前回に引き続き、沙耶視点からのスタートです。
それではどうぞ!
───どのくらい、気を失っていたのだろうか。
気絶していたせいか、霞がかった頭を強引に目覚めさせた私は、辺りを見渡す。電灯は付いていないが何処かの部屋に居る事は辛うじて理解した。
自分が今何処に居るのかを確かめる為に動こうとしたのだが、自分の両手足は何かに固定されているかのように全く動かない。一体何故なのかと逸る鼓動を抑えながら首を下に向ける。
「ん……え? 何、コレ…?」
下に動いた視界に入って来た、自分の両手足が動かない原因を理解してしまう。私の両手足は土のような何かで完全に固められており、それも尋常ではない硬さなのか人の力ではどうにも出来なかった。
自分の身に一体何が起きたのか、と気絶から復活したばかりの頭で昨夜の事を必死に思い出す。昨日の夜の帰り道、二十歳前後の女性が次々と消息不明となっているという不穏なニュースをラジオで聞いた後の事。
一人で帰っている最中にそんなニュースを聞いた私は足早にその場を後にしようとした時、人の形をとる土の塊達に囲まれて気を失った所まではなんとか思い出せた。しかし、思い出せたのはそこまで。
そこから先の記憶は気を失っていた影響もあって全く覚えていない。それでも、微かに覚えていた事があった。気絶する前に何かを聞いたような気がしたのだ。
「えーと……確かあの時、まちけんとは違う男性の声が聞こえたような……」
私が聞いた声は幼馴染みの燈真と違う……もっと何か身の毛がよだつもの。身体ごと舐められるような、ねっとりしたような、一言で表現するならおぞましい。そんな声だった。
私にこんな事をしたのは一体誰なのか。その答えは探すまでもなく
そして、犯人と思しき人物を見た私は思わず声を上げてしまった。何故なら、そこに居たのは…
「た……多賀野、くん?」
「嗚呼、気がついたんだね? 御劔さん」
同じ会社に務めてる同期の一人である多賀野その人だったからだ。猫背で肥満体型なのは入社時から変わらない、ある意味彼のトレードマークなのだが、その中でも唯一変わった事がある。
暗がりでも存在感を示しているように多賀野の首筋に薄らと鍵穴の様な何かが見えており、更に、多賀野の右手には歪な形の鍵のようなものが握られていた。
一体コレはなんなのか、と問い詰めるより前に自分をここまで連れてきたのが彼だと分かってしまう。直感ではなく、彼だと確信を得て。
「駄目じゃないか、大人しくしてなきゃ。君の事は僕が守ってあげるんだからさ」
「……多賀野君。貴方は何が、目的なの? こんな事して…」
そう問いかけるも、彼は何も答えない。何も言わずただゆっくりと、右手に持つ歪な鍵を構え始めていた。その鍵からは単なる鍵とは思えないくらいに強い何かを感じる。鳥肌がそそり立つ程に。
多賀野は展開状態にある禍々しく歪な鍵を躊躇う事無く首筋にある鍵穴のような何かに差し込み、回した。すると、私の目の前で彼の身体が変化していく。
まず、差し込まれて回された鍵からは何かが飛び出し、彼の身体に乗り移る。そして、彼の肉体を土の色をより濃くした体表と装甲を持つ化物へと変化させた。その右手には身の丈以上の大木槌を持っている。
目の前で知り合いが化け物になった光景を目の当たりにした私は、身体の底からとめどなく溢れてくる恐怖で完全に強ばってしまった。そんな事もお構いなしに、多賀野だった化け物───『ノームフォルズ』は酷く下品な笑い声を上げる。
『嗚呼、そうそう。言い忘れてたんだけどね? 僕、多賀野の名はもう棄てたんだ。正直言って、多賀野って名前は嫌いだった。今までの人生もそうだった。皆から散々弄られて、女性達からは避けられてさ、うんざりしてたんだよ』
『でもね、御劔さん。この力があればもう名前で弄られる事は無くなる。男性とは違って力を持たない、非力な存在である女性を馬鹿な奴等から守れる。その為なら悪魔にだって魂を売るさ。名前なんて今の僕には不要の長物』
『ま、今回は悪魔じゃなくて精霊……? なんだけど。んまぁ、細かい事はどうでもいいか。どの道、精霊なんてものは誰も信じない存在だし。さてと……さっきも言った通り、御劔さんの事は僕が守ってあげるからね。安心して良いよ。じゃあ……おやすみ』
込み上げる恐怖で一言も喋れない私を他所目に、多賀野だった化け物は辛うじて多賀野本人だと分かる声でつらつらと語った後。何かするのだろうか、大木槌を地面に叩きつけようと振り上げた。
私のような非力な存在を守る為に手にした力だと、目の前で語っていた化け物だが、言葉と行動が一致していない。このまま命を落としてしまうのかなと諦めが脳裏を過ぎった時。
(せめて、最期に燈真に会いたかったなぁ……ごめんね)
人知れず募っていた気持ちを伝えずに終わるのは嫌だ、と今でも好意を寄せている幼馴染みの事を考えて目を閉じる。何か重たい物が空を切る音が聞こえ、これで自分の人生も終わったんだと思ったその時だった。
『───なぁに勝手に諦めてんだよ、馬鹿沙耶。お前が居なくなったら寂しいに決まってるだろうが』
「……え? その声、もしかして……?」
慣れ親しんだ声と共に何かが斬られた音、何かを防いだような甲高い金属が立て続けに聞こえてきた。それから間もなくして化け物が壁にでも叩きつけられたのか、轟音と化け物の苦しげな声が聞こえてくる。
あの一瞬で一体何が起きたのか、と思う前に私の視界一杯に見知った顔が映る。綺麗に切りそろえられた黒髪に、私をしっかりと見据える緋色の眼。間違いない、私が長年想いを寄せていた幼馴染み……剣淵燈真本人だった。彼を目の前にした私は、恐怖から解放された反動なのか涙がとめどなく溢れてくる。
普段滅多に見せない涙を見た燈真は驚きを見せたものの直ぐに私を優しく抱きしめ、もう大丈夫だからと何度も言い聞かせてくる。想い人の声を聞いた私は段々と安らぎを取り戻しつつあった。それから少しして、粗方泣き止んだ私は燈真に問いかける。
「え……燈真、燈真なんだよね? あ、でも…来てくれたのは嬉しいんだけどさ、どうして此処が分かったの?」
「おう、俺だよ。待たせて悪かったな。あー、その……まぁ、色々手を尽くしたんだよ。あの時掛かってきた、お前らからの着信が何処か引っかかってたしな。どうもきな臭いと感じちまって、気が気じゃなかったって訳だ」
「あの時、って……?」
あの時、と言われて何かを思い出しかける。燈真が言うあの時とはおそらく私が多賀野だった化け物と思しき何かに襲われた時だろう。
化け物に襲われたあの日、燈真に助けを求めようとしてスマホを取り出した所までは覚えてる。しかし、その先の記憶が無いのだ。スマホの事まで思い出した所で自分のスマホが手元に無い事に気づく。それを見越していたのか、燈真はある物を私に手渡した。
目線を落とすと、そこには私が愛用しているスマホが。慌てて受け取り、確認する。画面には地面に落とした影響か、真っ直ぐな傷がついていたが、それ以外は目立った外傷は無い。燈真から貰った、『ナイツ・シンフォニア』の主人公である
燈真はおそらくコレを頼りに探してくれたのだろうか、とそんな事を考えてると、視界の端でおそらく燈真が吹き飛ばしたであろう化け物がゆっくりと立ち上がる様を目にした。
私が声をかけるよりも先に燈真は悪態を付きながらスっと立ち上がり、今まで見た事も無い目付きで化け物を睨む。今まで怒る事は幾度かあったけど、ここまで強い怒りを顕にしている燈真は初めてだ。
「……ま、そんな簡単に再会を喜ばせてくれる訳無いよな。ったく、そのまま伸びてればどんなに良かった事やら……なんて、敵に対してこんな言葉はちと甘いか」
「と……燈真、逃げよう? 私達じゃあの化け物に勝てない。それに、あの化け物は多賀野君が……」
「あん? 多賀野? 嗚呼、あの
「え、と……ふぉ、フォルズ? それに、精霊? い、一体何を言ってるの燈真……?」
「……あ"っ!?(やっべぇ、沙耶はフォルズや精霊の事は何にも知らねぇんだった……! 不味ったな……まぁ、今は適当に誤魔化すか……)ま、まぁ、気にすんな。さっきのは次の話のネタを口にしただけだからよ」
蘇ってきた恐怖に身体を震わせながらも燈真の口から漏れる聞きなれない単語をオウム返しのように聞き返すと、燈真は一瞬だけ「やべっ」という表情を浮かべていたが、それもすぐに元の優しい笑顔に戻る。
あの時一瞬だけ見せた表情は一体なんだったのだろうか、と思っていた矢先、多賀野だった化け物が此方に向けて襲いかかってくる。一瞬の判断で私を抱きかかえた燈真は軽い身のこなしで化け物の攻撃を躱し、そのまま建物の外へ飛び降りる。
何の躊躇いも無く窓から飛び降りた燈真、その反面私はガラスが砕ける衝撃と高所から飛び降りた恐怖で気を失ってしまう。気を失う前に見た光景は、おそらく五階建ての建物の最上階から飛び降りた光景だった……
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───時は一週間前に遡る。
あれから、仕事の傍ら俺は沙耶を捜索していた。そのきっかけは言うまでもなくあの時の不可解な着信。最初は誤って掛けてしまったのだろうと思っていたが、普段なら掛けてこない時間帯に掛けてきたのがどうしても気になっていた。
そして後日、沙耶が行方不明となった事はニュースで取り上げられる。行方不明となった現場と思しき場所には何故か土の山が複数残されていたという。俺や沙耶が暮らしている『久江市』は都会なだけあり、自然は限られた場所にしかない。土も同様に限られた場所にしかないのだ。
その事が不思議に思った俺はビートルとエルモス、フィンの三匹を連れて現場へと赴いた。人通りは少ないものの野次馬達がここぞとばかりに集まっているのが垣間見えたが、そんな事はお構いなしに現場へと歩いていく。
それから程なくして現場へと辿り着いた俺達は土の山が複数残されている事を確認する。警察署の手による現場保持の為かは分からないが現場付近は既に立ち入り禁止区域となっていた。
「……此処か、沙耶の奴が行方不明になったのは。ニュースでやってた通り、確かに不自然な土の山が複数残されているな…」
「そのようであるな、燈真。これでは、探してくれと言っているようなものだぞ?」
「だな。普通なら足跡の手掛かりになるようなもんは残さねぇ筈だが……相当自信があるのか、或いはタダの阿呆か…」
「まぁまぁ二人共、アレコレ考えるのは後にしましょうよ。まずは手掛かりを見つけなきゃね、トウマ」
「おう、任せたぜ。精霊の仕業なら、俺よりお前らに任せた方が手っ取り早いしな」
現場に立ち入る許可が無い俺に代わって手掛かりを探すようビートル達に頼み、不自然に積もった土の山を確認しに行ってもらう。俺はともかく精霊であるビートル達の姿は、普段から精霊の存在を架空の存在として信じない人間達には見えない。それを活かして探りを入れてもらう事にしたのだ。
少しして、不自然に積もった土の山から何かを掴んだのか三匹が戻ってくる。フィン達三匹の手には人間の物にしては短すぎる白髪のような物が握られていた。それを見た俺は小声で三匹にお礼を言い、自宅へと戻る。それから俺達は、早速フィン達が掴んできた手掛かりを見る事に。
「コレが、あの現場に残されていたもの……か。つーか、人間の髪の毛にしちゃあ、随分と短いな? 人間の奴ならもう少し長い筈だが……」
「うむ。それに見た所、白髪? のようなものであるな」
「白髪ねぇ……ん、白髪? そういや、フィン。俺達四大精霊って呼ばれてる精霊の中に居なかったか? 爺さんのような見た目をした奴」
「あっ、いたいた。お爺さんのような見た目をした精霊と言えば土の精霊よ、トウマ」
「ん? 土の精霊……あ、なるほど彼奴か。確か、ノームって奴……だったか?」
「うむ、あの場に残されていた土からは僅かながら精霊の力が流されていた形跡があった故、土を操っていたのは明白。此度の事件を引き起こしたのはノームと、奴と契約した者で間違いないであろうな」
白髪、土、爺さんの見た目の精霊。そこまで揃ってしまえば答えに到達するまでそう時間はかからなかった。今回の事件を引き起こしたのは土の精霊、ノーム。
エルモスの言う通り、ノームも『四大精霊』という強大な力を持った精霊の一角。覇王との繋がりが切れた上に人間界に来ている事を踏まえると、ビートル達と同様に弱体化はしていると思われるが、少なくともエルモスやフィンと同格の力を持っていると見ていい。
それから、俺達はノーム対策の会議を開く。女性だけを狙った連続誘拐事件と仮定した今回の事件を引き起こした犯人に力を貸している精霊、ノーム。土の精霊なだけはあり、防御力に特化した精霊だそうだ。
それに加えて土さえあれば何でも出来るのも、奴の強みと言える。身の丈以上の大木槌を振るい、周囲の土を攻撃や防御などあらゆる使い方をし、時には人海戦術なるものを取ってくるのがノームという精霊。見た目の割には頭が切れる奴と見ていい。
「そこまで聞くとさ、奴に単純な力押しは通用しないって事になるよな。エルモスのパワーでも突破出来ないとなれば、奴はどうやって倒すんだ?」
「それなんだけどね、トウマ。私達精霊には属性という相性があるのを忘れちゃった? ビートルは別として、だけど。あの時だって、エルモスの力を借りてフォルズ化した私を倒したじゃない」
「属性……? あ、そうか。そういう事か」
「そういう事。ノームに対しては私の風が有効打になり得るわ」
フィンにそう言われ、シルフィードフォルズとの戦いを思い出す。あの時の戦いは『火は風に強い』という属性有利を活かし、インフェルノロードで優位に立ち回った。
俗に言う地水火風といった、ゲームや物語要素でよく見かける属性関係があるとなれば、土を司る精霊ノームは風の精霊シルフィードことフィンには弱いという事になる。
奴を打ち砕く突破口はそれしか無い、という結論に至った俺達は次の問題に移る。今現在奴が何処に居るかだ。沙耶が行方不明となる前にも、沙耶と同じくらいの年代の女性がことごとく行方不明となる事件が起きていた。
となれば、奴は何処か身を隠せる場所に潜伏している可能性が高い。ニュースになるまで警察は勿論誰一人として目撃者が存在しないとなれば、ノームの契約者は人が少ない時間帯を狙って潜伏場所から身を乗り出し、活動してるのだろう。
(これ以上事件の被害者を増やす訳には行かないが、契約者の自我がノームの自我を抑え込んだ上で事件を引き起こしてるとしか思えないんだよな……フィンの時と同じだ)
沙耶を最後にこれ以上事件が拡大しない事を願うばかりだが、暴走した精霊と契約者は何をしでかすか分からない。エルモスの時のように契約者の意識が殆ど感じられない状態ならまだしも、フィンの時のように契約者の強すぎる自我が精霊の自我を抑え込んだ上で暴れているケースもある。
今回の事件も、契約者となった人間の自我が強すぎるケースを考えている。暴走した精霊が契約者の自我を抑え込んでいるならば、契約者の意思など無視して見境なく暴れ回ってる筈だからだ。
兎に角、時間が無いのは明白。早速行動に移すべく、俺達は沙耶の捜索を開始した。仕事の合間を縫っては久江市のあちこちに出張り、道行く人に聞き込みをして回る。ビートル達にはノームが残していった痕跡が無いかを中心に探してもらう事にした。
そんなこんなで一週間が経ち、仕事に聞き込みにと身体が悲鳴を上げる寸前まで酷使してきた時だ。ビートル達がノームの痕跡を見つけたと知らせに来る。丁度その時に新たな被害者が出た直後らしく、奴の痕跡がしっかりと残っていたようだ。これはもう行くしかない、と疲れた身体に鞭打って立ち上がる。
「よっし、早速行くとするかっ!」
「その前にだ、燈真よ。身体の方は大丈夫なのか……? ここの所、沙耶とやらを助ける為にほぼ休まずにいたであろう? 少しでも休んだ方が良いのではないか?」
「んまぁ、ぶっちゃけ万全とは言えないが……他でもない、幼馴染みの沙耶の為だ。今は沙耶の救出が最優先だし、救出出来たら後はゆっくり休む。今週分の仕事はもう終わってるしな」
「そうか、ならば良い。沙耶を助けに行くぞ、燈真!」
「おう!」
頷き、身支度を済ませた後。エルモスとフィンの二匹を連れて犯人が潜伏している場所まで案内してもらった。その先にあるのは、誰もがこぞって入らないであろう廃墟と化した五階建てのビル。
ノームが残していったと思われる痕跡を頼りにビートル達の案内の元、ロードドライバーを片手に、俺達は廃ビルの中へと突入していった。
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───そして、今に至る。
(い"ぃっ!? やべっ、五階建ての建物から人一人抱えて飛び降りるのは流石に無謀だったかもしれねぇ……これ、もしかして足でも折れたか…?)
沙耶を抱き抱えたまま飛び降り、足が折れた事を懸念したがそんな事は無かった。動かす分には何ら問題は無く、酷く痺れた程度の被害で済んだ事を確認した俺は、気を失っている沙耶を安全な場所まで連れて行き、すぐに戻ると小声で言い、一旦エルモスとフィンに沙耶を任せたその直後、とてつもない轟音が響き渡る。
その音がした方向に振り向き、慌てて元居た場所に戻ると、俺が着地した地点の近くに俺達を追ってきたフォルズ……ノームフォルズは地響きと共に居た。ノームフォルズは沙耶を拐っていった、奴にとって憎むべき相手であろう俺を認識するなり、顔に当たる部位を歪ませて喋り出す。
その声はダミ声とは程遠い、人間はおろか精霊の耳でさえも聞き取るのがやっとな、形容し難い声だった。聞いているだけで怖気が立ってくるような、一秒たりとも聞きたくない声で、ノームフォルズは怒りを顕にする。
『何なんだ、お前。僕の邪魔をする気なのか?』
「ん? 嗚呼。勿論そうだ……と言ったらどうする気だよ。お前はよ」
『勿論、邪魔者は潰すに決まってるだろう? 僕と御劔さんの邪魔はさせない……っ! 彼女は、僕の物なんだ…誰にも渡すものかっ!』
「ったく……良いか。てめぇに一つ、教えてやる。沙耶は俺の大切な幼馴染み……いや、
ノームフォルズの妄言を聞き流し、ため息を付いた後にそう叫んだ燈真は手にしたロードドライバーを腰に当てる。ドライバーの端からベルトが伸び、腰に巻き付く。
《load driver!!》
「行くぞ、ビートル! 性根の腐り切った奴をぶっ飛ばす!」
「うむ! 行くぞ燈真!」
《loading primitive!!》
ビートルが変化し、起動させた《プリミティブライズキー》を手に、ロードドライバーの中心にある鍵穴へ差し込み、回す。
プリミティブライズキーの持ち手部分が折れ、ロードセイバーの中心を埋める。《setup!! primitive load!!》の音声が流れ、それと共に龍の雄叫びと重厚なクラシックが流れ始めた。
自分の目の前で何が起きているのか分からない、といった様子のノームフォルズを他所目に、燈真はロードセイバーのトリガーを引いて抜刀し、叫ぶ。
『─────変身ッ!!』
《我の行く道は原初の道───プリミティブロード!!》
プリミティブライズキーを装填したロードセイバーを抜刀した途端、燈真の姿が変わる。いつもの軽装から全身を黒のアンダースーツで覆われ、その上に西洋の騎士を思わせる銀色の鎧のようなアーマーが装着されていき、更にアーマーの一部が龍を思わせる意匠へと変化していく。
龍騎士を思わせる意匠が入った仮面が燈真に装着され、最後に龍の翼を思わせる漆黒のマントが出て変身は完了する。龍と騎士が一体となった鎧を纏う仮面の騎士。その名も仮面ライダーロード。
燈真を単なる一般人と思っていたノームフォルズだが、燈真が変身した仮面ライダーロードを見て明らかに動揺している素振りを見せる。
『な、なんなんだよお前は……っ!?』
「俺は……いや、俺達はロード、仮面ライダーロードだ! 俺達の覇道、止められると思うなら死ぬ気で止めてみやがれっ!」
漆黒の刀身を持つロードセイバーを携え、左手に西洋風の盾を構えたロードはノームフォルズと相対する。画して、土のフォルズ戦の幕が切って落とされた。
難産でした……(死んだ目)
隙間時間にちょこちょこ書き続け、やっと完成しました。
次回はロードの新たな形態登場回になります、はい。
それでは、お読み下さりありがとうございました。又次回!