やっぱり水没していたのか!?」

 

キリトさんが手を貸してエギルさんを立ち上がらせている間にも次々とプレイヤーたちが流れてくるが幸いボス部屋前にある半円状のホールを囲むように置かれた柵に引っ掛かり水だけが柵の隙間から流れていく

 

「まぁな 攻略本とボスの見た目が違う時点でヤベェんじゃないかってオレは言ったし白髪の兄ちゃんももう少し情報を集めるべきっていう意見を出してたんだけどな…」

 

やれやれと首を横に振るエギルさんに対してキリトさんがいる方とは反対側の扉の前にいるアスナから質問が飛んできた

 

「エギルさん! 犠牲者は!?」

「安心してくれ まだ1人も出てねぇよ 往還階段の所にある浮き輪の実を樹に生っている分全部取ってた欲張りな奴がいてな… そいつが全員分の浮き輪を出してくれたんだ そのおかげで水死は免れてな おまけに朱猫がフローターサンダルに履き替えてボスのタゲを取ってくれたおかげで俺たちは扉を開けることに集中できたんだが、どうやら内側からは絶対に開かない仕組みだったらしいな」

「そうか…」

 

本来だったら浮き輪の実を全部取った人に対して怒るところだけど今はその人には感謝しなきゃいけない あと朱猫さんにも

 

エギルさんの会話を聞いているうちにどうやらボス部屋を満たしていた水は全て流れ出たみたいでホールには40人近い浮き輪をつけたプレイヤーが折り重なり、呻き声を上げている

 

私はキリトさんの後ろからチラッとボス部屋の様子を覗いてみた

 

中は1層のボス部屋みたいな長方形型の部屋だが壁も床も灰色の花崗岩製で灯りは何本かある柱の先端から発せられる不気味な青い光のみだった

 

そして濡れた床の中央にはヨフィリス閣下が教えてくれた通り前半分が馬、後ろ半分が魚のいわゆるヒッポカンプがいたが馬の前足は蹄の代わりに鉤爪の生えた水かきがついていて鬣は触手になってうねうねしていた

 

カラー・カーソルに表示された名前は【ウィスゲー・ザ・ヒッポカンプ】と表示されていた

 

湿ったようないななきを出すボスのHPバーを見てみると6段あるうちの1段がほぼ削り切られていた

 

どうしましょうかとキリトさんに言おうとした時折り重なったプレイヤーたちの天辺からキバオウさんの声が聞こえてきた

 

「なんや ジブンら 来るんやったらもっと早く来んかい!」

 

キバオウさんに続いてプレイヤーたちの山の下から苦しそうな声が聞こえてきた

 

「早く上の連中をどかしてくれ! キバオウさん! それとどいた者からポーション飲んでおけよ!」

「まだやる気なんか リンドはん」

「当たり前だ! 攻撃パターンは分かってきたんだ それに折角苦労してゲージ1本削ったんだ! この機会を無駄にできるか!」

「偉そうなこと言うやないか ワイが浮き輪の実を出さへんかったら今頃全員ドザエモンやったぞ!」

「共有財産をガメてただけじゃないか! お前こそ偉そうなこと言えた口じゃないだろ!」

 

リンドさんとキバオウさんが言い合いを始めてしまったことを皮切りとして他のレイドメンバーも言い合いを始めそうになったがヨフィリス閣下が出てきたことで全員が押し黙った

 

そしてヨフィリス閣下はぐるりと一同を見回してから言った

 

「人族の剣士たちよ 戦うのなら今すぐに立ち上がりなさい そうでないのなら静かにしていなさい どちらにせよあの守護獣は剣士キリト、剣士アスナ、剣士テオロング、剣士タコミカ 以上の者との盟約により私が屠ります」

 

ヨフィリス閣下はそう言うと左腰のレイピアを音高く抜くと真っ直ぐ掲げた

 

「リュースラの騎士ヨフィリスの名において命じます! 立てる者は立ち、我に従いなさい!」

 

剣尖から同心円状のオーラが広がり、そのオーラに触れると再び4種類のバフがHPバーに現れた

 

レイドメンバー全員が立ち上がり、武器を高く掲げるのにそこまで時間はかからなかった

 

 

結局あのボスの特殊攻撃の≪ウォーター・インフロウ≫の対処方法はいたってシンプルで外側から扉から水が染み出してきたタイミングで開ければ良かった

 

なので外側でアルゴさんとたまさんに待機してもらってそのタイミングで扉を開けることによって無力化に成功できた

 

最もヨフィリス閣下は水面も問題なく走って攻撃をしていたので必要なかったかもだけど…

 

 

そんなこんなで2022年12月27日午後2時32分に第4層フロアボス【ウィスゲー・ザ・ヒッポカンプ】は討伐された

 

最後にヨフィリス閣下はキリトさんにLAを譲るというおまけ付きで

 

 

私とておさんはいつものごとくアクティベートを任されたキリトさんとアスナについて行こうかどうか迷ったが今回はパスしてポテトさん達と共にドロップ品分配に参加した

 

因みに今回の功労者の1人の朱猫さんは結構多めに貰っていた

 

 




次回から第5層編と行きたいですが1話だけUA5000記念としてタコミカ達の装備設定を入れたいと思います

それではまた次回に~
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