パクパクですわ!のキャラに転生したんだけど、何か違いますわ…… 作:クレナイハルハ
パクパクですわ!!(挨拶)
筆が乗ったので投稿ですわ!今回の話ですが、覚悟を持って読むこと、そして何かしらのギャグや明るい二次創作小説やアニメに行く準備をしてから読むことをおすすめしますわ。
覚悟は良いか!私は出来てる!と言う方のみ
読んでらっしゃいですわ!
夜、外灯の照らす道を歩きながら栗東寮へと向かう。門限時間まであと十分程あるから、走る必要性は無いわね。トレーニングを終え少し熱い私にとって夜風はちょうどいいくらいに涼しく感じる。
ふと、空を見上げれば沢山の星々が光輝き星座を形作り地上を照らしている。
脳裏に浮かぶのは、今日のトレーニングで一度だけ本番を想定して走った時の事を思い出して悔しさに拳を握りしめる。
あんな走りじゃ、あの星にはいつまでも届かない……もっと、もっとトレーニングしないと。早く走れるようにならないといけない。
あの子の為にも、私はレースを勝ち抜かないといけない。
それが私の義務、私があの子から全てを奪ってしまったのだから、絶対に私は二人分、輝かなければならない。
果たさなければならない私の宿命だ。
栗東寮へと入る、こんな時間までトレーニングしている子が少ないのか私以外にウマ娘の姿はなく、静かだ。静かな廊下を歩いていると時折寮室から賑やかな声が聞こえる。
「あ、アヤベさんお帰りなさい」
「ただいま……」
自分の部屋に入った瞬間に聞こえてきた同室のウマ娘であるカレンチャン、カレンさんの声に返事を返しながら部屋に入る。
「今日も自主練習ですか?ちゃんと休まないと体を壊しちゃいますよ?」
「休憩なら練習の合間に取っているわ、それにちゃんと夜寝ているのだから問題ないわ」
明日の学校の授業で使う教材等を鞄にいれて準備を済ませた私はベッドの中に潜り込む。
思ったより体が疲れていたのか、すぐに眠気はやって来た。ウマホが充電されているのを目線だけ動かして確認し私は目を瞑った。
気が付けば、私はトレセン学園の練習場に立っていた。
可笑しい、私は寮の部屋でベッドに入って眠った筈なのに何故?
そう思っていた、その時だった。
私の横を1人のウマ娘が走り抜ける、一瞬の出来事だが聞こえてきたのは荒々しい呼吸。明らかにオーバーワークだ、いつ怪我するのか分からない程に。
「貴方!それ以上は止め、なさ───」
心配になり止めようと声をかけようと、そのウマ娘を見た瞬間……私は分からなかった。
いや、正確には分かっている。でも脳が彼女の事を、存在していることを不思議に感じてしまい理解と思考がぐちゃぐちゃになっている。
私から離れた場所を走っているウマ娘、彼女はトレセン学園のジャージを来ており左耳には見慣れた、いや私が右耳にいつも身に付けている青いメンコが付けられていた。
顔も、体も全てが私と似ている彼女は、まるで私の───。
理解した、私は彼女を止めるために走り出した。今すぐにでも彼女を止めないと、彼女の足が壊れてしまう。
私が気付いた時には彼女は既に疲労が溜まっていたからなのかすぐに追い付くことが出来た。彼女を止めようと走りながら彼女の肩に手を伸ばす。
彼女の肩を掴んで止めようとしたその手は、まるで空を切るようにすり抜けた。
「え……」
思わず立ち止まり、自身の手を見つめる。その時だった、私は初めて目の前の光景が夢なのだと気が付いた。
だからこそ私は、彼女に干渉することが出来ないのだと気付いた。それを理解した私は彼女が怪我をしないこと、誰かが無理する彼女を見つけて、止めてくれる事を願うことしか出来ない。
なんで、なんで私には見ていることしか出来ないの?とてつもない大きな無力感が私を襲う。
「こっちです■■■さんのトレーナーさんッ急いで!」
聞こえてきたのは、聞き覚えのある同室のカレンさんの必死な声。聞こえてきた方を見れば、いつもの様子からは考えられない程に必死で、焦った表情を浮かべるカレンさんとあの子のトレーナーらしい人が練習場へと走ってきていた。
お願い、早くあの子を止めて!じゃないと、このままだとあの子が走れなくなってしまう!お願い、お願いよ……早くあの子を。
ようやくその場へと現れたカレンさんとトレーナーが肩を大きく上下させる程に荒い呼吸を繰り返しながらも彼女へと呼び掛ける。
「■■■■■■■■ッ!それ以上は、それ以上は危険だッ!」
あの子の名前だけ、私にはまるで何を言っているのか分からなかった。
そしてその声が聞こえた瞬間、あの子はゆっくりと二人の元へと歩み寄っていく。だが、途中で何かに躓いたのか、前へと倒れかける。それをトレーナーとカレンさんがどうにか受け止め安堵した、次の瞬間───。
「ゲホッ!ゴホッ!?はぁ、はぁ……まだ、走らな、きゃ……」
「何言ってるの!?これ以上は危ないよ!今日はもう休もうよ■■■さん!」
「カレンチャンのいう通りだ、これ以上の練習は止めろ!そんなんじゃ、レースに出る前に足が潰れる!勝てるレースだって勝てないぞ!」
「こんなんじゃ……あの星に届かな、いの。私が、
まるで、頭を鈍器で殴られたような衝撃が私を襲った。
「違うの、違う……」
自然と、気が付けばそう口にしていた。そして次の瞬間、目の前の光景が変わった。
『ワァァァァァア!!』
突如として耳に聞こえてきた歓声に、思わず両耳を押さえる。目の前に広がっていたのは、菊花賞のレース場である京都レース場だった。
『見事二勝利シタノは───アドマイヤベガ!』
「え、なんで……」
聞こえてきたのは私の名前だった、思わず困惑する私をよそに聞こえてくる放送が耳へと届けられる。
『アドマイヤベガ!祝福のカンセイが京都れーす場に轟イてオリまス!!』
聞こえてきた放送に、周りを見回すとそこには悔しさに涙を流すウマ娘や顔を俯かせるウマ娘がおり、この中に1人、あの子の姿があった。
手を胸に当て、息をしている。
思わず駆け寄りそうになり、私が干渉出来ないことを思い出した私はあの子へと手を伸ばしたまま足を止めた、次の瞬間………見慣れた勝負服を着たウマ娘が私の体を通り抜けた。
通り抜けたウマ娘は───。
「わた、し?」
私、だった。右耳に青いメンコを付け勝負服を身に纏った姿の私だ。そんな私?は手を胸に当てて息をするあの子の元へと歩み寄ると口を開いた。
「ねぇ、何故償ってくれないの?フフ、俯いてないで答えてよ」
まただ、また心臓をまるで捕まれたような苦しさが私を襲う。そんな私を一方で私?からあの子へ向けられる言葉が止まらない。
「使わないのなら、私に返して。その脚も体も心も……魂も命も、全部……全部ッ!!」
「ごめんなさい、ごめんなさい!ごめんなさい……」
地面へ座り込み、その瞳からいくつもの涙を流し泣きながら、何度も何度もごめんなさいと繰り返すあの子の姿に、私は────。
パキンッと、私の中の何かが壊れる音を聞いた。
気が付いたら私はあの子へと語りかける私?へと歩み寄りながらその胸ぐらを掴もうと手を伸ばす、でもその手は想像通りすり抜けた。
そんな私を嘲笑うように、目の前の私?は座り込むあの子と顔を会わせようと近付く。
なにも出来ない無力感に苛まれ、私は思わず座り込みながら呟く。
『それが出来ないなら、私と同じ場所まで堕ちてきなさい』
「違う、違う……私は──」
何の感情も感じない私?その言葉を最後に、また目の前の光景が切り変わった。
『さぁ、最終コーナーが迫って来た!一体どのウマ娘が蹄跡を残すことが出来るのか!』
目の前に広がっていたのは、東京レース場で私はレースのゴール付近に立っていた。少し遠くには此方へと向かってくるウマ娘達の姿があった。そしてそんなウマ娘の中にあの子の姿があった。
場所を考えるに、周りを気にしなくて良い最後のカーブで外から差しきろうとしているのだろう。胸のまえで祈るように片手を胸に当てる。
頑張って、頑張って。
そう彼女へと応援を送っていた時だった。
あの子が恐らく前へと出ようと
同時に
瞬間、レース場の喧騒が戻る。
あの子の顔が歪む、まるで苦痛に襲われたような苦しそうな表情を浮かべ、左足から一歩を踏み出せず、あの子の体が左側に傾く。
「いや、お願い………止めて、止めて!」
周りのウマ娘から追い抜かれながら、横へと倒れ何度も転がりながら芝へと倒れ込んだ。
「いや、イヤァァァァァァァァァァ!?」
身体中から血の気が引いていく、力が抜けていきそうになる体をどうにか動かしてあの子の元へと向かう。
ようやくたどり着いた場所で、あの子は泣いていた。
「………さい」
左足を押さえて、苦しそうに深い呼吸を繰り返しながらも彼女はその目から流れる涙を拭うこともせず、何かを呟いている。何を呟いているのか聞こうと彼女の顔へと耳を近付ける。
聞こえた、いや聞いてしまった。
「ごめんなさい……ごめんなさい、ごめんなさい」
聞こえてきたのは、ごめんなさいと言う謝罪の言葉だった。まるで目の前が真っ暗になるような感覚と脱力感。
「私が、もっと練習していれば……きっとこれはお姉ちゃんからの罰なんだ」
違う、私あなたが傷付くような、そんなこと望んでなんか───。
また目の前の光景が切り替わる。私の目の前には個室と思われる病室で虚空を見つめるあの子の姿があった。
痛ましい、まるで人形のように身動き一つしない。
近くではこの子のトレーナーさんと思われる人が、医者が話している声が聞こえる。
「■■■■■■■■さんは、もう走らない方が良いかと……」
「そんな!何とか……何とかならないんですか!先生!」
「彼女の左足の骨の深い場所まで入っている罅は、治ったとしても走る度に恐らく想像出来ないほどの痛みがあるはずです」
「そんな、それじゃあ彼女が報われない」
そんな、それじゃあの子はもう二度と走ることが…段々と目の前が真っ暗になっていく、今まで見てきた光景が脳裏に浮かび上がってくる。
苦しそうに、フラフラ担ったとしても走ることを止めずトレーニングするあの子の怪我の理由が私の下した罰だと勘違いするあの子。
全部、私が望んだこと?
あの子は、私の分も走ると決意してこの結果があの子のウマ娘としての人生を奪うことになってしまったのも、私が下した罰?
「違う、違う違う違う違うッ!私は、私はあなたにこんなこと望んでなんか……」
気配を感じて振り返ると、左耳にメンコを着けた姿のあの子が立っていた、そしてあの子はゆっくりとその口を開いた。
「それって、
「アヤベさん!アヤベさんッ!」
「ッ……はぁ、はぁ……」
目が覚めて、目の前に飛び込んできたのは同室であるカレンさんが目に涙を溜め私を見つめる姿だった。
「カレン、さん?」
ふと、周りを見回すが窓から見る外の景色は暗かった。視線だけ動かして壁に掛けられた時計を見る、時計の針はまだ夜中の3時を指していた。
「アヤベさん大丈夫?凄い魘されてたから」
「ありがとう、心配……かけたわね。」
「本当ですっ!埋め合わせに、明日の放課後はカレンと一緒に買い物に行って貰いますからね!」
「いや、私は───」
「…分かったわ、明日……正確には今日だけど。」
そう言いながら私はカレンさんに話しかけると、驚いたように目を見開くと、笑顔で口を開いた。
「やった!カレン楽しみだなぁ、早く寝よ!アヤベさん!」
「えぇ、分かったわ。」
アーリースタイルside
レースの練習が終わり、理事長にキタサンブラックの件の報告をスマホのメッセージアプリで行い家へと帰ってきていた、のだけど。
「やぁ、待ってたよ子羊ちゃん達お帰り、ご飯に行く?お風呂に行く?それともオ───」
玄関の扉を閉めて深呼吸する、可笑しい。最近は疲れるようなことはなにもしてないはずだ。いや、たぶん今日のトレーニングで疲れて幻覚を見たのだろう。
うん、きっとそうに決まっていますわ。
夢で見た褐色のウマ娘がメイド服を着ているだなんてそんなそんな……。
「どうかしたの?」
「アーリ?」
「どうかしたのかい?」
うーん、流石に夢だよなと思いながら扉をあける。
「やぁ、夢で会ったね?子羊ちゃん」
「夢じゃなかった!!!!」
目の前の光景が現実だとわかり、私は膝から崩れ落ちたのだった。
ご愛読ありがとうございました。
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