パクパクですわ!のキャラに転生したんだけど、何か違いますわ……   作:クレナイハルハ

6 / 56
【番外編】ダイイチルビーに転生してしまった私……part3

 

ウマ娘トレーニングセンター学園の栗東寮の一室。そこにはつい先程トレーニングを終えて帰ってきたトウカイテイオーと、先に寮に帰りベッドの上で寛いでいたマヤノトップガンがいた。

 

ペラリペラリと雑誌のページをめくるマヤノトップガンを他所にトウカイテイオーは手洗いうがいを素早く済ませると、何処かそわそわした様子でベッドに腰かけるとウマホを操作する。

 

「うわー!?また越されてるぅ!?」

 

「ひゃあ!?びっくりしたぁ、テイオーちゃんどうしたの?」

 

そして突如として大声を上げたトウカイテイオーにウマ耳を両手で押さえながらベッドから起き上がったマヤノトップガンに、トウカイテイオーが思わず「ごめん」と謝る。

 

「今このリズムゲームのイベントで、ボクかなりいいランキングまで登ってるんだけど」  

 

そう言ってトウカイテイオーがマヤノトップガンに見せたのは、無料のリズムゲームであり数人のキャラを編成して音楽に合わせてボタンをタップするというありがちな電子歌姫ミークIIのゲームである。

 

ランキング表をマヤノトップガンに見せるトウカイテイオーは、マヤノトップガンが自分のプレイヤーネームである『ていおー』を指差す。

 

「えっとテイオーちゃんがこれだよね?」

 

「そうだよ、でさっき叫んでた理由がランキングであるプレイヤーにずっと追い越されてるってまたランキング上がってるぅ!?」

 

そう言って驚くトウカイテイオーの目線を追いやがてマヤノトップガンは三つの名前に目がいった。それのプレイヤーネームは……。

 

「テイオーちゃんがライバル視してるのってこの『箱入り娘II』それとも『アーリ』?それとも『ミークIIを守護する者』?」

 

「そうそう箱入り娘II!この人、ボクが何度もゲームして追い抜いても必ず抜かしてくるんだよ!イベントは明日終わる、明日は学校もトレーニングも休みだし、今日は寝ないでゲームして絶対にこいつに勝ってやるモンニ!」

 

「がんばってテイオーちゃん!」

 

そう言って意気込むトウカイテイオーに応援の声をかけるマヤノトップガンだったが、ていおーと箱入り娘IIの間はかなりの差を付けられており、トウカイテイオーはイベント上位報酬こそ得られたが、箱入り娘IIに大敗する事を知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また抜かされてる……」

 

チラリとウマホでリズムゲームのイベントランキングを確認した一人のウマ娘が、何処か悔しそうにそう呟く。

 

「どうしたのタイシン、悔しそうだけど」 

 

「別に…帰ったらイベント走らないと」

 

またここにもイベントでの順位をあげようとする者がいたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイイチルビーに転生してしまってから数日、クローゼットでの生活にもはや慣れてしまった私。

 

はまっていたウマホで出来るリズムゲームで最推しキャラクターのイベントが始まりずっと、効率の良い曲の最高難易度をほとんど寝ずにプレイしている私。

 

なんかフラフラするしボーッとするけど、イベントが明日で終わることを考えアイテムで体力を回復させつつ、イベント周回を続ける私。

 

体育座りでリズムゲーム&暗いクローゼットでのゲームに何も違和感を感じなくなってきた私。

 

もうなにも考えずにひたすらにフルコンボを連続させてイベントランキングをあげまくる私。

 

ほとんどの人が働いたり学校に行っているであろう間に出来るだけランキングをあげる事が出来て嬉しいと感じる反面、今後の生活への不安をかき消すようにひたすらに画面をタップし続ける私。

 

イヤホンをしているため、外からの音が聞こえないため音楽に集中できる一方で外の音が聞こえないことが少し怖いと思う私。

 

ダイイチルビーは今日明日は家の用事があると言っていたことを思い出し、外が静かな事に納得した私。

 

気がついたら先程追い抜かしたランキング上位のプレイヤーである『ミークIIを守護する者』『ていおー』『Tamsin』が私の順位まで近付いて来ていることに驚愕と焦りを覚える私。

 

そこからは記憶がなく気が付いたらイベントが終わっていて、まさかのイベントランキング10位に入っており私の下に『ていおー』『Tamsin』、私の上に『ミークIIを守護する者』がいて驚きながらもなんとかイベントを走りきったと安堵した私。

 

あれ、なんか目の前が歪んで力が抜ける………。

 

背中をクローゼットにぶつけてしまうが、痛みを感じないので大丈夫だろうと思い俯く。

 

「────ッ!」

 

声が聞こえた気がして、どうにか顔を動かすと私の姿を見ているダイイチルビーの姿が見えた。

 

いつもの余裕のある表情ではなく、焦っているような表情が見えてた気がしたが眠気からなのか、どんどんと瞼が落ちて私は眠りに落ちた。

 






ご愛読ありがとうございます

感想、お気に入り登録、高評価

お待ちしています

みんなはどのウマ娘が好き?

  • 雑穀精神!?ライスシャワー
  • 鹿毛嫌い!?スペシャルウィーク
  • 妹現る?アドマイヤデネブ
  • 闇の化身?ヤミノビジン
  • 元モブ娘?ブリッチコンプ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。