パクパクですわ!のキャラに転生したんだけど、何か違いますわ…… 作:クレナイハルハ
パクパクですわ!!(挨拶)
久しぶりですわね、生存報告ですわ!
???side
レース場を、1人のウマ娘が駆け抜ける。
私の思い浮かべていたメジロの走りではない、荒々しくただひたすらに前へと進み差しや先行、追い込みの作戦をとっていたみんなの心をへし折るような圧倒的な走り。
一番前を、誰にも譲ることなくその瞳は人を殺せそうな程に鋭いまま今ゴールを切った。
見ていて感じるのは、恐ろしいほどの違和感と驚き……そして悲しみ。
過去、あの日に出会ったときの彼女はこんな走りをしていなかった。
私と彼女のどちらが早いのかを楽しそうに笑いながら競い走る彼女と私の姿を簡単に思い出すことが出来る。
もし、彼女が変わってしまった原因があるとするなら、簡単には思い付いた。
メジロ家の没落、そして私たちとの別れ。
住んでた家や家に仕える使用人に家族、友人を一気に失った事だろう。
それがきっと、あの頃の彼女を今の彼女へと変えてしまった。
何よりそれを感じたのは、レース後の事だった。
たまたま彼女が記者から取材を受けているのを見掛けた。近くにトレーナーさんの姿が無くて可笑しいと思っていたら、記者は彼女を……メジロマックイーンを……いやメジロマックイーンの走りを否定するような質問をしたのが聞こえて来た。
「かつてメジロアサマが見せたメジロの走り、そして誇りを受け継ぐべきウマ娘の走りと思えないがそこのところはどう思っているのか?」
「メジロとしての誇りはないのか?」
「様々なウマ娘が、貴方のレースのせいで心を病んでいるらしいですが謝罪会見などは考えているですか?」
「ミホノブルボンの三冠阻止、トウカイテイオーの復活阻止など、これ以上他のウマ娘のファンを敵に回していいのですか?他のウマ娘の夢を潰して楽しいんですか?」
それは、今の彼女を全て否定するような言葉ばかりだった。そしてもうこれ以上走るなと言う記者の本心とも言える言葉が出ているのは明らかだ。
確かにマックイーンはこれまでに沢山のレースへと身を投じてきた。
それこそ沢山の重賞やG1レースを駆け、勝ち抜いてきた。
でも、それはマックイーンが心からメジロ家の復興を願っている事からの行動であることを、私は知っている。彼女の髪色が変化するほど体に負担のかかるトレーニングを積む、私には想像出来ないトレーニングを。
沈黙で答えるマックイーンへと何度も繰り返して質問する心のない記者の言葉に怒りを感じる。
自分も、ブライトもドーベルも、アルダンもラモーヌも彼女と同じメジロであるはずなのに……私たちは何も言われることはない。
勝ったとしても、大きくメジロの誇りという文字が新聞に並ぶ。なのにマックイーンが勝てば必ず批判される記事が現れる。【被害者続出】【独占インタビュー、阻止された側の気持ち】【途絶えた夢】など、URAが注意喚起してもそれは変わらなかった。
私たちに背負われるべき負の面を全て、マックイーンに背負わせてしまっている。
私も、同じメジロの筈なのに………。
「黙りなさい」
ぶるりと体が震える、いつの日か彼女と同じレースで味わった感覚、マックイーンのもつ領域。ゾーンへと至った時に放たれるプレッシャーが放たれる。
記者に対して淡々と話すようにしていた先程までの返しとは違いあまりにも重く、こちらが苦しくなるほどのプレッシャーに悪寒がはしり、体が恐怖で震え始めた。それはその場にいた記者達も同じだった。
マックイーンの一言と彼女の鋭い瞳がその場を支配する。
記者は後ずさる人、ペンを持つ手が震える人、地面へと座り込む人が現れるなかで、マックイーンは静かにため息をつくと、口を開いた。
「メジロの走りと誇り?そんなもの、私には必要ありません。何故なら私の駆け抜けた
「なっ!?」
それはまるでその場を支配する王のように堂々としていて、反論を許さない程の圧を発していた。
「復活阻止や三冠阻止したウマ娘達、そしてそのウマ娘のファン達へ重賞阻止やG1出走、勝利した事への謝罪会見?ハッ!下らない……そんなの時間の無駄ですわね」
吐き捨てるようにそう言い放ちながらどんどんと冷たくなっていくその瞳を記者達へとあびせ続ける。
「何故、勝者が頭を下げなければなりませんの?私が悪いわけではありませんわよね、レースとは強者が勝つのがセオリー、つまりは私が強者であり勝者であった。そして先程の貴女方の発言は私に
マックイーンの言葉にもはや返事を返すことすら出来ない記者にマックイーンは大きなため息をつく。
「はぁ、貴方の発言はこの世で駆ける全てのウマ娘に対しての失言だと、ウマ娘全員を傷付ける事に繋がる発言だと考えませんの?とんだ偽善者、いえ独裁者の集まりなのですわね記者とは。気に入らなければ批判する、アイツが頭を下げていていい気味だ。これなら負けたあのウマ娘も浮かばれる、そう思い込んでいるんですわよね?俗物が」
吐き捨てるようにそう座り込む記者へと言葉を吐く。口から出る言葉は一つ一つがその場の空気を圧迫し、浴びせられる視線はまるで絶対零度の様に冷えていた。
「宣言しましょう、今後私の出る重賞レースは全て私が勝つのですから貴女方は別の記事を書くことオススメしますわ、話はもう無いのなら失礼しますわ、トレーニングの時間がありますので」
そういって1人、真っ暗な道へと走っていくマックイーンを追いかけようとするが体が動かない。
これ以上、マックイーンに必要ない事まで背負わせちゃいけないのに、一人だけの道を歩ませたらいけないのに、追いかけてあげないといけないのに私の体は……動いてくれなかった。
「まって、まって!」
目が覚めると、目の前には見慣れた寮室の天井が広がっており隣のベッドではまだアイネスフウジンがスヤスヤと眠っている。
視線だけ動かして部屋の時計を見るといつも起きる時間より3時間も早かった。
「ゆめ、だったの?」
同室を起こさないようボリュームを下げた状態で呟く。見た夢は凄くリアルだけど、あり得ない私は、メジロ家の没落した世界という、考えるだけで恐ろしい夢を見た。
それも、その世界の私を追体験するように様々な記憶が浮かんでいた。
何より夢で見たレースを駆けるマックイーンは凄く冷たくて、まるで別人だと感じてしまう程で、ミホノブルボンの三冠阻止やトウカイテイオーの復活阻止をしたのがマックイーンだなんて信じられなかった。
夢で見たマックイーンや私たちの状況は、いまの私たちとまるで違う。
変な夢だと考える一方で、一つの自身では思い付かなかった考え方を学ぶことが出来た。
夢でマックイーンが話していた言葉を噛み締めながら目蓋を閉じ、残り僅かな睡眠を再開した。
アーリースタイルside
お昼過ぎ、昼食を終えた私はナナと共に以前訪れた公園で並走していた。何故並走をしているのか、それは食べすぎたから急いで減量しないと、という訳ではない。
「ナナ、今なら他の人もいなそうですし公園一周……本気でいきますわよ」
「うん、いいよ………倒れないでね、アーリ」
「体調は万全ですから、問題ありませんわ」
そう答え二人同時に地面を強く踏みつけて加速する。だが、僅かだがナナが私より少し先を行く。それに着いていく、いや追い越そうと加速する。
「なんか不穏な言葉が聞こえたんだけど……何か知りませんかねシオンさんや」
「事実、アーリは一度レース後にハンガーノックで倒れたことがあったからねぇ。ナナがアーリを心配するのも仕方ないことさ」
「…………」
一方でシオンとワイドネイチャは近くの芝生にレジャーシートを敷いて巨大な水筒に持ってきていたお茶を紙コップに注いで飲んでいる。
先ほどまでのナナとの並走で所謂温まっている状態なのか、いつもより走る体を動かすのが楽な気がした。そう言えば、闇レースの時は簡単な体操しかせずに全力で走って、クールダウンも無しに帰ってましたわね。
今思えば、いくらお金のためとはいえ、凄い無茶をしていたと感じますわ。
スタートして、既に公園を半周近くまで来たのを確認して私は更に加速するため地面を踏み込む。一瞬だが、ナナが目を見開くと何処か焦った様子で更に前へと加速する。私はそれを追い抜くため、更に加速する。
何故、こんなトレーニングのような事をしているかというと、私の一つの疑問とわがままが原因だ。
ずっと気になっていた、私は……このメジロマックイーン(原案)の体はあのシンボリルドルフに届くのだろうか、と。
走ることに、最初こそ興味は感じられなかった。
私が最後に走ったのは、体調不良を抱え賞金を得るためだけに得た走りだ。でも私はシンデレラグレイでいう所の
絶対と呼ばれるあのウマ娘に、挑んでみたい。
没落設定の私は、沢山の重賞レースやG1レースに挑んで勝利していた事になっている。
設定を明確にする為にも、私はシンボリルドルフに挑んでみたい。
だからこれは、ただの私の独りよがりで自己満足だ。
もし、負けたならそれはきっと精神が私だからだろう。もし負けても何かしら言い訳をシオンと共に考えれば良いでしょうし。
「なんだか、凄く人任せな嫌な予感がしたねぇ」
結果、私はナナに追い付くことが出来ずに僅差で負けてしまったのだけど。お互いに決めていたゴールを過ぎ少し歩きながらシオンとネイチャのいる場所へと歩いて向かう。
「ふぅ、それじゃあ戻って休憩しましょうかナナ」
「うん、いこう」
「待って下さい!テイオーさん!」
その時だった、恐らくはナナへと向けられた聞き覚えのない声が聞こえた。聞こえてきた公園の入り口の方を見れば、何処か焦ったような……いや、心配した様子の黒髪で白い流星の入ったウマ娘。アニメの重要人物といっても過言ではないキタサンブラックがトレセン学園の制服を来て立っていた。
ちなみに彼女もかなりネットで沢山のファンアートがありましたわね?キタサンブラックRXや、コパノリッキー、サトノダイヤモンドを中心としたラブコメにトウカイテイオーとのカップリングイラスト、あとはこの子達と仲の良かったファンの二人と成長した彼女達が共に生活する等もありましたわね。
そんな事を考えていると、いつの間にか彼女は私たちのすぐ目の前まで来ていた。
「テイオーさん、何でまたあんな走りをしてるんですか!マックイーンさんも何で止めてくれないんですか!また、またテイオーさんが骨折しちゃうかもしれないんですよ!?」
おうふ、これは恐らくというか間違いなく私たちがこの世界の本物であるトウカイテイオーとメジロマックイーンだと思われていますわね。どうにか、私たちが別人だと伝えなければ……。
「キミは……誰?」
そう考えているなかで、ナナが爆弾発言をしてしまい、私は脳に宇宙を見た。
「え…う、嘘ですよね?テイオーさん、私です。お守りを……」
ナナの発言に、まるで信じていた人から裏切られたような表情を浮かべるキタサンブラック。そんな彼女を気にすることなくナナは言葉を発し続ける。
「悪いけど、ボクはキミの事は知らないしお守りももらった覚えはないよ。ボク達はいかないといけないから、じゃあね」
いや、確かに別世界のトウカイテイオーだからお守りを貰っていない可能性もあるのでしょうけど、その少し言い方というものがですねナナ。
私の手を引いてシオン達へと向かうナナに引き摺られつつ、キタサンブラックの様子を伺う。彼女は今にも泣きそうな表情のまま私、いやナナを見つめていた。
あ、終わりましたわ/(^o^)\……また理事長さん達に菓子折りを持って謝罪しにいかなければなりませんわね。
そんなことを考えながら私はシオン達のもとへと向かうのであった。
「私が、私がテイオーさんを元に戻してみせるッ!そのためにはもっとトレーニングしないとッ」
「あれ?キタちゃーん!一緒にハチミー飲みにってどうしたの?なんか凄く泣きそうな顔してるけど……」
「テイオーさん、見ててください。私の走りで貴方を元のテイオーさんに戻して、私を思い出させて見せます!」
「え?なんで?なんで?なんでボクがキタちゃんの事忘れるわけないじゃん?え?……もしかしてこれ、マックイーンみたいな事がボクにもおこっちゃってる!?カンベンシテヨー!」
ご愛読ありがとうございます
感想、お気にいり登録、高評価
お待ちしています
みんなはどのウマ娘が好き?
-
雑穀精神!?ライスシャワー
-
鹿毛嫌い!?スペシャルウィーク
-
妹現る?アドマイヤデネブ
-
闇の化身?ヤミノビジン
-
元モブ娘?ブリッチコンプ