大丈夫だ、問題しかないから。-Blue trajectory- <1st Season>   作:白鷺 葵

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21.確信

 画面を見つめる。

 ガンダムたちは、恐ろしく的確に武力介入を行っていた。

 

 グラハムの視線は白と青基調のガンダムに釘付けだ。どこかハラハラした様子で、ガンダムの戦いを見守っている。

 クーゴはそれを視界の端に留めつつ、純白のガンダムの動きを見つめていた。緑の輪を纏ったガンダムは、縦横無尽に戦場を舞う。

 5機のガンダムは各々で戦闘を行っている。1対複数でありながら、ガンダムは圧倒的な性能と新武装で、AEUおよびモラリア軍を圧倒していった。

 

 

(まるで、AEUとモラリア……および、PMCの行動を把握してるみたいだ)

 

 

 正確無比な動きを見て、クーゴは感嘆する。機械のように正確な戦術だ。いつ見ても思うのだが、ソレスタルビーイングには優秀な戦況予報士とバックアップがついているらしい。

 そこまで考えてクーゴは気づいた。何故自分は、ソレスタルビーイングの戦い方に『戦況予報士だけではなく、別のバックアップがある』と思ったのだろう。

 

 脳裏に浮かんだのは、どこかの宇宙だった。大量に出現した虫の群れ、創られた人間を乗せた特攻用兵器、人間に愛想をつかしたイマージュが、こちらへと襲い掛かってくる。

 笑い声がした。その声のする側には、大きな衛星のような物体が見える。衛星のように見えるものの正体は、巨大なコンピューターだ。その名前は、何という名前だったのか。

 それこそが、ソレスタルビーイングの『別のバックアップ』を果たす要であった。今は逆に乗っ取られ、敵の支配下にある。特攻兵器を生み出し稼働させ続けている――。 

 

 その光景が虚憶(きょおく)であることに気づいたとき、視界の端に映ったグラハムの横顔に驚愕が見えた。

 

 

「――っ!?」

 

 

 グラハムが大きく目を見開いた。彼の視線を辿る。白と青基調のガンダムが、AEUイナクトに押されていた。

 いつぞやの新型お披露目発表会で見た機体(もの)とは、機体の色や動きが全然違う。

 

 新型発表会で見たイナクトは若草色の機体であったが、今回の機体は紺色に近い緑だ。力押しで派手な動きを好むコーラサワーとは違い、パイロットは手段を問わず確実に相手を追いつめる。正規軍人のようなコンバットパターンではない。戦争を生業とし、それ故に、己の思うがままに暴力を振るっているように思えた。

 機体はイナクトのチューンナップ。但し、パイロットは正規軍人ではなく傭兵が乗っている。しかも、そのパイロットは戦いを楽しんでいる節があった。行動原理は単純、『戦うために生まれ、戦いをまき散らすために力を振るう』といったところか。いつぞやのインベーダーと同じ自給自足理論が成り立っている。

 特徴的な笑い声がした。戦争だ、戦争だ、と、しきりに叫んでいる。生業だから強いのではない。楽しくて仕方がないから強いのだ。壊すこと、奪うこと、踏みにじること――そのすべてが、イナクトを操るパイロットの存在理由。画面で見ているだけなのに、クーゴにはパイロットの心が『視える』。

 

 だだっ広い焼野原。戦場には死体の山が築かれている。血塗れの斜陽が目に痛い。

 

 搭乗機体の色とは完全に正反対だ。緑や青を連想させるような光景なんて存在しない。

 穏やかで優しい色とも無縁の人生を送ってきたのだろう。今までも、これからも。

 

 

「なんだ、あのMS部隊? 見たことのない機体だが」

 

「人は乗っていないようだ。人工知能搭載型の無人機……PMCの新型兵器だったな。確か、MD(モビルドール)とかいう」

 

 

 ハワードとダリルが画面を見ながら首を傾げる。彼らの視線は、純白のガンダムが映し出されている部分に向けられていた。

 

 黒く丸い物体を大量に背負った赤いフォルムの機体と、大きな盾とライフルを背負った青いフォルムの機体がガンダムに攻撃を仕掛けていた。純白のガンダムは攻撃を躱しながら、舞うような戦術スタイルを崩さない。宝石がMDを追尾して攻撃を仕掛け、アームに取り付けられたチャクラムがMDを次々と切断していく。

 防御と白兵戦を得意とする赤い機体と、超火力を誇る遠距離攻撃を得意とする青い機体。2種類の機体から繰り出される攻撃を避け、ときには撹乱し、同士討ちを誘発させるように翻弄しながら、天女は戦場を駆け抜ける。その動きが、いつもと違う気がした。

 普段の戦闘では軽やかなステップを踏むように動くのに、今回は動きが荒々しい。仇敵と対峙したかのように、天女はMDを屠っていく。パイロットの心が『視えた』気がした。機械の決定により、実験動物扱いされたり処刑されたりする人々の姿。それに対して、パイロットが怒っている。

 

 同じなのだ。あのMDの回路は、『敵と認識したものを問答無用で嬲り、最終的には処刑する』ように組まれている。

 処刑されているのは人間たちだ。軍人だろうと、民間人だろうと、区別なく殺し尽くす姿が『視える』。

 

 

(あれが実用化されたら、あんな風に使われるのか)

 

 

 浮かんだ光景に、クーゴの背中に悪寒が走った。あのMDは、最初から殺戮専用に開発されたのだろう。対象物は、人間であれば何でも構わないということらしい。

 ソレスタルビーイング――特にあの純白のガンダムが、率先して破壊しようとする理由がわかってしまった。MDが『製作者の意図する用途で』野に放たれたら、大変なことになる。

 同情するつもりも肯定するつもりもない。だが、あの使用用途だけは頂けない。今すぐ製作者をここに呼んでほしいと、クーゴが思ったときだった。

 

 

「情報が入りました。あのMDは、赤い方がメリクリウスで、青い方がヴァイエイトだそうです」

 

「学習型の自立型思考回路か。しかも、この自立型思考回路は、別の場所に設置されたコンピューターによって統括および管理されてるようじゃな。あのMDたちの回路すべてがリンクされており、常時データを収集し、即座に計測を行い、その結果を他のMDに反映させている……。PMCの技術力も恐ろしいものだ」

 

 

 MDのデータをざっと読み進めたエイフマンが眉をしかめる。いつぞや、ソレスタルビーイングが麻薬畑を焼き払ったときの横顔と似ていた。

 彼の隣で情報を読み進めていたビリーが目を見開いた。彼は、弾かれたようにエイフマンを見る。何かを確認するかのようなビリーの眼差しに、エイフマンは険しい顔で頷く。

 

 

「これは、クジョウくんの卒業論文をベースにして、それを発展させたものだ」

 

「クジョウは、このことを?」

 

「おそらく知らないだろう」

 

 

 教え子の論文が、(確実に『本人に無断で』)戦争をばらまくために転用および応用された――エイフマンにとって、これ程までに許せないことがあるだろうか。ビリーも憤りを感じているらしく、鋭い眼差しでモニターを睨みつけていた。

 

 

「……クジョウは言ってたんだ。『戦争が止められないのなら、戦術で早期解決を図る。被害を最小限に抑え、人命を救う』って。……MDは、彼女の願いに対する裏切りじゃないか!」

 

 

 論文作成者の意図するものと正反対の方向に論文が転用される。技術畑の人間であるビリーにとって、これ程までに悲しいことはない。技術者関係の仕事に進んだ親戚のことを思い出して、クーゴは胸が痛くなった。

 最初はある程度のパターンで動いていたMDたちが、複雑な攻撃を繰り出してきた。他機と連携を取るようになったり、己を囮にして別の機体にガンダムを攻撃させたりして、純白のガンダムを徐々に追いつめにかかっている。

 

 画面に映し出されていたMDたちがガンダムを取り囲んでいた。MDからは、高周波のようなものが発せられている。頭をかち割らんばかりの勢いで、それが反響した。

 

 一言で言い表すとするなら、明確な殺意。機械には殺意なんて抱けないけれど、クーゴはMDがガンダム――正確には、ガンダムのパイロット――を処刑および抹殺対象と認定したことに気づいた。

 ガンダムの動きが鈍る。どこからか、苦悶の声が聞こえた気がした。聞き覚えのある女性の声だ。そう思ったとき、クーゴは立ち上がっていた。自分の目の前に浮かぶモニターに向かって手を伸ばす。

 

 

「――え?」

 

 

 ユニオンの軍事基地が、暗転した。上も下も右も左も、真っ暗な空間。瞬きすると、得体の知れないオブジェのようなものが目の前に浮かび上がっていた。

 昔のCMで、たらこを模した着ぐるみに入ったマスコットキャラクターがいた。あれにそっくりなフォルムデザイン。但しそのキャラクターと違い、目の前のオブジェに愛嬌はない。

 白い陶器を思わせるような外観。美術品の彫刻を思わせるような、麗しくも無機質な表情を浮かべる顔があった。気のせいか、どこかで見たことのある顔立ちである。

 

 不意に、世界が真っ赤な光で満たされた。

 

 

(人?)

 

 

 オブジェの真正面に女性が対峙している。ペールグリーンの髪を簪でまとめた後ろ姿には、見覚えがあった。

 沢山のウィンドウ画面が浮かび上がる。そこには、4人の男女が映っていた。テレビドラマのように、場面が次から次に切り替わっていく。

 

 黒髪に赤い瞳を持つ少女と、金髪碧眼の白人男性がじゃれあっている。といっても、ちょっかいをかけているのは男性の方だ。少女は顔を真っ赤にして反論し、反抗し、男の手を振り払う。少女の行動は、どこからどう見ても、羞恥と照れの裏返しであった。

 彼らの姿には見覚えがある。それを思い出そうとしたとき、映像が切り替わった。映し出された人物は、黒髪黒目の東洋人。安堵したような笑み、困ったようにため息をつく様子、ぎこちない苦笑、真面目な眼差し、静かな決意に満ちた横顔――色々な表情が浮かんでは消えていく。

 あれは、自分だ。『夜鷹』であり、紛れもない『クーゴ・ハガネ/刃金(ハガネ) 空護(クーゴ)』その人だ。クーゴはハッとして、女性の方へ向き直る。そのとき、ウィンドウ画面に紫電が走った。女性が頭を抱えて悲鳴を上げる。ばちばちと派手な音が鳴り響いた。

 

 女性は痛みと戦いながら、キッと眦を吊り上げる。紫の瞳には、揺るがぬ決意が宿っていた。

 

 

「消させない」

 

 

 彼女の周りに、青い光が舞い上がる。

 何よりも澄み渡ったそれは、荒ぶるように揺れ動いていた。

 

 

「この記憶も、この想いも。あんたなんかに、絶対消させない」

 

 

 画面が切り替わる。『夜鷹/クーゴ』の隣で、頬を薔薇色に染めて微笑んだ女性が映った。

 

 草原を思わせるようなペールグリーンの髪に、澄みきった紫の瞳。

 櫻を象った銀細工の黒い簪が見えた。その女性は、紛れもない『エトワール』。

 

 その瞬間、クーゴはすべてを理解した。

 

 自分と彼女には、決して避けられない運命が待っていることを。

 お互いに譲れないものがあるということを。

 それでも、確かに自分たちはわかり合えていたのだと。

 

 

(ああ、なんだ。悩む必要なんてなかったんだ)

 

 

 クーゴは本能的に、『エトワール』に向けて手を伸ばした。

 

 

(俺はキミの、その想いを信じる。信じるよ、『エトワール』)

 

 

 伸ばした手が、彼女の手に触れる。それに気づいた彼女がクーゴを見て、笑みを浮かべた。

 

 目に刺さるような痛みを持つ真実から、もう目を逸らさない。どんなに悲しい運命が待っていても、決して逃げたりしない。クーゴはパンドラの箱に手をかける。

 『エトワール』の心は、こんなにも優しく温かい。嘘偽りなんてない、等身大の想いがあった。自分が憧れ、救われ続けて、信じ続けている『人の心の光』そのものだった。

 

 

「死ぬのが怖くて、恋ができるものかァァァァァァァァッ!」

 

 

 『エトワール』が、クーゴの手が重ねられた手を前に突き出した。その掌には光が収束していく。

 雲一つない空よりも澄み渡り、どんな海よりも深い群青(あお)荒ぶる青(タイプ・ブルー)

 先日出会った、『エトワール』と同じ色を宿す青年が零した言葉の意味は、何だったのか。

 

 次の瞬間、世界が青白い燐光に飲み込まれた。一拍遅れて、どこか離れた場所から爆発音が聞こえる。

 

 

「――え」

 

 

 そこは、ユニオン軍の作戦室だった。目の前には、純白のガンダムの戦闘が映し出されたモニターが展開している。MDに囲まれていたガンダムの光景は、いつの間にか、MDが全滅している光景に変わっていた。

 クーゴの意識が別の場所にあった間に、戦況は完全に変化していた。緑青のイナクトに押されていた白と青基調のガンダムの様子も変わっていたらしい。緑青のイナクトが、盛大に体制を崩していた。無警戒だったところから一撃を叩きこまれたかのような、間抜けな醜態。

 ガンダムのパイロットも、イナクトのパイロットも、何が起こったか理解できていない。だが、ガンダムのパイロットはそれを好機だと思ったのだろう。一気に踏み込む。イナクトのパイロットが経験則で躱そうとしたが、また盛大に体制が崩れた。他者からの介入は一切ない。

 

 隣を見る。グラハムが、クーゴと同じように、彼の前に映し出されている戦闘画面に手を伸ばしていた。

 映し出されている映像は、もちろん白と青基調のガンダムだ。彼の眼差しは、画面の向うの向う側――他人には見えない/見えるはずのない場所を『視て』いる。

 

 

「グラハム?」

 

「――はっ!?」

 

 

 弾かれたようにグラハムがクーゴを見返す。彼はしばらく瞬きを繰り返した後、ようやく現実に戻ってこれたらしい。しばし周囲を見渡した後、再びモニターに視線を向けた。

 

 ガンダムとイナクトの力関係が元に戻り、またガンダムが押され始める。何度も何度も切っては結び、結んでは切りを繰り返した後で、2機の動きが止まった。

 コックピットハッチが開き、ガンダムのパイロットが姿を現す。青いパイロットスーツに身を包んだその人物は、まだ幼さが抜けきっていない若者である。

 丁度、グラハムが好意を寄せる少女と同じくらいの年齢だろう。グラハムが大きく目を見開き、ひゅっと息を飲んだ。翠緑の瞳には、強い確信が宿っている。

 

 MSでの戦いが、パイロットによるリアルファイトに変わるかと思われたときだった。そこへ、白と緑基調のガンダムが援軍に入る。正確無比な狙い撃ちが、イナクトを追いつめていった。さらに援軍として、MDを殲滅し終えた純白のガンダムも飛来する。

 3対1という圧倒的不利な状況に、イナクトは撤退することを選んだようだ。緑青の機体が空の向うへ消えていくのを見送り、3機のガンダムは武力介入を続行すべく動き始める。機械のような行動が崩れたのはそこまでで、それ以降は迅速かつ的確な行動が行われていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コックピット内には、自分の荒い呼吸が響いている。イデアの体は疲労感で満たされていた。先程のシステムとの戦いで、思った以上に体力を消費してしまったらしい。

 

 古の『同胞』を殲滅するために作り出されたシステムが、どうしてMDに搭載されているのだろう。あのシステムを使われた場合、大半の『同胞』はシステムに耐えきれず死んでしまう。強靭な精神を持っていても、ダメージを受けることは間違いない。

 危うく『処分(ころ)』されるところだった。生きているということを実感し、イデアは大きくため息をつく。操縦桿を握り締めている手に視線を向ける。その手に重ねられていたもう1つの手の温もりを思い出し、イデアは口元を結んだ。なんだかとても照れくさい。

 気を抜くと歌いだしてしまいそうだ。我慢我慢と己に言い聞かせる。周囲を見れば、MD部隊は跡形なく殲滅し終えてしまったらしい。そこまでの威力を発揮するつもりなんてなかったのだが、『彼』が傍にいたおかげで威力がブーストしてしまったのだろう。

 

 「恋する女は強い」とは、敬愛するグラン・マの格言であった。

 MD殲滅を成しえた一番の理由は、彼女の言葉通りのものだと言えよう。

 

 

(でも、AEUとモラリアおよびPMC連合軍(むこう)からしてみれば、『現実離れしすぎた光景や状態を目の当たりにして、自分が実際に見た光景すら信じられないでいる』状態よね)

 

 

 21世紀初頭のネットスラングにも、これを意味する単語が存在していたはずだ――なんて、現実逃避に走っても意味がない。自分を取り囲んでいたMDを、『能力を発現』させたことにより、一撃で殲滅してしまったのだ。本当は地道に倒していく予定だったのに。

 システムを撃退した際の余波とはいえ、『彼』のおかげで威力がブーストされたことは事実である。その結果、イデアのスターゲイザーを取り囲んでいたMDが殲滅されてしまったというのも現実である。起きてしまった出来事を変えることはできない。

 

 

「イデア、大丈夫?」

 

「平気です、スメラギさん。次のプランを――」

 

 

 スメラギからの問いかけに答えたとき、イデアは直感した。『今すぐに、刹那の元へ向かわねばならない』と。

 

 

「すみません、ちょっと単独行動します!」

 

「ちょっと!? 待ちなさい!」

 

 

 余計なものをシャットダウンするかのように、イデアは操縦桿を動かした。スメラギが何かを言ったようだが、気にしない。スターゲイザーは加速し、刹那のエクシアが戦っているポイントへ急行する。

 刹那のエクシアが戦っていたポイントが見えてきた。ロックオンのデュナメスが、緑青のイナクトを追いつめている。相手も馬鹿ではなかったようで、スターゲイザーの飛来を察知したイナクトは撤退していった。

 イデアはスターゲイザーを着地させ、刹那とロックオンに声をかける。次の瞬間、スメラギの呆れた声が通信機越しに響いた。これは、戻ったら確実に説教が待っていそうだ。話もそこそこに、3機のガンダムは空へと向かう。

 

 武力介入の再開だ。MDやAEU・モラリア・PMC連合軍を、それぞれがそれぞれのポイントで撃破していく。

 

 

『ティエリア。刹那とイデアがまたやらかしたようだよ。後者はちょっと、周囲の人たちも“何が起こったのかよくわからない”けど』

 

『黙っていろ。人と話す気分じゃない。……あの女どもはやはり、ガンダムマイスターとしての自覚も足りなければ、そう名乗るに値しない存在だ……!』

 

 

 別ポイントで戦う、アレルヤとティエリアの声が聞こえた。特にティエリアは、怒りのボルテージが鰻登り状態にあるらしい。確実に説教が待っている。普段は彼の物言いに反論するのだが、かすかな変化を感じてイデアは目を見開いた。

 ティエリアの思考回路で、至上に位置するのはヴェーダである。その采配で選ばれたのがガンダムマイスターだ。これまで、イデアや刹那やアレルヤがミッションプランを多少無視して独断行動を取っているけれど、ヴェーダはそれに関して「クビにすべき」という判断を下していない。

 ヴェーダが「コイツはクビにした方がいい」と判断したなら、ティエリアはその人物を容赦なくマイスターから外すように突っかかるだろう。表立ってそうしないのは、ヴェーダが「クビにすべき」というプランを示していないためだ。むしろ、「抱え込め」「手放すな」という方針である。

 

 つまり、ティエリアの『ガンダムマイスターとしてなってない』という憤りは、彼自身の感情および思考回路に他ならない。ヴェーダの代弁者というあり方を地でいく――しかもそれを至高と思っていた彼が自我を持ち始めている。

 方向性はともかくとして、それはいい変化だとイデアは思っていた。最終的に、その自我が、本当の意味での『ティエリア・アーデ』のアイデンティティ形成に繋がってくれればいいのだが。

 

 

(最初は『システムの申し子』だと思ってたけど、人間らしいところがあるじゃない)

 

 

 方向性は間違っていると指摘されるかもしれないが、イデアのやり方は間違っていなかったのだ。確信を持ってそう言える。

 

 元々は、別の虚憶(きょおく)を持っていた少年に見せてもらった内容を再現したものだ。後輩に喧嘩を売られた鉄仮面エリートは、人生で初めて『怒り』と『対抗心』を燃やしたという。感情に任せて、彼は後輩を殴り飛ばしてしまったそうだ。

 後に青年は、機械から命令を受けて後輩を手にかけるのだが、その瞳には、生まれて初めての『悲しみ』や『涙』が浮かんでいたという。後輩との一連の出来事が、人類側の指導者となった男が最期に下した判断に大きな影響を与えたことは確かだった。

 もちろん、彼の判断に大きな影響を与えた人物は他にもいる。同級生の親友と、自分の左腕として忠義を果たした異端者の部下。彼らとの心の触れ合いが、男の歩む道を決めたと言っていい。未来への礎を築き、わかり合えた戦友と共に地下へ消えた男の一生を思う。

 

 彼は、最期まで自分は独りだと呟いていた。自嘲気味な笑みを浮かべ、寂しそうに。

 そんなことはないよ、と、今なら言ってくれる相手がいる。それはとても、幸せなことだ。

 

 

「……さて、最終段階。最後まで気を抜かず、頑張らなきゃ」

 

 

 閑話休題とばかりに、イデアは操縦桿を動かした。このミッションが終われば、短い休暇が入る。

 そして、『夜鷹』との――クーゴとの、ある種の決着をつけなくてはならない。そのためにも、生き残らなくては。

 銀河の乙女たちが歌っていた歌にも、生き残りたいと強く訴える歌詞があった気がする。その一節を思い出しながら、イデアはスターゲイザーを駆ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(介入スタートから戦線制圧まで、2時間弱か)

 

 

 先程のデータを改めて見直しながら、クーゴは感嘆の息を吐いた。ガンダムの圧倒的性能もだが、戦術を仕切る面々の腕前も相当のものだ。MSだけで戦線は維持できない。兵士には指揮官が必要不可欠である。

 勝敗を左右するのは、兵士の数や質だけではない。指揮官や参謀が有能であるか否かもかかっている。特に、中国の三国志における策謀や兵法がそれを如実に証明していた。この指揮官は、戦いを短時間で終わらせることで犠牲を回避しようとしているのだ。

 

 

「終わったようだな」

 

 

 休憩室にやって来たのはエイフマンである。クーゴ、グラハム、ビリーは顔を上げた。

 

 

「AEUは賭けに負けたようです」

 

「それはどうかな」

 

 

 グラハムの言葉に、ビリーは俯きながらそう返した。驚いたようにグラハムはビリーを見る。

 投入したMSをほぼ全滅に近い形で失い、多くの犠牲者を出した。それのどこに「勝ち」の要素があるのだろう。

 その答えを続けたのもビリーであった。曰く、今回の一件でモラリアはAEUからの援助を勝ち取ることができるという。

 

 ソレスタルビーイングおよびガンダムに対抗するためにも、軍備増強が必要だ。モラリアは国としての成り立ちや特性上、民間軍事企業と密接な繋がりを持っている。AEU軍にしてみれば、民間軍事会社との繋がりが密接になれば、兵器開発及び機動エレベーター開発も進めることができるだろう。

 モラリアはAEUからの援助を受け取る代わりに、国が築き上げた民間軍事企業のパイプをAEU軍に提供する。なんてことはない、いつぞやのユニオンとタリビアの焼き直しだ。どこの政治家もあくどい方法を考えるものである。どうせ泥臭いなら、トレーズの方がまだ責任能力その他が優れていると思うのだが。

 

 ソレスタルビーイングがどんなに戦おうと、戦争根絶という理念からは遠のいていく。今回の件だって、AEUを軍備増強に突き動かすきっかけを作っただけでしかない。

 

 本当の意味で、ただの一度も勝利はなく、ただの一つも戦果はない。ソレスタルビーイングの人々は、何を思って戦い続けているのだろうか。

 グラハムが俯く。その表情には陰りが浮かんでいた。憂いや悲しみ、および祈りにも似たそれは、誰に向けられているのだろう。

 

 それにしても、政治家は常に勝者になろうとする生き物のようだ。例外中の例外であるが、最初から勝者以外考え付かないシュナイゼルと作戦パターンが似通っている。世の中にはもっと悪質な奴もいるが。

 

 

「政治家は皆、そういうことにばかり頭を回す奴ばかりなんでしょうか。あん畜生とかあん畜生とかあん畜生とか」

 

「あん畜生?」

 

「はい、あん畜生です。……あれ?」

 

 

 エイフマンの問いに答えたはいいが、クーゴは言葉を詰まらせた。

 あん畜生の名前が出てこない。奴の所業には、絶対に忘れられないインパクトがあったのに。

 

 

「ああ! 外部独立部隊をテロリスト呼ばわりしたり、地球を侵略しに来た異星人に寝返ったり、作戦のどさくさに紛れて外部独立部隊を核兵器ミサイルで殲滅しようとしたり、対話が終わって共存の可能性が開けたフェストゥムたちに核爆弾を打ち込むことで事態を悪化させたり、囚人を使った特攻兵器を作ったり、虫をインプラント制御で手駒にしようとしたり、終いには地球を見捨てて宇宙圏へ飛び出していった挙句、トビカゲ=サンとゼロカゲ=サンによって倒された“彼”か!」

 

「ロクな所業(こと)をしとらんな。そやつは」

 

 

 合点が言ったように説明するビリーの言葉に、エイフマンはあからさまに顔を顰めた。ちなみにこの所業、すべて『あん畜生が自分の権力を確立させるため』にやったことだ。エゴまみれにも程があろう。

 奴のせいでクーゴが身を寄せていた部隊はテロリストとして元友軍から狙い撃ちされるわ、グラハムが苦虫を噛み潰すことになるわ、王様の逆鱗に触れたせいで護衛が大変なことになるわ、思い出すだけで(はらわた)が煮えくり返ってくる。

 グラハムもそのときのことを思い出したのか、苦々しい表情を浮かべた。しかし、クーゴもグラハムもビリーも、いくら考えてもあん畜生の名前が出てこない。己のエゴを果たすために、文字通りの『人災(ハザード)』を巻き散らかした男の名前は何と言っただろう。

 

 あん畜生死すべき、慈悲はない。好き勝手やって来た男の末路は、もちろん、彼のやって来た所業に比例していた。

 

 そこまで考えて気づく。今までの思考回路は、『“あん畜生”死すべき、慈悲はない/UX』の虚憶(きょおく)がベースになっていたのだと。

 政治家のやり方を見て、虚憶(きょおく)を連想したのだ。所業ならいくらでも挙げられるのだが、やはり名前が出てこない。

 

 グラハムやビリーも、それが虚憶(きょおく)の出来事だと気づいたようだ。だが、あまりにもインパクトが強かったようで、話題は切り替わらなかった。

 

 

「そういえば、『カタギリ』氏が彼と対談してたな」

 

「ああ、確かに。相当イライラしていたな、『カタギリ』が。あんなに笑顔が引きつった『カタギリ』を見たのは初めてだった」

 

「『グラハム』の場合は、出撃しなきゃいけない有事に出撃を差し止められたもんね。あんなに悔しそうな『グラハム』を見たのは初めてだったよ」

 

 

 あん畜生の横暴を思い返し、2人は深々とため息をつく。煮え水を飲まされた者同士、その気持ちはよく分かった。

 虚憶(きょおく)のことをよく知らないエイフマンだが、ビリーが挙げた所業を考えて察したのだろう。労うようにクーゴたちの肩を叩いた。

 

 閑話休題。

 

 

「悲しいな」

 

 

 エイフマンは静かに呟いた。彼の言葉に惹かれるように、クーゴたちはエイフマンを見上げる。

 

 

「どんな華やかな勝利を得ようと、ソレスタルビーイングは世界から除外される運命にある」

 

「プロフェッサーは、彼らが滅びの道を歩んでいるとお考えですか?」

 

 

 グラハムは真剣な表情で、エイフマンに問いかける。酷く鬼気迫った眼差しに、クーゴは彼の中に燻る感情が伺えた。

 彼の問いかけに、エイフマンは振り返った。緑青の瞳が鋭く光る。

 

 

「まるで、それを求めているかのような行動じゃ。少なくとも、わしにはそう見える」

 

 

 彼の見立てに、ますますソレスタルビーイングの考えがわからなくなる。憎しみを束に集めて、己に背負わせて、彼らは何をしようとしているのだろう。その果てにあるのは、エイフマンの言葉通り『破滅』だ。

 脳裏を翔けたのは、1人の少女。核爆弾のスイッチを押して、罪と憎しみを背負うことを選んだ彼女は、憎しみの象徴になろうとしていた。人々が明日を掴むために、大切な兄のために、自分にできる方法で戦おうとしていた。

 それだけではない。人類の業を背負い、それと向き合い、戦おうとした男たちもいた。彼らの名前を、クーゴはよく知っている。トレーズ・クリシュナーダとゼクス・マーキス――ミリアルド・ピースクラフト。

 

 もしかして、彼らが戦おうとしている相手は――人の心に潜む『業』なのか。

 業を討つために、業を重ねる。矛盾ではあるが、それが一番有効な手立てだ。

 

 

「彼らが本当に戦っている相手は、人類の業そのものなのかもしれませんね。……業と戦い、己の敗北という形で勝利した人とよく似ています」

 

「トレーズ閣下と、我が友ゼクスか」

 

 

 クーゴの言葉にグラハムが反応した。どこか沈痛そうな横顔に、クーゴは目を留める。

 ソレスタルビーイングに所属する『エトワール』もまた、破滅へと突き進もうとしているのか。

 

 彼女の表情がフラッシュバックする。人類の業なんて、大それたものとは無縁そうな女性なのに。そういえば、時折見せる横顔は強い意志を宿していた。アンバランスなくらい、凛としていた。強い人だと思っていた。

 クーゴは懐にしまった端末に視線を向けた。お守りについた鈴が、澄んだ音を鳴らしたような気がする。そのとき、端末が鳴り響いた。メッセージの送り主は、件の『エトワール』。その文面は、たった一文。

 

 

『助けてくれてありがとう』

 

 

 助けた? はて、自分は何をしたのだろうか。

 

 そこで、クーゴは息をのんだ。MDが殲滅されたときの光景。

 変なオブジェが『エトワール』を殺そうとしていたときの光景だ。

 あのとき、自分はただ、彼女に手を重ねただけである。青い光が爆ぜて、それで。

 

 荒ぶる青(タイプ・ブルー)。頭の中で、その言葉がぐるぐると反響する。たった一度、彼女とよく似た色を持つ青年が言った言葉だ。どうしてその言葉が頭から離れないのだろう。忘れてはいけないと警笛が鳴り響いている。

 ふと、クーゴは視線を向けた。グラハムは俯いたまま何も言わない。その表情には陰りが浮かんでいた。憂いや悲しみ、および祈りにも似たそれは、『エトワール』同様、破滅へ向かおうと突き進む誰かに向けて贈られたものなのだろう。

 

 

「すみません、クーゴ・ハガネさんですよね?」

 

 

 話しかけられて顔を上げた。そこにいたのは、先日「吐瀉物(中略)事件」の加害者である青年だ。彼の手には、紙袋が握りしめられている。

 

 

「先日はどうもすみません。上着とハンカチやタオル類を洗い終えたので、届けに来ました」

 

「わざわざ届けに来てくれたのか。ありがとう」

 

 

 青年から紙袋を受け取り、クーゴは礼を述べた。そのとき、エイフマンがひゅっと息をのむ音が響いた。

 何事かと振り返る。エイフマンは青年をじっと眺めていたが、平静を保とうと努めるような声で青年に問いかける。

 

 

「すまんが、キミの親戚で、ライヒヴァイン家に出入りしていた人はいなかったか?」

 

 

 青年がぴくりと眉の端を動かした。笑みを浮かべた口元が、ほんのわずかだが引きつる。

 不自然な間が入った後で、青年は声を固くしながら答えた。

 

 

「いいえ。存じ上げませんが」

 

「そうか。……すまないね。60年程前のことだから、わしの勘違いかもしれん」

 

 

 青年の返答を聞いたエイフマンは、悲しそうに苦笑する。

 

 以前、彼から『60年前に亡くなったお兄さん的存在』の話を聞いていたクーゴたちはすぐに察しがついた。この青年は、『60年前に亡くなったお兄さん的存在』の人物の関係者にそっくりなのだろう。自分たちの眼差しに気づいたエイフマンは、肯定するように頷いた。

 その話を聞いた青年は「面白い偶然があるものですね」と笑っていた。しかし、その笑い方に違和感を覚えたのは何故だろう。焦りと罪悪感が滲んだような、どこかぎこちない笑い方だった。エイフマンはそれに気づいていないらしい。

 青年はしばし視線を泳がせた後、ふと時計に目をやった。時間を見て苦い表情を浮かべたあたり、他に用事があったことを思い出した様子だった。彼はクーゴにぺこりと頭を下げ、足早に廊下を駆けて行った。その背中を見送る。

 

 何の気なしに、クーゴは窓の外に視線を向けた。

 青空の向う側からは、鉛色の曇天が近づきつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その感情に、名前を付けるとするならば。

 

 

(嫉妬ね。それに間違いないわ)

 

 

 フェルトとクリスティナから貰ったエクシアの戦況データを何度も何度も見直しながら、イデアはニマニマ微笑んでいた。先程からもう、頬が緩みっぱなしである。画面には、明らかに動きのおかしいAEUイナクトが映し出されていた。緑青の機体は出所不明の攻撃に翻弄されている。

 でも、イデアには合点がいった。淡く光る青が、感情のままに力を発現させている。おそらく、力を発現させている本人ですら無自覚だろう。周囲の人間も、イデアがMDを殲滅したときと同じ状況にある。この映像を何度見直しても、皆、首を傾げることは間違いない。

 犯人はイデアではないし、この場に居合わせたガンダムマイスターでもなければトレミークルーの誰かでもない。むしろ、ソレスタルビーイングの人間ですらないのだ。答えを知っているのはイデアだけだろう。あるいは、この映像を『同胞』の誰かに見せれば一発で看破できる。

 

 犯人にこの映像を見せて、その力の源を教えたら。

 

 その人物はむっとした顔をして、「自分はそこまで女々しくない」と言い放つのか。

 もしくは、「これも愛の苦しみさ」と開き直るだろうか。どちらにしろ、教える日が楽しみである。

 

 

『ねえ、あれ。……どうしよう?』

 

『あの顔、新しい獲物を見つけた目だ!!』

 

『ああ、ご愁傷様……』

 

『興味がない』

 

 

 ふと聞こえた思念を辿って、イデアはゆっくりと視線を向ける。そこにいたのは、イデアを除くガンダムマイスター――アレルヤ、ロックオン、刹那、ティエリアであった。顔を見合わせ、アイコンタクトを取っている。

 

 映像の余韻に浸りながら立ち上がると、4人はびくりと肩をすくませた。

 イデアが1歩近づくと、4人は3歩ほど後ろに下がる。どうやらイデアに近づいてほしくないらしい。

 

 

「ちょっと。なんで皆、私から距離を取るのよ」

 

「……それは、お前さんが一番よく知ってるんじゃないか?」

 

 

 イデアが頬を膨らませる。ロックオンは苦笑しながら、控えめな声でそう言った。

 刹那とアレルヤがうんうん頷き、ティエリアは軽蔑の眼差しを向けてきた。イデアはさらに頬を膨らませ、また一歩踏み出す。

 しかし、4人はささっとまた後ずさった。そのやり取りを何度も繰り返す。いつの間にか、4人は波打ち際に追いつめられていた。

 

 

『ミンナ、ナカヨク。ミンナ、ナカヨク』

 

 

 そんな自分たちのやり取りを見かねたのか、ハロが飛び出してきた。自分たちを仲介しようとしているのだろう。

 毬のように弾むその姿は、トレミーのマスコットと称される程可愛らしい。そして、健気な様子が愛嬌と人間らしさを垣間見せている。

 

 しかし、そんなハロに悲劇が降りかかった。

 

 

『アー!』

 

「ああっ!?」

「ハロ!?」

 

 

 波打ち際を飛び回っていたハロが、そのまま波に浚われてしまったのだ。ロックオンが慌てて海に突撃しようと踏み込む。波の音にまぎれて、水しぶきが跳ねる音が響いた。

 イデアは即座に手を伸ばす。波が浜辺に打ち上げられる勢いに合わせて、己の力を発現させた。ハロは波の勢いに乗り、ロックオンの足の間をくぐり抜け、波打ち際に帰還する。

 ずぶぬれになったハロに向かって手を広げれば、ハロはイデアの腕にすっぽりと収まった。防水対策は万全であるが、万が一に備えておくに越したことはない。

 

 ロックオンが安堵したように苦笑する。相棒が波に浚われてしまったら、情報漏えいの危険性があったのだ。

 それを危惧するティエリアがしかめっ面をしていたが、イデアに見られていることに気づくとそっぽを向いた。

 

 

「リリースキャッチ」

 

『カエッテキタ、カエッテキタ』

 

「うん。おかえりハロ」

 

『タダイマ、タダイマ。タスカッタ、タスカッタ』

 

 

 ハロはぱたぱたと耳のカバーを上下させた。そして、イデアの腕から飛び出し、ロックオンの元へと戻っていく。

 

 が。

 

 

『アー!』

 

「またかよ!?」

 

 

 ロックオンが波打ち際にいたのが悪かったのか、また波に浚われてしまったのだった。

 

 

 

 

 

 クーゴ・ハガネの災難は続く。




【参考および参照】
『「サザエさん時空」「ポルナレフ状態」「マミる」…いくつ知ってる “ネットスラング化”した漫画・アニメのキャラたち(2-3) - ウレぴあ総研』より、『ポルナレフ状態』
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