ソードアート・オンライン ~PotetoEdition~   作:水名(仮)

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今回で第5層編は完結です!

ここまでご覧いただき本当にありがとうございます!

それではどうぞ


20話:作戦最後の仕事

私とアスナとておさんは今、螺旋階段を下っている

 

何故かって? まぁアスナが「ちょっとキリト君を迎えに行ってくる」っていったのでそのついでっていうところかな…?

 

肝心の本人はオコタンさんのプレイヤーネームの由来と私がなぜたみと呼ばれているのかをキリトさんに教えに行くために下りていると言ってるけどね

 

ぶっちゃけ私もキリトさんのことは心配だったし…そのまま私達と一緒に来てもALSは訳が分からないという状態の為説明してくれる人が最低1人は必要だろう それも中立の人物が

 

そして広間に戻ると予想通りキリトさんがいて、そのキリトさんも私達に気が付いたのか立ち上がりながらこちらに体を向けた

 

「…どうしたんだ? 第6層に行かなかったのか?」

 

キリトさんの質問にアスナは肩をすくめ、キリトさんに歩み寄りながら話しかけた

 

「階段を上ってる途中で面白い話を聞いたからキリト君にも教えてあげようと思って」

「へ…? どんな話…?」

 

アスナはキリトさんの隣まで行くと人差し指を立てる

 

「オコタンさんのプレイヤーネームの由来 何だと思う?」

「え? そりゃぁ確かに気になるけど…あまり怒りっぽいっていう感じの人でもなさそうだし… なんだろ…炬燵が好きだから?」

「ぶぶー」

 

アスナは両手の人差し指をクロスさせて不正解を示すとにんまりと笑って言った

 

「北海道の支笏湖に注いでる川の名前なんだって その近くの出身らしくて思い出の場所みたいよ」

「へ…へぇ… そっか確かにコタンってアイヌ語っぽいもんな…」

 

アスナの答えを聞いたキリトさんは納得したように頷いた

 

「それともう一つ! タコミカが何でポテトさん達からはたみって呼ばれているか分かる? キリト君」

「あー… そういえば考えたことなかったな…もしかして略称…?」

 

キリトさんは顎に手を当てるがさほど真剣には考えずに答えるとアスナは人差し指を頬にあて、答えた

 

「ん~… 半分正解半分外れってとこね」

「どういうことだ?」

 

キリトさんはアスナの方を見るとアスナは私の方を見ながら答える

 

「前のゲームで使ってたプレイヤーネームがたみだったんだって それでたみって方の呼び名がポテトさん達に定着したらしいの でもタコミカ自身は略称で考えてたらしくて」

「成程な… それでポテト達はその呼び方で呼んでるのか… それでその2つを教えるために戻ってきたんじゃないよな?」

「そんなわけないでしょ」

 

キリトさんが念のために私達が戻ってきた理由を訊ねるとアスナはさっき自分が言ったことを否定して口を閉じた

 

「…キリト君は1人でALSの攻略隊の人達に説明するために残ったんでしょ?」

 

アスナがそう聞くとキリトさんは首を微妙な角度に曲げながら言った

 

「いや…そうともいえるような…いえないような…」

「どうせ主街区に戻っても暇だから付き合ってあげるわよ」

「え…」

 

アスナがあっさり答えるとキリトさんは困惑したような表情でこちらを見た

 

「タコミカ達も同じか?」

「そうですね~ フラッグのことについては必ず説明が必要だと思いますし」

「それに俺らはあまり敵対されてないはずだからそれほど険悪にならずに話が進むと思うぞ?」

 

私達の答えを聞いたキリトさんは諦めたように溜息をつくと私達に向けていった

 

「ありがとな3人共… でもあまり挑発するのは無しでお願いします」

「解ってるわよ…それぐらい」

 

キリトさんが私達に感謝と要望を伝えるとアスナは小声で答えた

 

 

そこから私達は壁際によると他愛もない話をしつつ待っていると床の下り階段から数人の足音が聞こえてきたため私達は部屋の中央へと移動した

 

その直後に広間に三人のALSの人達が入ってきたと同時に三角のフォーメーションを組んで入ってきたのでキリトさんは声をかけた

 

「おつかれ」

 

するとその3人は驚いた顔で揃ってキリトさんの方を見ると先頭の人が剣を下ろしながらやや裏返った声を出す

 

「ブ…ブラッキー!? なぜここに…!? というかボスは!?」

「あー すまん 倒した」

 

しばらくその3人は黙っていたが先頭の人がため息をつきながら首を横に振り、後ろの2人のうちの1人が達観したような口調で呟いた

 

「なんとなくそんな気がしたんだよな 俺…」

 

~~~~~~

 

その3人の人達にキバオウさん達を呼びに行ってもらい、私達とキバオウさんを含む総勢24人のALSの人達は下り階段を挟んで向かい合った

 

キバオウさんは胸の前で両腕を組み瞼と口を閉じて沈黙しているが後ろのALSの人達は後ろで何かひそひそと言っている

 

そんな中、キリトさんはアスナに囁いた

 

「なぁ あの中でキバオウ以外に名前わかるやつっているか?」

「えーっと… キバオウさんの右隣にいる三又槍の人が北海いくらさん、左にいる曲刀の人がメロンマスクさん、その左のショートスピアの人が…シンケンシュペックさんだったかな…」

「3人共食べ物の名前じゃなくてよかったよ…」

「同感… ただでさえ腹減ってんのに…」

 

2人の気持ちは分からなくもない…途中でロールケーキを食べたとはいえ流石にお腹が空いた…

 

でも確かシンケンシュペックって…ハムの事だったよね?

 

「確かシンケンシュペックってハムの事じゃなかったっけ…?」

「そうね 正確に言えばオーストラリアのスモークハムのことね スパイスが効いてておいしいわよ」

「…帰ったら速攻飯にしようぜ」

 

キリトさんの提案に私達が乗るより先に

 

「―――何はともあれ!」

 

キバオウさんがカッっと両目を見開いて腕組みをしたまま叫んだ

 

「ボスを倒したんは紛れもない事実や それに関してはお疲れさんと言っとくわ ただ幾つか説明してもらわんとワイらも納得して帰れへんぞ!」

「解ってる これから出来る限り説明するつもりだ」

 

キリトさんの言葉を聞いたキバオウさんは右手を伸ばすと勢いよく人差し指を立てた

 

「まず1つ目! まさかあんたらだけでボスを倒したわけやないやろ メンバーはどこから集めたんや?」

「悪い それは言えない」

 

キリトさんがそう答えるとキバオウさんの眉毛が一瞬震えたような気がしたが気を取り直して2本目の指を立てる

 

「2つ目! ワシらがここに来る直前にボスを倒したんはどう考えても偶然じゃないやろ 情報はどこから仕入れたんや?」

「すまん それも言えない」

 

またしてもキバオウさんの眉が震えたような気がするし後ろのALSの人達は半分ぐらいは憤っている しかしもう半分は呆れや諦めの表情をしている

 

憤っている人たちの中から「真面目に答えろ!」という言葉が出てきたがキバオウさんは左手を上げて黙らせると3本目の指を立てた

 

「今までの質問ははっきり言えばできれば回答が欲しいっていう程度やったけどこれだけは絶対に答えてもらうで …フロアボスからギルドフラッグっちゅうアイテムがドロップしたはずや それはどうした?」

 

その質問にキリトさんは黙ったが少しすると頷いた

 

「あぁ ドロップしたよ」

 

キリトさんが答えるとALSの人達は大きくどよめき、それを横目にキリトさんはウィンドウを操作して〖フラッグ・オブ・ヴァラー〗を取り出すと先ほどリオンさんがやったように地面に突き立て、説明する

 

「これがギルドフラッグだ 効果は事前に知ってるとは思うけどこうやって立てている間は半径15メートルのギルドメンバーに4種類のバフがかかる ボス戦に有効なアイテムに間違いはないけど一度ギルド名を登録したらもう二度と変更はできない」

 

キリトさんが簡単に説明を終えるとALSの人達はまたしてもどよめく 中には旗の所にALSのマークがあるのを想像しているであろう人もいたが、キバオウさんはフンと鼻を鳴らすと本題に切り込んできた

 

「流石は天下のビーター様やな しっかりゲットしたっちゅう訳か それで…ギルドにそっぽ向いとるあんたがそれをどうするつもりや?」

 

キリトさんは大きく息を吸い、ギルドフラッグを持ち上げると〔カアァァン!〕と音高く地面に再び突き立てる

 

「このフラッグをキバオウさん あんたに委ねるつもりがないわけじゃない しかしそれには条件が2つある」

「なんや ゆうてみい」

「2つと言っても片方がクリアされれば渡すつもりだ まず1つ目が今後倒されるボスからこれと同じアイテムがドロップした場合 その時は一つをALSの もう一つをDKBの所有とし、持っていないほうのギルドにこれを譲渡する」

 

キリトさんが1つ目の条件を提示すると後方から「そんなのいつになるんだよ」や「それまでの時間が無駄だろ」と言ったような声が聞こえてきたがキバオウさんは無言で頷いてキリトさんに続きを促す

 

「2つ目はALSとDKBが合併して新ギルドが発足した時だ その時はこれを無条件で即座に譲渡する」

 

キリトさんが2つ目の条件を言うと重苦しい静寂が続いたが数秒後、怒りが爆発したようにALSの人達が叫ぶ

 

「出来るわけねぇだろ! そんなの!」

「あいつらにも言ってみろよ! 頭おかしいんじゃねぇかって言われるぞ!」

「あんなエリート面したやつらと合併なんて冗談じゃねぇ!」

 

20人程度の人達の怒りをキリトさんは受け止めていたが一際甲高い絶叫が喧騒を貫いた

 

「俺…オレ 知ってるぜ! そいつらはなっからフラッグを渡す気なんてねぇんだ! 無理難題をふっかけてフラッグをそのままパクって自分たちのギルドを作るつもりなんだ!」

 

私は…いや、私達はその声に聞き覚えがあった

 

第1層のボス戦後の時は私達のことを元βテスターだと暴露し、第2層のボス戦後の時は強化詐欺で死者が出たと出鱈目を言い、第3層の時にはアルゴさんに糾弾してた

 

人垣を割って出てきたのは確かダガー使いのジョーだった 第2層でリオンさんに逆に糾弾されたからか頭には目と口の部分に穴が開いた布袋を被っていたが

 

ジョーは鉤爪のように曲げた人差し指を私達に向けると続ける

 

「こいつらの言うことなんて聞く必要ねーっすよ キバさん! こいつら4人しかいねーんだ! フラッグを取り返す方法なんて幾らでもありますよ!」

 

ジョーがそう言うとキバオウさんはどすの効いた低い声で口を開いた

 

「それは力ずくっちゅう意味か ジョー」

「その通りっすよ! こっちは4パーティもいるんだ たった4人ぐらいどうとでも…「このドアホウ!」」

 

キバオウさんは一喝するとジョーの胸ぐらを掴んで頭突きをするような勢いで怒鳴る

 

「確かにジブンが持ってきたフラッグの情報は正確やった けどな なんぼ重要なアイテムやからと言ってそれを手に入れるために同じプレイヤーに武器を向けたら、ワシらはただの犯罪者集団や! 何のためにALSが存在しとるんかもっぺんよく考えェ!

 

キバオウさんはそうジョーを怒鳴るとドスンと音を立てて突き放し、キリトさんの方に向き直るとしかめっ面ながらも小さく頭を下げた

 

「つまらん話聞かせてすまんかったな さっきの条件やけど…DKBに対しても同じと考えてええんやな?」

「あぁ… もちろんだ」

「なら 一先ずフラッグはあんたに預けとくわ 正直、合併は望み薄いけどな」

 

キバオウさんの宣言に他のメンバーも大なり小なり納得したように黙り、ジョーもこちらを一睨みしてから隊列に戻っていった

 

再び腕を組んだキバオウさんは胸を反らせ

 

「ほな帰るわ! お疲れさん!」

 

律儀に挨拶をすると下り階段に足を向けたがキリトさんが慌てて止める

 

「第6層主街区の転移門、もうアクティベートされてるはずだから<カルルイン>に戻るつもりならそっちの方が早いぞ」

「ほうか」

 

キリトさんの言葉を聞いたキバオウさんはUターンすると上りの螺旋階段へと向かって行き、その後にALSの人達も螺旋階段を上っていった

 

そして足音が聞こえなくなるとキリトさんは緊張の糸が切れたように大きく息を吐いた

 

「は~… 取り敢えず考えた中では一番ましな結果になったな… 後でDKBにも話を通さなきゃだけど」

 

そこで私はアスナの雰囲気が暗いことに気が付いたのでておさんを連れてこの場を後にすることにした

 

「そうですね~ じゃぁ私達は帰りますね」

「え? もう少し休んでからでも…」

「ポテトさんにカウントダウン・パーティの準備手伝ってって言われてますし早く戻らないとじゃないですか」

「そんなこと言われてたっけ?」

「ほらほら 帰りますよ~」

「えっちょ!?」

 

私はておさんの腕を引っ張って螺旋階段へと向かっていく

 

途中で振り返ると挨拶をした

 

「では2人共 お疲れ様でした~ よいお年を!」

「あぁ お疲れ!」

「タコミカとテオ君もお疲れ様」

 

そのまま螺旋階段を上がっていき私達は広間を後にした

 

 

~~~~~~

 

 

第6層主街区の<スタキオン>へと向かった私達は直ぐに転移門を使って<カルルイン>へと戻るとポテトさん達と合流し、リーテンさん達と共にパーティの準備へと取り掛かる

 

準備を終え、リーテンさん達パーティの実行委員会からお礼として転移門からほど近いがそこまで人通りのない場所へと案内してくれた

 

そしてこちらの準備も終え、私達[フリッツ・フリット]は沢山の食事の置かれたテーブルを取り囲むと食事をしながら転移門方向を見る

 

じゅーう! きゅーう! はーち! なーな! ろーく!

 

<カルルイン>の街は千人を超えそうな人たちのコールに溢れていた

 

ごー! よーん! さーん!

 

特に打ち合わせとかはないけど声は自然とピッタリ揃っている

 

にー! いーち!

 

その時転移門の方から何本かの光の筋が上空目掛けて上がっていき…

 

ゼロ!

 

という声と共に空には大量の花火が開いた

 

それと同時に私達は持っていたグラスを景気のいい音を鳴らしながら打ち付け

 

あけましておめでとう!

 

声を揃え、中身を飲んだ

 

「いや~ 皆さん! 改めてあけましておめでとうごさいます! こうして皆さん無事で年を越せたこと! 本当に嬉しいと思います!」

 

そして一呼吸置くとポテトさんが祝辞を述べる

 

「そうですね…改めて2022年は凄く濃い年でしたね… 主に11月からですけれど」

 

私がそれに続いてそう言うとほぼ全員頷く そしてやる気君が呟くように言った

 

「確かに凄かったよね… 色々と」

 

このSAOが始まってから早いもので約2ヵ月経った まだまだ先は遠いけど確かに一歩ずつ前に進んでいるような気はする しかし私達は今ここで確実に生きている

 

私がぼんやりと転移門の方を眺めているとこれまでで最大の数の光の筋が上空へと上がっていき、衝撃音が響いて花火が夜空を埋め尽くした

 

街中から再び歓声が響き、それが落ち着くとポテトさんが〔パン!〕と手を叩く

 

「さて! 話もこれぐらいにして皆さん! 食べましょう!」

「そうだな 今日ぐらいは騒ごう!」

 

リオンさんも羽目を外したように言うと私達は食事を再開した




これにてプログレッシブ編は一旦終了となります

次回からはいよいよ時系列順…と行きたいですがその前に閑話を2話程度挟みたいと思います

それではまた次回に
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