隣の近界民さん   作:りっぽーたい

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遅れました。申し訳ありません。
そして、突然の三人称視点
読みにくいかもしれません


第8話

「「おおお!?」」

 

「なにこの数値! 黒トリガーレベルじゃん! 千佳ちゃんすごーい!」

 

「うまいうまい」

 

 雪以外の3人、遊真、修、雨取は訓練を終え、男子2人と烏丸はサンドイッチを頬張って千佳や宇佐美、小南、木崎は雨取のトリオン量を測っている。そしてその結果は黒トリガーレベルといった驚愕の数値となっている。わかりやすく言えば、ボーダー内でも随一のトリオン量持ちの数倍のトリオン量だ。通常トリガーと黒トリガーの性能面での違いはトリオンを1使い、1つのまっすぐ飛ぶ弾を出せるのが通常トリガーならば、トリオン1で複数個の高威力追尾弾を撃てるといった違いがある。数値だけで見た場合、それほどの性能差を通常トリガーで埋められるということ。

 

「雨取のトリオン能力は超A級だ。忍耐力と集中力があって性格もスナイパー向き。エースになれる素質はある」

 

 実力においても人格においても信頼が厚い木崎の発言に宇佐美は少し驚いた顔をし、メガネをきらりと光らせる。

 

「レイジさんがそんなにほめるとは……こりゃ千佳ちゃんが一番の有望株か〜?」

 

 そしてその発言に対抗するように空閑の襟を掴んでぐいと引っ張り、小南が言い返す。

 

「うちの遊真と雪ちゃんのほうが強いよ! 今でも余裕でB級上位くらいの強さはあるし、ボーダーの武器に慣れればすぐA級レベルになるんだから!」

 

「こなみ先輩より強くなります」

 

「ふむふむ……じゃあトリガーの説明を今のうちにした方がいいかもね。雪ちゃんは今日はおやすみ?」

 

「なんか大事な用があるらしいです」

 

 遊真はサンドイッチを食べながら言う。

 

「そっか。じゃあまた今度一緒に説明するね」

 

「よろしくおねがいします」

 

 宇佐美がメモ帳にトリガー説明、雪ちゃん遊真くんと書く。すると小南が自然な流れで今度はお前の番だと烏丸に目を向ける。

 

「そっちはどうなのよとりまる。そのメガネは使い物になりそうなの?」

 

「う────────ん…………」

 

 表情が一切変わらない烏丸に対して沈黙の時間が経つほど三雲の顔に冷や汗が増えていく。

 そしてその末に下された評価が……

 

「…………今後に期待……としか言えないすね……」

 

 という辛辣な評価であった。

 

「なにそれつまり現時点で全然ダメってことじゃん。ちゃんと強くなるんでしょうね? 玉狛の隊員に弱いやつはいらないんだけど」

 

「うっ……」

 

 三雲の心にナイフが立て続けに刺さる。

 

「いやでもこいつ、小南先輩のこと超かわいいって言ってましたよ」

 

「えっ……!? そうなの!?」

 

「うむ。言ってた気がする」

 

 畳み掛ける遊真。

 すると小南は顔を赤くして三雲をポカポカと叩く。明らかに力が入っていない。それどころか口が緩んで不思議な表情になっている。

 

「ちょっとあんたやめてよねそういうお世辞……お世辞じゃないのかもしれないけど!」

 

「いや、その……」

 

 そして慌てるメガネこと三雲。なにがなんだかわからないといった様子だ。

 

「すいませんウソです。お世辞じゃなくて、ウソです」

 

 そこにバッサリと烏丸が言う。小南は口をあんぐりと開けて絶句している。

 

「騙したなこのメガネ!」

 

「騙したのはぼくじゃないですよ!」

 

「傷ついた! プライドが傷つけられた!」

 

「だからぼくじゃないですって!」

 

 そんな風に駄弁り、昼食も食べ終わって落ち着き始めた頃、木崎が時計を見て訓練の再開を告げた。

 

「よし休憩は終わりだ。そろそろ午後の訓練を始めるぞ」

 

 

 

 そして夜、木崎に連れられて三雲と雨取は生身で動ける感覚を掴む訓練としてランニングに出かけ、遊真が小南と戦闘をしていた頃、迅と雪は各々黒トリガーを持ってボーダーの部隊と対峙していた。

『模擬戦を除くボーダー隊員同士の先頭を固く禁ずる』という隊務規定を盾にする迅に対し、玉狛での入隊手続きが済んでいたとしても正式入隊日までは本部はボーダー隊員と認めていないと返すボーダー部隊の太刀川。しかしそれで退く迅ではない。そして迅が退いたとしても雪が退くはずもない。

 

「お前も当然知っているだろうが、遠征部隊に選ばれるのは、黒トリガーに対抗出来ると判断された部隊だけだ。俺たちの部隊を相手に、おまえたち二人で勝てるつもりか?」

 

「おれはそこまで自惚れてないよ。遠征部隊に三輪隊、二宮隊までいるとなったら雪ちゃんはともかくおれが黒トリガーを使ったとしても勝てる見込みは少ない……『おれたち二人だったら』の話だけど」

 

 迅がそう言うと対峙していた道路沿いの家の上に複数の隊員が降り立つ。

 そこには……

 

「嵐山隊現着した。忍田本部長の命により、玉狛支部に加勢する!」

 

 雪も見覚えがある面々、以前学校にトリオン兵が出現した際に現れた部隊であった。

 

「嵐山たちがいればはっきり言ってこっちが勝つよ。おれのサイドエフェクトがそう言ってる。おれだって別に本部とケンカしたいわけじゃない。退いてくれるとうれしいんだけどな」

 

「なるほど……『未来視』のサイドエフェクトか……おもしろい。お前の予知を、覆したくなった」

 

「やれやれ、そう言うだろうなと思ったよ」

 

 そう言って本部部隊と嵐山隊、迅、雪が構える。

 今、戦闘が始まろうとしていた。

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