隣の近界民さん   作:りっぽーたい

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遅れて申し訳ありません。
ブリリアントなダイヤモンドをやってました。感想ですが、期待してたものとは違ったけど、バグ無しにして普通に面白かったです。
化石掘りが楽しいんじゃ〜


第5話

 

 

「……というのが私と遊真が出会うまでの話です。なので私と遊真は血が繋がっていません。私が拾ってもらってそのまま家族になった感じです。あとはレプリカ先生が言ったように、戦場で有吾さんが遊真の命を救うために黒トリガーになって玄界に来ました」

 

 

「そ、そうなんですか?! そうとも知らず、先程は失礼しました」

 

 

 三雲くんが顔を真っ青にして私に頭を下げる。私自身は何がなんだかわからない状況だったことと幼い頃の記憶ということもあって、トラウマを乗り越えるというよりは、有吾さんから聞いたことを知識として知っている程度なのだが、やはり聞いた側は驚いてしまうのだろう。

 

 

「いえいえ、こちらこそ人に聞かせるものでもない、重い話をしてしまって申し訳ありません」

 

 

「いえいえこちらこそ……」

 

 

「いえいえ……」

 

 

 謝罪合戦が始まってしまった。こうなるとどうやって収拾をつければいいのか分からない。多分三雲くんも同じだろう。気のせいだろうが、メガネからも冷や汗が出てるように見える。

 

 すると、買い物の練習をしていた遊真が帰ってきた。正しい金銭感覚が身につくようにする為だ。絡まれたときに札束を出すやつがあるか。

 私が有吾さんから玄界の話を聞いていたからよかったが、聞いていなかったら三雲くんにあらゆる面倒をみてもらうことになっていただろう。

 

 

「修とユキは何してんだ?」

 

 

「ああ、僕が雪さんに失礼なことを……いや、なんでもない」

 

 

「はい。買い物は上手くいきましたか? 先生の手を借りずに」

 

 

「おう、バッチリだ。750円の買い物に1000円出したぞ。普段なら一万円札なんて使いそうにもないな」

 

 

 遊真は野菜が入った、大きなレジ袋を掲げた。

 お札の種類と価値をきちんと理解出来たようで安心だ。

 

 

「そうですよ。一万円なんてそうそう使うことがないんです。だから日常的に見るものでもないんですよ」

 

 

「うむ。実際に使ってみるとよくわかった。宝石みたいなもんだな」

 

 

 遊真がうんうんと頷く。そこまで大層な物ではないが、近界では物々交換が少なくなかったことを考えると、あながち間違いではないだろう。

 玄界に来てから数日しか経っていないが、玄界の貨幣社会は近界とは大きく違うことがよくわかった。そもそも近界は星の一つ一つが玄界と比べて非常に小さく、食料などの蓄えに玄界ほど余裕がある国は数える程しかない。そしてそもそもの人口が少ない。さらに近界の星は近づくことの出来る星が少なく、期間も短いため物々交換が主流となったのだろう。

 紙やコイン100枚よりも肉の方が喜ばれるし、トリオンで動く道具の充電をする方が役に立つ。

 

 

「ユキ、そろそろ行くぞ。おれは腹が減った」

 

 

 ボーッとそんなことを考えていると遊真から声がかかる。

 

 

「はい。今行きます」

 

 

「あ、ぼくはこっちなので」

 

 

「おっじゃあまたな、オサム」

 

 

「今日はありがとうございました」

 

 

 三雲くんと別れて借りた家に帰る。貯蓄がほぼ無かったため大家さんとの話し合いで借りた、2人暮らしには少し手狭な家だ。

 その後遊真が買った食材で作ったカレーを食べ、眠りにつく。

 翌日は三雲くんが会わせたい人がいるということだが、どんな人だろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 ────翌日────

 

 

 

「そのまま押してください! ま、まだ手を離さないで!」

 

 

「おおっ! 凄いぞユキ! 走ってる! ちゃんと走ってる!」

 

 

 三雲くんとの待ち合わせ場所で出会った女の子に自転車を押してもらう。私と遊真が自転車の練習をしていると見ていられなかったようで、声をかけてくれたのだ。

 

 

「よ、よし! ちょっと掴めた気がします! そろそろ交代しましょうか」

 

 

「よしきた。ユキのを見てると走れる気がしてきた」

 

 

 ブレーキを使ってよろめきながら止まり、遊真と交代する。バランスをとる為に全力を尽くしていたからか、地面に立つと不思議な感覚がする。なんだか揺れているような……

 

 

「よし、押してくれ」

 

 

「う、うん!」

 

 

 ボーッとしていると、女の子が自転車を押してくれていた。

 

 

「あっ! ありがとうございます!」

 

 

「おっ? おおっ!? これは!? 走ってる! ちゃんと走ってる! これはつかんできた! だんだんコツつかんできたぞ!!」

 

 

 遊真が顔をキラキラさせて自転車を運転している。だが、前を見ていない。バランスをとるのに夢中でハンドルしか見ていない。

 

 

「遊真! 前を見てください!」

 

 

「まえ? まえ……どぅわー」

 

 

「わぁ!?」

 

 

 落ちた。物凄く綺麗に落ちた。

 遊真はトリオン体だから無事だろう。

 ……あ、自転車が! 

 

 

 

 ……無事に自転車と遊真を回収出来たが、女の子まで濡れてしまった。

 

 

「ありがとうございました。助かりました」

 

 

「いえ、無事で良かったです」

 

 

「いやーあぶなかった。自転車が川の藻屑になるとこだった。ありがとうな。えーと……名前まだ聞いてないか」

 

 

「わたしは……千佳。雨取千佳」

 

 

「そうか、チカか。おれは遊真。空閑遊真。そんでこっちはユキ」

 

 

「空閑雪です。色々とありがとうございます。服が濡れちゃいましたね……」

 

 

「ホントだ。チカの服ずぶぬれじゃんカゼひくぞ」

 

 

「遊真くんと雪ちゃんのほうがずぶぬれだよ」

 

 

「そう(です)か?」

 

 

「そうだよ」

 

 

 そんな話をしていると、近くで近界民が出現する門発生の警報が鳴り響いた。

 結構近いな、と話をすると千佳ちゃんが突然走り出してわたし行くね! と言って警戒区域の方へ行ってしまった。

 

 

「あれ警戒区域の方ですよね?」

 

 

「だな」

 

 

『彼女……警報が鳴る前に襲撃に気づいていたように見えたが……』

 

 

 まさか、と思いつつも遊真と顔を見合わせて頷き合う。千佳ちゃんを追うと、警戒区域との境界に有刺鉄線と警告する看板が立っていた。警戒区域の中に入るためには有刺鉄線を超えなければならないが、本当に超えたのだろうか。

 そう思いつつも警戒区域内に入る。少し進むとバンダーが見えて来た。千佳ちゃんがいないか確認するためにもう少し近づきたいが、私は生身であるため近づけない。

 遊真に行ってくれと声をかけ、私はその周囲を探す。

 すると、ピロリロリと携帯の着信音がバンダー近くで鳴った。すぐさまバンダーを見ると、建物の裏に向かって攻撃を繰り出すところだった。

 

 

「先生!」

 

 

 バンダーの砲撃が近くの建物を削り取って大きな崩壊音が鳴る。二人は無事なのかと焦っていると、レプリカ先生の冷静な声が耳に入る。

 

 

『ユーマが無事に助けたようだ。だが、近くでボーダーが交戦している。ユーマはトリガーを使えないが、オサムがこちらに向かっている』

 

 

「それなら安心ですね。遊真もすぐにやられるようなタマじゃないですし」

 

 

 ホッと息を吐いてバンダーを見ていると、突然向きを変えて砲撃を撃ち出す。そして砲撃が向かった方向から数個の小さな弾がバンダーの目へ飛び、数個が命中した。バンダーの体勢ががくりと下がって頭が低くなるとそこへ三雲くんが凄い勢いで飛び出して来て、そのまま目を横薙ぎにして斬り裂いた。

 

 

 小走りで駆け寄ると、三雲くんが千佳ちゃんを叱っていた。口ぶりからするに、知り合いのようだ。

 

 

「……空閑、レプリカ。二人の知恵を貸してくれ。こいつは、近界民を引き寄せる人間なんだ」

 

 

「ふむ……? 近界民を引き寄せる……?」

 

 

「取り敢えず場所を移しましょうか。他のボーダー隊員が近くにいるそうなので」

 

 

「そうですね。移動しよう」

 

 

「こいつはラッド出てないか? 見逃すとまたイレギュラー門が出るぞ」

 

 

『大丈夫だ。ラッドの反応はない』

 

 

 

 

 ──────────

 

 

 その後警戒区域内のもう使われていない駅で千佳ちゃんについての説明を聞いたが、思い浮かぶのはトリオンくらいだ。案の定遊真も同様のことを考えたようで、レプリカ先生にトリオン能力を頼んでもらうようだ。

 

 

『この測定索でトリオン能力が測れる』

 

 

「どうぞご利用ください」

 

 

 レプリカ先生の口から伸びた触手を遊真が差し出すと、千佳ちゃんが戸惑っている。少し怖いようだ。すると横から三雲くんが手を伸ばして先に計測した。

 

 

『計測完了』

 

 

 レプリカ先生の上にトリオン能力を視覚化させた立方体が浮かび上がる。この立方体の大きさがトリオン能力のレベルを表す。それにしても小さい。三雲くんはトリガー使いにしてはトリオン能力がかなり低い方だろう。私はあれ八個分くらいだ。玄界のトリガーは燃費がいいのだろうか? 

 そして、ついに千佳ちゃんがレプリカ先生に計測してもらう。すると、私のトリオン立方体と比べても遥かに大きな立方体が表れた。

 

 

「これは……凄まじいですね……!」

 

 

「うおお……!」

 

 

『尋常ではないな。これほどのトリオン器官はあまり記憶にない。素晴らしい素質だ』

 

 

「すげーな。近界民に狙われるわけだ」

 

 

「まさに金の卵ってやつですね」

 

 

 想像していた何倍も上回るトリオン能力に盛り上がりつつも、やはりボーダーに保護を求めることが最も現実的だということを告げるが、先程聞かされたように、千佳ちゃんは他の人に面倒をかけたくないようだ。

 そんなわけにはいかないと議論が平行線になりかけた頃に、耳が足音を捉えた。

 振り返ると学生服の男の子が二人。

 

 

「ボーダーだ」

 

 

 気づいていなかった三雲くんと千佳ちゃんが弾かれるように振り向く。

 するとマフラーを着てヘアバンドを付けていない方の男の子が携帯を取り出して素早く連絡を入れる。

 

 

「ボーダーの管理下にないトリガーだ。近界民との接触を確認。処理を開始する」

 

 

 ──トリガー起動

 

 

 二人が戦闘形態へと変わった。




ちなみに私の一番好きなポケモンはヒノアラシです。進化も含めて最高に可愛い
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