インフィニット・ストラトス ~Bird of prey~ 作:Hans Ulrich Lutz
スイスにある一軒家。
一階で1人の男が電話越しに話している
「もしもし…はい…私です、シュヴァイツァーの父親です。彼の事についてなんですが…はい…分かりました。彼には伝えておきます。ええ、ありがとうございます。」
受話器を電話におく。
「それで…何て?」
「干渉しない様に頼んでおくとは言っていたが…正直言って干渉しないとは思えない」
「そうよねぇ…私もIS学園に行ってた時はすごかったもの…」
「まぁ、この話は彼にもしておこう」
「そうね…アル!準備は出来た?「あと少しで終わります」早くして頂戴ね」
「今終わりました」
二階から1人の少年が降りてくる。
「準備は終わりましたが…何か話でも?」
「ああ、コレをだな…」
そう言って少年の父が取り出したのは2つの異なる剣が付いた同じデザインの2組の鞘だった。
「これは?」
「何、少し早い誕生日プレゼントだ」
そう言って少年の父は笑う。
「…ありがとうございます」
「何、気にするな。誕生日になってもお前はこっちに帰ってこれないだろうしな」
「おっと!忘れるところだった。その剣の収納用の袋だ」
「確かに。忘れたらマズイものですね」
ピンポーン。
家の外にある呼び鈴がなる。
「それでは、行ってきます」
「気を付けろよ」
「何かあったら直ぐに連絡して頂戴ね」
「あれ?もう行くの?」
少年の父と母とは別の1人の女性が声を掛ける。
「予定の問題で少し早く行くことに」
「そうなの?とにかく、
「忠告ありがとう、姉さん。それではまた今度」
「ええ、頑張って!」
そう言って荷物を背負い、剣の入った袋を手に持ちながら、ドアを開け、外に出ていく。
――――
IS学園の教員室に届けられた書類を無言で読む女性が1人。
私ははとても驚いて何度も書類を読み返していました。
「男性のIS操縦者って…こんなの聞いてませんよぉ…」
女性しか操縦できないはずのIS。
過去形になっているのは彼が正真正銘の男だからです。最初はただの読み間違いだど思いました。
「えっと…名前は…アルフレッド・アル・シュヴァイツァー…」
彼の家庭や生まれ等の個人情報は殆ど記載されておらず、書かれているのは年齢と出身だけしか載っていませんでした。
「しかも…」
書類を読み進めていけば、彼はスイスの国家代表を勤める予定になっていることと、専用機を持っていることまで書かれていました。
専用機に関しては彼専用に開発した新型規格の機体を使用していると書かれています。性能も他の国の第3世代型のISと比べて非常に強力だという事が分かります。
「山田先生、少しは休んだらどうだ?」
「あ…織斑先生…」
コーヒーの入ったコップを2つ持って話しかけてきたのは、IS操縦者としての先輩であり、教師としての同僚である織斑千冬さんでした。
「コーヒー持って来てくれたんですね…ありがとうございます」
「山田先生、もう今日は休んでくれ、後は私がどうにかしよう」
「ありがとうございます…おやすみなさい…」
「ああ、お休み」
そう言って教員室から出て、自分の部屋まで歩いていきました。
――――
「…」
書類に添付されていた顔写真を見つめる織斑千冬。
(一夏…お前なのか?)
彼は彼女にとっての唯一の家族であった織斑一夏と似通った顔をしていた。
(どうして名前を変えて生きている?お前は私の大切な家族だろう?)
(いや…直接確かめればいい…本当に私の弟なのか)
――――その判断が、数年前のあの事件の続きになるとは知らずに。