パクパクですわ!のキャラに転生したんだけど、何か違いますわ…… 作:クレナイハルハ
中央トレーニングセンター学園。
通称、トレセン学園。
広い校舎の中の理事長室と描かれた札の吊るされている部屋には五人の人影があった。
「確認!君たちはこの日、トレセン学園内の寮から出ていないのか?」
その中で飛び抜けて小さな少女、秋川やよい。トレセン学園の理事長である少女の目の前に並ぶのは、メジロマックイーン、アグネスタキオン、トウカイテイオー。
最近になり、自身の知らぬ場所でよく噂の広がる少女達。闇レースや学園一の問題児との交際疑惑。一人は深夜に涙を流しながら走る、等と自身の知らぬ間に噂の立つ少女達は揃って首を縦に振る。
「提案、三人は常に一緒に行動するのはどうだ?そうすればアリバイも出来る」
持っていた扇子を広げ、彼女達にそう問い掛ける理事長。その扇子には先程までは確認と書かれていたはずなのに、今彼女が広げている扇子には提案と言う文字が書かれている。
いつの間に扇子を持ち替えたのだろうか?そんな純粋な疑問が脳裏に浮かぶウマ娘達。
「なるほど、そういう事なら私は構わないよ」
「ボクも別にいいよ!」
「私も問題ありませんわ」
そう言って彼女達は彼女達で動き出した。アリバイのため、交際疑惑の噂を止めるため。こうして特例で三人が共に過ごす日々が始まった。
アグネスタキオンに薬を飲まされかけたり、メジロマックイーンに付き合いスイーツワールドへ出かけたり、トウカイテイオーに道連れにされ、シンボリルドルフと共に向かった銭湯で長湯に付き合わされたり、共にレースへ向けて練習する。
そうして彼女達が一緒に行動する事になり、一週間程の時がたった日、彼女達は登校直後に理事長室に呼ばれていた。
何故か理事長室にはテレビが置かれ、いつもとは違う理事長は真剣な顔で待っていた。
「注目、まずこの動画を見て欲しい」
用意された椅子に座りながらテレビへと視線を移した三人を確認すると、理事長は駿川たづなにアイコンタクトを取り、たづなはテレビのリモコンを押した。
テレビが点き、映し出されたのはレース場らしき場所。周囲の席には真っ黒な服装をした人々が座っている。
「なんか、ボクの知ってるレース場の空気じゃない……」
「そうですわね……」
「これは一体?」
「これは、URAの調査員がある場所へ潜入し録画した物です」
たづなさんの解説を聞いている中で、ウマ娘の名前が呼ばれていく。どのウマ娘も、緊張した面持ちでゲートへと入っていく。
そんな中でカメラが名前を呼ばれるごとにそのウマ娘を映していく。
そして、その瞬間は訪れた。
「え!?」
最後の三人のウマ娘の並びが映る。トウカイテイオーは驚きのあまり目を見開き、そのまま立ち上がる。
「これは!?」
アグネスタキオンは目の前に広がるあり得ぬ光景に目を見開き、メジロマックイーンはそのウマ娘の容姿に驚き頭が真っ白になった。
「わた、くし?」
『16番、アーリースタイル、17番、アグネスルクシオン、18番、ナナシノテイオー』
そこには、以前着ていた勝負服を身に纏ったトウカイテイオーとメジロマックイーン、そして靴こそ違うものの、他は全て同じデザインの勝負服を身に纏ったアグネスタキオンにそっくりなウマ娘達が立っていた。
そんな呆然とする彼女達を置いて、レースは始まった。彼女達に似た様子のウマ娘達は、他のウマ娘より遥か前へと加速し、三人が上位を独占して走っていた。
その映像を見てメジロマックイーンが驚いたのは彼女の走りが自分とほぼ同じ走法だと言うこと。
トウカイテイオーに似た彼女にとって映像に映る自分そっくりの彼女は、走法を変えず、あの怪我へと繋がるかもしれない過去の危うい走りをしていた頃の自分に見えた。
アグネスタキオンに至っては自分より遥かに速い速度、自身の想像する最大限の力で走っている。
そんな中でレースは進み、自分達に似た彼女達が最後の直線を競う。そして突如失速したメジロマックイーンに似たウマ娘を抜き去り、トウカイテイオーに似たナナシノテイオーが1着に、アグネスタキオンに似たアグネスルクシオンが2着、メジロマックイーンに似たアーリースタイルが3着という結果。
だが、動画は止まらずゴール先で片手を伸ばし指を1本立てるナナシノテイオーの動作はトウカイテイオーにとっては覚えのある動作。上げた手を下ろしアグネスルクシオンと会話する二人の元にふらふらと歩み寄っていくアーリースタイル。
そんな彼女の様子にその場にいた全員は「彼女は倒れる」、そう確信した。動画に映る足は震え、深い呼吸のままフラフラと歩き、体が傾く。
その場にいたもの達はウマ娘がそのまま倒れることに心臓を摑まれた様な感覚がした。
『マックイーン!』
聞こえたのは隣にいる親友でありライバルと瓜二つの声に思わず彼女の方を見るが、トウカイテイオーは自分ではないと首を横に振って否定する。
だが、ナナシノテイオーが彼女と地面の間に滑り込み抱えるように抱き地面に倒れることは免れた。でも助ける前に彼女の放った言葉、それはその場にいないはずの名前であり、倒れたアーリースタイルへと向けた言葉。
「以上がこの動画の内容です。この後、彼女達の目撃情報はありません」
混乱する、何故私と瓜二つの姿のウマ娘が私の名前で呼ばれている?テイオーもタキオンさんも同じ。
一体彼女達は?悪質な成りきりには見えない、そっくりさんにしては似過ぎているし、何故私たちの勝負服とほとんど同じものを持っている?
とにかく、早急に調べる必要がありそうですわね。
「彼女の捜索、私……メジロ家も協力しますわ」
「感謝!だが、メジロ家に力を借りる前に私に考えがある」
そう言って理事長の話した考えは単純であり、凄く大胆な作戦だった。
私達はその作戦を実行する為、即座に準備に取り掛かった。待っていなさい、すぐに見つけ出してみせますわ!!
メジロマックイーン(原案)side
「あの、シオンにナナ?確かにお粥を作って下さったのはありがたいのですが……少し、いや、多すぎません?」
目の前には鍋で煮込まれたらしきお粥が置かれていた、2合くらいの量の。
「そう?普通これくらいだと思うけど」
そう言って首を傾げるナナ、確かにその動作は可愛いのですが目が真っ暗でハイライトが無いので、ぶっちゃけ刺そうとしてくるヤンデレにしか見えませんわ……。
「いや、倒れてた人にこの量を食べさせるのは可笑しいですわ……」
絶対に人が食べる量じゃないですわ……
「ウマ娘の摂取量はこれぐらいだと思うけどねぇ?」
シオンとナナに言いくるめられる形で私は匙を握り、お粥を口へと運ぶ。と言うか、どちらが作ったのか分かりませんが料理できたんですのね?結構美味しいですし。
ゆっくりと食べ進める中、そういえばと思い口を開いた。
「そう言えばムグ、レースのムグ賞金はどうなりましたの?ムグ」
あの手の連中は、こういう倒れた者には賞金を支払わず逃げるようなイメージがあるのですが。
「そこのところは大丈夫さ、だから食べることに集中したまえアーリ」
シオンの声に頷きつつ、匙を動かしお粥をパクパクし続ける。思った以上に体へとお粥が入り二合もあったはずのお粥は無くなっていた。
なんか、思ったより食べれましたわね。私はどっちかといえば小食だったはずですのに。
「ご馳走さまでしたわ」
「さて、食べたらゆっくりと休むと良い」
そう言って布団へと横にさせ、掛け布団を描けてくるシオンと、鍋をキッチンへと持っていくナナ。
過保護すぎではありませんの?
レースで倒れて少し体調が悪いだけですのよ?
「か、感謝しますわ。そう言えばそもそも二人は家事ができたんですの?」
「心外だねぇ、アーリ?私は普段やらないだけで、出来る女なのさ。ナナも家事は少しだが出来るようだよ」
なら、家事の方面は少し安心ですわね。
お粥を食べて体温が上がったからか、目蓋が重いですわ。
「お休み、アーリ」
そんなシオンの声を最後に私は目蓋を閉じ夢の世界へと旅立った。
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