インフィニット・ストラトス ~Bird of prey~ 作:Hans Ulrich Lutz
第1話
朝方の電車の中。普段はかなり人が乗っているはずの電車はかなりすいている。
「…」
音楽を聴きながら1冊の小説を読んでいる少年が1人。
電車が駅で止まるが、誰も乗り込んでこない。
「…」
電車が再び動き出すが、彼はずっと小説を読んでいる。
「…はぁ」
大きな息を付いた後、小説に栞を挟み、大きなボストンバッグとリュックを背負い、電車から降りる。
「次の電車は1時間半後か…レゾナンスで暇でも潰すか」
そう言って少年は駅の改札を抜けて大きなショッピングセンターへと歩き出した。
――――――――
「こんにちは。ご注文は?」
「ブラックコーヒーと…フレンチトーストを1つ」
「かしこまりました」
そう言って店員が室内へ歩いて行く。
今彼はとあるカフェの外にいる。
「お待たせしました。ブラックコーヒーとフレンチトーストです」
「ありがとうございます」
店員にお礼をしてからスマホを取り出してニュースを開き、それを読みながらコーヒーを啜り、フレンチトーストをかじる。
「"世界で初めての男性操縦者がスイスで見つかる"ね…」
「随分と賑わってるな」
そう言いながらコーヒーを飲み干す。
彼自身がその世界初の男性操縦者、アルフレッド・アル・シュヴァイツァーである。
「ふぅ…ご馳走様」
席を立ち上がり、店内にあるレジに向かう。
「すいません。お会計を済ませたいですけど」
「あっ!少々お待ちください!」
そう言って先程の店員が駆け足でレジに来る。
「えっと…コーヒーとフレンチトーストのセットで…350円になります」
「…どうも」
そう言ってお金を払い、店から出ていく。
「…まだ1時間も経ってないのか…どうするかな」
そう考えていると1人の女性に声を掛けられる。
「やぁ!こんな所でそんなに荷物を持って何してるんだい?」
サングラスを頭の上にかけ、灰色のショートカットにルビーにように赤い瞳を持った女性がそこにいた。
「…別に。特に何も」
彼が声の主を確認した後、そう冷たく言い放ち、スマホでニュースを見る。
「そんな冷たい態度をとらなくてもいいじゃないか!」
そう言って彼女は一気に彼に近づく。
「…っ!」
彼女が近づいた途端に、彼はスマホを手放し、腰からナイフを女性に向かって振り下ろす。
「おっと!…分かった、突然近づいた事は謝るから…えっと…それを降ろしてくれないかな…アハハ…」
しばらく彼女を睨み付けた後…
「…チッ!わかりましたよ。でも次こんな事をしたら殺しますからね」
そう言ってナイフを腰のケースに戻す。
「「…」」
お互いに距離を開け、黙り込む。
「えっと…私の名前はナターシャ・キオラ。IS学園で教師をしてるんだ…君は?」
「シュヴァイツァー…アルフレッド・アル・シュヴァイツァー。スイス出身です」
「アルフレッド・アル・シュヴァイツァー…ああ!君か!君の姉にいつも私のバーに来て私に君のことを話してくれてるから、なんとなくなら知ってるよ」
「で?ああやって抱き着けば、私かどうか分かると?」
「まぁね…取り敢えず、車に乗ってかないか?いつまでもここにいると面倒だし…」
「では…お言葉に甘えて」
そう言って二人は立ち上がり、歩き始めた。
「目標が動き始めました。追跡します」
『了解。ばれないようにね』
「分かっています」
後をつけられているとも知らずに。
――――――――
「なんです…これ?」
「見ればわかるだろう?ゼネラル・モーターズのアストラだよ」
「私は高級車のことなんて知りませんよ…」
「本当は知ってるじゃないか。取り敢えず…荷物は後部座席に置いといてくれ」
「分かりました」
そう言って後部ドアを開けてカバンを置いた後、リュックの横についている長い布製のケースを持って、右側の助手席に座る。
「?それは?」
「これですか?これだけは肌身離さず持ってたいんです」
「そうかい。ま、別にいいけどね」
そう言ってエンジンを掛けて、駐車場から出ていく。
――――――――
IS学園に続く長い高速道路。そこには誰も走っておらず、走っているのはアルフレッドとナターシャが乗るアストラだけである。
「…後ろに何かいます」
アルフレッドが不意にそう言った。
「え?」
そう言われたナターシャはサイドミラーを見る。
「確かに…見たことないね、あんなのは」
サイドミラーには真っ黒のセダンが映っていた。
「…あのセダン…私たちの後をつけてます」
「奇遇だね…私もそう思ってたんだ」
そう言った直後、車が海底トンネルに入る。
「…っ!?」
突然アルフレッドがハンドルを掴み、左にきる。
「うわっ!?」
突然左に動かされ、驚くナターシャ。
その後、パンと乾いた音がトンネルの中に響く。
「チッ!今のは!?」
「どう考えても銃声でしょうが!」
そう言って布製の長いケースから部品を取り出し、組み立てる。
「それは?」
「ブレイザーのR-93です。貴方元傭兵でしょう?」
そう言って窓を開け、ライフルを構えて黒いセダンに何発か発砲する。
「
そう怒鳴りながら袋から338ラプアマグナムを取り出す。
「タイヤを狙うのはどう?」
R-93に弾を込めながら答える
「次はそうしますよ!」
窓からもう1度身を乗り出し、R-93を構える。
「ふぅ…」
パァン!
大きな銃声と共にセダンがバランスを崩して横転する。
「何とかなりました」
「最初で最後になるといいね」
「何がです?」
「銃を人に向けて発砲することさ」
「だといいですね」
初日から面倒ごとに巻き込まれたシュヴァイツァー。この先、彼には何が待ち受けているのだろうか?