ソードアート・オンライン ~PotetoEdition~ 作:水名(仮)
それではどうぞ
そこから次々と蝋燭の火を消していき、キリトさんが最後の蝋燭の火を消すと礼拝堂はほぼ完全に暗闇に包まれた
少しだけアスナを見守っていると床の中央がぼんやりとした青白い光で明るくなった
「ありがと…」
アスナは誰かが灯りを出してくれたのだと思ったのか顔を上げたがすぐに違和感に気が付いたのか辺りを見回し、床の中央に向いた
その光を見ていると〔オオオォォォ…〕という木枯らしのような音が礼拝堂全体を揺らした後 床から青白く透き通った枯れ枝のように細い手が姿を現した
無論それで止まるわけがなく、再び怨嗟に満ちた声が響いたと思えば腕から肩、そして頭が床から湧き上がってくる
ほつれた長髪にがりがりに痩せた体で女性ということは分かるが両目があるべきところには赤い鬼火がちろちろと輝き、口からは鋭そうな牙がはみ出ている
それは明らかに幽霊だった
たっぷりと時間をかけて全身を現した幽霊は鉤爪の生えた両手を振りかざすと甲高い声を迸らせた
「ヒオオオォォォ…!」
その途端に礼拝堂全体が激しく揺れ始めた 長椅子は次々と倒れ、壁や天井から石のかけらがこぼれ落ちていく
私とておさんは何の問題もなく揺れに耐えることが出来たがアスナはそれに耐えることが出来ずにそのまま倒れそうになっていたがいつの間にか移動していたキリトさんがアスナを支えた
「あれ? ホーンテッド・アパートっぽくて面白くなかったか…?」
キリトさんがそう言うがアスナは反応しなかったのでキリトさんは心配して声をかけた
「大丈夫か?」
それにもアスナは反応しなかった(正確には口がうまく動いていない様子だった)のでキリトさんはそんなアスナの様子を察したのかアスナを抱え上げると壁際まで移動させた
その間も礼拝堂の振動は激しさを増していったがやがて少しずつではあるが振動は小さくなっていきそれに伴って幽霊の声も徐々に小さくなっていった
礼拝堂は再び静寂を取り戻したが肝心の幽霊はキリトさん達の方へ近づいて行った
そしてアスナがその幽霊の姿を見たのか
「いやあああああ―――!!」
という先ほどの幽霊にも負けないような悲鳴を上げ、キリトさんに全力でしがみつくと顔をキリトさんのコートに押し付けていた
そこからさらに数十秒ほど経過したが未だにアスナはキリトさんにしがみついていたのでキリトさんはアスナに恐る恐るという感じで声をかけた
「あの…アスナさん…」
アスナはキリトさんのコートにしっかり顔を押し付けながら掠れ声でキリトさんに問いかけていた
「お…お化けどっか行った…?」
「いや…まだそこにいるけど…」
「やぁ――――――!」
またしてもアスナは絶叫するとキリトさんのコートに顔を押し付けたまま小刻みに首を横に振りながら子供のように喚いた
「早くどっかやって! 今すぐ追い払ってよ!」
「クエスト進めないと…」
「なら早く進めて!」
それを聞いたキリトさんはクエストを進めるためにアスナから離れようとするがアスナはキリトさんのコートをしっかりつかんで引き戻した
「駄目! このまま!」
「い…いや…クエスト進めるには近くに行かないと…」
その様子を見ていた私達はキリトさん達の近くまで向かった
「えーっと…私達もいるんだけどな…」
「そうだった… えーっと…タコミカはこのクエストやったことはあるのか?」
「一応は…」
私が気まずそうな顔をしながらキリトさんを見るとキリトさんは気まずい感情と助かったという感情が混ざったような顔をしながら私に対してこのクエストをやったことがあるのかと聞いてきたので私は覚えている範囲でこのクエストのことを思い出しつつ答えた
「後頼めるか…?」
「出来る限りやってみます」
私の返答を聞いたキリトさんはクエストを進められるかと聞いてきたので私は出来る範囲でやってみると言った
「あの…幽霊さん あなたは何でここにいるんですか?」
私が幽霊さんに聞いてしばらくすると木枯らしのような声で答えた
「‥‥ここから‥‥出られないから‥‥」
「どうして出ることが出来ないんですか?」
「‥‥ここに‥‥閉じ込められたから‥‥」
そこから私の憶えていたパターンが合っていたのかどうかは分からないが特に問題なく会話は続いた
その会話の中で彼女がここに閉じ込められたのは30年前のことで閉じ込めたのは当時婚約を約束していた男性であるという事 そしてその男性に対する恨みによってここから出られないということが分かった
そのことを私達に伝えると幽霊さんは一先ず姿を消した
私の様子を見ていたキリトさんは未だにキリトさんのコートに摑まったままのアスナに遠慮がちな声で話しかけた
「あの~…アスナさん…?」
「幽霊…どっかいった?」
「取り敢えずはタコミカがクエストを進めてくれたよ」
「…もう出てこない…?」
「う…うん まぁ…恐らくは」
そこから気まずそうな空気が流れたがふとキリトさんが口を開いた
「えーっと…その…悪かったな…アストラル系苦手なの気が付かなくて…」
「アストラル?」
「あぁ モンスターの種類だよ コボルドやゴブリンが亜人系 蜂や蜘蛛が昆虫系 ゴーレムやガーゴイルがエンチャント系 という感じに 今出てきたレイスやスペクターとかの実体が薄いお化けみたいなのがアストラル系でスケルトンやグールなどのゾンビみたいに実体があるのがアンデッド系」
「ふーん…」
キリトさんの解説を聞いているとアスナは落ち着いてきたのか体を起し、素早く周囲を確認してから床に片肘を着いた状態のキリトさんから一歩離れ、腰に両手を当てながらキリトさんに向かってきっぱりと宣言した
「…今のはいきなり出てきてビックリしただけだからね!」
「は…はい」
「そりゃあ お化け…じゃなかった アストラル系はあんまり得意じゃないけど… 女の子なら普通そうじゃない?」
アスナの言葉を聞いたキリトさんはちらっとこっちを見たので私は幽霊と問題なく話せた理由を説明することにした
「私は実態があるっていう事を初めから知ってたから対処できただけですよ」
「成程…」
ぶっちゃけると私はジャンプスケア系*1が苦手なだけでお化けは普通にいけるからね
私が説明するとキリトさんは納得したように頷きながら再びアスナの方を向いた
「だからこのことは速やかに忘れて今後話題にしないように!」
「は…はい…」
アスナにそう言われたキリトさんはコクコクコクと3回ほど頷き立ち上がると私の方に近づこうとしたが何かを察したのかアスナが一睨みして若干大声で言った
「それと! 下らない悪戯も禁止!」
「はぁぃ…」
そう言われたキリトさんは叱られた子供のような返事をすると方向転換をして蝋燭の山のうちの一つに向かい、火をつけ始めた
その様子を見て、アスナは少しだけ笑い始めた
「どうしたの?」
「何でもないわ タコミカ達も蝋燭の火をつけてくれる?」
「はーい」
それに対して私がどうしたのかと聞くと何でもないと答え、私達にも蝋燭の火をつけてほしいと言ったので私は返事を返すとておさんにも同じように指示を出して蝋燭の火をつけに向かった
その後幽霊さんが出たあたりを探すと金のペンダントを発見したのでそれを鑑定してもらうために一旦街へと戻ることにした
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街に戻った私達は早速拾った金のペンダントを鑑定してもらうことにした
そのペンダントはどうやら遺物ではなく<カルルイン>の街の豪商一族のものだと聞かされたので私達はその屋敷へと向かって行った
屋敷の門番と一悶着はあったが一族の領袖だという50がらみの男性と何とか面会することが出来た
そして地下墓地でペンダントを拾ったことを伝えると領袖は過去のの罪を涙ながらに告白した
曰く、30年前に付き合っていた娘が邪魔になったので遺物拾いに誘うふりをしてあの礼拝堂に閉じ込めたとの事
礼拝堂で見つけたペンダントはその時に引きちぎられたのだという…
それを聞いたアスナはその男性に攻撃しようとしていたがキリトさんがそれを制止
アスナは不満な顔をしながらもその男性と共に再び礼拝堂へと向かった
そして礼拝堂のろうそくの火を消すと再び幽霊さんが現れ、男性が頭を地面に擦りつけて謝罪すると呪縛が解けたのか幽霊さんはふっと姿を消した
男性を屋敷まで送って幾らかの報酬を受け取り部屋を後にして最後に部屋の外に出たておさんが扉を閉めた途端、その部屋から強烈なガタガタという音と男性の悲鳴が聞こえてきて再び扉が開かれた時にはその男性の姿はどこにもなかった
気を取り直して屋敷の外へと出て中央広場へと向かっている途中、アスナはキリトさんに話しかけていた
「なんだか子供の教育に悪いクエストだったわね…」
「ん? あぁ そうだな 一応ナーヴギアは13歳以下使用禁止だったしSAOにも15歳以上推奨のCEROレーティングもあった気がするから本当の子どもはいない…と思うけどな」
「レーティングで思い出したけどきるやん君って何歳なのかしら… 小学校高学年ぐらいかしら…?」
「何歳なんでしょう…?」
そう言えばやる気君って何歳なんだろ…小学校高学年~中学1年生ぐらいかな…? そう考えているとアスナは話題を切り替えるように声を出した
「さてと 次のクエストも早く終わらせちゃいましょ 一応確認だけど仔犬のやつは幽霊とかでないわよね?」
アスナはキリトさんに聞くとキリトさんは待ってましたと言わんばかりにニヤニヤしながら答えた
「もしかしたら犬の幽霊は出るかもしれないけどな」
そう答えたキリトさんに対してアスナは思いっ切りグーで殴っていた
残りの地下墓地でのクエストは幽霊とかは特に現れずクリアし、残りの街で受けられるクエストも消化して、私とておさんとアスナは17Lvにキリトさんは18Lvに上がった
そしてレストラン兼宿屋の{ブリンク&ブリンク}に夕食を食べるために向かっている途中キリトさんに対してアスナは不満をぶつけていた
「ねぇ… 私達のレベルがあなたに追いつく気配全然ないんだけど」
「え?」
「だって私達よりあなたの方が次のレベルに必要な経験値って多いはずよね? それなのにそっちの方がいつまでたっても1レベル上ってどういう事なの…?」
「あ あぁ…」
キリトさんはどう言おうかといった顔をして頬を指で掻きながらしばらく考えると答えた
「えーっと SAOには獲得経験値のパーティボーナスは存在してなくて、モンスターを複数人で倒すとそいつが持っている経験値が分割されるっていう方式なんだけどそれが均等な分割じゃなくてな 与えたダメージと与えたデバフ、ターゲットされた時間なんかで等分されるらしくて だから現状、俺たちの戦闘パターンだと俺がタゲを取ってる時間が多いから…」
「成程ね…」
キリトさんが説明するとアスナは不服ながらも頷いていた
今のスタイルだとモンスターとエンカウントしたと同時にキリトさんが攻撃を入れてそこから私達が攻撃していくという形でその間はずっとモンスターのタゲはずっとキリトさんが取りっぱなしなので必然的に獲得経験値はキリトさんが多くなるというのがキリトさんの言いたいことかな?
「むぅ~~…」
それを分かっているが素直に納得できていないアスナは不満そうに口を尖らせているとキリトさんがフォローっぽいことを言った
「でも そろそろレベルが1つ違うぐらいだったら大した差じゃなくなってきてるし 安全マージンは十分なんだからそこまで気にしなくても…」
「むむーむ…」
アスナは口を尖らせながら頷いた
そうしているとレストランに辿り着いたので私達は中へと入っていった
最近投稿頻度が上がってきたな…
それではまた次回に