では、第14話どうぞ
ゴブリン討伐依頼を完遂させた翌日、リオとセトの姿は街道上にあった。ただし、昨日までとは違って上空を飛んでおらず、普通に街道上を歩いて移動している。
実はリオとしては今回も空を飛んで移動しようと思っていたのだが、街から出るときにランガから出来れば街の近くで飛んだり、街道に着地するのは止めて欲しいと頼まれたのだ。昨日、街道上でセトの姿を見た者が何人かおり、その目撃者でもある商人や旅人たちに散々訴えられたらしい。リオとしても、色々と気を使ってくれているランガに迷惑を掛けたいとは思わないので徒歩で移動しているのだった。
「さて、今回の依頼はソルジャーアントの討伐な訳だが……」
ギルドで貼り出されていた依頼の内容を思い出す。
ここ数日街の近く、とはいえ徒歩で数時間圏内で頻繁に見られるようになったソルジャーアントの討伐依頼であり、討伐証明部位は背に生えている短剣状の突起となっている。買い取り価格は突起一つにつき銅貨5枚とゴブリンの2倍ほどだ。
リオがレノラから聞いた話によると、恐らく巣別れによってギルム近くにクイーンアント、いわゆる女王蟻が来ているのではないかとのことだ。ただしソルジャーアントはランクFだが、クイーンアントはランクCなので、発見しても手出しをしないようにと念押しされている。
(とはいえ、ウォーターベアと同じランクCだ。そうなるとその魔石でならスキルを習得出来る可能性は高い。なら狙わない手はないな)
(いいの? 手出ししないようにって、言われたのに)
(そうだな、心配してくれたレノラには悪いけど、な。……まぁ、戻ったら怒られるだろうけど。それに、今はまだ余裕が有るからいいけど、宿代や食費は稼がないといけないし)
(リオがそれでいいなら私も構わないわ)
内心でティアと会話しながら、ソルジャーアントの姿を捜して街道をセトと共に進んでいく。
「グルルルゥ」
そして街道を歩き始めてから1時間ほど。代わり映えしない景色で注意力散漫になっていたリオだったが、隣を進むセトの唸り声を聞いて意識を戦闘状態へと切り替える。
双龍銃剣を構え、周囲の様子を確認していると街道脇の茂みからぬうっとばかりに黒い何かが姿を見せた。
その黒い何かの正体は巨大な蟻、すなわち討伐対象のソルジャーアントであり、向こうもリオたちを見つけたのだろう。巨大なハサミ状になっている顎をガチガチと鳴らして威嚇する。
「ギギギギギ!」
鳴き声はともかく、外見に関しては大きさ以外は殆ど普通の蟻と変わらない。唯一違う所があるとすれば、それは討伐証明部位でもある背中から生えている短剣状の突起だろう。
「ギギ!」
短く鳴き声を上げながら走り出すソルジャーアント。その鋭い顎で噛み千切らんと真っ直ぐにリオへと向かって来るのだが、その速度は決して速いと言えるものでは無い。少なくともリオにとっては、昨日戦ったゴブリンの希少種の方がよほど強敵に感じられた。
「ふっ!」
双龍銃剣に魔力を流し、リオへと噛みつこうと顎の開いたソルジャーアントを神焔で真っ二つに斬り裂く。
本来ソルジャーアントは手足の一本を失ったとしても普通に行動を出来るのだが、さすがに身体を二つに切断されてしまってはそういう訳にはいかなかったらしく、ピクピクと足を痙攣させながらもやがてその動きを止める。
1匹倒したのも束の間、目の前で倒れているソルジャーアントが出て来た茂みから1匹、2匹、3匹、4匹と後続が姿を現す。
その様子に思わず舌打ちをするリオ。
「セト、ファイアブレスだ!」
「グルルゥッ!」
リオの声に高い鳴き声を上げながら口を開くセト。すると次の瞬間、その口から炎が吐き出された。昨日のゴブリン希少種の魔石により新たに覚えたスキルだが、Lv.1と低レベルなために炎の吐息は細く、射程も2~3メートルといった所だ。
それでもその炎はソルジャーアントにそれなりのダメージを与えることには成功したらしく、殺すまではいかないまでも動きは確実に鈍っていた。
そしていくら数が多いとしても、ただでさえ動きの遅いソルジャーアントの動きがさらに鈍くなってしまってはそれはすでにリオにとって敵ではなく、戦うべきモンスターでもなく、単なる獲物へと成り下がる。
「はあぁぁっ!」
双龍銃剣に魔力を流し、神焔で首を飛ばし、胴体を真っ二つにする。あるいは腹部を蹴り上げて空中に浮かせ、煌焔を一閃、幹竹割にする。
セトも水球を使い頭部の一部を破裂させ、あるいはファイアブレスを1匹に集中して吐き続けて消し炭にする。その強力無比なクチバシで胴体を貫き、鉤爪で首を吹き飛ばす。
戦闘が始まってから数分。ほんの数分で30匹を越えるソルジャーアントは全て殺し尽くされ、その体液や身体の一部を地面へと散らかすことになるのだった。
「グルルルルゥッ!」
勝利の雄叫びを上げるセトの横で、追加の敵が来ないかどうかを警戒するリオ。だが、それから数分が経っても茂みは静かなままであり、ようやく戦闘が終わったと安堵の息を吐く。
そのままセトに周囲の警戒を頼み、討伐証明部位である背中の突起と魔石を回収していく。
もっとも、ファイアブレスで燃やし尽くされたソルジャーアントに関しては完全に消し炭となっており、突起も魔石も回収は不可能だった。
(威力の高過ぎる攻撃をした場合は、魔石や討伐証明部位を回収出来なくなるのは当然か)
そう思いつつ、ミスティリングから『魔物の解体 初心者編』を取り出してソルジャーアントのページを開く。
本にはソルジャーアントで剥ぎ取れる素材は薬に使える触覚と、防具に使える腹部の甲殻と書かれている。
触覚は解体用のナイフで簡単に切断して剥ぎ取れたのだが、問題は腹部の甲殻だった。
ナイフを甲殻の隙間へと刺し入れて切り取っていくのだが、解体に慣れていないリオにしてみるとかなり難しい作業で、甲殻自体に傷は無いが本に書いてあるように上手い具合に剥ぎ取れず、ソルジャーアントの腹部の肉がくっついているのだ。
それでもしばらく時間を掛けて全ての甲殻を外すことに成功し、それらを纏めてミスティリングに収納する。
「これで最低限の討伐依頼は果たしたな。後はクイーンアントを捜すだけだが……」
溜息を吐きながら周囲を見回すリオ。そこにはソルジャーアントの死骸が30匹分ほど散らばっている。先行部隊と思われる一団でこの数なのだ。ここからクイーンアントを目指すとなると、どれだけのソルジャーアントと戦わないといけないかと思わず溜息を吐く。
ソルジャーアント自体はそれほど強い相手ではない。いや、はっきり弱いと言っても問題無いだろう。
だが、問題は疲労感だ。今回の30匹は倒した後も殆ど疲労を感じていない。だが、今全滅させたのと同規模のソルジャーアントの群れとの戦闘を数回、十数回、あるいは数十回繰り返せばどうなるか。
確かにリオにしろセトにしろ、その肉体は一般人や一般的なモンスターよりも強靭に出来ている。だが、それでも無限の体力がある訳ではない。疲れれば動きが鈍るのは当然だし、動きが鈍れば当然攻撃を食らうことになるだろう。
かと言って、ランクCモンスターであるクイーンアントの魔石を見逃すというのは惜しすぎる。
「さて、どうするべきか」
何となく足でソルジャーアントの腹部の部分を蹴りながら考え……ふと、その甲殻にあるはずの物が無いのに気付いた。
(確か、巣別れする時の蟻は、羽蟻で飛んで移動するんじゃなかったか? だとすれば……)
内心でそう呟き、考えに集中する。蟻の巣別れで巣から旅立つ蟻というのは、普通は羽の生えている蟻、俗に言う羽蟻なのだ。だが、今リオの目の前に倒れているソルジャーアントの甲殻には羽の類は一切付いていない。……もちろん、羽の生えている個体もいる可能性はあるが、少なくともリオの周囲にある死骸には羽の生えている個体はいない。
(つまり、モンスターだからなのかは解らないかが巣別れで移動しているソルジャーアントが陸路ならそれを指揮しているクイーンアントも空を飛んで移動するのではなく、同じように陸路で移動している可能性がある、か)
クイーンアント率いる蟻たちの全てが空を飛ぶ為の羽を持っていない……というのは楽観的すぎる考えだろう。だが少なくとも、リオとセトが倒したこのソルジャーアントたちは羽を持っていなかったのだ。つまり真正直に地上を進んでクイーンアントに向かうよりは、セトに乗って上空からクイーンアントに奇襲を仕掛けた方が勝率が高い、とリオには思えた。
クイーンアントに統率されている群れは、その中心であるクイーンアントを倒してしまえば群れを維持出来なくなってそれぞれが周辺へと散らばっていくとレノラから情報を得ていた。しばらくはギルム周辺でソルジャーアントが出没する回数が多くなるだろうが、クイーンアントのように群れのボスに統率されている状態よりはマシだろう。
「……セト」
周辺の警戒をしつつも、ソルジャーアントの死体を啄んでいたセトがリオの呼びかけに顔を向ける。
「上空からクイーンアントを捜索しよう。そして奇襲を仕掛けて一気にクイーンアントを仕留める」
その提案を短く鳴いて了承し、身を屈めセト。リオは双龍銃剣を持ったままその背に跨がる。
「グルルゥッ!」
セトは高く鳴き声を上げ、数歩の助走の後にその翼を羽ばたかせる。まるで空中を蹴るかのようにグングン上空へと昇っていく速度を楽しみつつ、地上へと視線を向ける。するとつい先程まで自分たちがいた場所へと別のソルジャーアントの群れが向かっているのを発見し、再度の戦闘を回避出来たことに笑みを浮かべるのだった。
「俺とセトが倒した所まで辿り着くにはもうしばらく時間が掛かるだろうけど、あのままあそこにいたら否応なく消耗戦に巻き込まれていたな。早めに決断して正解か」
(そのようね)
内心で同意するティアと同感だ、とばかりに短く鳴くセト。その首筋を撫でながら、街道沿いに広がっている草原や林を上空から眺めていく。
そうして空を飛び始めてから20分ほど。ときどき後続のソルジャーアントやゴブリンらしき姿は見つけるものの、目当てのクイーンアントの姿はどこにもなかった。
「やっぱりそう簡単には見つからない、か」
「グル……グルゥッ!」
リオを慰めるかのような鳴き声を上げかけるセトだが、その途中で鋭い鳴き声へと変化する。それは警戒の鳴き声。
その声を上げた理由はすぐに分かった。林の中から敵が現れたのだ。比較対象が無いが、恐らくはソルジャーアントよりも一回りほど大きい。またその背には羽が生えており、空を飛んで一直線にセトへと向かって来ていた。その数は5匹。
「空を飛べて、なおかつソルジャーアントよりも大きいか。近衛蟻、インペリアルアントとでも呼ぶべきか? まあ、詳しいことは倒してから天眼で確認したらいいか。どのみち敵は敵だ。行くぞ、セト!」
「グルルルゥッ!」
雄叫びのような鳴き声を上げながら翼を羽ばたかせ、自分たちへと一直線に向かって来るインペリアルアントにセトも躊躇うことなく突き進む。
そしてお互いの距離が縮まり……
「グルルルゥッ!」
セトの鳴き声と共にその顔近くに水球が1つ現れ、インペリアルアント目掛けて放たれる。
「ギギギギ!」
先頭を飛んでいたインペリアルアントは身体を斜めにしてその攻撃を回避するが、その後ろを飛んでいたインペリアルアントはそうもいかなかった。回避仕切れずに羽へと命中し、同時に破裂する水球。羽の殆どを水球と共に破裂させ、地上へと落下していく。
残り4匹になったインペリアルアントを見据え、セトに負けじとリオも魔力を練り上げ、イメージを構築し精霊術を発動する。
「はぁっ!」
リオの持っていた神焔の刃先に1mほどの炎の塊が生成されていた。自分たちに向かって来るインペリアルアントへと向かい、神焔を思い切り振るうリオ。同時に、炎は真っ直ぐに敵へと向かって飛んでいく。
だが、その速度はセトが最初に放った水球の半分程度しかなかった。当然インペリアルアントたちはその炎を避けるようにして分散し……
「爆ぜろ」
リオの声と同時に炎が爆発。周囲へと拳大の炎を大量に、なおかつ高速で撒き散らす。
爆発した炎の塊だったが、その後の炎の威力はそれほど高くはない。
それでもインペリアルアントの羽を燃やすには十分な威力があり、2匹が羽を燃やし尽くされて地面へと墜落していく。
そして残るインペリアルアントは2匹。だが、
「グルゥッ!」
セトの振るった鉤爪で胴体を砕かれ。
「はぁっ!」
リオの振るった煌焔の刃で真っ二つに分断される。
「よし、次はクイーンアントの位置を……」
リオが呟いたその瞬間、周囲へと耳障りなほどに巨大な鳴き声が響き渡った。
「ギギギギギギギギギィッ!」
声の主はセトの前方3mほどの位置にある木の近く。そこにはソルジャーアントやインペリアルアントとは比べ物にならない程に巨大な、5mを越えるほどの体長を持つ蟻の姿があった。すなわち。
「クイーンアント」
「グルゥッ!」
リオの呟きに鋭く鳴いて同意するセト。その勇ましさに笑みを浮かべ、首を撫でる。
「良し。じゃあ……行くぞ!」
「グルルルルルゥッ!」
リオの声に応えて高く鳴き、セトは地上にいるクイーンアントへと向かって急降下していく。
「はあぁぁっ!」
セトの急降下に合わせ、双龍銃剣に魔力を流しながらクイーンアント目掛けて大きく振るう。
それを迎え撃とうとクイーンアントは口を開き……
「っ!? やばい、セト!」
感じた危機感そのままにセトへと声を掛け、それを汲み取ったセトは翼を大きく羽ばたかせて強制的に真横へと移動する。
そして次の瞬間、一瞬前までセトのいた場所をクイーンアントの口から放たれた液体が通過していく。
回避したその液体が地面へと落ち、煙を上げながら周囲の土を溶かしているのを見たリオは、あの液体の正体が酸……いわゆる蟻酸の類であると判断する。
「ギギギギギ!」
自分の攻撃が外れたのが不満なのだろう。叫び声を上げながらその巨大な前足を振るってくる。
その一撃をセトが掻い潜り、上空を通過する前足へとリオが神焔を振るい、その刃は何の抵抗もなくその巨大な前足を斬り裂き、前足は振り下ろされたその勢いのままにあらぬ方向へと飛んでいく。
「ギィッ!?」
ソルジャーアントと違い痛覚も発達しているのか、短く悲鳴を上げるクイーンアント。その隙を突いて、リオはセトの背から飛び降りる。
ズサァッという音と土煙を上げながら地面へと着地したリオは、すぐにその場を跳躍。同時に振り下ろされたクイーンアントのもう1本の前足が、リオが一瞬前まで存在していた場所を叩き潰す。
そのまま連続して跳躍し、クイーンアントと距離を取る。そこまでして、ようやくリオはクイーンアントを観察する余裕が出来た。
上空から見たときに感じたように5mを越える体長。腹部は肥大化しており、その先にはまるで尻尾のように鋭いトゲが生えている。
(……ここまででかいとはな。ソルジャーアントの3倍ぐらいは予想してたけど、ここまででかいのはさすがにちょっと予想外だ)
「けど、まあ……」
双龍銃剣を構えてクイーンアントへと鋭い視線を向ける。
「やるしかないよな!」
そう叫び、クイーンアントへと向かって走り出すリオ。そして上空にはリオを援護しようと水球を撃ち続けるセトの姿がある。
放たれた水球を煩わしそうに後ろ足を一振りして破壊するクイーンアント。だが、セトの狙いは水球でダメージを与えることではない。リオがその並外れた身体能力を使って双龍銃剣の間合いまで入り込む隙を作ることなのだ。そして、その目的は果たされる。
魔の森でウォーターベアの命を奪った時と同じように神焔の刀身に精霊術を纏わせる。だが、あの時と違うのは雷ではなく、猛々しく燃え盛る炎を纏っている刃を振り下ろす。
「クリムゾン・エッジ!!」
斬っ!とリオの叫びと共に振り下ろされた刃は、クイーンアントの右側真ん中の足を斬り飛ばし、刃に纏っていた炎が足を伝い燃え広がる。
「ギギギギギギギ!」
身体を焼かれる痛みに悲鳴を上げるが、それだけで終わらないのは流石にクイーンアントと呼ぶべきだろう。痛みに耐えながら、反対側の足で炎が燃え広がっている足を引き千切ったのだ。
「何っ!?」
予想外の光景に驚愕したリオが、咄嗟に後方へと跳躍してクイーンアントとの距離を取る。
そして殆ど同時に地面に投げ捨てられたクイーンアントの足が炎により燃やし尽くされる。
「ギギギ!」
クイーンアントは自らに傷を付けた目の前の人間に対して怒りのままにその口から蟻酸を飛ばし、残った足を振り回し、その鋭い顎で胴体を切断しようと隙を狙ってくる。
その攻撃の殆どを回避し、あるいは双龍銃剣で受け流す。
「しぶといんだよ!」
振り下ろされた前足を回避しつつ煌焔を一閃。残っていた左の前足を斬り飛ばし、これで残っている足は左中足、左後足、右後足の3本のみとなっている。だが、それでもクイーンアントの攻撃は熾烈を極めた。その身体から生えている毒針が木へと突き刺さり、あるいは吐き出された蟻酸が岩をも溶かす。
そのしぶとさにある種の感心を覚えながらも、上空にセトの姿があるのを確認してクイーンアントの注意を引きつけるべく、双龍銃剣を大きく振るって注意を引きつける。と、同時に神焔の切っ先に直径30cmほどの炎の球が現れ、リオは神焔を振りかぶり……振り下ろす。
「はぁっ!」
セトの使う水球の炎バージョンとも言える炎の球は、振り下ろされた神焔に従って高速で飛ばされ、クイーンアントへと向かっていく。
だが、クイーンアントもまた、目の前にいる小さい生き物が使う炎の魔法に、……正確には精霊術なのだがクイーンアントがそんな事を知るわけもなく、とはいえその威力を知っているため、まともにその攻撃を受ける訳にはいかないので地に伏せることで回避する。
……それが、リオの狙いとも知らずに。
地に伏せる。すなわちすぐに次の動きに移るのは難しいということだ。その隙を突くかのように、上空で待機しつつ戦闘へと介入する機会を探っていたセトが地上へと急降下してくる。クイーンアントも最初は水球を放ってくるセトを脅威に思ったのかその存在を気に掛けていたのだが、実際に自分にダメージを与えるリオがより危険度の高い存在と認識したのだろう。また、セトもそれを狙ってリオとクイーンアントが激しい戦いを繰り広げている間は手出しすることなく隙を窺っていたのだ。それもこれも、クイーンアントの決定的な隙を突くこの一撃の為に。そしてセトはリオが作った千載一遇とも言える好機を見逃すような真似はしなかった。
「グルルルルルゥッ!」
雄叫びを上げ、剛力の腕輪により増強された強力無比な膂力で鷲の鉤爪を振りかぶり……落下の速度と合わせてクイーンアントの頭部へと叩き付ける。
グシャッ、という聞き苦しい音が周囲へと響き、クイーンアントの頭は粉々に砕け散ってその肉片を周囲へと撒き散らす。
「グルルルゥッ!」
勝利の雄叫びを上げるセト。それはおかしな話では無かっただろう。何しろ頭を砕いたのだから、普通はそれで勝ったと判断しても間違いではない。だが、セトはソルジャーアントと戦ったときのことを忘れていた。
そしてリオやセトが戦っている相手はソルジャーアントより上位の存在であるクイーンアントなのだ。その生命力の強さは当然ソルジャーアントを上回る。
それを示すかのように、頭部や足の殆どを失ったにも拘わらす左中足を振りかぶる。
セトの雄叫びを聞いていたリオの目にその光景が映し出され……
「セトッ、避けろぉっ!」
咄嗟にそう叫び、地を蹴り双龍銃剣を構えてセトへと向かう。
リオのその声に反射的に地を蹴り空へと逃れるセト。このときの幸運だったのは、クイーンアントの攻撃が振り下ろしや切り上げといったものではなく、横薙ぎの一撃だったことだろう。上空へと飛び攻撃を回避するセトと、横薙ぎの一撃を放つクイーンアント。その交差はほんの一瞬の差でセトに軍配が上がった。
横薙ぎに振るわれた攻撃はセトにかすり傷すら付けることなく空を虚しく斬り裂く。
そしてその懐にはリオの姿が。
「大人しく死んでろぉっ!」
大きく、素早く、そして鋭く振るわれた神焔は、クイーンアントの右後足を斬り飛ばし、毒針をも切断する。
「はぁっ!」
続けて振るわれた煌焔で残っている左中足と左後足も纏めて切断し、クイーンアントは頭、6本の足、毒針の全てを失い、今度こそ本当に動きを止めたのだった。
先程の件もあるのでそれでもなお警戒を解かずに双龍銃剣を構えるリオだったが、クイーンアントが動きを止めてから数分。それだけ経っても本当に動かないというのを確認し、ようやく緊張を解く。
空を飛んでいたセトが地上へと降りてきて低い声で鳴きながら頭を下げる。自分が油断してリオを危険な目に遭わせたことを反省しているらしい。
その頭を撫でながら、首を振るリオ。
「気にするな。確かに油断したのは悪かったが、そもそもセトは生まれてからまだそれほどの時間が経ってる訳でもないんだからな。同じ過ちを繰り返さなければいい」
「グルゥ」
「それに今回はたまたま俺が離れた位置にいたから気が付いたが、立場が逆になるときだってある。その時はセトが助けてくれるんだろう?」
「グルゥッ!」
任せろ、とでも言うように、先程とは違う自信を感じさせる鳴き声を発するセト。
その様子に笑みを浮かべ、双龍銃剣をホルスターに戻しながらクイーンアントの死骸へと向かう。
「さて……これを解体する訳だが……」
いつものようにミスティリングから『魔物の解体 初心者編』を取り出して調べてみるが、そこにはソルジャーアントやインペリアルアントはともかく、クイーンアントの解体方法は載っていなかった。
「と言うか、あの羽付きは本当にインペリアルアントって名前だったのか」
安直過ぎないか?とも思ったリオだが、自分が使う精霊術の名前も安直であると自覚しているので、それを言葉に出すことは無かった。
「初心者編には載っていないって事は、中級編なら……」
「グルゥッ!」
初心者編にはクイーンアントの解体方法が載っていなかったので中級編をミスティリングから取り出そうとしたリオの耳に、セトの警戒を促す鳴き声が聞こえる。
「っ!」
鳴き声が聞こえた瞬間、持っていた本をミスティリングに戻し腰のホルスターから双龍銃剣を抜いて構える。刀身を大剣形態にしながら周囲へと視線を向けて警戒するリオ。
「さて、何がくる? ……まぁ、考えられるとすれば、ソルジャーアントかインペリアルアントかな? で、セト。何処から来るか分かるか?」
「グルルゥ」
そんなリオの問い掛けに、セトは喉を鳴らしながらクイーンアントの向こう側に見える林へと視線を向ける。それで敵が来る方向が分かったリオはそちらへと視線を向ける。
それから数分が経過し、林の向こうからセトが察知した相手が姿を現した。それは……
「って、またクイーンアントか!? いや、倒したのより少しでかいか?」
「グルゥッ」
そんなリオの言葉に、そうだね、と同意する鳴き声を上げる。
そんなやり取りをリオたちがしている時に、クイーンアントは倒されている同族の死骸を感情を感じない眼で見て、次に近くにいたリオたちを認識して、怒りを感じさせる耳障りな鳴き声を上げる。
「ギギギギギ!」
リオたちは、この時は知らなかったがこのクイーンアントは、倒した個体の元の巣の女王蟻で、つまりは母親である。何故外に出ているのかは不明だが、戦闘音を聞き付けてこの地へとやって来たのだろう。とはいえ、自分の同族を倒した相手の為、怒りを覚えてもすぐに襲い掛からずにリオたちの出方を待っているようだ。
そしてリオにとってもここでこのクイーンアントを見逃すつもりは無かった。何しろ2個目の魔石が向こうから来たのだから。また、戦いの中で思い付いた事を試すにもいいと判断して口を開く。
「セト、こいつの相手は俺1人でやる。……ただ、危ないと思ったら援護してくれ。いいな?」
「……グル、グルルルゥッ」
リオの言葉に難色を示すも、不承不承ではあるが了承するセト。
「ありがとう、セト。……さてと」
セトに礼を言いながら一歩前に出るリオ。
そんな行動を見たクイーンアントが何が起きても対応出来るように警戒の度合いを上げる。それに対してリオは、自然体のままで魔力を練り上げる。
そんな睨み合った状況が続いたが、その均衡は予想よりも早く崩れた。
次の瞬間、クイーンアントの視界からリオの姿が忽然と消えたのだ。それに対してクイーンアントが戸惑いの声を上げるが……
「ギィ……」
声を上げ掛けた所で、クイーンアントの頭と6本ある足が斬り落とされ、リオの姿がクイーンアントの後方へと移動していた。
一瞬。一瞬の交差で、しかもクイーンアントには認識させずに倒したのだ。
リオが一体何をしたのか、それはいずれ分かるだろう。
2体目のクイーンアントを倒してから数時間後。リオたちはまだ戦闘のあった場所にいた。その理由は、クイーンアントの解体やインペリアルアントの死体の確認をしていたのだ。何しろ、体長5mを越えるクイーンアントを2体解体しなければならなかった為に時間が掛かった。……ちなみに、インペリアルアントの方は魔石は無事だったが他は落下の衝撃で使い物にならない位に損傷していたので剥ぎ取りはしていない。
クイーンアントの素材は、ソルジャーアント同様に薬に使える触覚に防具に使える甲殻、武器に使える足とトゲ、解毒剤やモンスター用の毒として使える蟻酸を生み出す内臓。討伐証明部位は背中の突起だ。背中の突起は、ソルジャーアントとクイーンアントで大きさは当然だが形も違うらしい。
それらの解体を終えたリオは、今回の依頼で入手した魔石の吸収をしようとしていた。
「じゃあ、魔石吸収といきますか」
「グルゥッ!」
「ええ」
分かった、と鳴き声を上げるセトに、戦闘が終わったということで実体化していたティアが声を上げる。それを聞きながらリオはソルジャーアントの魔石にインペリアルアントの魔石をセトへと与えるがスキル習得のアナウンスは流れない。
そのまま、双龍銃剣で同様に2つの魔石を切断するもアナウンスが流れる様子がなく、
「やっぱり、無理、と」
「グルゥ」
残念、という鳴き声をあげるセト。それでもまだクイーンアントの魔石が残っていると気を持ち直す。リオがセトへと魔石を与えると……
【セトは『アジットブレス Lv.1』を習得した】
脳裏に響くアナウンスメッセージ。
それを聞いて嬉しそうに喉を鳴らすセト。
「アジットブレス、か。蟻酸を使ってきたクイーンアントから考えれば妥当だな」
「へぇ、またブレス系のスキルを習得したのね」
「ああ。……セト、そこの草に向かって撃ってくれ」
「グルルルルルゥッ!」
リオの示した場所へ向かって、アジットブレスを使うセト。その威力は草を溶かしはしたものの、その下の地面を溶かす事はなかった。それを見てリオも……
「Lv.1だと、草を溶かす位か」
「そうみたいね」
「グルゥ」
Lv.1では、そこまでの威力がないのは、これまでの事で分かっていたのでリオたちも落ち込む事もなく受け入れていた。
「じゃあ、次はこっちだな、と」
そう言いながら、手に持っていた魔石を上に投げて、切断する。
【双龍銃剣は『腐食 Lv.1』を習得した】
セトの時と同じように脳裏に響くアナウンスメッセージ。
どうやらセトが吸収しても双龍銃剣が吸収してもアナウンスは流れるらしい。
「にしても、腐食か。恐らく蟻酸の影響だろうが、また微妙なものを」
「ふふ、そう言わない。双龍銃剣で初めてのスキル習得でしょう?」
「グルルゥ」
「まあ、確かにな」
ティアとセトに窘められたリオは苦笑しながらも収納し忘れた物が無いかを確認して、ギルムへと向かうリオ。
この日の報酬はソルジャーアントの魔石と素材が合わせて銀貨7枚とクイーンアントの素材が2匹分で金貨2枚と銀貨6枚。総合計で金貨3枚と銀貨3枚とランクGの冒険者としては破格のものとなった。
ランクCのクイーンアントを2匹を、討伐したことを知った冒険者たちに様々な視線を向けられるようになったという。
……ちなみに、当然だが、手を出さない様にと言われたにも関わらず討伐して来たことで、リオはレノラから小言を頂戴することになったという。
リオがクイーンアントを討伐した翌日。ギルムの冒険者ギルド。その受付嬢でもあるレノラは、ポニーテールの毛先を弄りながら憂鬱そうに上司から渡された書類を眺める。
その書類には色々と複雑な文章が書かれていたが、要約すれば以下の通りだった。
・リオという冒険者を注意して見ておくこと。
・その冒険者が貴族派や国王派と揉め事を起こした場合は直ちに上司に報告すること。
・その冒険者が他の冒険者に絡まれた場合も同様に直ちに上司に報告すること。
「はぁ……」
書類を眺めながら思わず溜息を吐く。
幸いもう少しで昼の鐘がなる頃合いなので、ギルド内部に冒険者の姿は殆ど無い。いても少し早めの昼食を取っている数名程度だ。
「どうしたの? そんな溜息なんか吐いて」
レノラの隣にいる同僚が不思議そうに尋ねてくる。猫の獣人であるケニーだ。猫族の特徴でもあるしなやかな肢体を見せつけるかのように伸びをしているが、ゆさりと揺れる胸を見ると、自分の胸の小ささにコンプレックスを感じているレノラは軽い嫉妬を覚える。
「ほら、これよこれ」
大きな胸から目を逸らすようにして、持っていた書類を渡す。
ケニーも昼前で相手をする冒険者が誰もいないのが暇だったのか、特に躊躇いも無く書類に目を通す。
「えーっと、何々? ……ちょっと、これってどういうこと?リオって、あのリオ君でしょ?」
最初は好奇心で書類を読んでいたケニーだったのだが、その文章を読み進めるに従って頬が引き攣っていく。
「見ての通りよ」
「でも、基本冒険者同士の争い事にギルドは不介入でしょ? なのに何かあったらすぐに報告しろだなんて」
「それもだけど、最後の決裁印を見てみなさいよ」
レノラの言葉に書類の最後に押されている決裁印へと視線を向け、一瞬動きが止まるケニー。数秒ほどしてようやく口を開く。
「ちょっと、これってギルドマスターの決裁印じゃない!」
「そうよ」
ギルドマスターの決裁印。即ちこの書類に書いてある命令は、ギルドマスターから出されたものだということになる。
「あんた何やったの?」
「私は別に何もしてないわよ!」
思わず疑いの眼差しで自分を見てきたケニーへと、強い口調で返すレノラ。
「だって何もしてないなら、何でギルドマスター直々の命令なんか受けるのよ。それとも、あんたリオ君と何か特別な関係でもあるの?」
「別に特別な関係なんか無いわよ」
「じゃあ、なんでこんな命令が?」
「リオさんが人族だったせいか、ギルド登録時に私が話し掛けたからよ。後はこの街のことを教えて上げたりはしたけど……それだけよ?」
「うーん、確かにそれだけだと……あるいは、リオ君があんたを狙ってるんじゃないのかもとも思ったんだけど」
ケニーの言葉に軽く首を振るレノラ。
だが、ケニーの言っていることは決して間違ってはいない。何しろギルドの受付嬢と言えばギルドの顔でもある。当然受付嬢を採用する者も相応の美人を選ぶことになり、結果的に冒険者ギルドの受付嬢は冒険者たちの憧れ、高嶺の花、恋人にしたい相手、一晩でもいいから共に過ごしたい相手、という存在になる。
リオもまたそういう意味でレノラを口説いているんじゃないのかと言いたいケニーだったが、レノラとしては自分が口説かれているという感じはしなかった。
ギルドで受付嬢をやっていれば、自然と冒険者たちに口説かれる回数は多くなる。いや、日常茶飯事と言ってもいいだろう。ギルドには酒場のスペースもあるので、毎年数人は酔っ払ってレノラたちに酌をしろと絡んでくる者たちが出て来るのだ。……もっとも、そういう存在はギルドの業務を妨害したとして、そのままギルドの地下にある牢へと直行。翌日には業務妨害の罰金としてそれなりの額を泣く泣く支払う羽目になるのだが。
「それはまず無いわね。そもそもリオさんは女を自分から口説くとかそういう性格はしてないわよ。どちらかと言えば自分の目標に向かって真っ直ぐに突き進むから、女に対してあまり興味がないというか……それは直接会話したケニーも分かるんじゃない?」
「そう、ね。レノラはともかく、私と話しているときも特に下心のあるような視線は無かったし」
リオと話していた時のことを思い出し、そう告げるケニー。
レノラと比べて男好きのする身体をしているだけに、男の視線に関しては敏感だった。そのケニーが、リオからは他の冒険者から感じるような舐めるような視線を感じなかったのだ。もちろん男である以上何度か自分の胸に視線を向けていたのは分かっていたが、あくまでもそれだけでしかなかった。
「なるほど。その書類を見る限りじゃ、ギルドマスター期待の新人って所なんでしょうね。ソロで行動出来るほどの力を持っている上に、グリフォンまでテイムしているんだし」
呟きながら、改めて脳裏にリオの姿を思い浮かべるケニー。ローブを纏い、バスターグレイブを持っているその姿は非常に目立っていたため、さして苦労もせずにどのような人物だったのかを思い出すことが出来た。……この時、ケニーが思い浮かべた姿がバスターグレイブを持った姿なのは双龍銃剣を大剣の二刀流で戦う姿を知らなかったからだ。
「でも、期待の新人ってだけでギルドマスターがそこまで特別扱いするかしら?」
「うーん、でもリオ君の実力を考えれば特別扱いも無理は無いと思うけどね。ほら、最初の依頼で希少種を含めたゴブリン10匹分の討伐証明部位を持ってきたり、その後なんかソルジャーアント30匹分位の討伐証明部位にクイーンアント2匹の討伐証明部位に素材を持ってきたじゃない」
ケニーの言葉に、改めてリオの実力を思い出すレノラ。
ソロの新人がそれほどの実力を持っているのなら、確かにギルドマスターに特別扱いされても仕方ないのかもしれないと納得してしまう。それほどの強さを持っているのだ。
「そう、よね。グリフォンを従えていることそのものがリオさんの実力を示しているようなものだし」
「でしょ? それにリオ君って確か18歳でしょ? その年齢であの実力じゃ将来的にランクSも狙える逸材よ」
ギルドランクS。それは世界でも3人しか存在していない人外の実力を持つ者たちだ。自分が注意しておくように言われたリオもいずれそのような存在になるのかもしれない。そう思うと、ゾクリとした何かを感じるレノラだった。
「で、その肝心のリオ君は今日来てないの? 朝にも見た記憶は無いけど」
朝の混雑の中でも冒険者たち個人の顔を覚えているのはさすが冒険者ギルドの顔である受付嬢といったところだろうか。
「さすがに2日連続で討伐依頼を受けたんだから、今日は休んでるんじゃない?」
「まあ、それもそっか。ソルジャーアント30匹以上にクイーンアント2匹だもんね」
「と言うか、何でいきなりリオさんを気にするのよ?」
「だって、将来的に上に昇っていくのが確実な人なら親しくなっておきたいじゃない。それにほら、私ってば男好きのする身体をしているし」
得意気に言いつつ、豊かな胸を腕で挟んで強調するケニー。
その様子に、ピクリとコメカミに血管を浮かばせつつも口元に薄い笑みを浮かべるレノラ。
「確かにケニーはそうかもしれないけど、向こうがそうだとは限らないわよ? それに大体、いくら才能があるとは言っても今はまだランクG。ランクSに昇格するとしてもまだまだ掛かるでしょうし、その頃になったらケニーも立派な行き遅れでしょうね」
レノラの言葉に、今度はケニーがピクリとする。
「あらあら、身体付きが貧弱な子は考えも貧弱なのかしら」
「……ケニー、喧嘩売ってるの?」
「それはレノラでしょう?」
一触即発。まさにそんな状態の2人だったが、次の瞬間には昼を知らせる鐘の音が周囲へと響き渡る。
2人の状態をまたか、と見ていた他のギルド職員や受付嬢たちもさっさと昼食を取るべくカウンターから離れていく。
後に残されたのは運悪く昼の当番として残された者たちと、女のプライドを懸けて睨み合っているレノラとケニーのみ。
仲が良いほど喧嘩する、近親憎悪、類は友を呼ぶ。色々と似たような言葉はあるが、レノラとケニーはまさにそれを象徴するような2人だった。
こうして、平和とも言えないが危険でもないギルドの日常は過ぎていく。
一方その頃。ギルドでレノラとケニーが女のプライドを懸けた睨み合いをしている時、その原因となったリオは、夕暮れの小麦亭の部屋のベッドで何も知らずに爆睡していた。
【セト】
・水球 Lv.1
・ファイアブレス Lv.1
・アジットブレス Lv.1
【双龍銃剣】
・腐食 Lv.1