解体命令なのです! ~電と提督と沖ノ鳥島鎮守府の物語~ 作:鎌虚(Kamauro)
第零話 敵艦 見ゆ!......なのです!
「今回も何事もなく終わってよかったですね!」
オレンジ色の夕日が見える遠征の帰りがけ、すぐ隣りを航行している睦月さんが私に声をかけてきました。
睦月さんは弾薬などの資材を積み込んだコンテナを引っ張りながら航行しているが、先程よりも少し速度が落ちているようでした。
「睦月さん。重かったら無理しなくてもいいのですよ?代わりに私が持ちましょうか?」
そう言って私は睦月さんのコンテナを受け取ろうとしました
けれど、睦月さんは私を制して
「大丈夫ですよ!先輩に苦労かける訳にはいかないですからね!」
そう言って今度は顔いっぱいに笑みを浮かべてコンテナから伸びる紐を腰のベルトに引っ掛けました。
「それにしても、こんな大量の資材が採れる場所をよく知っていましたね」
そう声を掛けたのは私の丁度後方を航行する能代さんです。
能代さんはボーキサイトを積んだコンテナを持って航行していますが、息を切らす事もなく、ゆったりとした趣で航行しています。
流石、軽巡洋艦.....といったところでしょうか。
「第一艦隊でお仕事をしていた時に見つけた海域だったのです。前までは敵艦隊がよく出現していましたが、最近はあまり現れていないので提督から許可を頂いたのです!」
「え!? 先輩、第一艦隊に努めていたのですか?」
私の返答にいち早く反応を示したのは、能代さんではなく睦月さんでした。
第三艦隊に昇格したての睦月さんは、第一艦隊への昇格を目標に日々戦闘訓練を重ねているようでした。
私が曖昧に肯定すると、睦月さんは編隊が崩れることもお構いなしに私に近づいてきます。
「第一艦隊ってどんな訓練をするんですか?おっきな海戦とかに参加したりするんですか?もしかして海外艦の皆さんと合同艦隊を組んだり!?」
ズイズイと近寄り質問を投げかけてくる睦月さんに私は少々戸惑っていましたが、そんな睦月さんを能代さんが制し、渋々睦月さんは自分の居場所に戻りました。
「鎮守府に戻ったらたくさんお話をするのです!」
少し残念そうにこちらを見る睦月さんにそう声をかけると、睦月さんは嬉しそうに微笑んで「よろしくお願いします!」と言ってぺこりとお辞儀をしました。
ちょうどその時だった。私は奇妙な感覚に襲われ、ふと足元を見た。
足から伝わってくるこの妙な波、湧き上がる小さな泡、白波の跡。
「前方に船舶がいるようです」
思わず私は呟いた。
と同時に、最悪の場合に備えて周囲を確認する。
長距離遠征のため、現在の戦力は駆逐艦4名、軽巡洋艦2名。
燃料は残り2日半、弾薬はそこまで消費はしていない筈だ。
「五十鈴さん!」
と私が叫ぶと、夕張さんとお喋りをしていた五十鈴さんが、少し驚いた様子でこちらを振り向きました。
「睦月さんと能代さんのコンテナを持って先に鎮守府に戻って下さい!」
不知火さんも「何かあったの?」と振り向きました。
「とにかく、今は時間がありません!進みながら指示を出します!」
そう言い放って私は全速力で鎮守府方面へと向かった。
後ろでどんなやり取りが行われたのかは分からないが、コンテナは能代さんが持つことになったようです。
鎮守府海域に入り、しばらく航行していると。
深海棲艦の編隊が航行していました。
進行方向はまっすぐ鎮守府を向いており、遠目から見ても数は少なくない。
「指示通り1班と2班は左右からから回り込んでください!夕張さんは能代さんの護衛をお願いします!」
能代さんと睦月さんが編隊から外れるのを横目に、深海棲艦の編隊へと進撃しました。
「鎮守府を守るのです!」
【艦これ一般見解】(艦これが初めてという方へ)
艦娘:深海棲艦と戦う為に作られた軍艦。鎮守府で管理統括される。現在では、深海棲艦に唯一対抗できる兵器だ。軍艦といっても、見た目は少女で身長はそれぞれ違うが、最も大きい個体でも成人の身長と変わらない。
特徴的なのは、背中に背負う機械のような物。これが艤装だ。
艦種や性能によって艤装の性能は違い、艦娘の航行能力はこれが左右する。艤装が大破すると、艦娘は海の上に浮かべられなくなってしまう。
燃料、鉄鋼、弾薬の補給を必要とするが、一般の人間が食べる料理も食べる。
深海棲艦:突如出現した謎の軍艦。容姿は人間のような個体もいれば、どの生物にも類似していない異様な容姿の物もある。
世界中の海で暴れ周り、シーレーンを崩壊させてる。
詳細は不明だが、人類の敵だということは明白だ。
鎮守府:艦娘を管理統括する機関。鎮守府の長は「提督」。日本の港にこれが設置され、ここから艦娘の派遣を行う。
この鎮守府を取りまとめるのが、本営。
本営:通称"本営"と呼ばれる機関。鎮守府の管理統括を行う。本営が計画を企画し、鎮守府に作戦を依頼することがある。
本営には憲兵がいる。
憲兵:鎮守府を検察する兵士
※これは艦これの一般見解(と思われるもの)です。これがこの小説での設定だとは限りませんが、大きく逸脱しているわけではないので、参考程度にお願いいたします。
細かい設定に関しましては、作中で少しづつ紹介していきます。