パクパクですわ!のキャラに転生したんだけど、何か違いますわ…… 作:クレナイハルハ
パクパクですわ!!(挨拶)
少し長くなりましたので、分けてしまいましたわ!
お楽しみ頂けると嬉しいです。
それでは皆様、良いお年を!
異世界から現れたウマ娘、メジロマックイーンことアーリースタイルに突如として模擬レースを挑まれたシンボリルドルフ。
この世界にて七つの冠を意味するG1レースを勝利し七冠ウマ娘となったシンボリルドルフ。
そして異なる世界にて無敗で三年間を駆け抜け最強無敗と呼ばれたメジロマックイーン。
この二人による模擬レースの始まりがすぐそこまで迫っていた。
シンボリルドルフは入念なアップを済ませ、勝負服に着替えると競バ場のパドックに出た。所定の時間より早く競バ場に入った為にまだアーリースタイルの姿は無い。
シンボリルドルフは両手を組み、深呼吸をすると瞳を閉じて瞑想する。本来ならば沢山の観客で埋め尽くされ、歓声が響いているであろう観客席には誰一人おらず、上空を通過する鳥の鳴き声が何故かいつもより大きく聞こえる。
その様子はかの宮本武蔵と佐々木小次郎の巌流島での決戦を彷彿とさせた。
─────コツ。
シンボリルドルフが瞑想してから少し経ったとき、この競バ場へと歩みを進める足音が聞こえた。ウマミミがピクリと動き、瞳を開いたシンボリルドルフがパドックへと通ずる通路を見詰めた、次の瞬間だった。
シンボリルドルフの体がブルリと震え、体が自然と一歩後ずさりそうになる。
此方へと向けられるプレッシャーに眉を顰めていると、やがて彼女は姿を現した。
「ッ…………」
丸襟で白いフリルの付いた黒を基準としたブラウス、そして黒いミニスカートを履きその上から黒いコートを羽織った勝負服姿の彼女、アーリースタイルを見て、私は驚愕すると同時に歓喜した。
恐らく口許は三日月を描き、瞳はギラギラとした獅子のようになっている事だろう。
彼女は強い、天皇賞(春)でのライスシャワーを彷彿されるように鍛えられている。
だが、彼女はトレセン学園の器具を使っていない、自身の知る独学のトレーニングのみでここまで至った。
間違いない、彼女を含めた異なる世界から来たウマ娘達は全員、『領域ーゾーンー』へと至り使いこなしている。
このレースは間違いなく面白い、ミスターシービーやマルゼンスキー、カツラギエースと走ったときの事を思い出す。
先程の震えは恐れからではなく、自身と対等もしくは越える存在とのレースへの興奮から来る武者震いなのだろう。
何故、メジロマックイーン(原案)ことアーリースタイルはここまでの状態に仕上がったのか。それはレース前夜に遡る。
─────────⏰──────────
メジロマックイーン(原案)side
シオン達におやすみなさいの挨拶を告げ、明日は出掛けるので朝からいないためシオン達のご飯をワイドへと頼んだ私は布団へと入った。
明日はシンボリルドルフとの模擬レース、今日の疲れを残さず明日は全力を出せるようにといつもよりはるかに早い時間に就寝した。
気がつくと、私はパジャマ姿で広い競バ場らしき場所に立っていた。
ここはレースする予定の競バ場?どうやら気合いが入りすぎてるようですわね、夢ですらこの場に立っているだなんて、我ながら子供っぽいと言うか……。
裸足だからか芝生が生々しく感じられて思わずぶるりと震える。
「やぁ、待っていたよ子羊ちゃん」
聞き覚えのある声に振り向けば、そこには以前に出会った見覚えのある3人のウマ娘……此方へようこそと手を伸ばすダーレーアラビアン、一冊の本を抱き締めるように持っているゴドルフィンバルブ、片手で大きなクーラーボックスを持つバイアリーターク………三女神と畏怖されるウマ娘達の姿がそこにはあった。
「なぜ、皆さんが私の夢に……」
以前に言われた骨折の可能性を危惧して走ったときはリミットドロップが点滅するような事はなかったはずだ。
「話の前に、まず君には着替えて貰わないとね?」
そう言うとダーレーアラビアンさんは指をパチンと鳴らす、すると私は先程までのパジャマ姿からトレセン学園で良く見るジャージを身に纏い、蹄鉄の着いた靴を履いていた。
なぜ、これから運動するような服装に?
「なぜ、私をこのような姿に?」
「子羊ちゃん、いや
「……知って、いるのですね」
「ふふふ、私たちがこれまで君を一度でも
あなた方は私が本物のメジロマックイーンでは無いことを気付いていたのですね、彼女を装う私を。
「オレ達は三女神だから、当然把握していたよ。まぁ、今回君の夢にオレ達が出てきた事とその件は関係ないかな」
「へ?」
私の事を気にしない様子でそう話すダーレーアラビアンさんに思わず抜けた言葉が口から漏れる。これって、断罪されたり私の魂を抜いて本来のメジロマックイーン(原案)の魂を入れるとか、そんな感じじゃないんですか?
「あら、何か勘違いされてますね?」
「急にこんな形で再会することになりすまないな」
そう話しながらバイアリータークさんはクーラーボックスを足元に置く。何が何なのか分からず困惑していると、ダーレーアラビアンさんは口を開いた。
「子羊ちゃん、君はレースに勝つつもりで練習しているんだよね?」
「え、えぇ。この肉体に恥じない走りをしたいと思っていますし、何より作り話で一応私は元の世界では最強無敗のウマ娘という事になってますので……」
「子羊ちゃん、オレ達はね……今から君を鍛える。その作り話を事実にするためにね」
「は、はい!?そ、そんなの無茶ですわよ!?だってレースは明日……」
今から鍛える、そんなのじゃあとてもでは無いが明日のレースに間に合うことはあり得ない。体を作るとしても、もっと前から行うべきだ。
「そこら辺の抜かりはないよ、ねぇ二人とも」
「えぇ、この夢でのあなたの精神は現実より速くなっています。だから一時間で1日……いえ、一週間くらいには感じられる筈ですよ」
「無論、私達の鍛練を終えるまで
はい?何そのザ・ワールドというかメイド・イン・ヘブンみたいな、そばに立つ幽霊やウルトラなヒーローみたいな能力は?三女神ってこんなちからがあるんですの!?
「驚いてるところ悪いけど始めるよ子羊ちゃん、何せ時間は有限だからね!最初はゴドルフィンバルブ、お願いね」
「はい、任されました♪えい!」
するとバイアリータークさんとダーレーアラビアンが一歩引き、ゴドルフィンバルブさんがそう言いながら両手をパシンと叩く、すると私はいつの間にか教室のような場所の一番前の席に座っていた。
一番前の席とか、学生時代なら絶対に拒否するような席ですわ……それに真ん中の席で周りの席には誰も座っていない。
なんでしょうか、凄くこう……居残り補習感がしますわね。
そんなことを考えていると、いつの間にか教壇に立っていたゴドルフィンバルブさんが一冊の厚い本を私の方に差し出してきた。
「はい、どうぞ」
「ど、どうも……」
受け取った本の表紙にはデフォロメされたゴドルフィンバルブさんが描かれており、『ヒトミミでも分かるウマ娘の走り方!』と吹き出しでタイトルが書かれていた。
作者のところには丸っこい文字でゴドルフィンバルブと書かれ、裏表紙にはこの本を書くのに協力したらしきウマ娘らしき少女達の名前が描かれている。
「子羊さん?まず貴方のレースで足りないのは、レースの知識です。まずは座学として私から逃げや先行、差し、追い込みの四種類についてとその対策の他に
「よ、よろしくお願いしますわ」
こうして、夢の世界で三女神とのトレーニングが始まりを告げた。
ゴドルフィンバルブさんの座学は背後の黒板に書いた説明図や『ヒトミミでも分かるウマ娘の走り方!』を読みながら進められた。
久しぶりに学生のように教室で勉強をしているのに若干の懐かしさを感じつつ、レースについての知識を詰め込んだ。
ゴドルフィンバルブさん曰く、シンボリルドルフさんは差しのウマ娘らしい。
そして私に適性のある走法は逃げ、先行、差しだった。追い込みや大逃げの適性はなく芝で走る事が一番らしい。様々な技術を頭に詰め込む作業から、以前とある理由から様々な資格を得るために勉強した時の事を思い出した。
久々に知恵熱が出そうだと感じましたわ……あと、学んだ知識を生かすためのテストがあるだなんて聞いてませんわよ!?
勉強の合間にお猫様によるアニマルセラピーで癒されましたので、そこまで大変じゃなかったと思ってしまいますわね。
─────────⏰──────────
何とかゴドルフィンバルブさんのテストで合格点を貰えた私は、気が付くと競バ場らしき場所に立っていた。ずっと座っていたためか、自然と背伸びをしてしまう。
「待っていたぞ子羊!」
「はいッ!?」
聞こえてきたハキハキした声に驚きビクリと反応しながら気をつけをして振り向くと、そこには黄色の服装に軍帽を身につけたバイアリータークさんが立っていた。
「まずゴドルフィンバルブによる座学の講座を良く乗り切った、それは誉めてやる。だが、ここからは実戦を交えた教え方になるぞ!みっちり体に教え込むから覚悟しろよ子羊?」
「りょ、了解ですわ!」
「いい返事だ子羊、貴様には私との模擬レースを何度も行って貰う。先程までゴドルフィンバルブから学んだであろう知識達を実演することで習得して貰う、そしてそれらを用いたレース運びについて、仕掛けるタイミングや走法のアドバイスを受けて貰う。」
なるほど、先程まで学んでいた知識は実際に技術として習得しなければ意味がない。
言葉としてそれを知るのと、言葉と意味を理解しているのは違う。
分かりやすく考えるのであれば、英語の単語を聞いて知り発音するか、英語の単語とその意味を理解し発音する事は大きく違うのだ。
「さすがに夢の中とはいえ、ずっと走るのも辛いだろう。クーラーボックスに飲み物を準備してきている、休憩は適度にとるから安心するように」
最初にあったときに持っていたクーラーボックスは、この時の為だったんですのね……。
「最後に、理解なく先に進むのは愚か者のそれだ。質問があれば遠慮なくするようにな」
バイアリータークさんのアドバイスと指導は凄く的確であり、知識として知っていた技術の使い所について理解すると同時に自分の身に落とし込む事が出来た。
また差しや先行、逃げの戦法をとるウマ娘達が仕掛けるタイミングを実演し、どのように走れば良いのか教えてくれた。
改めて、闇レースに出ていた私がどれ程に危うく体の感覚任せなレースをしていたのかが分かった。
また、質問すれば分かりやすく答えて頂ける為、走る中でも自然とコーナーでの加速や息をいれるタイミング、体力を維持するための走りや速さを一定に保つ方法などが自然とレースで行えるようになっていった。
途中、飲み物を飲んで休憩する際はくるみをくれたりしたのが地味に嬉しかった。
どれだけ走ってもお腹は空かないし、飲み物を飲んでもトイレに行きたくならないのは不思議だ。
─────────⏰──────────
バイアリータークさんによるレース技術の実戦テストであるレースを終えて無事トレーニングを完了した私へとダーレーアラビアンさんが近寄ってきた。
「二人とのトレーニングお疲れ様、さてここからはオレのトレーニングを受けて貰うよ。子羊ちゃん」
「お願いしますわ」
「オレからはウマ娘の一握りが己の走りを究めた末に到達し得る
ダーレーアラビアンさんとのトレーニングは今までより難しかった。
……なんか、光の戦士のいずれかが持ってそうな力ですわね。
ウマ娘の中では「感覚のみでそれを理解する者」「
もう……これで終わってもいい、だからありったけを。
みたいな感じで発動する場合もあるのですわね。
ダーレーアラビアンさん曰く、
恐らく、私が闇レースで発動したソレはレース全体の支配か末脚なのだろう。
恐らくは私が知るなかで意識的に制御することが出来るのはシオン、ナナにワイド。そして恐らくはシンボリルドルフ、彼女もその領域へと至っている。
彼女に勝つには、この体に恥じぬ走りをするためには私にはまだ、まだ何かが足りていない。
私の持つ
確かにシンボリルドルフさんに勝ちたいという気持ちはある、でも骨折だけは避けなければならない。
そう思いながら走る私をダーレーアラビアンさんが意味ありげな目で見詰めていた事に、私が気付く事はなかった。
─────────⏰──────────
どれ程の時が過ぎたのか分からない。
現実で一時間、二時間?それとも何時間なのか分からない。ひたすらに走り、走り、走り抜けた。
そうして私はダーレーアラビアンさんの「これで私のトレーニングはおしまい」という言葉に肩で息をしながら頷いた。
夢の中とはいえ、走ったあとすぐに走れるほど体力の即回復は無いのが妙にリアルに感じられる。
「さて、子羊ちゃん。君にはもう一度これを使って貰うよ」
そう言いながらダーレーアラビアンさんが渡してきたソレを見詰める、それは初めて私がトレセン学園に訪れ三女神像を見詰めたときにいつの間にか真っ暗な空間で現れた見覚えのあるアイテムだった。
だが以前とカプセルが違うように見える。
「ソレは……」
片方のカプセルには自身の胸に手を当てるメジロマックイーン(原案)の姿が映っており、もう片方のカプセルにはダーレーアラビアンさんを真ん中に左側にゴドルフィンバルブさん、右側にバイアリータークさんが映っていた。
私は受け取ったベルトを腰に巻く、いつの間にかダーレーアラビアンさんの両隣にバイアリータークさんとゴドルフィンバルブさんがおり、ダーレーアラビアンさんとゴドルフィンバルブさんは何処かワクワクした様子で私を見ていた。
「えっと、じゃあ行きますわよ…ユー、ゴー!アイ、ゴー!」
持っていたカプセルを大きく前へと突き出して横のボタンを押し上げ起動してベルトへと装填し、次に首の辺りに構えてもう1つのカプセルのボタンを押し上げ起動し装填する。
「ヒアウィーゴー!」
装填した場所に握力測定器に似たアイテムを翳して読み込ませる。するとアイテムの中央に埋め込まれた宝玉が4色、白、赤、青、黄色へと光輝く。
『ダーレーアラビアン!
ゴドルフィンバルブ!
バイアリーターク!
『メジロマックイーン(
アイテムを私の胸に当ててからアイテムのトリガーを引く。
『アルティメット、エボリューション!
アイテムに着いている宝玉の中の光が混ざり、より光輝くと次の瞬間、持っていたアイテム達が溶けて淡い光となりを私の体全体を包む。
何処か暖かくて、まるで春の日差しのようにも感じられ何処か力が湧いてくるような気がした。光が収まると、ダーレーアラビアンさんが口を開いた。
「さて、これで正真正銘最後の仕上げにとりかかれるね」
「……へ?これで終わりではないんですの!?」
これでトレーニングが終わりではないのですか?疑問を感じて困惑しているとダーレーアラビアンさんは指をパチンと鳴らすと片手で持てる程のタブレットが現れ、ダーレーアラビアンさんがそれを操作し始める。
「ふむ、彼女と……彼女、それにあの子も呼ぼうか」
突如としてタブレットを操作するダーレーアラビアンさんにますます疑問に感じていると、バイアリータークさんが咳払いをして話し始めた。
「子羊、貴様は我ら三女神のトレーニングを諦めず終えた。だがまだ貴様には足りないものがある、故にこれから最後の仕上げ……最終トレーニングを行う!」
「私にまだ、足りないもの……」
知識と技術、そして領域の制御が出来るようになってもなお私に足りないもの。それに薄々と私は感づいていた。
「子羊、貴様に足りぬのは
そう、私にはレースの経験があまりない。
この夢でのトレーニングを除けば、あるのは何回かの闇レースとナナ達との併走のみだ。
「これからは貴様には我ら三女神とこれから呼ぶ
「ふふふ、負けませんよ?」
嘘でしょ、バイアリータークさんあれで本気じゃないんですの!?そして何故でしょうか、目を閉じたまま笑うゴドルフィンバルブさんに冷や汗が止まりませんわ……それにしても。
「子羊ちゃん、なぜそこまでしてくれるのか?って考えてるね?」
タブレットの操作が終わったのか、タブレットを持ったままダーレーアラビアンさんは私を見詰めながらそう口を開いた。
私は、ある日急にメジロマックイーン(原案)の姿になっていた元人間だ。この世界からすれば異物とも言えるそのような私に、なんで彼女達はここまでしてくれるのか分からない。
「君が過ごしている日々はとても面白くてみていて飽きないからね。それに、私達三女神の叡知を身に宿した君に、そう簡単に負けられたら困ってしまう。いや、違うな……私達は君に勝ってほしい、それだけさ。」
本当に、たくさんの人に恵まれましたわね。
突如として人間からウマ娘となり、過去のすべての交流は無くなった。
そんな私でも、こう思ってくれている人達がいる。
本当に、本当に感謝しか感じられない。
「ありがとう、ございます」
今はそれしか言葉が見付からなかった。
「それじゃあ、君のレース相手を紹介しようか」
そういえばバイアリータークさんが我ら三女神とウマ娘達と話していましたが……一体誰だろうか?そんなことを考えているとダーレーアラビアンさんが手元のタブレットを操作する。
すると、空から光が降りてきた。まるで雫が落ちてくるように落ちてきた光は、減速すると私とダーレーアラビアンさん達の間に降りてくる。
地面に降り立った光がゆっくりと消えていき、一人のウマ娘の姿が現れた。
「三女神さま!こんにちは!……あれ?いまの時間だとこんばんはなのかな?」
珍しい桃色の髪をポニーテールにしていてピンクの体操着を身に着けている。一瞬だが羽織っているジャージの右胸部分に二つの勲章が付けられているのが見えた。
頭にピンクのハチマキをしている天真爛漫な彼女は、目を開くと即座に三女神の下に走り寄りながら元気に挨拶する。
そんな彼女の頭を撫でながら良く来ましたねぇと話すゴドルフィンバルブさんと、久しぶりだなと声をかけるバイアリータークさん。
私は彼女の事を知っていた、以前に一緒にテナガエビを食べたのを覚えている。
「紹介しよう、彼女はハルウララ。君のいる世界とは異なる世界にて
「私はハルウララ!よろしくね!」
「よ、よろしくお願いしますわ」
目の前の彼女に、よろしくと返事をしつつ内心は驚愕していた。ゴドルフィンバルブさんから様々なことを学んだからこそ、いまのハルウララさんの仕上がりについて余計に驚きを隠せなかった。
「さて、次が来たようだな」
空から光が降りてくると、そこには見覚えのあるウマ娘が立っていた。
茶髪の前髪が一部白く、寿司屋のような白衣を着ている。更にその上から白いライダースジャケットを羽織って手には白い手袋をつけ、赤と白のスカートを履いたウマ娘だった。
「えっと貴方達が三女神だね?こんばんわ!そして、アーリちゃん久しぶり!ごめんね、ちょっとエレちゃんのハリボテ直すの手伝ったりバンチョーと併走したりして忙しくてそっち行けなくてさ」
「あ、アハハ……本当にお久しぶりですわね」
「む?貴様は子羊と面識があったのか?」
「本当に、子羊さんには驚かされてばかりですねぇ」
私と彼女が以前に夢で会っている事を知らなかったのか、ゴドルフィンバルブとダーレーアラビアンさんは驚き、バイアリータークさんは首をかしげつつも口許に手を起き咳払いをする。
「コホン、改めて紹介しよう。彼女の名はギンシャリボーイ、異なる世界にて無敗の三冠ウマ娘となりJAPAN WORLD CUPを二連覇した実力の持ち主だ」
本当に、キチャッタンデスヨネ……これ、新潟のお米用意しないとダメかなぁ……。
「あら、あの娘も来たようですね♪」
そんな事を考えていると、ゴドルフィンバルブさんが片目を開きつつそう呟いた。
先程と同じように光が降りてくるとそこには、またもや見覚えのあるウマ娘が立っていた。
この世界に来て、初めて出会ったネームドウマ娘。
漆黒のドレスに咲く祝福の青薔薇、腰から下げた自身に訪れる厄災を振り斬る為のナイフを持っている彼女は口を開いた。
「こんばんわ、ごきげんよう女神さま?」
彼女……ライスシャワーらしきウマ娘は以前みたような弱気な姿ではなく、何処か強気に見えた。
「ごきげんよう、紹介しますね子羊さん。彼女はライスシャワー、異なる世界でヒールとなりレコードブレイカーやアサシンの異名で称えられた凄い人気なウマ娘なんですよ。えっと、確か雑穀?ともいわれたりしてるみたいですね」
「貴方が三女神さまの言ってたウマ娘だね。へぇ、結構いい仕上がりだけどライスには勝てないかな?」
そう獰猛な笑みを浮かべながら笑う彼女に、何故か背筋を何かが伝うような感覚がした。
それは私が感じた彼女のプレッシャーからなのか、この体に刻まれた何かなのか私には分からない。
「一応、あのウマ娘も呼んだんだけどまだ来ない……いや、来たみたいだね。」
「あら、タイミングが重なりましたね?」
すると、空から三つの光が降りてきて三人のウマ娘が現れた。
一人は金髪で黒いドレスを身に纏ったウマ娘だった。
もう一人は左耳に青いメンコを付け、深い青を基調として各所にアクセントとし金色が含まれている上着やスカートの勝負服を着たウマ娘。
そして最後は何やら不機嫌そうな暗めの赤を基調にしたドレスを身に纒い右耳に青いリボンを付けたボブカットのウマ娘。
最後のウマ娘は見覚えがあったが、ネットの画像でみた彼女とはあまりに違う。彼女はもっと笑っていて人懐っこいような感じだった気がするのだが。
「聞いてくださいよ三女神さま!あの鈍感バカトレーナーって今度こそ引退しようとしたのに今度はジャパンワールドカップとかいうレースに出場しようだなんて───」
「あらあら………ちょっと向こうでお話聞いてきますのでバイアリーターク、彼女の説明をお願いしますね」
「……わかった、なるべく早く戻ってきてくれよ?」
困った様子で頬に手を当てながらゴドルフィンバルブがいきなり話し掛けにいっていた金髪のウマ娘と共に少し離れて話しているのを見つつ、バイアリータークさんを見詰める。
「子羊、あのウマ娘の名はブリッジコンプ……異なる世界で文字通り
その言葉に近くにいたライスシャワーとギンシャリボーイ、そしてさっきブリッジコンプさんと共に現れた二人も驚いた様子で向こうで話しているブリッジコンプさんを見つめている。ハルウララさんだけは凄いねーと笑っている。
全冠?えっと、凄いことなのでしょうか?ゴドルフィンバルブさんから学んだことにレースの重賞や意味については学んでませんし、知らないからあまり分かりませんわね……。
「凄さが伝わらないか?」
「すいません……」
「そうだな、彼女の名前がついたレースが開催されるだと伝わらないか。そうだ、これなら分かりやすいかもしれないな」
「???」
「彼女の生涯獲得賞金は62億5000万だ」
「ろっ!?」
「
そんな大金稼いでなんで引退しないんですの彼女?てかあの娘下手したら女神様並の戦績なのでは?
そんなことを考えると咳払いをしたダーレーアラビアンさんが近くにいた青いメンコを身に付けたウマ娘を見るよう促すと口を開いた。
「さて、あの娘の話はまだかかりそうだし次に彼女について紹介しようかな。」
「三女神様、自己紹介は自分でします!」
すると彼女はダーレーアラビアンさんにそう話して、私へと向き直る。落ち着いた、というか神秘的な勝負服だけどかなり元気ハツラツした様子の彼女の話し方に違和感を感じる。
「初めまして、私の名前はアドマイヤデネブ!アマネって呼んでね!あ、オデブじゃないからね!?」
「彼女はちょっと特殊でね、私達三女神が面倒を見ているんだ。」
「スルーしないで下さいよぉ!」
「アハハ、ごめんごめん。私達は彼女の走りも見ているから、そういう意味ではアマネは君の姉弟子になるのかな?」
な、なるほど?というか動きが凄く幼い感じがするのですけど。そんな事を考えていると最後に現れた赤い勝負服を着たウマ娘が怪訝な目を向けて詰め寄ってくる。
「な、なんでしょうか……」
「この雰囲気、ヒトミミ?いやでも……ウマ娘?どういうことか説明して貰えますか、三女神様」
何処か刺のあるような発言をする彼女は、説明を求める意味でダーレーアラビアンさん達を見詰める。
「おや、君がウマ娘に興味を示すなんて珍しいね」
ダーレーアラビアンさんは興味深そうにしながら赤い勝負服を着たウマ娘の頭へと手を向ける、恐らくは撫でようとしているのだろう。すると、彼女はペシっと撫でようとした手を叩いた。
「触れないでください、あと近いです」
「おや、ごめんごめん。」
ダーレーアラビアンさんは降参するように両手をあげると、私の方を向き彼女について説明を始めた。
「彼女はスペシャルウィーク、異なる世界で
ちょっと???近くにいるウマ娘全員……いや、ハルウララさん以外には何と言うか話しかけてくるなって感じで威嚇してますけどもこれがちょっと!?
そんな困惑をよそに私はふと、考えた。
私は、彼女たちに勝てるのだろうか?
違う、勝てるかじゃない…
最初から弱気で挑むなんてダメだ、こんなんじゃシンボリルドルフさんに勝つのなんて夢のまた夢だ。
一瞬だが弱気になった自分の頬をパチンと叩いて気合いをいれ目の前に並ぶウマ娘達へと向き直る。
「全力で挑みます、この体に恥じぬよう走るために。皆様、胸を貸して頂きますわよ!」
「再び見せよう、私の必殺スシウォーク!」
「すし?………勝ったらお寿司たべれるの!?やったー!楽しいレースにしようね!」
「頑張ってね?油断してたらライスが一着、差しきっちゃうから……気を付けてね」
「私なんかとレースして学ぶことなんてありますかね?女神さまのお願いだから走りますけど…」
「姉弟子として、夜空に輝く一等星として……勝たせて貰うよ!」
「私が、勝ちます……それはそれとしてこのウマ娘について後で答えて貰いますからね三女神さま」
─────────⏰──────────
アーリースタイルはシンボリルドルフの前まで歩み寄ると、ゆっくりと口を開いた。
「どうやら、待たせてしまったようですわね」
「ふふ、君が気にすることはない。君との模擬レースが楽しみなばかり、予定より早くこの場に着いてしまったのは私だからね」
「そこまで私との模擬レースを楽しみにして頂いておりましたのね。驚きですわ、貴方はデートは予定の時間より前に来るタイプですのね」
「ふふ、待つことは苦では無いからね。」
「さて、前置きはここまでにして模擬レースと行きましょう」
「そうするとしよう、ゲートへ行こうか」
少女達はゲートへと歩いて向かう、互いに言葉を交わす事なく無言でゲートへと入る。
本日、競バ場の関係者もいないためゲートは時間制、タイマーによって開閉が行われる事になっている。
両者がゲートインを完了させ、アーリースタイルは勝負服の胸部に光る宝玉へと触れて深呼吸し構え、シンボリルドルフは静かに構えた。
ご愛読ありがとうございます
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テーテーテ♪テーテーテテー♪
テーテーテテーテーテー♪
╲ガコン!!╱
「負けないからね!トレーナーやキングちゃん、そしてみんなの為にも!」
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〔キセキのきせき!〕
ハルウララ
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固有スキル『奇跡の軌跡』
「諦めないよ、不可能なんてないんだから!」
『キャラクター紹介』
プロジェクトアークよりのウマ娘世界出身、有マ記念にて数々のG1ウマ娘達を相手に一着で走り抜け、凱旋門賞を勝ち抜き日本だけではなく海外の人々を驚かせ奇跡のウマ娘と語り継がれている。
ジャージの右胸部分に有馬記念を勝利した証である勲章と凱旋門賞を勝利した勲章が着いている。
頭に着けているハチマキはキングヘイローとライスシャワーから新たにプレゼントされた物である。
みんなはどのウマ娘が好き?
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雑穀精神!?ライスシャワー
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鹿毛嫌い!?スペシャルウィーク
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妹現る?アドマイヤデネブ
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闇の化身?ヤミノビジン
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元モブ娘?ブリッチコンプ