さようなら、いつかまた……   作:赤いUFO

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時期はシャーマンファイトの予選が終わって蓮が実家に喧嘩を売りに行ってる最中です。




 小山田まん太は友人である麻倉葉の家からの帰路を歩いていた。

 ここ数ヵ月、シャーマンである麻倉葉と関わるようになり、色々な事があった。

 

「それも、もうすぐ終わっちゃうかもしれないんだ……」

 

 500年に一度のシャーマンの王を決めるシャーマンファイト。

 その予選を通過した葉は、近々本選に進む為に東京を離れる事となる。

 予選を通過して猶予は1ヶ月。後は通達を待つのみの状態。

 その事をまん太は淋しいと感じていた。

 

 

 縁起の悪いという理由からここ数ヵ月通らなかった道を歩く。

 

「……そっか。あの子が亡くなったのは葉くんが転校してくる前だっけ」

 

 葉と出会う少し前に交通事故で亡くなったクラスメイト。

 幽霊の存在を認識出来るようになってからも、何となく通らなかった道。

 あの子は、成仏出来たのだろうか? 

 それが少しだけ気になって足が向いたのだ。

 

「やっぱり、居るわけないよね……」

 

 その道路には誰も居ない。

 人も、幽霊も。

 ただ、事故の側にある電柱には幾つかの花と菓子やジュースがお供えされていた。

 肩透かしと共に安堵したまん太は、せめて花くらいはと思ったが、既に花屋が営業している時間ではなく、仕方なしにコンビニで買った缶ジュースをお供えすることにした。

 手を合わせて御祈りをする。

 まだ年若く不幸な事故で死んでしまったクラスメイト。せめて安らかであって欲しいと願う。

 

「え?」

 

 御参りを終えて帰ろうとした時に、その少女を見た。

 

 前と後ろに垂らした左右の三つ編みに、分厚い黒縁眼鏡。

 自分と同じ、森羅中学の制服を着た女子生徒。

 それは間違いなく数ヵ月前に事故で亡くなったクラスメイトで。

 

「葉山、さん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうした、まん太。今日は元気ねぇな。何かあったんか?」

 

 昼休みに許嫁のアンナに空気椅子をさせられている葉は顔を俯かせて何かを考えている様子のまん太に話しかける。

 うん、と答えた後にまん太は事情を話すことにした。

 シャーマンファイト本選を控えている葉に頼るのは気が引けたが、身近に相談できるのはやはり麻倉葉なのだ。

 

「葉くんが転校してくる少し前に、ぼく達のクラスには葉山葉月さんって女子が居たんだ」

 

「葉山葉月?」

 

「うん。交通事故で亡くなって……それで、昨日彼女が轢かれた道路を通ったら、居たんだ。葉山さんの幽霊が……」

 

 まん太は何処か現実感のない様子で彷徨う葉山を思い返す。

 胸をギュッと締め付けるとアンナが興味無さげに質問した。

 

「なにアンタ。その子のこと好きだったわけ?」

 

「そんなんじゃないよ。ただ葉山さんは、いつも独りで、休み時間も勉強してるような娘だったんだ。いつも必死そうで。それが、葉くんと出会う前のぼくと重なるんだ」

 

 自分を追い詰めて、それ以外を捨て去るように勉強に励んでいた少女。

 言葉にして、どうして生前もっと気にかけなかったのかと後悔している。

 もしかしたら、ただの自己満足かもしれないが、困っているなら今更ながら力になってあげたいと思う。

 すると葉が決めたように笑う。

 

「うしっ! なら放課後にでも会いに行ってみっか!」

 

「葉くん!」

 

「アンタ、今の自分の状況分かってんの?」

 

 アンナの言葉に葉はウェッヘッヘ、と笑う。

 

「いいじゃねぇか、アンナ。迷える霊を導いてやんのもシャーマンの仕事だろ? まん太が気になるってんならオイラも力になってやりてぇ。それにそんな話を聞いちまったらシャーマンファイト本選で気が散っちまうかもしれんしな」

 

 心の戦いとも言えるシャーマンファイト。

 心残りを解消するためにシャーマンファイトを運営するパッチ族は1ヶ月もの猶予を与えたのだろうから。

 それにこれくらいの問題を解決できずして何がシャーマンか。

 

「ありがとう、葉くん」

 

 友人の気遣いにまん太は心から感謝した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 葉山葉月。

 小さい頃に両親が離婚した母子家庭で母と2人でアパート暮らしをしていた中学生の少女。

 幸い、父が毎月ちゃんと養育費を払ってくれていたので、生活に困る事もなかったが。

 その少女は自分が通っていた森羅学園の制服を着たまま何処にでもあるなんの変哲もない道路を眺めていた。

 自分がどうしてここにいるのか。

 ただ、何か大事な事を忘れているような。

 今日も何をするわけでもなく、道路を眺めていると、いつもとは違う出来事が起こった。

 

「よう。おめえ、何でこんなところに居座ってんだ? 困ってんなら話くらい聞くぞ?」

 

 話しかけてきたのは葉月と同じ年頃の男子だった。

 ヘッドホンを頭に乗せてサンダルを履いた、ユルそうな表情の少年。

 その横には、幼児くらいの身長だが、見覚えのあるクラスメイトが立っていた。

 

「小山田、くん……?」

 

「久しぶりだね、葉山さん」

 

 ぎこちなく元クラスメイトにまん太は話しかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




3話で終わらせる予定。
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