ソードアート・オンライン ~PotetoEdition~   作:水名(仮)

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タコミカがヒースクリフと初めて話したのは第12層という設定です(SAOIF要素)

それではどうぞ


15話:捜査は足で その4

アスナがヒースクリフさんにメッセージを送ってから30分後、ヒースクリフさんは本当に<アルゲード>にやってきたのでかなり驚いた

 

流石にヒースクリフさんに会うのに私服は駄目だと思い、現状オンの日に着ている蜘蛛を模した装備に着替えた(因みにこれはインナーは私製作だがヘルメットと胸装備、それと下半身装備と手脚の装備は金属の為リズ製作)

 

ヒースクリフさんが転移門から出てきてその姿を見たプレイヤー達は激しくざわめいていた

 

服装は第12層が最前線の時に初めて会った時のように暗赤色のローブで雰囲気も相まって私はSAOにはいないはずの魔導士のように思えた

 

現状、最強のギルドである[血盟騎士団]のギルドリーダーで尚且つ自身も"神聖剣"という2つ名を持つほど強い剣士であるヒースクリフさんは私達を見るとピクリと眉を動かすと滑るようにしてこちらに近づいてくる

 

アスナはヒースクリフさんに音が立ちそうなほどの動作で敬礼をすると急ぎこむように弁解をし始めた

 

「突然のお呼び立て誠に申し訳ありません 団長! この馬…この方がどうしてもと言ってきかないものですので…」

 

気持ちは分かる 私も同じ立場なら馬鹿と言いたくもなる

 

「何、構わないよ 丁度昼食にしようと思っていたところだ かの"黒の剣士"のキリト君にご馳走してもらえる機会などそうそうあるとは思えないからな 夕方からは装備部との打ち合わせが入っているがそれまでなら付き合える」

 

あれ? 意外と乗り気…? ヒースクリフさんってこんな人だったっけ…

 

私がヒースクリフさんに対する印象を改めているとキリトさんは肩をすくめる

 

「あんたにはここのボス戦で十分にタゲを取ってもらった礼をしていなかったからな そのついでに少し興味深い話を聞かせてやるよ」

「キリト君がそう言うのなら期待しても良いだろうな それに"彩姫(あやひめ)"のタコミカ君と"紺の剣士"のテオロング君も一緒だと殊更興味がある」

 

ヒースクリフさん自身が興味を持つなんて珍しいと思いつつ私達はキリトさんの後について行った

 

ておさんの2つ名の"紺の剣士"はキリトさんと同じくコートの色から来ている(因みにておさんの好きな色は赤色)

 

 

相変わらず迷宮のような路地を右へ左へと進んだ先に薄暗いお店が現れた

 

「…帰りもちゃんと案内してよね 私広場まで戻れる気がしないよ」

「噂じゃこの街には道に迷った挙句〖転移結晶〗持っていなくて延々と彷徨ってるプレイヤーがもう何十人も居るらしいぜ?」

 

冗談でもそういうこと言うのやめて…

 

私は少しだけ怖くなってておさんのいるところまで下がる

 

ヒースクリフさんが空気を読んだのか読んでいないのか分からないような注釈を添えた

 

「道端にいるNPCに10コルを支払えば転移門広場まで案内してくれる しかしその金額すらも持っていない場合は…」

 

ヒースクリフさんは両手をひょいっと上げるとそのまま店の中へと入っていった

 

それに続いて何とも言えない表情になったアスナも入っていったので私達もあとに続く

 

 

狭い店内には全く人は居らずテーブル席に座るとキリトさんは人数分の〖アルゲードソバ〗を注文するとグラスに入った氷水を飲む

 

アスナがより一層微妙な顔をして呟く

 

「なんか残念会みたいな雰囲気になってきたんだけど…」

「気のせい気のせい それよりも忙しい団長殿の為にもさっさと本題に入ろうぜ」

 

昨日の『圏内事件』のあらましをアスナが簡略且つ的確にヒースクリフさんに伝えている間もヒースクリフさんの表情はほとんど変わることはなかったが唯一カインズさんの死の場面で眉がピクリと動いた気がした

 

「…そういう訳で団長のお知恵を拝借できればと思いまして…」

 

アスナがそう締めくくるとヒースクリフさんは氷水を飲み、「ふむ」と呟く

 

「ではまずキリト君の推理から聞こうではないか 君はこの『圏内事件』の手口をどう考えているのかな?」

 

話を振られたキリトさんは頬杖から顔を離すと右手の指を3本立てた

 

「まぁ大まかには3通りだな まず1つ目は正当なデュエルによるもの 2つ目は既知の手段の組み合わせによるシステム上の抜け道 そして3つ目が…アンチクリミナルコードを無効化するような未知のスキルやアイテムの存在」

「ふむ… 3つ目の可能性は除外してもよいだろう」

 

即座にキリトさんの挙げた3つ目の可能性を否定したヒースクリフさんを私達は思わず凝視してしまったがておさんが我に返ったように言った

 

「理由は?」

「想像したまえ もし仮に君たちがこのゲームの開発者ならそのような武器やスキルを設定するかね?」

「…成程…」

「まぁしないかな」

 

ておさんの質問にヒースクリフさんは逆に私達に問いかけてきてておさんは納得したように頷き、キリトさんは腕を組みながら答えた

 

「何故そう思う?」

「そりゃぁ…フェアじゃないからな 認めるのはちょっと業腹だがSAOのルールは基本的に公平さ(フェアネス)を貫いている」

「俺もキリトと同じだな」

 

2人の理由を聞いたヒースクリフさんはまるでその答えが来るのを知っていたかのような反応を示したがキリトさんが付け加えるようにして片頬の笑みを浮かべながら言う

 

「ただ1つ あんたのユニークスキルの"神聖剣"を除いては、だけどな」

 

それに対してヒースクリフさんはまるで意趣返しかのように無言で同じ意味のような微笑をキリトさんに返してきた

 

そんな応酬をし続ける2人を順に見やったアスナはため息交じりに首を横に振ると言葉を挟む

 

「どちらにせよ 今の段階で3つ目の可能性を考えるのは時間の無駄ね 確認の仕様がないわ…だから仮説その1のデュエル云々から検討しましょう」

「よかろう …しかし やけにこの店は料理が出てくるのが遅くはないか?」

 

眉をひそめながらカウンターの奥を見やるヒースクリフさんに対してキリトさんは肩をすくめる

 

「俺の知る限りだとこの店のマスターがアインクラッド一やる気のないNPCだと思うね そこを含めて楽しめよ 現実っぽいだろ?」

 

キリトさんはそう言いながらヒースクリフさんのコップに氷水を溢れんばかりに注ぐとそのついでに空になっていた私とておさんのコップにも溢れそうなぐらい注いでくれたのでお礼を言う

 

「…圏内でプレイヤーが死んだらそれはデュエルの結果というのがまぁ常識だよな でもまぁこれは断言してもいいけどカインズが死んだときにはウィナー表示はどこにもなかった そんなデュエルが存在するのか…?」

 

ふと私はデュエルのウィナー表示位置について疑問に思ったのでキリトさんに訊ねる

 

「そういえばキリトさん 今まで特に気にしたことはなかったんですけれどもデュエルのウィナー表示の出る位置に何かルールってあるんですか?」

「え? うーん…」

 

私の質問にキリトさんは少し戸惑った様子だったがその質問にヒースクリフさんは即座に答えた

 

「決闘者2人の丁度中間の位置 あるいは決闘者2人が10メートル以上離れている場合は両者の至近に2枚のウィンドウが表示される」

「よく知ってるなそんなルール…ということはカインズから遠くても5メートル弱の所にウィナー表示が出たはずだな」

 

キリトさんの言ったように確かによくそんなの知ってるな…と思っている間にもキリトさんは続ける

 

「周囲のオープンスペースにウィナー表示は出なかった これは確実だ あれだけ目撃者がいたんだからな 後はカインズの背後の教会に出たパターンだけどそれならあの時点で犯人は教会内にいたはずで、カインズが死ぬ前に飛び込んだアスナと鉢合わせしていなければおかしいしうまく隠れていたとしてアスナが通り過ぎた時に入口に向かったとしても入口を張ってたタコミカに捕まる」

「隅々探したつもりだしそもそも教会の中にもウィナー表示なんてなかったよ」

 

アスナが付け加えたので私も付け加えるように頷くとキリトさんが「むむむ…」と唸ると

 

「デュエルじゃなかったのか? やっぱり…」

 

そう呟くと無人の店に暗い影が落ちたような気がした

 

「…選択間違ってないかな? このお店…」

 

アスナがそんな空気を切り替えるように氷水を飲み干すとテーブルに音が鳴るほど勢いよくコップを置き、それにすかさずキリトさんが氷水を溢れんばかりに注ぐとアスナは微妙な顔でキリトさんにお礼を言った

 

そして指を2本立てる

 

「ということは残る可能性は2つ目のシステム上の抜け道だけってことね…私どうしても引っかかるのよ」

「何が?」

「貫通継続ダメージ」

 

アスナはそう言うとテーブルの上に何故か置いてある爪楊枝を1本手に取るとまるで≪リニアー≫を発動するような動きで爪楊枝使って空気を貫く(戦闘時のようにスピードは速くないけど)

 

「あの槍はただ単純に見せしめのためだけじゃない気がするの 圏内PKの実現のためにどうしても必要だった…そう思えるのよ」

「あぁ それは俺も思ってる」

 

キリトさんは軽く頷いたが直ぐにかぶりを振る

 

「でもそれはさっきヨルコさんに会う前に試したじゃないか たとえ圏外で貫通武器を刺しても圏内に移動すればダメージは止まる」

 

あの場面を思い出しながら考えていると結晶を使った場合はHPの減少は止まらないんじゃないかという妙案を思いついたので発言する

 

「だったら〖回廊結晶〗はどうですか? 予めあの教会の小部屋に出口を設定しておいて圏外からテレポートしてきたら…「残念だがその場合でもHPの減少は止まるとも」むむむ…」

 

いい案だと思ったんだけどな…

 

「徒歩だろうと〖回廊結晶〗や〖転移結晶〗によるテレポートだろうとあるいは誰かに放り投げられようとも圏内に入った時点でアンチクリミナルコードは例外なく適用される」

 

? 陸だから駄目なのかな…? だったら空中は行けるのかな…? そう思った私は再び口を開く

 

「空中から圏内に入ったらどうなんでしょうか?」

「と言うと?」

「実際にやるのは難しいとは思いますけど〖回廊結晶〗の出口を空中に設定しておいて先ほど話したように圏外から入ったらどうでしょう?」

 

我ながらいいアイデアだと思ったのも束の間、ヒースクリフさんが束ねられた長髪をふわりと横に揺らして否定する

 

「実際にできるかどうかに関わらず不可能だろう アンチクリミナルコードは街区の境目から垂直に延び、空の蓋…つまり次の層の底まで続く円柱状の空間だ その3次元座標に移動した瞬間コードによってその者は保護される つまり仮にタコミカ君の案が実際にできたとしても貫通属性ダメージは止まるだろう」

『へぇ~』

 

ヒースクリフさんの解説に私達は異口同音に感嘆する

 

もしこの場にリオンさんを呼んでいたらここまで聞けただろうか… いや ここまで詳しくは聞けなかっただろう

 

…知ったところであんまり使う機会は無さそうだけど

 

 

となるとカインズさんのHPは圏内にいたあの時点で止まっていなければならない それなのに止まらなかったということはダメージの発生源は凶器である〖ギルティソーン〗以外の()()ということになる―――何か仕掛けがあるとしたらそこしかないだろう

 

ておさんもゆっくりと口を開く

 

「生命の碑にはカインズの死亡時刻と共に死因も明記されていた …貫通属性攻撃…と そしてカインズが消滅した後はあの黒いショートスピアのみが現場に残っていた」

「そうね 他の武器が使われたとは考えにくいわ」

 

アスナの呟きに私達は頷く




キリがいいので今回はここまでです

それではまた次回に
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