ノー格ゲー・ノーゲーム   作:茅倉 遊

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いやぁ~、≪三連休≫とは良い物ですね♪
課題も終わりましたし、優雅な休日が・・・・
という事で、さっそく執筆活動の方をスタート(汗)
―――それでは、どうぞ!


英雄《クラウン》

 ルーシア大陸、エルキア王国―――首都エルキア。

 赤道を南におき、北東へと広がる大陸、その最西端の小さな国のまた小さな都市。

 神話の時代においては、大陸の半分をもその領土とした国も、今や見る影もない。

 現在、最後の都―――その首都を残すのみとなっている小国であり。

 ―――もっと正確にいえば。

 人類種(イマニティ)の最後の国でもある。

 

 

 

 最初の印象―――『典型的なファンタジー世界』の街並み―――とは、少し違った。

 ―――街は、戦争が禁止され、壊されないからだろうか。

 ローマ建築、古典建築、バロック建築と似た建物が混在していた。

 街路は舗装されているものの、走るのは馬車で、遠く港には三本マストの帆船。

 蒸気機関すら発明されていないと見える。

 更に遠く見える山に作られた段々畑は、都市の様式と比べてすら古い農作法だった。

 ―――戦争をしない反動がここに出ているのだろう。

 戦争は『化学』を加速させ、肥料や燃料に依存する技術を躍進させる皮肉な面を持つ。

 この世界の人間には、『大量生産・大量消費』という概念が無いのだ。『産業革命』すら知らずに、現代を生きているのである。

 つまり、≪異世界人≫から見れば『時代遅れの国家』であった。

 

「ルネサンス中期のヨーロッパ、か。工業革命で空が汚れる前の・・・・綺麗な街だ」

「『奪い合う物』や『奪い合う技術』すら、まだ≪明確なモノ≫が無い時代」

 青年、黒城蒼志(こくじょう そうし)の言葉に答えるのは、まだ幼い少女の外見をした≪機械娘(きかいっこ)≫、シェリア。

 もちろん、二人とも≪この世界(ディスボード)≫の住人ではない。

 蒼志は人間ではあるが、≪異世界人≫という肩書きを持つ。その隣に立つ少女も≪異世界人≫だが、≪人間≫ではない。

 彼女は―――≪機甲種(メカニクル)≫という≪異世界の種族≫。

 見た目は中学生程度の少女だが、その実年齢は≪2歳≫である。・・・・当然だ。≪2年前≫に製造されたのだから。

 ≪元いた世界≫で出会った≪この二人≫は、パッと見―――≪兄妹≫に見えるだろう。

 しかし、≪この二人≫は実際のところ―――≪夫婦≫なのだ。

 ・・・・おっと、『通報する』のはちょっと待って欲しい。こっちにも言い分がある。

 ≪話せば長くなる≫ので詳細は控えるが、訳あって≪夫婦になった経歴≫が確かに存在しているのだ。

 【とある条件】をクリアするために―――

 

「俺たちの≪元いた世界≫の方が、人間たちの文明が進んでるな・・・・」

 蒼志《そうし》たちが≪元いた世界≫では、人間の街でも『車』や『電車』、『地下鉄』も走っていた。蒼志たちがいた世界も≪SF世界≫だったので『旅客機』は無かったが、『小型の飛行機』は存在していたのである。それに―――

「ここまで≪詰んでる≫訳でも無いしな・・・・」

 そう。僅かに『都市一つ』しか残っていない≪この世界の人類≫に比べ、≪蒼志たちの世界での人類≫は『大国』を幾つも所有し、≪他種族≫とも『互角に渡り合っていた』のだ。

「でもそれは、≪向こうの世界の人類≫が―――【魔法】を使えるから」

「そういや≪こっちの世界の人類≫は、【魔法】が使えないんだったな。・・・・ホント、不便な設定だぜ」

 シェリアの言葉に、蒼志も肩を竦めながら同意する。

 恐らく、それが『一番の原因』。≪SF世界≫での『文明発達』には、必ず【魔法】が必要だ。だからこそ、それ(魔法)が使えない人類は、『文明発達』が厳しいのである。

 しかし―――、まだ≪分からない事≫がある。

「なぁ、シェリア」

「・・・・ん?」

 蒼志はすぐ隣にピッタリと並んで立っている可憐な少女、シェリアに問い掛ける。

 

「何故に、この街では―――『デモ』が起こっているのでせうか?」

 

 蒼志はこの街に着いてから、ずっと思っていた疑問を口に出す。

 そう。この街は現在、罵詈雑言が飛び交う―――『デモ隊』で埋め尽くされていた。

「・・・・さぁ?」

 8000年という歴史を持つ≪機甲種(メカニクル)≫の『最新技術の結晶』であり、『最高傑作』の≪シェリア≫ですら首を横に振る。

 そんな疑問の答えを導き出せる程、蒼志は優れた人間ではなかった・・・・

 

 

 

 

 

 エルキア王城前大広場。

 そこにて今、蒼志《そうし》とシェリアは悩んでいた。

「こういう場合ってさ、普通は正面玄関から入るよな?」

「でも、恐らく入れてくれない」

 蒼志の質問に、シェリアはふるふると首を左右に動かす。確かに、≪身元不明の不審者》を易々と入れてくれる程―――『王城の警備』は甘くないだろう。

「だったら、やっぱり≪あれ≫か?」

「≪あれ≫しかないと思う」

 二人でコソコソと話しているように見えるが、此処は大広場の中央。広場のど真ん中である。そんな場所で蒼志は・・・・

「じゃあ、『王城』に―――≪不法侵入≫するか!」

 両手を広げ、大声でそう告げるのだった。

 

『―――――ッ!?』

 広場に集まっていたデモ隊の人々が、一気にその視線を蒼志《そうし》たちに向けた。まぁ、当然だ。こんなに堂々と、『≪犯罪≫の宣言をしているヤツ』を気にしない者などいないだろう。

「ソーシ。別に宣言する必要は無いと思う」

「いいんだよ、これで。≪観客(オーディエンス)≫が居た方が盛り上がるだろ? 何たって・・・・」

 蒼志は自分たちに視線を向けている観衆、≪観客≫の目の前で一礼する。

「俺たちが≪この街(エルキア)≫に来たって事を、此処に居る全員に知らせて置くべきだ」

 すると蒼志は羽織っていたローブから、≪左腕と両足≫を覗かせる。そして、蒼志は微笑みを浮かべる。

 

 刹那―――蒼志の≪左腕と両足≫の、≪全ての皮膚≫が消し飛んだ。

 

 正確には、皮膚に似た≪合成樹脂が剥がれ落ちた≫のだ。いま蒼志の左腕は≪肩から指先≫に掛けて、両足は≪膝上から爪先≫に掛けて、全てが≪鋼鉄色(ステンレス)≫一色に染まっている。

 まぁ分かりやすく言うと、蒼志の≪左腕と両足≫は―――≪義手と義足≫だったのだ。普段は≪皮膚に似た色を持つ合成樹脂≫を塗りたくっているので、≪義手と義足≫だとバレる事はほとんど無いのだが。

「ソーシ。【魔法】を使うの?」

 隣で微動だにせず立っていたシェリアが、ここで蒼志に問い掛ける。

「いや、そのつもりは無いぜ。ただ≪観客≫に・・・・」

 すると、蒼志は≪観衆≫たちの方に振り返る。そして、

 

「―――これから貴方が目撃するのは、それを見た瞬間、身の毛の弥立つような『恐怖の疼き』を味遭わせる事でしょうっ! ・・・・ってね♪」

 

 その言葉を言い終えると、蒼志は大きく≪跳躍≫した。

 ・・・・・その高さは―――≪地上30メートル≫すら、軽く超えていたのだが。

 たった一回の跳躍で、地上から≪40メートル≫程の位置にある王城の壁に、蒼志《そうし》たちは辿り着いていた。さらに蒼志は空中で体勢を整えると、自身の左腕を大きく引き絞った。

 そして―――

「・・・・おらっ!」

 足場の無い空中だが、一切そんな事を感じさせない程の力強い≪左ストレート≫を放つ。・・・・王城の壁に。

 肩から先の全てが≪義手≫である蒼志の左腕は、たった一撃で≪簡単に≫王城の壁を貫いた。

 そうして出来た穴から、蒼志とシェリアは王城の中へと侵入するのだった。

 

 

 

 適当に侵入したつもりだったのだが・・・・

「礼拝堂だっ!」

「ソーシ。それは『カリオ○トロの城』でのワンシーンです」

 蒼志《そうし》のボケに、シェリアが適切な突っ込みをしていた。実際、この場所は礼拝堂ではなく―――

 ―――エルキア王城、謁見の間。

 蒼志たちは偶然にしても、些か≪タイムリー過ぎる場所≫に来てしまっていた。

 

 何故、≪タイムリー過ぎる≫のか? 簡単だ。

 ≪偶然にも、目の前に『人類種(イマニティ)の王』が居た≫のだから。まぁ、探す手間が省けて助かった訳だ。

「よぉ、元気にしてた?」

 蒼志は表情に笑みを浮かべながら、目の前に立つ≪キングとクイーン≫に一礼する。その隣では、シェリアがスカートの端を軽く摘まんで持ち上げる、淑女の一礼をしていた。

 ここまでの出来事を全て把握している蒼志たちなら理解できるが、先ほど≪怪異≫に襲われたばかりである人類種の王、≪『  』(くうはく)≫にはまったく理解出来ていない筈であった。

 しかし、蒼志たちはそんな事など御構い無しに話を進める。

「人の出会いってのは、≪運命≫で決められてるのかもしれねぇ~な? こんなに早く出会えるとは思って無かったぜ、『  』さん!」

「私たちが≪幸運≫なのか、あなた方が≪不幸≫なのか。どちらでしょうか?」

 一礼から体勢を戻し、蒼志とシェリアは互いに隣り合って並び立つ。

 そんな≪二人(蒼志とシェリア)≫の姿を見た≪二人(『  』)≫は・・・・

 

「―――いや、まず≪お前ら≫誰だよ? ってか何、―――バカなの? 死ぬの?」

「・・・・にぃ、引用の多発は・・・・NG」

 

 蒼志たちに、思いっ切り白い目を向けるのだった。

 

「あれ? その反応は何ですかね?」

「恐らく、当然の反応」

 

 ただ茫然と立っているだけの蒼志とシェリアは、少し脱力しながら小さく呟くのだった。

 

 

 

「それでアナタ方は、いったい≪どのようなご用件≫でいらっしゃったので?」

「い、いったい、何の騒ぎですのっ!?」

 すると、『  』(くうはく)の隣に立っていた≪女性陣≫が口を開く。

「わざわざ壁を壊してまでいらっしゃるとは、とても重要な案件をお持ちなのでしょう♪ さぁ、早く申し上げてください」

 一人は、頭上に幾何学的な光輪を廻す少女。光を乱反射し色を変える長い髪と、腰に憑いている翼が印象的だ。

 ・・・・いや、訂正しよう。―――人外的である。

 琥珀色の瞳を持った端正な顔立ちが、幻想的なまでに美しい少女だった。

「な、何ですのっ!? 王城の壁に・・・・穴っ!?」

 そしてもう一人は、赤い髪と対比的に青い瞳を持つ少女。

 育ちの良さが窺える雰囲気を纏った少女は、驚愕に打ち震えているようである。

 

「とりあえず、質問には答えとくぜ。なに、『ただの暇つぶし』だ。安心しろ」

「右に同じ」

 蒼志《そうし》の言葉に、シェリアはこくりと頷く。

 ・・・・まぁ基本的に、シェリアが蒼志と違う意見を持つ事などほとんど無いのだが。

「では、そのただの『暇つぶし』のために≪マスター≫の貴重な時間を奪ったと?」

 少女の言い方から見るに、≪マスター≫とは≪『  』(くうはく)≫の事だろう。恐らくこの少女は、『  』の≪従者≫なのだ。

 物言いからして、たぶん・・・・怒っている。

 では、ここで少し―――『火に油を注いでみよう』。

 

「いやぁ~、それがさ! 田舎から出て来てみれば、何と≪人類種(イマニティ)≫の皆さんが揃ってデモの行進中だったんだぜ? 普通は驚くだろ? それに詳しく聞いて視たら『人類種の王である≪空白≫さんが、勝手に≪人類種のコマ≫まで賭けて―――≪獣人種(ワービースト)≫にゲームを挑んだと・・・・。ちょ~っと、やり過ぎなんじゃね? ≪ハゲザル≫さん♪」

 

 『―――――っ!?』

 蒼志《そうし》の言葉を聞いて、この場に緊張が走る。主なのは≪空白≫と≪二人の少女≫のモノだが。

「これは失礼しました。どうやら貴方様は、本気で頭が可笑しな方だったようだすね。真面な会話を要求してしまった事をお許し下さい」

 そう言ってまず最初に口を開いたのは、≪人外の方≫の少女。

「ですが安心して下さい、貴方様にも出来る事が御座います。出口はあちらですので、今度はドアからご退場をお願いします。それ程の事なら可能でしょう?」

 優雅に一礼しながら口を開く少女に、蒼志はただゆっくりと口を開いた。

「悪いが、それは出来ない。人類種の王・・・・≪空白≫の、その≪首≫頂戴いたす!」

「ソーシ。拳銃を抜きながら、そのセリフは可笑しい」

 蒼志が右手で【マットブラックの拳銃】を、提げていた腰のホルスターから抜き取る。しかし蒼志の言葉と行動に、シェリアは可愛らしく首を傾げるのだった。

 

「―――≪誰に≫拳銃を向けているので?」

 

 この場に、先ほど以上の緊張感が走る。人外の少女が放つ、底知れぬ威圧感で辺りが静けさに包まれた。

 今、蒼志とシェリアの目の前に立つ少女は、【中型のオートマチック式拳銃】一本で如何にか出来そうな程の存在を遥かに凌駕している。もはや、今すぐこの場から走って逃げだすのが≪一番の策≫に思えてしまう。

「それでは、私がゲームを≪仕掛けて≫差し上げます」

「・・・・いいのか、『仕掛ける側』で?」

 この世界では、『仕掛けられた側』が≪ゲーム内容≫を選択できるのだ。つまり『仕掛けられた側』が、≪格段に有利≫。

 それでも少女はその表情に微笑みを浮かべながらゆっくりと頷き・・・・

「はい♪ 貴方自身で、その身にあった≪無様な死に方≫を選んで下さい♪」

 云ってる事は末恐ろしいが、彼女の表情は変わらない。

 ・・・・それじゃあ、

 

「この世に≪必勝のゲーム≫なんてねぇーよ。この世に在るのは―――≪必勝の策≫だけだ。今からそれを教えてやるよ、人外さん?」

 

「えぇ、その通りかもしれませんね。しかしこの世界では、≪ゲームは始まる前に終わっている≫。それが我がマスターの教えですので♪」

 本気で人外と勝負を挑もうとする青年と、すでに勝った気でいる少女の視線が激しく交差するのだった。

 

 

 

「俺が提案する≪ゲーム≫は、≪実戦型対戦格闘ゲーム≫―――通称、≪格ゲー≫」

 

 蒼志《そうし》は≪鋼鉄色(ステンレス)、一色に染まった左腕を差し出しながら口を開く。

「ルールは簡単。ゲーム方法は≪何でもアリ≫で、≪戦闘継続不可能になった方≫か≪敗北を認めた方≫の負けだ。もちろん、勝敗が決まるまでTKOは一切無い。腕が飛ぼうが足が飛ぼうが関係無い。【盟約、その三】で≪ゲーム内容≫は自由だからな・・・・。≪ゲーム内≫の これら(斬る・撃つ・殴る・蹴る) は、≪殺傷≫には含まれない。何故ならこれらは、ただの―――≪攻撃コマンド≫だからだ」

 ここにまで説明した処で、ようやく≪人外の少女≫は気付いた。

「どぅ~ゆ~、あんだすたん?」

 おどけた口調で尋ねてくる蒼志に、少女が感じた事は≪たった一つ≫。

 

 ―――コイツ(蒼志)は、≪本物のバカ≫だという事。

 

「位階序列、第六位の≪天翼種(フリューゲル)≫を相手に―――≪実戦型対戦格闘ゲーム≫で挑まれると? どうやら、そんなにも≪惨めで哀れな死≫を望むようですね」

「ったく、イイだろ別に。こっちは、≪俺一人≫で戦うんだからな」

「お連れの方を守るため、自らを犠牲にする覚悟ですか? とても良い心掛け、感服致しました。では私、『ジブリール』は≪左腕一本≫で相手をして差し上げましょう。そうすれば≪数秒≫は持つでしょうから♪」

 蒼志の言葉に少女、―――ジブリールは某国民的アニメの敵キャラのようなセリフを返してくる。

 どうやらこの≪人外ちゃん(ジブリール)≫は、日本のアニメーションを詳しくは知らない様だ。

 何故なら―――、

「そのセリフ・・・・俺たちの業界じゃ~、≪死亡フラグ≫扱いだからね♪」

 

 もしこれが≪チェス≫なら、蒼志のこのセリフが―――≪チェックメイト≫を表していただろう。

 

 

 

 

「それにしても、誠に親切な≪ゲーム≫で御座いますね。ゲーム開始前から≪殺害許可≫を頂けるなんて♪」

「≪戦闘継続不可能になった方≫の負け。確かに、≪相手を殺害≫するのも≪勝利条件の一つ≫な訳だ。それで、そっちは何を賭ける? この世界じゃ~【盟約】その3で、『ゲームには、相互が対等と判断したものを賭けて行われる』ってのが在るんだろ?」

「えぇ、その通りです。ですが、こちらが要求する筈だった≪殺害許可≫はすでに貰っているので・・・・要求するモノと云われましても、何一つありません。ですので、そちらの≪機凱種(エクスマキナ)≫の所有権でどうでしょうか?」

 ジブリールは、その表情に晴やかな笑みを浮かべ話を進めていく。

 すでに『自分が勝った』気でいるのだろう。・・・・だが、

「悪いが、≪俺の嫁≫を渡す訳にはいかねぇーな。ますますこのゲーム、『俺が勝つしかねぇー』訳だ♪」

「言いたい事が山のように有りますが、まぁよろしいでしょう。貴方様は≪人類種(イマニティ)≫ですらない、哀れな下等生物ですから」

 ≪盤上の世界(ディスボード)≫において、≪最下位≫である筈の人類種よりも劣る。ジブリールは確かにそう告げたのだ。

 目の前に立つ、―――≪異世界人≫の蒼志《そうし》に向かって。

「『前者(人類種ではない)』は、当たってるぜ。だが、『後者(哀れな下等生物)』はハズレ。少なくとも、自分はそう思ってる」

「はい、≪自己の過剰評価≫は至って≪自然な思想≫だと存じて下ります」

 ジブリールは蒼志に向かって、スカートの端を摘まみながら一礼する。まるで最後の言葉を告げるように。

「アンタの≪他人を過剰に見下す≫のは、全く以て≪自然な思想≫じゃねぇーぞ」

 それを冷やかな視線で見詰めながら、蒼志はゆっくりと口を開く。

「ちなみに、さっきの『≪人類種の王(空と白)≫の命を頂く』ってのは冗談だ。こっちの要求は・・・・」

「遺言を残すつもりなら、紙と筆を御用意しますが?」

 

「―――少し黙れよ。≪堕天使モドキ≫」

 

 刹那、この場に≪戦慄≫が走る。

 ジブリールですら、その身に確かに感じたのだ。その他である空と白や、人類種の少女も感じた。

 確かな、―――≪恐怖≫。

 可笑しな話だ。『神に創られた破壊の化身』が、たかが≪人間≫に恐怖するなど。

 だが、確かに感じたのだ。紛れも無い≪恐怖≫を・・・・

「貴方様は、いったい≪何≫なのでしょうか?」

 天翼種(フリューゲル)であるジブリールは、その身に感じる恐怖以外の感情、≪好奇心≫に従って問い掛ける。

「どうでもいいだろ、そんな事。それよりこっちの要求な。とりあえず、俺たちは田舎から出て来たばかりでな。さすがにシェリアも居るんで、野宿は避けたいんだ。出来れば、『今夜泊まる宿が欲しいな、と考えてる』」

「成程、『宿を提供しろ』との要求で宜しいので?」

 ジブリールの言葉に、ニッコリと笑顔で応じる蒼志《そうし》。

 ―――なんてことはない。

 『しばらくタカらせろ』と言いたいわけだ、この人間は。

 しかしこの人間は、≪本当に何も分かっていない≫。

 人の身で、この『神に創られた破壊の化身』に挑もうとは―――

「いいでしょう、貴方様の勝ちは≪万に一つ≫も御座いませんので。それでは【盟約に誓って(アッシェンテ)】」

「だったら、≪億に一つの可能性≫にでも掛けてみようかな? こっちも【盟約に誓って(アッシェンテ)】だ」

 

 いよいよ、≪ゲーム≫が始まる―――――

 

 

 

 

    Go for the next again!!!

 

 

 

 

 

 




どうでしたか?
感想等、書いて頂けると嬉しいです。

それから、この物語は≪原作の3巻辺り≫からスタートしています。アニメもいい感じに追い付いて来ている(『デモ』が起こっている辺り)ので、アニメだけ知っている方も楽しんで読んで観て下さい♪

 それでは、また近い内に―――
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