ソードアート・オンライン ~PotetoEdition~ 作:水名(仮)
それではどうぞ
私達は剣を床に突き立ててそれを支えにして立とうとしているキリトさんの元へと駆け寄って、アスナはキリトさんに手を差し出した
「お疲れ様 キリト君」
キリトさんはアスナの手を握ると引っ張ってもらって立ち上がると軽く拳をぶつけあった
「お疲れ様です」
「お疲れ」
私達もアスナに続いて声をかけると軽くハイタッチをした
その直後に後方の方でひときわ大きな歓声が上がったのでそちらを見てみるとシヴァタさんがリーテンさんを高々と持ち上げて両手で支えながらグルグルと回転している
私がそんな2人の仲睦まじい様子を温かい目で見守っているとキリトさんが呟いた
「…あれじゃあ明日にはアインクラッド中で噂になっているんじゃないか?」
そう呟いたキリトさんに対してアスナは首を横に振る
「ここにそんな無責任なうわさを流す人はいないわよ アルゴさんだって2人の情報を売ったりしないだろうし」
アスナの言葉にいつの間にか近くに来ていたアルゴさんは「ま…まぁナ!」と少しだけ慌てながら答えたような気がした…
そこにネズハさんも加わって6人でひとしきり笑った後、改めて握手を交わす
「とてもリーダーっぽかったですよ キリトさん いっそのことこのままみんなをリクルートして新ギルドを立ち上げちゃったらどうですか?」
ネズハさんは無邪気な笑顔で結構大胆な提案をするとキリトさんは全力で首を振った
「いやいやいや 冗談じゃないよ 大体君だって誘われたら困るだろ? それにポテト達だってギルド立ち上げてるし…」
「そんなことないですよ むしろキリトさんのお誘いならブレイブスのみんなで加入しますよ!」
ネズハさんは顔の前で拳を握りながら答え、その反応に困った顔をしたキリトさんは近くまで来ていたポテトさんに視線を向けた
「ん~ キリトさんのお誘いなら併合もありかな? このまま新ギルド立ち上げやっちゃいますか?」
「そんなことしないって もし仮にやったらハフナーに『やっぱりそういうつもりだったのか』って怒られるよ…」
キリトさんの視線に気が付いたポテトさんはまんざらでもなさそうな顔で答えたのでキリトさんは若干早口で否定したが直後に何かを考え始めた
その様子に気が付いたのかアスナが声をかけた
「ちょっと 大丈夫? キリト君 お腹でも痛いの?」
いつもなら突っ込みを入れそうだが今回は私達を順番に見て、ポテトさんを近くに寄せると小声で話した
「えぇっと… ギルドフラッグドロップしたか?」
私はアイテム欄を見てみたが肝心のギルドフラッグは無かったので首を横に振る
アスナやアルゴさん、ておさん、ネズハさん、ポテトさんも首を横に振る
その後アスナが視線でキリトさんに訊ねるがキリトさんはかぶりを振った
「いや…俺にもドロップしてない…」
「ふーん…じゃぁあっちの誰かに…」
アスナがそこまで口にしたところで何かに気が付いて、それに続いて私とアルゴさんも気が付いたのでそれぞれ小声で呟いた
「あっ…そっか…」
「確かにシステム上いけますね…」
「オレっちとしたことが… この可能性を考えてなかったヨ…」
それを聞いたネズハさんとポテトさん、ておさんもハッとした顔になったがネズハさんは直ぐに微笑を浮かべ、いつもより小さい声で言った
「大丈夫ですよ 心を一つにして戦った仲間ですもん しっかり申告してくれますよ」
「ここにキリトさんの考えているような人はいないと思いますよ」
「…あぁ そうだな」
キリトさんはそう答えると振り向いて意を決したようにシヴァタさん達の方へと歩き始めた
キリトさんが近づいたところでシヴァタさんはようやくリーテンさんを降ろして振り向いてニヤリと笑うと「やったな! キリト!」と声をかけ右手を持ち上げたのでキリトさんも笑顔を浮かべ、勢い良くハイタッチした
その音で他のメンバーの人達も集まってきたのでキリトさんは全員の顔を見ながら話し始める
「まずはお疲れ様…それとありがとう みんなのおかげでボスを倒すことが出来た 色々予想外な展開…というかぶっつけ本番になっちゃったけど、間違いなく今までで最強のボス相手に全員最高の戦いをしてくれたと思う」
そこでキリトさんは一旦口を閉じるとハフナーさんが両手を腰に当てながら意外とも思えることを口にした
「俺がこんなこと言っちゃうと立場的に不味いんだけど…ギミック満載のあのボスを犠牲ゼロで倒せたのは24人というフルレイドの半分のパーティだったからっていうのもちょっとはあるかもな もしこれがフルレイド48人だったら全員が床のラインを避け続けるのは無理だったと思う」
そこで自分の言葉で何かに気づいたのかオコタンさんに視線を向けた
「あー オコさん もしかしてALSが主力だけでボス討伐を計画したのって攻略法を掴んでいたからなのか?」
ハフナーさんの質問にオコタンさんは持ち上げた両手を水平に動かしながら答えた
「いえいえ 本当に偶然だと思いますよ それに…これはオフレコでお願いしますけどALSの主力だけでは犠牲ゼロでのボスの討伐は難しかったと思いますうちはビルドの指示とかはしないのでしんどいわりに経験値効率が良くない純粋なタンクが古参メンバーにはいないんですよ…」
「確かに純粋なタンクがいないと今回のボス戦は犠牲ゼロでは済まないね…その純粋なタンクの俺が言うのもあれだけど」
「性格は純粋とは程遠いけどな」
「何をぉ!?」
それにじんじんさんはオコタンさんに同意するように言うとキャラメレさんが茶々を入れたのでじんじんさんはキャラメレさんに向かって大声を出した
2人が言い争ってる様が面白かったのかエギルさん達は声を出して笑っていた
話がひと段落着いたところでシヴァタさんはウィンドウを開いて軽く頷くとキリトさんを見る
「もう8時半か そろそろそのALSの主力が追いついてくる頃かもしれないな キリト ここからどうやって戻るのかは考えているのか?」
不意に訪ねられたキリトさんは慌てた様子で答えた
「あ…あぁ うん このまま迷宮区を降りて戻るとALSと鉢合わせする可能性が高いからそこの階段を上って第6層の主街区に行って そこの転移門から<カルルイン>に戻ろうと思う それに…折角ボスを倒したんだ 誰よりも早く第6層を見たいだろ?」
「それもそうだな! 俺、わくわくしてきたぞ!」
ハフナーさんのハイテンションに再び笑いが広がりかけたがキリトさんが右手を挙げて静止させる
「さっきシヴァタが言った通りあまり時間が無いから急いで第6層に上りたいところだけど…その前に1つ済ませなきゃいけないことがある」
キリトさんが真剣な表情でそう言うとレイドメンバーにも真剣さが戻る
キリトさんは手ぶりで私達を呼んだので私達もキリトさんの所へと向かう
そして私達の顔を順番に見ると言った
「―――この作戦の本来の目的…ギルドフラッグがドロップした人は、今申告してほしい」
「おお そういえばそういう目的だったな すっかり忘れてたぜ」
エギルさんは自身のスキンヘッドを一撫ですると違うと言わんばかりに両手を広げた
エギルさんのお仲間さん達も肩をすくめたり小さくかぶりを振り、ALSの2人とDKBの2人も同じように反応する
それに続いてめらさんたちも首を横に振ったり肩をすくめたりしていたが一人だけ違う反応を示した
「それらしいものだったら私にドロップした」
「本当か!?」
キリトさんの驚きの声を横目にリオンさんはウィンドウを操作して一つのアイテムをオブジェクト化した
光の粒子を散らしながら現れたのは全長が3メートルぐらいありそうな長槍だった 上部には純白の
それを見た誰かが「おぉ…」という嘆声をもらす
私も久々に見るが穂先や石突、柄の装飾やバナーの優雅な縁取り、布地の質感、そして何より存在そのものが今までのアイテムとは一線を画す
それを地面に突き立てたリオンさんはフラッグの説明を始めた
「このギルドフラッグ…正式名称は〖フラッグ・オブ・ヴァラー〗、これは事前情報の通りステータス効果は最弱だが旗をこのように突き立てている間は半径15メートル以内のこの旗に登録したギルドと同じギルドのメンバーに強力なバフを付与する 旗にギルドを登録する場合はプロパティの下部にある認証ボタンをギルドリーダーの資格を持つ者が押せば良い…が一度登録すると二度と変更不能になる」
リオンさんの〖フラッグ・オブ・ヴァラー〗の説明にほぼ全員頷く
「前置きはこれぐらいにして… 問題はこれを誰が持つかだ そもそもこの作戦の本来の目的がALSがこれを入手するのを阻止するという名目だ よってALSがこれを持ち帰るわけにはいかない DKBも然り 中立のギルドが持つというのも一つの手だが何かの拍子にギルド名を登録してしまう可能性も捨てきれない… そうなれば目も当てられないような結果が待っているだろうな…」
「となるト…一番安全なのはソロプレイヤーのストレージダナ オイラが預かってもいいんだケド 立場上これ以上に敵を作るのは好ましくないんだよナ… どうしたものカ…」
リオンさんとアルゴさんが悩んでいるとハフナーさんが意見を出した
「こいつに預ければいいんじゃないのか?」
ハフナーさんがそう言いながらキリトさんに親指を指すとキリトさんは驚いた表情をしていた
「えっ!?」
「それもそうだな ギルドに属してないしこの役目に一番適任じゃないか?」
「存在自体が激ヤバなアイテムだからナ~ 悪いけどキー坊 頼めるカ?」
「解ったよ…但し預かるだけだからな」
それに続いてエギルさんとアルゴさんもハフナーさんのアイデアに同意するとキリトさんは渋々了承した
「…正直に言うと私は反対だが他に代案も思いつかない…解った ここはキリトに預けよう …しかしこれだけは呑んでくれるか?」
「なんだ?」
「私とフレンド登録をしてほしい …別に他意はない フレンド登録すればフレンドメッセージで違う層にいてもメッセージを送れるだろう?」
「成程な… リオンの言いたいことは解ったよ 先に登録するからその後にそれを渡してくれ」
そしてキリトさんはウィンドウを操作してリオンさんとフレンド交換を済ませるとリオンさんから〖フラッグ・オブ・ヴァラー〗を受け取った
「もうそろそろ行かないとやばいんじゃないか?」
「それもそうだな」
キリトさんが旗を受け取ったところでシヴァタさんが時計を見ながら言って意識さんはそれに同意すると螺旋階段へと向かって行った
それに続くように私達も螺旋階段を上ったがキリトさんは登ってこなかったので広間にいるキリトさんに向かって声をかける
「キリトさん行かないんですか?」
「直ぐに追いかけるから先に行っててくれ!」
キリトさんにそう返されたので私達はそのまま螺旋階段を上っていった
後第5層編は1話ぐらいかな…?
それではまた次回に