パクパクですわ!のキャラに転生したんだけど、何か違いますわ…… 作:クレナイハルハ
筆が乗ったので連続投稿ですわ!
トウカイテイオー(TS)side
温かい湯が、雨に打たれ冷えきった体をゆっくりと温めていく。チャプリと、掬った水が掌から溢れ落ちていった。
湯船に体を預け、照明以外何もない天井を眺める。
血反吐を吐くような痛くて、苦しくて苦くて。それでも走り続けた3年間が、突如として終わった。
信じられなくて、気が付けば走っていた。体に当たる風、体を濡らす雨。
ボクは、ボクはなんで、ハシッテルノ?
『いったい、一体何があったんですの!貴方!!』
手を掴まれて振り返れば、そこには見覚えのあるウマ娘の姿があった。好物であるスイーツを禁止され、ずっと青汁を飲まされ、同じように走らされていた彼女。
「………マックイーン?」
メジロマックイーン。
でも、なんで君はそんなに綺麗な目をしてるの?
ボクと同じ、はずなのに。
「人違い………そんな事を言ってる場合じゃ無いですわ、早く体を温めないと………」
人違い?
彼女の言葉に首を傾げた、その時だった。
少し先の交差点、ボクがマックイーンに止められていなければ恐らくは走っていたであろう場所、そこを大型トラックが高速で過ぎ去っていった。
湯船に浸かっている体がぶるりと震えた。
あの時マックイーンがボクを引き留めてくれていなかったら、ボクは……。
最悪な結果を想像し思わず口を押さえる。
『こんなの、青汁とカップケーキがあれば直ぐに治るから───』
『バカなこと言うんじゃありませんわ!ほら、走りますわよ!』
心配そうに話し、ボクの手を掴んだ彼女の手は温かかった。
そう言えば、心配されるなんていつぶりだろ?
そんな事を考えていたら、いつの間にかボクはアパートの一室の浴室で風呂に浸かっていた。マックイーンって確かお嬢様だったと思うんだけど……なんでここに?
浴室の扉がノックされ扉の方へ視線を向けるとガラスの扉にマックイーンと思われる人物の影が写っていた。
「着替えとタオル、置いておきますわね。温まったら使ってください」
その声と共に足音が部屋から遠退く。
「………」
湯に浸かったまま、また天井を見上げ瞼を閉じる。
ここなら、あんな風に練習しなくて良いのかな?
side out
メジロマックイーン(原案)side
何故彼女、トウカイテイオーがあのような目になっていたのか。
それに対する考察が、1つだけ浮かんでいる。
ウマ娘をプレイしたことは無いが、育成系統のゲームならばあり得るのだ。
育成ゲームは何より育成する過程でキャラクターの様々な反応やイベントを楽しむ物だ。でもそんなエンジョイゲーマーの他にも、ガチで育成する人もいる。
ただキャラクターを強くする為に、育成中のキャラクターの反応やイベントを全て無視し育成してはアイテムでスタミナ等を回復、そしてまた育成の繰り返し。育成ゲームで良くある事だ。
そんなゲームの世界なら、彼女があんなにも真っ暗な瞳をしていたのも頷ける。
その時だ、ガチャリと言う音と共に部屋に私の私服に着替えたトウカイテイオーが入ってきた。シオンと私の視線が彼女に向けられる。
「………やぁ、温まったかい?トウカイテイオーくん」
「……うん、ありがと」
トウカイテイオーに座るよう促し、人数分の温かい緑茶をいれてこたつのテーブルに置き、私も座る。結果的に私とトウカイテイオーが向かい合う形の座り方だ。
「取り敢えず、我々は君に問わなければ成らない事がある。君は、私達と同じこちら側かい?それとも別の、かい?」
シオンがそう聞くと、トウカイテイオーは少しの沈黙の後、口を開いた。
「何のこと?」
「君の知る私達は、本当に君の知るウマ娘か。そう聞いているのだよ」
そうシオンが問うと、トウカイテイオーは私とアグネスタキオンの容姿を少し見つめると、ぼそりと口を開いた。
「………そう言えば、マックイーンの髪ってそんなに白に近い色だったっけ?」
「ふむ、どうやら君は私達と同じでは無いようだ。それにしても、トウカイテイオーくんはなぜ前に使っていた勝負服を?」
そうシオンが聞くとトウカイテイオーは不思議そうに首を傾げた。目に光のない少女が首を傾げている風景は、酷く病んで見えた。
「何のこと、ボクの勝負服はずっとあのままだよ。」
彼女から出た言葉に私とシオンは目を見開いた。今のところ彼女は原案の世界のトウカイテイオーでも、この世界のトウカイテイオーでも無いことがわかった。
「シオン、恐らく彼女はこの世界の彼女でも、私達と同じ世界の彼女でも無いようですわ」
「そのようだねアーリ、さてどう説明したものか」
そう言ってシオンは私達がこの世界と並行して存在している世界のウマ娘である事を説明した。
ある日、突如として自分がもう一人いるこの世界に迷い込んでしまった事。そして唯一住み家を持っている私の家に、タキオンが住んでおり、今確認出来たところ並行世界から迷い込んでいるウマ娘は私達二人であり、三人目がトウカイテイオーである事を説明した。
「そんな訳で、私達はこの世界での住み家であるマックイーンくんの家を拠点とし、好きなように生活している。」
「最後だけ雑じゃありませんこと?」
「自然薯を掘りに行ったり、スイーツバイキングに行ったり自由にしている君が言えることかい?」
グッ、それを言われれば確かに。
「じゃあ、ボクは何をすれば……」
困惑し、何をすれば分からないと言った声色で呟くトウカイテイオーにアグネスタキオンは口を開いた。
「まぁ、好きにすれば良いんじゃないかい?ここに住むならマックイーンくんに頼めば良い」
「ちょっ!?これ以上は部屋がありませんわよ!?まぁ、いいですけど……」
うぅ、また食費が消えますわ……そろそろ本格的に闇レースへの参加を考えなければなりませんわね。
「なら、よろしくね?マックイーン」
「えぇ。そう言えば、彼女の渾名はどうしましょう?」
「渾名?テイオーでいいよ」
「ダメですわ、この世界の貴方と見分けが付きませんし。」
「アーリの言う通りだ、故に私達は偽名で呼び合っている。私はアグネスルクシオン、彼女はアーリースタイル。さて、君の渾名はどうしようか………」
「『ノワールレクス』はどうでしょう?ノワールはフランス語で黒、レクスはラテン語で王と言う意味ですわ。」
ふっふっふ!二次創作を読み漁っていたからネーミングセンスは抜群に決まってますわ!
「厨二病だねぇアーリ……」
「そ、そんなことないですわよ?」
シオンからのジトーッと言う効果音がなりそうな目で見つめられ思わず視線を反らす。
「ならボクは『ナナシノテイオー』でいいよ。」
「なら、普通にテイオー呼びでよいですわね?」
「うん、よろしくね。シオンにアーリ」
こうして私の家に新たなウマ娘が住むことになったのだった。
side out
翌日、トレーニングセンター学園。
生徒会室に一人のウマ娘が呼び出されていた。
「どうしたのカイチョー、ボクに話って?」
「すまないテイオー、正直に言ってくれ。最近何か悩んだり、思い詰めたりしていないか?」
心配そうに優しい声色で話すシンボリルドルフと先ほどから頭に?を浮かべ続けているトウカイテイオー。
「実は君が昨日の夜泣きながら走っていたと言う報告が来ていてな」
「え、えぇぇえええええー!?何それ、ボク昨日の夜は寮でマヤノと一緒にゲームしてたから外に出てないよ!?」
「何?だとしたらこの報告は一体……」
そう言って顎に手をのせ思考する様子を見せるシンボリルドルフ。取り敢えず見間違いだろうか?そう思い、ふとテイオーに聞こうと思っていたことを思い出した。
「ありがとうテイオー、そうだ今度の休日なんだが───」
「ワーボク、スピカデレンシュウアルンダッタ、イカナキャー」
「そ、そうか……」
「じゃあねカイチョー!」
そう言って生徒会室を出ていくトウカイテイオーを見送り、何処かションボリした様子でルドルフは口を開いた。
「良い露天風呂のある銭湯を見つけたのだが………エアグルーヴでも誘ってみようか」
ご愛読ありがとうございました
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お待ちしています。
「会長、たまには銭湯も良いですね」
「そうだろう、そうだろう」
「そう言えば先程近くに自動販売機がありましたね、会長も風呂上がりに水分をとった方が良いのでは?」
「そうだな、そうするとしよう……ッ!ところでエアグルーヴ」
「何ですか会長?」
「先程言っていた自動販売機なんだが」
「どうかしましたか?」
「
「………会長、私もう一度入ってきます。」
─エアグルーヴはのぼせ気味になった。─
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