ソードアート・オンライン ~PotetoEdition~ 作:水名(仮)
それではどうぞ
P.S.SAOアニメ放送10周年おめでとうございます!
そこからしばらく考えていたキリトさんが発言した
「物凄い威力のクリティカル・ヒットを喰らった時にはHPバーはどうなるんだ?」
アスナはそれに対して今更それを聞くのかというような目をキリトさんを見やりながら答える
「それはごっそり減ると思うわよ」
「その減り方はどうなんだ? SAOは一瞬でごっそり減るわけじゃなくて右端からスライドして減っていくだろ つまり被弾からHPが実際に減るまでの間にはわずかながらタイムラグがあるわけだ」
つまりキリトさんが言いたいのって圏外でダメージを与えてそのタイムラグをうまく利用して圏内でHPが減ったように見せるっていうことかな?
私以外もキリトさんの言いたいことになんとなく気が付いたようだったがヒースクリフさんだけは無表情だったので内心はどうなのかはわからなかったけど…
「例えば…だ 圏外に於いてカインズのHPを槍の一撃でゼロまで持っていく あいつは装備を見てもタンクだからHPの総量はかなりの数字だっただろう バーが左端…つまり削り切るのに…そうだな 5秒ぐらいはかかるだろうな その間に急いでカインズを回廊で教会まで送って窓からぶら下げれば…」
「ちょ…ちょっと待ってよ」
キリトさんの憶測をアスナが遮る
「攻略組じゃなかったにせよ カインズさんは中層では上の方のプレイヤーだったでしょ そんな人のHPを単発のソードスキルで削り切るなんて この場で一番攻撃力が高いタコミカだったとしても不可能だわ!」
「まぁ そうだろうな」
それに対してキリトさんは軽く頷く
「例えタコミカが両手斧を装備した状態でソードスキルを放ったとしてもたった一撃でHPを全部削り切るっていうのは不可能だろう でもSAOには何千人ものプレイヤーがいるんだ 攻略組に所属してない…つまり俺たちが全く知らない、尚且つレベルがはるかに上のプレイヤーが存在する可能性はある」
「つまりあの槍でカインズさんを殺したのがグリムロックさん本人なのか依頼されたレッドプレイヤーなのかは分からないけどその人はフル装備状態のタンクプレイヤーを一撃で殺せるほどの実力を持ってるって言いたいの…?」
キリトさんの推測は今までの中では一番現実的そうかな…? でもそんなプレイヤーが居たら…
私が嫌な想定をしているとヒースクリフさんが口を開いた
「手法としては不可能ではない 確かにキリト君の推測通り 圏外に於いて対象プレイヤーのHPを一撃で消失せしめ、予め開いておいた
もしかしてキリトさんの案が正解?
一瞬そう考えたがヒースクリフさんは「だが」と付け加えた
「…無論君達なら知っているとは思うが、貫通武器の特性というのは1にリーチ、2に装甲貫通力だ その為単純な武器の威力だと打撃武器や斬撃武器に劣る 重量級の大型のランスならまだしもショートスピアなら尚更だ」
すっかり忘れてたけど使われた武器はあの大した威力のないショートスピアだったや
ヒースクリフさんは指摘されたことによって不貞腐れたように唇を尖らせていたキリトさんにかすかな笑みを浮かべるとさらに続ける
「決して高級品ではないショートスピアでボリュームゾーンのタンクプレイヤーを一撃死させようと思ったら…そうだな これは私の見立てになるがざっとレベル100に達している必要になるだろう」
『ひゃくぅ!?』
ヒースクリフさん以外の声が揃い、思わず目を見開く
しばらくその状態が続いたが一番最初に我に返ったアスナが咄嗟に首を横にぷるぷると振る
「い…いるわけないわよそんな人! 今まで私達がどれだけ激しいレベリングをしてきたか忘れたわけじゃないでしょ!? レベル100なんて最前線の迷宮区に24時間籠り続けても絶対に無理だわ」
「私もそう思うね」
「た…確かに… ヒースクリフさんを除いた攻略組の中でトップと噂されてるめらさんですらレベル83なのに…」
「同感…」
本当にめらさんはどこでレベリングしてるんだろうと思うほどレベルが高いけどそれ以上にレベリングをしている人を私は知らない
それにヒースクリフさんとアスナに否定されては私程度ではぐうの音も出ない
しかしキリトさんは諦め悪く言い返す
「…プ…プレイヤーのステータス由来じゃなく、スキル由来ってセンも在り得るぞ 例えば、さ…じゃなかった 2人目の『ユニークスキル』使いが現れた…とか」
突拍子もないけどそれが一番ありそうなセンかなぁ?
そう思っているとヒースクリフさんが暗赤色のローブの肩を揺らしてかすかに笑う
「もしそのようなプレイヤーが存在するなら真っ先に私がKoBに勧誘しているよ」
突如としてヒースクリフさんがそう言ったためキリトさんはそこでこの推測を引っ張ることを断念して椅子の背もたれに腰かけた
「うーん… 行けると思ったんだけどなぁ… 後は…」
キリトさんが何かを言いかけたところで店主さんが料理を持ってきた
「…おまち」
やる気が無さそうな声と共にNPCの店主さんは四角いお盆から4つ白いどんぶりをテーブルに移すと直ぐに厨房へと戻っていく
今までの店員NPCみたいに清潔感があり、礼儀正しいという感じが無かったので私はその店員さんを見ているともう一つのどんぶりを持ってきてテーブルに置くと先ほど同様厨房へと戻っていった
どんぶりの中身を見てみると薄い色のスープのラーメンみたいな物が中に入っていた
キリトさんから割りばしを受け取るとそれを割って少し様子を見ているとアスナが低い声でキリトさんに訊ねる
「何これ…? ラーメン…?」
「のような何かだ」
そう言うとキリトさんはそのラーメンの様な何かを食べ始めたので私もそれに続いて食べることにした
味は…まぁうん…美味しくはないんだけど不味くもない…どこかで食べたような気がするんだけどそれとは何かが足りないような微妙な味がした
数分後、ラーメンの様な何かを食べ終わったキリトさんがヒースクリフさんを見やった
「で…団長殿は何か閃いたことはあるか?」
スープまで飲み干したヒースクリフさんはまるでそのラーメンの様な何かに恨みでもあるのかと言わんばかりにどんぶりの底を凝視していた
「…これはラーメンではない 断じて違う」
「うん 俺もそう思う」
しかしヒースクリフさんは気持ちを切り替えて答えた
「ではこの偽ラーメンの分だけ答えよう」
顔を上げて割り箸をどんぶりの上に置いてヒースクリフさんが続ける
「…現時点の材料だけで何が起こったのかを断定することはできない だがこれだけは言える …この事件に関して絶対確実と言えるのは君達がその目で見、その耳で聞いた第一情報のみだ」
「? どういうことだ?」
つまりヒースクリフさんが言いたいのは自分が見たり聞いたりしたことのみ信じろっていうことなのかな?
しかしキリトさんは意味が分かりづらいようでヒースクリフさんに訊ねると真鍮色の瞳で私達を順番に見ると言った
「つまり…
そして「ご馳走様キリト君」と最後に言い添えるとヒースクリフさんは立ち上がった
それに続いて私達も店長さんに挨拶をすると店の外へと出た
前に立っているヒースクリフさんが「何故このような店が存在するのだ…」と呟いたのは多分気のせいではないはず
ヒースクリフさんが消えていった<アルゲード>の街並みの方を見ているとキリトさんが訊ねた
「お前…さっきの意味わかったか?」
「…うん」
アスナはヒースクリフさんの言葉の訳を話し始めた
「あれだわ つまりさっき食べたのは醤油抜きの東京風醤油ラーメン だからあんなに侘しい味がしたのよ!」
「え?」
あぁ! それだ! だからどこかで食べたような感じがしたんだ!
違和感の正体がわかった私は感嘆の声を出しながら手のひらを拳で叩いた
「それだ! 違和感の正体がわかった!」
「でしょ! よし 決めたわ 私絶対この世界で醤油を作ってみせる じゃないとこの不満感は絶対に消えない気がするの!」
「…そうか… 頑張って…」
キリトさんとておさんも頷いたがておさんが突如として大声を出した
「違うそうじゃない!」
「ど…どうしたのテオ君?」
「確かに醤油も欲しいけど今はそっちじゃない ヒースクリフの言い回しの解説の方だよ」
「あぁ そっちね」
ておさんの言葉にアスナはしっかりと頷く
「あれはつまり伝聞の二次情報を信じるなってことを言いたいんだと思う 今回の件で当てはめれば動機面…つまり[黄金林檎]の『指輪事件』の方を」
「えっ!?」
アスナの解説にキリトさんは思わずうなり声をだしていた
「ヨルコさんを疑えっていうのか!? そりゃぁまぁ証拠なんてない話であるけれど…さっきアスナも今更裏付けは取れないから疑っても意味がないって言ってたじゃないか」
キリトさんがそう言うとアスナはぱちくりと瞬きをしてから視線を逸らして数回軽く頷いた
「ま…まぁ それはそうなんだけどね でも団長の言う通りPK手段を断定するにはまだ判断材料が足りないと思うの こうなったらもう一人の関係者にも話を聞きに行ってみましょ 『指輪事件』のことをいきなり出せば何かぽろっと話すかもしれないし」
「へ? 誰?」
「君達から槍をかっぱらって行った人よ」
アスナがシュミットさんに話を聞きに行こうと提案したので私達はDDAの本部にカチコミをしに向かうことになった
この小説での強さ順
ヒースクリフ>>>>メラオリン>キリト>>タコミカ>アスナ>>テオロング
これはあくまででも参考までにですのでご了承ください
それではまた次回に