弾薬が尽きてしまった。
降伏します!許してください!
遊・ユ「はい、こっちにきましょーねー」
は、放してくれー!!
〜後書きに続く〜
遊利 LP/3000
手札 3
場 捕食植物キメラフレシア/セットモンスター
伏せ 1
十代 LP/2600
手札 1
場 E・HEROバブルマン
伏せ 1
フィールド魔法 摩天楼スカイスクレーパー
これで十代の場にはバブルマンと伏せカード1枚。そのうえ、手札は残りたったの1枚。
これがモブだったらもう勝てると思うんだけど、相手はモブじゃなくて主人公だ。何をしてくるか分からない。
しかし、ここで攻撃の手を緩めるのは論外だ。やるこはただ一つ、徹底的に叩くのみさ!
「僕のターン! ライディーンを反転召喚し、効果発動。バブルマンを裏側守備表示にする!」
再びライディーンが剣を天空に突き上げると今度は雷がバブルマンに落ちた。
先程までバブルマンが構えの態勢を取っていた場所にはカードしか残されておらず、これで十代のモンスターは、ほぼ無力化されたのと同じだった。
「そして装備魔法、《
《
フィールドに現れたのは先程、キメラフレシアの融合素材に使われて墓地に送られた、
恐竜のスピノサウルスを思わせる容姿だが、その背中にはハエトリグサ……学名「ディオネア」があり、大きな口を開けている。
とても凶暴そうで、それでいて美しいデザインをしている。
本当にこの捕食植物をデザインした方はセンスの塊だと前の世界からずっと思っている。そんくらいカッコイイ。
けどこの良さを理解してくれる人は少ないようだ。解せぬ。
「バトル。スピノ・ディオネアでセットモンスターに攻撃!」
セットモンスターは当然の如くバブルマン。スピノ・ディオネアの攻撃力がバブルマンの守備力を上回っているのでバブルマンは破壊された。
「スピノ・ディオネアの効果発動!このカードのレベル以下のモンスターとバトルした場合、デッキから
《
現れたのはウツボカズラという植物を模した植物モンスターであるモーレイ・ネペンテス。ウツボカズラの学名がネペンテスという名前であり、モーレイは日本語でウツボである。そういう意味もあってか、このモンスターの頭部はウツボのような形になっているのだった。
洒落ている名前にこの意匠。
「そして、ライディーンで十代にダイレクトアタック! 《斬雷剣》!」
「そうはさせるか!」
先程のターンに十代が伏せたカードは気にしてはいたが、ここまで差がついた場面で攻撃を仕掛けないという選択肢は無かった。
それにこの状況下で彼がどのようなプレイングをしてくるか気になったのもある。
「速攻魔法! 《クリボーを呼ぶ笛》!」
十代が伏せていたのは彼が相棒と呼ぶモンスター、《ハネクリボー》をデッキから特殊召喚するカードだった。
「うわ、ライバル登場じゃん」
『はい?』
「い、いや、違うから。クリボールのライバルって意味だから!」
あっぶね、まだパーティーの時の発言を根に持ってんのかよ……全くこれじゃオチオチいじれないじゃないか。
え? ライバルってどっちの意味かだって? 決まってるでしょ、ユーリのだよ。
マナを取り合うユーリのライバル(笑)
『……後で覚えときなよ?」
「さぁ! 早く召喚しようか! どっち出すの? クリボー? ハネクリボー?」
『ユーリ君まさかのエスパー説』と最後の不穏な言葉は置いといてデュエルに戻ろう。
「俺が呼ぶのはもちろんコイツだ! デッキから《ハネクリボー》を守備表示で特殊召喚! 来い、相棒!」
ディスクにカードを叩きつけると遊戯さんのデッキにもいる《クリボー》に似ているが瞳の色とその背中にある綺麗な白い羽が違うモンスター、《ハネクリボー》が現れた。
『クリ! ……クリ? クリクリ〜!』
ふむふむ。なるほど、今のを訳すと……
最初のクリ! はピンチの時に登場したので気合が入ったクリ。
次のクリ? はアレ? 対戦相手に見覚えがあるぞ? のクリ。
最後のクリクリ〜! は僕達の事を認識して、久々に会えた事への喜びのクリクリ〜。
あっ、ダメだ。なんかもうデュエルに対する集中力が欠けてきた。
「ほら見てよ、ユーリ。ハネクリボーは元気そうだね」
『…………』
あらやだ。ユーリさんったらハネクリボーより僕の事を見てるよ。
あ、見てるってよりも睨みつけてるか。
……さーてデュエルに集中集中。
「なんだハネクリボー。アイツらの事知ってるのか?」
『クリ〜!』
「そこら辺の事も終わったらゆっくり話すよ。さぁみんな、デュエルに集中集中」
『どの口が言ってんの? ってツッコんでもいい?」
「……ツッコミだけ?」
『出来れば拳も叩き込みたい』
ものすごい物騒な笑顔でボキボキと拳を鳴らしているユーリがそこにはいた。
とうとう怒りの臨界点を突破したらしい。
あーこれは後でマジで拳来ますわ。逃げなきゃ。
けど、今はデュエルにしゅうちゅーう。
「バトルを続行、ハネクリボーには悪いけど君にはここでご退場だ。ライディーンでハネクリボーに攻撃! 《斬雷剣》!」
『クリクリ〜!!』
ライディーンの雷迸る斬撃がハネクリボーを襲いハネクリボーは悲鳴を上げ消え去った。
しかし、ハネクリボーの犠牲は決して無駄ではない。なぜなら……。
「ハネクリボーの特殊効果発動! ハネクリボーが墓地に送られたターン、俺のダメージは全て0になる! サンキュー相棒。助かったぜ!」
『クリクリ〜♫』
十代の窮地を救えて嬉しそうなハネクリボーだった。
アニメでは仲を深めるのはまだ先なのだが、2人はもう相棒の仲まで発展したらしい。
僕とユーリがこの世界に来た事でこういう変化もあるという事が認識させられる。
「これ以上バトルをしてもしかたないから、カードを1枚伏せてターンエンド。さて、ピンチを凌いだと言ってもピンチはピンチだ。これから君はどうするのかな?」
「まだ負けてない、それだけで俺がデュエルを続けるには充分だ!」
「頑張れ! アニキ!!」
未だ諦める様子が見られないがそこは流石、主人公。
だが、残念に無念。今の君では僕には勝てないけどね。
「悪いけど僕も負ける気はサラサラ無いよ。さぁ、君のターンだ早くドローしなよ」
「あぁ! このドローがデュエルの勝敗を分ける……」
そう呟き、デッキトップに手を置く。
「俺のターン……ドロ──ー!!!」
十代は引いたカードをすぐにディスクに置いた。
「俺は魔法カード《死者蘇生》を発動! 戻ってこい、バブルマン! そしてバブルマンの効果で2ドロー!」
《
死者蘇生は自分か相手の墓地のモンスターを場に蘇生できるカード。
現代デュエルでもノーリスクで蘇生が出来るカードとして汎用カードとしては最高位ともいえる。
ここでバブルマンを選択して場に蘇らせることによって再びバブルマンの2ドローの効果が使え、かなり有効打だ。
「そして魔法カード《強欲な壺》発動!さらに2ドロー」
はいはいはい出ました出ました。バブルマン2ドローからの強欲の壺の2ドロー。ぶっ壊れすぎでしょ?何これ?あっという間に手札潤沢じゃん。
元いた世界ではどれだけ環境が変わっても、永遠に禁止カードであろう強欲な壺。こんな汎用性の鬼みたいなカードはどんなデッキでも余裕で入ってしまう。
そんなカードをチートドロー使いの十代に使われるのは本当に痛い。ちょっと調子に乗ってたけど、こういうのがあるから油断しちゃダメなんだよなー。
「装備魔法《バブル・ショット》をバブルマンに装備! 効果で攻撃力が800アップする」
《
ATK/800→1600
バブル・ショットはバブルマン専用の装備魔法。攻撃力を上げ、バトルで破壊させれる時にこのカードが代わりに破壊され、発生するダメージを0にするカードだ。
しまったな……。
心の奥底でどこか慢心があったからか、はたまたユーリとふざけすぎたかは分からないがプレイングをミスした。
バブルマンをライディーンではなくキメラフレシアで除外しておけば良かった。
そうしておけば死者蘇生で墓地からバブルマンが復活せず、バブルマン2ドロー+強欲の壺の2ドローなんていうドローラッシュを許さずに済んだのに。
しかも、装備魔法の効果で攻撃力が1600に上がったのでフィールド魔法のスカイスクレイパーの効果でさらに攻撃力が1000上乗せされてライディーンの攻撃力を超えることになる。
「だったら先に潰すだけさ! ライディーンの効果発動! バブルマンを裏守備表示に、そしてセットされた事で装備魔法は破壊される」
再びセットされたバブルマンに装備されていたバブル・ショットが剥がれた。
これで、このターンのバブルマンの攻撃はなったし、邪魔な装備カードも消せた。
悪いけど、手を抜くつもりはないよ十代。
チラリと十代を見ると、その顔は逆転のためのデュエルタクティクスが打ち砕かれた、という顔ではなくむしろ笑顔だった。
まるで、狙い通りと言わんばかりの笑顔……あれ? もしかして十代の思惑通り動いちゃった?
「遊利なら、ライディーンの効果を使ってくると思ってたぜ! 魔法カード《戦士の生還》発動! 俺はフレイム・ウィングマンを墓地から融合デッキに戻す」
戦士の生還は墓地にある戦士族モンスターを手札に加えるカード。ただし、融合モンスターなどの手札に加えられないカードは融合デッキ(今で言うEXデッキ)に戻ることになる。
一度破壊された融合モンスターを、デッキに戻す。ここから考えられる十代が次に出すカードは大体検討がついた。
「そして、俺は魔法カード《ミラクル・フュージョン》発動! 墓地のフェザーマンとバーストレディを除外し、再び現れろ! フレイム•ウィングマン!」
ミラクル・フュージョンは僕が居た世界でもE・HEROデッキの代表的なカード。フィールドだけではなく、墓地のカードも素材にできる元祖墓地融合カードとも言えるだろう。
実際、このカードも十代の危機を何度も救っているカードだ。
《
「やったー! アニキのフレイム・ウィングマンが戻ってきたっす!」
劇的なフレイム・ウィングマンの帰還に喜ぶ丸藤君だが、忘れてはないだろうか? さっきあのモンスターがどうして破壊されたのかってことを、さ。
「丸藤君が喜んでるところ水を差すようで悪いが、フェイバリットを復活させてたところで、キメラフレシアには勝てないってことはさっきのバトルで分かっているんじゃないの?」
「あ……」
分かってなかったんかーい!
ほんと君はそういう落ち着きを持ちなされよ。落ち着きがあって油断しなければポテンシャル高いんだからさ?
「へへっ、確かに今のままだとキメラフレシアは無理だけど、ライディーンだったら問題なく倒せるよな?」
「あれ? 気づいちゃった?」
そう、キメラフレシアに攻撃したところで前のターンと同じ結果になって返り討ちだが、ライディーンだとそうはいかない。
フィールド魔法の効果でフレイム•ウィングマンの攻撃力が上がりライディーンが破壊されるうえ、モンスター効果で、破壊されたモンスターの攻撃力分の効果ダメージで僕の負けだ。
「それじゃあ行くぜ、フレイム•ウィングマン! 召喚獣ライディーンに攻撃! 『スカイスクレイパー・シュート』!!」
《
ATK/2100→3100
攻撃力が上がったフレイム•ウィングマンが今度こそ僕のモンスターであるライディーンを貫いたその瞬間、ディスクを操作して伏せカードを発動させる。
「罠カード《ガード•ブロック》発動。このバトルで発生するダメージは0になり、僕はカードを1枚ドローする」
汎用トラップ……とまではいかないが、バトルダメージを0にし、1ドローできるこのカードはこっちの世界に来てからデッキに入れることが増えた。
1ターンにデュエルが決してしまうような攻撃が何回も来ることが少ないため、活用の場が増えたのだ。現に、入れていたおかげで助かりました。
1家に1台ならぬ、1デッキに1枚はガード・ブロックだね。
あー危なかったー。
「それでも、フレイム・ウィングマンの効果により、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを受けてもらうぜ、遊利」
「げっ」
くだらない事を考えていたら、フレイム・ウィングマンが目の前に現れ、右腕の(装着されているのか、元々がそうなっているのか分からない)竜を模した武器から炎が吹き出し、僕を襲う。
「ぐっっ!」
遊利 LP/3000→800
『まさか、ここまでキミがやられるなんてねー。油断しすぎなんじゃない、遊利』
「うるさいな、油断も少しはあったかもだけど、この場合は彼を称賛するべきじゃないの?」
ユーリに横から口を出されたが、僕は目の前で溢れんばかりの闘志を発している十代に目を配らせながら言った。
だって、そこまで強力なカードが少ない中、ここまでのドロー力とデッキを回すタクティクスってホント末恐ろしいんですが……。
『それもそうかもね。彼、ホントやるね』
「全くだよ」
「やるな遊利! 今のでも倒せないなんて、やっぱし強いんだな! よーし、次はそのキメラフレシアをぶっ倒してやるぜ!」
「『はい?』」
キメラフレシアを倒すだって?
けどもうバトルフェイズも終わりだろうし、十代の手札は1枚のみだ。
流石にここから逆転の手は難しいんじゃないか? それに、ユーリも言っていたがキメラフレシアはこっちの世界では相当に強いモンスターだ。倒せるカードなんて現時点の十代のカードには殆どいないんじゃないか……?
『この状況であのセリフ。彼のこれまでのデュエルを見た限りだと、油断できないんじゃない?』
ユーリも十代のことをこのデュエルを通して、油断ならない相手という認識に変わっているようだ。アニメの時のユーリなら苛立ちながらも嬉々として、デュエルで蹂躙していたであろうに、この反応を見るとユーリも成長したんだなと思う。
「フッ、じゃあ見せてもらおうか十代!」
「おう! 俺はカードを1枚伏せて、ターンエンドだ!」
「僕のターン!」
ドローしたカードを一瞥し、思わず笑みが溢れた。残念ながらこのデュエル、どう転んでも僕の勝ちのようだ。
僕の笑みを浮かべ丸藤君はヒッと声を上げ後退り、十代も身構えた。僕の笑顔は……そんなに怖いんですか? いい加減泣きそうになってきた。
『ハンカチいる?』
「黙ってろ、元凶。僕はセットしていた罠カード《闇次元の解放》を発動。除外している闇属性モンスターのスキッド・ドロセーラをフィールドに特殊召喚する」
モウセンゴケを模した、新たな捕食植物がフィールドに現れた。樹木のような外見だが、根にあたる部分をスキッド(イカ)の触手のように動かして獲物を求めているのだった。
《
☆《レベル》 2 ATK800/DEF400
「それじゃあ、僕もこのカードを使わせてもらおうかな? 魔法カード《融合》発動!」
「遊利も融合カードを!」
フィールドのモーレイ・ネペンテスとスキッド・ドロセーラが融合の渦に溶け込んでいく。
「──魅惑の香りで虫を誘う、2輪の美しき花よ! 今一つとなりて新たなる美しき花を咲かせよ! 融合召喚! 再び現れろ! レベル7! 《
2体目となるキメラフレシアがフィールドに現れ、十代とフレイム・ウィングマンを威嚇するのであった。
《
「そ、そんな。あんな強いモンスターが2体もだなんて……」
丸藤君はすっかり2体並んだキメラフレシアに怖気付いてしまったらしい。さしもの十代も表情に少しの焦りと冷や汗が浮かんでいた。
「さぁ、ここからどうやって僕を倒すのかな⁉︎ 見せてもらおうじゃないか、バトル! 1体目のキメラフレシアで相手モンスターに攻撃!」
「その瞬間を待っていた」
「なに⁉︎」
その十代の言葉に思わず驚き、十代を見る。
焦りと冷や汗を浮かべながらも十代は笑みを崩していなかった。そして「待っていた」の一言。
しまった、ミラフォとかそういった汎用トラップでの打開策か? 十代の逆転劇のイメージとは違うチープな展開だが、ミラフォで場のモンスター全滅は勘弁願いたい。
しかし、その願いは十代の次のセリフで吹き飛んだ。
「罠カード《異次元トンネル-ミラーゲート-》発動! このカードはE・HEROと名のついたモンスターを攻撃対象にした相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる! 相手の攻撃モンスターと、攻撃対象となった自分モンスターのコントロールを入れ替えてダメージ計算を行う!」
うわ、そんなカードあったっけ! 本当に初期の頃に使われて、それ以降は不発気味だったからすっかり忘れていた! 十代の狙いはこの罠カード発動だったのか。
フレイム・ウィングマンとキメラフレシアが空から降ってきた光を浴び、光が収まると先程までお互いのフィールドに立っている場所が入れ替わっていた。
裏切りおって、おのれキメラフレシア!
「これで、アニキのフィールドにはキメラフレシアがいて、キメラフレシアの効果で攻撃力が上がるぞ! 兄貴の勝ちだ!!」
あの絶望的な状況からの逆転劇に驚いた丸藤君は、先程までとは打って変わって大はしゃぎだった。
いやー、確かに油断した。残りライフ800だし、キメラフレシアの攻撃力が上がってフレイム・ウィングマンが負けてしまったら僕のライフは尽きてしまう。
まぁそれも、【攻撃力が上がれば】の話だけどね?
「それはどうかな?」
「えっ」
「確かにキメラフレシアの効果は、相手モンスターの攻撃力を下げ、自分の攻撃力が上がる効果を持っている。けど、それはあくまで攻撃宣言時の話さ。けど残念ながら十代が発動した異次元トンネル-ミラーゲート-の効果はダメージ計算まで進んでしまう」
「と、ということは……」
「そう! キメラフレシアの効果は発動せず、お互いの攻撃力は変動しないのさ! 」
「そんなー……」
ヘナヘナと崩れ落ちる丸藤君。
思い描いた希望が打ち砕かれたのだから、そうなる気持ちは分かる。
そんな彼には悪いけど、もう一つバッドニュースだ。僕にとってはグッドニュースだけどね?
「そして、フィールド魔法《摩天楼スカイスクレーパー》の効果により、ダメージ計算時まで、相手のモンスターより攻撃力が低いフレイム・ウィングマンの攻撃力は1000上昇する!」
ダメージ計算時に効果が発動するスカイスクレイパーの効果はしっかりと発動されるので、攻撃力が1000アップする。
《
ATK/2100→3100
これが何を意味するのかは一目瞭然だろう。
ヒーローが悪に勝つってことさ。
「やれ! フレイム・ウィングマン!
迸る電撃がフレイムウィングマンの手から発せられ、相手フィールドにいるキメラフレシアを襲う。
キメラフレシアは苦悶の叫びを発し、消滅してしまった。
「ぐわーっ!」
フレイム・ウィングマンとキメラフレシアのバトルの余波で今度は吹き飛んでしまう十代。
十代 LP/2600→2000
「そして十代。フレイム・ウィングマンの効果で破壊されたキメラフレシアの攻撃力、2500分のダメージを受けてもらう」
十代 LP/2000→0
『なんとか勝てたってとこだね』
「うん……そうだね」
『随分歯切れが悪いけど、どうかしたの?』
「いや、気のせいかもしれないんだけど。最後のバトルでフレイム・ウィングマンの攻撃の時にね、十代がさ」
笑っていた気がして。
そう言って僕は吹き飛ばされて大の字になっている十代に目を向ける。
そんな十代に慌てて駆け寄り、心配そうにする丸藤君の姿もあった。
「アニキ、大丈夫? どこかぶつけたりしてないっスか? 痛くない?」
時間が経つのに一向に起き上がる気配がない、十代に対してアセアセとなる丸藤君。
「ッハハハハッ!!」
唐突に倒れているまま楽しそうに笑い出した十代にビクッと反応した丸藤君は恐ろしいものを見るように十代を見ていた。
「アニキが急に笑い出した。まさか、頭の打ち所が悪くて本当におかしくなったんじゃ……!」
「そのセリフは十代に対してものすんごい失礼では?」
「本当におかしくなった」なんて、まるで元々おかしいみたいに言うね、君。
負けてもここまで楽しそうに笑えるのは、彼がデュエルを全力で楽しめた証拠ということだろうに。
「いやー、デュエルに負けちまったけどめちゃくちゃ楽しかったな遊利! 見たことないカードばっか出てきてさ! アカデミアにはこんな強いデュエリストがいっぱいいるんだろうなぁ! なぁ、翔!」
「あ、うん。そうかもね」
こんな強い人だらけだったら、たまったもんじゃないとでも考えているのか丸藤君の反応は歯切れが悪い。
「あそこまで、追い詰められたのは久々だったよ。僕も楽しいデュエルができた。またやろう」
「今度は俺が勝つぜ遊利。けど、俺のヒーローは強かっただろ? なんせ、お前の主力モンスターを倒したんだからな!」
「ん? どういうこと?」
「だってほら、お前が勝ったのは俺のフレイム•ウィングマンの攻撃でキメラフレシアをぶっ倒したからだろ?」
「……あ」
その瞬間先のデュエルの会話を思い出す。
【次はそのキメラフレシアをぶっ倒してやるぜ!】と確かに彼は言っており、十代の罠カードでキメラフレシアはフレイム・ウィングマンとバトルをして負けている。
『もしかして、さっきのはプレイングミスではなくて彼のヒーローモンスターがキメラフレシアを倒すことを目的にしていたからなのか』
ユーリも十代のこの一連のデュエルの決着が、彼の狙い通りでやってみせたことを理解して目を丸くしていた。
なんだろう、試合(デュエル)には勝ったけど、勝負に負けたみたいなこの複雑な気持ち。
「ヒーロー最高! デュエル最高っ! ガッチャ! またやろうな!」
立ち上がって彼は、お得意の人差し指と中指を揃えて伸ばし、額に指先を当てる要領で顔の前を手で隠し、 威勢良い掛け声とともに力強く指先を相手に向ける。
そして笑顔でさわやかにデュエルを締めくくったのだ。
「そう意味ではこのデュエル、イーブンってことにしようか。次は僕が完全に勝ってみせるよ、十代」
なんだ、この主人公。カッコいいじゃん。
オシリスレットでの寮生活が俄然楽しみになってきた。
「じゃあ早速、寮で遊利のデッキを見せてくれよ!」
「もちろん。良ければ君のデッキも見せてくれよ。丸藤君も、良かったらどうだい?」
「えっ! 僕もっすか⁉︎」
「いいじゃんか! 翔も遊利のカードを色々と見せてもらおうぜ」
仲良くしようよ、丸藤君。
僕ハソンナニ怖イ人ジャナイヨ??
そんな会話をしながら、寮に向かって歩みを進めようとした瞬間。
『フン!』
「ふぐっっ!」
無言の腹パンが僕を襲った。
犯人はもちろんこの浮遊霊の紫キャベツ擬きだ。
あっ、今は僕も紫キャベツだったっけ。
「なっ、何するんだよ、ユーリ……」
『さっきのデュエルで散々ボクをおちょくった事、まさか忘れてないだろうね』
あーそうでした、おちょくりましたわ散々。
十代とのデュエルに夢中で、加減を少し間違えた。それでこのザマですよ。
確かに拳を叩き込むと宣言されていたや。
しかし、まさか無言の腹パンとは……。それはユートがやってたことじゃない。遊矢と1つになった時にそんなことまで共有されているのか⁉︎
「どうしたんすかね、あの人?」
「さぁ? 腹でも壊したのか?」
腹部にダメージを負っていると言う意味では正解だよ、十代。
部分的に拳を実体化させたことと、腹パンで実体化された腕が隠れていたことが幸いとして十代と丸藤君には何が起きたか分からないようだった。
くそ! 器用なことしやがって!
『ついでに彼にボクのことを説明するんだろう?』
「そ、そうでしたね。十代だけと話す時間を作るよう配慮するよ。だからもう拳を下ろしてくれない?」
ユーリは小声で十代に自分のことを説明する場を設けるように話している最中も拳をグリグリと腹にめり込ませてる。痛い、痛い。勘弁してください。
仕方ないと息を吐き、拳を下ろして実体化を解除させる。
「ケホッケホッ! ごめん、2人共。寮に向かおうか」
痛む腹をさすりながら、足が地面についている3人と浮いている1人はオシリスレット寮に向かうのだった。
おなかいたいよー。
遊「おいこの無計画バカが。ストックしてた書き溜め使い果たして何考えてるの?」
ユ「自分が苦しむの目に見えてたよね?計画性って言葉知ってる?」
作「デュエルを2話に分けてしまったので、読者の方も早く結末が見たいかな・・・と」
遊「じゃあもう少し書き溜めしてから投稿しろ!なんだ6話でストック尽きましたって!」
ユ「投稿ペース遅れたらタダじゃおかないからね」
作「はい・・・在宅勤務中に頑張って書きます」
遊・ユ「社会人だったんかい!」