大丈夫だ、問題しかないから。-Blue trajectory- <1st Season> 作:白鷺 葵
「イデア総司令。フラッグ、もしくはフラッグの系譜を継ぐ機体はまだか?」
「ごめんなさいグラハムさん。フラッグ系の機体は出てきていないんですよ。開発もできないみたいで……」
「……そうか」
イデアの言葉に、グラハムはがっくりと項垂れた。クーゴは肩をすくめて天を仰ぐ。
謎の侵略者たちと戦うことになってから、もうこれで30回目のやり取りである。突如現れた
限られた機体数および種類をやりくりし、敵のリーダーを最優先で潰して機体を捕獲する作業と力を磨いて、どうにか戦力も整ってきた。しかし、自分たちの愛機は一向に開発できる見込みはない。現在攻略中の場所が「フラッグ関連の機体が出てくるステージではない」から当然であるが。
先日、戦場に現れたのはアヘッド・スマルトロン。自分たちの世界の機体ではあったものの、フラッグ関連にはかすりもしない。アヘッドと言えば、戦場に何の脈絡もなしに現れたミスター・ブシドーも搭乗していたか。フラッグよりも、そちらの開発ができてしまいそうだ。
いや、フラッグ系の機体が開発/捕獲できたとしても、搭乗できるかどうかは別問題だ。現在、グラハムはゴッドガンダムに搭乗し、切り込み隊長として大暴れしていた。機体とパイロットの相性が良かったためである。何発ゴッドフィンガーを撃ったか、全然思い出せない程に。
というか、そもそも、このクルーの中で、自分の愛機に搭乗できている人間は殆どいない。例としては、百式に搭乗する羽目になったロックオン(兄)や
両者とも、色んな意味で居心地が悪そうである。閑話休題。
「戦力も随分揃ってきたな」
「そうですね。でも、まだまだですよ」
機体とクルーの面々を確認しながら、イデアは首を振った。最初の頃、ボロボロになりながら戦場を潜り抜けた地獄を思い返しているのだろう。
クーゴには、イデアの気持ちがよくわかる。戦力や自身の力を研鑽するためには戦いが必要不可欠だ。だが、その度に、撃墜される危険性とも戦わねばならない。
ただでさえ機体数と種類が限られていたのだ。現在では幅広く(?)開発/生産できるようになったものの、生産費用はタダではない。資金稼ぎも楽ではなかった。
もっとも、開発できる機体数はまだまだ少なかったのだが。
「刹那が体調不良だから、代わりにサブシート付のアヘッド・スマルトロン……もとい、ルイスと沙慈に頑張ってもらうとして……うー……」
イデアは難しい顔をして、端末とミッションを睨めっこしている。スメラギに報告や相談をする前に、色々と考えることがあるのだろう。
しかし、根詰めてもうまくいかない。人間、たまにはガス抜きも必要だ。クーゴは暫し考えて、行動を起こすことにした。
おいしいものは人を元気にしてくれる、とは、クーゴの座右の銘である。何かないかとキッチンに足を踏み入れれば、そこは地獄絵図が広がっていた。
黒い。黒すぎる。鼻を突くような墨の匂いに、クーゴは思わず顔を顰めた。目の前には、肩を落として項垂れるマリーとルイスに、おろおろする沙慈とセルゲイの姿があった。
キッチンには調理道具が散乱している。どこまで乱雑にすればこうなるのだと問いたくなるような有様に、反射的に天を仰いだクーゴは悪くないはずである。
「こ、これは一体……」
聞こえてきた声に振り返れば、大量のフルーツを抱えたグラハムが表情を引きつらせている。
「お前、そのフルーツ、どうしたんだ?」
「日用品を買い出しに行ったときに、丁度安売りしていてな。刹那が具合悪そうにしていたから、キミに協力してもらおうと思って買い込んだのだが……」
黒い煙を吐き出す調理器具を見ていると、彼らが正常に動いてくれるとは到底思えなかった。むしろ、メカニックたちの手による修理が必要なレベルであろう。
彼らは船や機体の修理はお茶の子さいさいだが、日用品についてはどうだろうか。MSと同じノリで大改造を施されたら――嫌な予感しかしない。システムに相談してみるか。
調理器具が無事だったなら、もっと手の込んだ料理が作れたのだが。無いものねだりをしても仕方がない。頭の中で思い描いた料理計画を方向変換させて、クーゴは小さく頷いた。
料理を作るためにも、まずは色々と散乱した厨房を片付けなくてはならない。凹んでしまった女性2人と右往左往する男性2人にその旨を伝えれば、面々は顔を見合わせた。
「汚名返上」、あるいは「名誉挽回」、と言う女性2人の声が聞こえた。2人の発言が嘘ではないことを示すように、男たちは心配そうに彼女たちを見つめる。
「何を作るのかね?」
どこか戦々恐々とした笑みを浮かべて、セルゲイが問いかけてきた。
彼の気持ちは分からなくはない。下手に凝ったものを作ろうとすれば、キッチンが2次災厄によって崩壊することは目に見えている。
これ以上キッチンが崩壊してしまえば、暫く外食に頼らざるを得なくなる。機体の生産やパーツの補充等で資金はカツカツなのだ。
「マチェドニア」
「マチェドニア?」
「イタリア版フルーツポンチ。フルーツ切って、それにレモン汁と砂糖を混ぜて、冷蔵庫で寝かすだけの簡単スイーツ。お好みで白ワインやスパークリングワインなんかを入れてもいい」
ルイスとマリーの問いに、クーゴは簡単に答えた。流し台を使えるほどに片付けて、無事な包丁とまな板をどうにか引っ張り出す。どちらとも万全な状態だとはいえないが、真っ二つに折れたり、包丁の刃が曲がっていたり、包丁の刃がまな板に突き刺さっていたり、まな板が真っ二つになっているよりはマシだろう。
うんうんうなっていたイデアの顔を思い浮かべる。なるべく早く休憩してもらいたい。マチェドニアは冷やさなくても食べることはできるが、冷やした方がより一層おいしくなるのだ。どうせ食べてもらうなら、より一層おいしい方がいい。冷蔵庫を漁ってワインや炭酸飲料を見つける。未成年用には炭酸飲料を入れるつもりであった。
大量のフルーツを一口大にカットする――料理について疎いルイスやマリーでも何とかなりそうだと思ったらしい。かろうじて無事だった包丁とまな板を回収し、意気揚々とフルーツを切っていく。沙慈とセルゲイはハラハラした表情で、乙女2人の調理を見守っていた。そこまで心配せずとも、と思いかけ、先程の参事が鎌首をもたげる。
先程の二の舞を踏む危険性が無きにしも非ずである。いくら火を使わない調理法だとはいえ、ひしゃげた包丁や裂けるように割れたまな板の姿が頭から離れない。
クーゴと共にフルーツカットに勤しむグラハムも、ちらちらと女子2人に視線を向けていた。無事に作業が終わってくれれば万々歳である。
*
憂いだらけの料理作りだったが、どうにかうまくいったようだ。小奇麗に盛り付けられたマチェドニアを見て、クーゴは満足げに頷いた。
ルイスは意気揚々と沙慈にマチェドニアを食べさせている。俗にいう「あーん」だ。沙慈はデレデレしながらスプーンに乗ったフルーツを咀嚼し、そのおいしさを絶賛していた。
対して、マリーはマチェドニアを可愛くラッピングしている。花が咲いたような笑顔は、マチェドニアを貰って喜ぶアレルヤの姿を思い浮かべているが故だろう。セルゲイが複雑そうにしていた。
白ワインとスパークリングワインを注いだマチェドニアは、光源によってきらきらと輝いている。まるで宝石箱のようだ。この見た目なら、イデアの目を楽しませることはできるだろう。喜んでくれたらよいのだが。
グラハムも自分の作ったマチェドニアに満足したようで、いそいそとお膳に乗っけていた。奴はそのまま、刹那の部屋に直行するのだろう。体調が悪そうにしていたのだから、少し休ませてやればいいのではないかとクーゴは思ったが、首を振る。
おそらくグラハムだってそのことは分かっているのだろう。わかっているから、傍にいたいのではなかろうか。大切な人が弱っていたら、何か力になりたいと考えるのが人間の――特に、面倒見のいいお人よしの性というものだ。
できる限りキッチンを片付け、システムに連絡する。後の処理はシステムが頑張ってくれるであろう。
でなければ困る。いろんな意味で困る。節約云々の意味で、だ。イデアとスメラギが頭を抱える図が浮かんでは消える。
「大佐と一緒に複座MSで戦いたかった……」
「教官と相乗りしてみたかった……」
廊下の途中で、燃え尽きたボクサーみたいな気配を背負ったコーラサワーとネーナが項垂れていた。結構最初の頃から2人は同じことを所望していたようだが、作戦や大人の事情的な方面で却下されていたらしい。
ネーナの兄たちも「どうしたもんか」と言いたげに顔を見合わせている。クーゴはお膳の上に載せていたマチェドニアに目を向けた。いざというときのために、と、余分に作っておいて正解だった。
「元気がないときはおいしいものを食べるといいらしいぞ」
クーゴがそう言ってお膳を指し示せば、ネーナとコーラサワーが弾かれたように顔を上げた。
2人はわ、と、目を輝かせる。全員にマチェドニアをあげれば、興味津々にスプーンでフルーツを咀嚼した。
「うまいな、これ!」
「おいしい!」
絶賛の嵐がクーゴに直撃した。相変わらず、べた褒めされると萎縮してしまう。長らく褒められ慣れていないためだろう。けなされたり嫌がらせされたりするのは慣れていたが。
賑やかさを取り戻した面々と別れ、クーゴはブリーフィングルームへ足を踏み入れた。相変わらず、イデアは頭を抱えて唸っている。切羽詰った横顔は、彼女が相当追いつめられていることを意味していた。
「元気がないときはおいしいものを食べるといいらしいぞ」――先程ネーナやコーラサワーにかけた言葉を繰り返し、クーゴはマチェドニアをテーブルへ置いた。突如伸びてきたてとマチェドニアにつられるような形で、イデアは顔を上げる。
紫の瞳がマチェドニアを捉える。何も視えぬはずの目は、宝石のように輝くスイーツを『視た』らしい。ぱあっと表情を綻ばせ、クーゴに礼を述べた。マチェドニアに舌鼓を打つイデアを見ていると、なんだか心の中が温かいもので満たされていくような気がする。
「おいしいです。やっぱり、クーゴさんは料理上手ですね」
「褒めても料理しか出ないぞ?」
「おいしい料理が出てくるから充分です」
イデアはホクホク顔でマチェドニアを食べ進めた。白ワイン入りのものも、スパークリング入りのものも、ソフトドリンク入りのものも、彼女のお眼鏡/味覚にかなったらしい。
やはり、イデアは笑った顔が良く似合う。クーゴはゆるりと目を細め、フルーツを咀嚼するイデアを見守っていた。
◆
ウイングガンダムゼロ。それが、刹那が現在、エクシア/ダブルオー/クアンタの代わりに搭乗しているMSである。搭載されたゼロシステムの効果により、機体を操る彼女の能力は大幅に上昇していた。
しかし、ゼロシステムはいいことづくめではない。操縦者に多大な負荷をかけるそれは、確実に、パイロットにダメージを与えていた。今回の体調不良も、ゼロシステムが影響していることは察するに余りある。
刹那の部屋の前まで来たグラハムは、静かに息を吐いた。自分の奥底から顔を出そうとする邪念をすべてねじ伏せ、扉をノックする。
「私だ。部屋に入っても構わないかね?」
「……ああ。少し待ってくれ。今、開ける」
返事が帰ってくるまで、若干の間があった。気のせいでなければ、声にも覇気がない。普段から抑揚のない喋り方だけれども、儚げな響きは一切していなかった筈なのに。
やはり、ゼロシステムのダメージは大きいようだ。グラハムがそんなことを考えたとき、扉が開く。自分を迎えるように立っていたのは、この部屋の主――刹那だった。
普段は強い意志を宿している赤銅色の瞳は、どことなく虚ろだ。彼女の体に沢山の重しがついているように『視えた』のは、きっとグラハムの気のせいではないのだろう。
動作の鈍い刹那を見たのは初めてだった。
立っているのさえ辛そうな――それでも立とうとする彼女を制し、ベッドに座らせる。
「果物を持ってきたのだが、食べられるか?」
グラハムの問いに、刹那はのろのろと顔を上げた。彼女はじっとマチェドニアを凝視していたが、ややあって、か細い声で呟いた。
「……貰おう」
受け取るのさえ億劫らしく、動作は緩慢である。これは、グラハムが食べさせたほうが早そうだ。
「私が食べさせようか。ほら」
「――――……」
スプーンにフルーツをすくって、刹那の前に差し出す。あまりのことに刹那は面食らったようで、顔を赤らめた。恥ずかしいのだろう。そんなところが可愛らしい。
無言の攻防戦を暫く続けた後、敗北したのは刹那のほうだ。観念したように息を吐いて、差し出されたフルーツを咀嚼した。味が気に入ったのか、ふっと表情が緩む。
彼女につられるような形で、グラハムも頬を緩ませた。たまには悪くない。何かを愛おしく思うというのは、こういうことなのだろう。ひっそりと噛みしめる。
途中で些細なすったもんだがあった(やはり自分で食べるから、と言う刹那に、食べさせようとするグラハムの攻防)が、最終的に、刹那はグラハムに食べさせてもらう形で完食した。そのためか、彼女の機嫌は少々斜めである。
さて、どうしたものか。グラハムが考えていたとき、不意に、服の裾を引かれた。何事かと刹那のほうを向けば、彼女は俯いたまま。その眼差しは、あらぬ方向に向けられていた。赤銅色の目は焦点があっていない。
彼女は今、何を『視て』いるのだろうか。得体のしれぬ寒気に、グラハムは体を震わせた。
「終わらない」
刹那はぽつりと呟いた。
「争いが、終わらない」
赤銅色の瞳に浮かんだのは、絶望。
「世界は、何も、変わろうとしない……!」
どろりと濁った瞳を目の当たりにした途端、グラハムは反射的に刹那を抱きすくめていた。
あまりにも遠い場所を見つめ、そこへ向かってゆく彼女の大きな『愛』を、グラハムは知っている。世界全体に向けられた想いの大きさと深さを見ていると、自分たちが矮小なものに見えて情けなくなるほどだった。
だから、だろう。今の彼女は、目を離すと、誰の手にも届かない場所に消えてしまいそうな気がしたのだ。……もっとも、グラハム如きのようなちっぽけな男が、彼女を繋ぎ止めていられるとは到底思えないのだが。
「刹那」
腕に力を込める。彼女の名前を呼びかける。何度か呼びかけると、彼女はひどく驚いた様子でグラハムを見上げた。赤銅色の瞳が瞬きを繰り返す。グラハムの鬼気迫る表情から何かを察したようで、刹那は申し訳なさそうに視線をさまよわせた。
ゼロシステムは刹那に何を見せたのか。グラハムには知る由もないことで、けれどそれ故に、何もわかってやれない自分が歯がゆく感じる。自分にできることは、ただ、システムによって壊されそうになる刹那の心を、現実に引き留めることのみ。
あの機体をどうこうするためには、何としてでも自分たちの愛機――もしくは、その系譜に関わる機体を入手することが先決だろう。しかし、先に進むためには戦力を揃えなくてはならない。そのためには戦う必要がある。戦うためにはあの機体に搭乗する必要があり……なんて堂々巡りだ。
グラハムがぐるぐる思考回路を働かせていたとき、胸元にある刹那の頭がかすかに動いた。甘えるように、控えめだけれど、すり寄ってくる。
本当に珍しい事態だ。グラハムは刹那にばれぬよう微笑むと、愛おしさに任せて彼女の頭を撫でてやる。刹那はグラハムの胸に顔をうずめてしまった。
顔が見れないのは残念だな、なんて、グラハムは場違いなことを考えた。
*
「……すまなかった」
どうにか立ち直った刹那は、居心地悪そうにそう言った。
「いいや、気にしていないよ」
グラハムは快活な笑顔で彼女の言葉に応える。実際気にしていないし、むしろ、刹那が自分に甘えるような仕草を見せてくれたことがうれしい。
刹那・F・セイエイは強い女性だった。決して折れぬ意志を持ち、戦争根絶という目的のために突き進む。迷うことのない横顔が、脳裏に浮かんでは消えていく。
こんなことなど滅多にないだろう。弱ったキミもいいなあ、などと、不埒なことを考える己を(脳内で)ぶん殴った後、グラハムは取り繕うように咳ばらいした。
また、控えめな力で服の袖が引かれる。
何事かと刹那を見れば、彼女はぽそぽそと呟いた。
「誰かに物を食べさせてもらったり、甘えたりしたのは、久しぶりだった」
刹那の言葉に、グラハムは目を見開いた。
確かに彼女は少年兵として戦っていたようだし、両親とも死別していたらしい。幼い頃に死に別れたのだ。甘え方を知らないのも、覚えていても甘えられないのも頷ける。
視線を逸らした赤銅の瞳は、「嫌ではなかった」と雄弁に語っている。嗚呼、やはり彼女は可愛らしい。グラハムは彼女を抱く腕に力を込めたのだった。
◇◇◇
「はは、ははは、あはははははははははははっ!!」
高笑いする親友の目は、どろりと濁っている。あれは、ゼロシステムに触れた人間が陥る現象だ。システムが齎す情報に、精神が耐えきれなくなっているのだろう。
しかし、そんなシステムはこの世界に存在していないはずだ。グラハムは恐る恐る、親友に問いかける。親友は不気味な笑みを浮かべると、1つのマイクロチップを指示した。
「ゼロシステムだよ。このおかげで、僕の思考回路は広がったんだ! まだ全貌は解明できていないけど、いずれは……!」
親友は笑いながら、自分の目標を話し続ける。このシステムをすべて解析し、ガンダムが使った『特殊粒子を使った時間制限有の高速戦闘』を再現するつもりらしい。
それをフラッグの後継機に搭載するのが、彼の目的になっていたようだ。ユニオンの技術的権威が失墜したという話は耳にしていたけれど、彼を追いつめる要素になっていたとは思い難い。
グラハムの脳裏に浮かんだのは、高笑いする親友の後ろ姿。
普段の彼であったら、そんなこと考えなかっただろう。
ゼロシステムは、人格面にもじわじわと影響を及ぼしている。
同じように、ゼロシステムの齎すデメリットに晒されていた人間がいた。戦力が整わず、先に進むためには、翼の生えたガンダムで戦い続けなくてはならなかった刹那。
本来なら、彼女はソレスタルビーイング製のガンダムに搭乗しているはずだった。しかし、状況が状況だったため、機体をえり好みできなかったのである。
器が大きく強い意志を持っていた刹那ですら、ゼロシステムに飲まれそうになったのだ。心を壊されそうになっていたのだ。
そんなシステムに――MS研究に長けた技術者とはいえ――ただの一般人が触れたらどうなってしまうか、火を見るよりも明らかだ。
誰が、そんなことを。
グラハムは恐る恐る問いかける。
「そのシステムは、誰から……?」
親友はにっこりとほほ笑み、提供元である女性の名を告げたのだった。
【参考および参照】
『COOKPAD』より、『簡単マチェドニア☆お子様もOK by きまらむたき(きまらむたきさま)』