黒澤家の長男です。   作:カイザウルス

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大変お待たせ致しました!!
3月中に出せずにすみません(´;ω;`)


第20話

 

 

Aqoursが解散して1ヶ月、セミがまだまだうるさい夏の中旬。

 

『水泳を辞めろ』

『は?』

 

父さんにそう言われた。

そして父さんは続けて話し始める。

 

『いい機会だろ。高校からは“黒澤家”のために過ごせ』

『…え?いや…え?高校は水泳部に……』

『はぁ…いい加減に遊びを辞めろ。お前は“黒澤家”の長男だぞ』

 

遊び?その言葉に不快を感じた。

 

『遊びって……水泳のこと?』

『…それ以外の何がある?全国大会には行けず…予選落ち。俺が水泳に目をつぶっていたのは…お前が全国に行って“黒澤家”の名を広める可能性があったからだ』

 

頭を殴られた様な衝撃を全身に走る。

それじゃ、応援してくれたら言葉も全部ウソだったのか?

 

『中学で名を残さなければ全国なんて夢物語だ』

『ッ!?…か…勝手に決めつけないでよ。高校から選手になった人だって…』

『選手?』

『?…俺は将来、海外でも活躍できる水泳選手になりたいんだ』

 

すると父さんは驚いた顔から、直ぐにため息を吐きながら答えた。

 

『お前はうちの網元を継ぐんだ。それに…今のままじゃ選手になれるわけないだろ』

 

Aqoursの出来事でひびが入っていた心が、父からの言葉に俺は完全に心が砕けた。

そこから俺は荒れていた。

がむしゃらに泳いで、家に帰るのも嫌になった。

こんな俺に手を差し伸べて、変わらず笑顔に接してくれたのが……………。

 

「ん…んん~~!!…夢か…」

 

過去の自分と親父の夢を見た。

あれから2年が経っているが、親父とは話してない。

勝手に水泳を“遊び”と言い、俺の将来を決めようとした親父が俺は大嫌いだ。

先ほどの夢を忘れようとベッドから立ち上がり、朝のランニングに出た。

潮の匂いを嗅ぎながら走るこの時間は、俺にとって最高の時間の1つだ。

足にしっかりと意識を向けながら、足を上げて走る。

走っていると、前に人影が見えた。

更に見覚えのある深い青色のポニーテールをした女性が止まってストレッチしている。

そしてそれを隠れながら見ているAqoursの面々。

 

「何やってるんだお前ら?」

「あ、瑠璃くんおはよ」

「ん、おはよ」

 

Aqoursみんなからの挨拶を済まして、いったい何事なのか話を聞く。

どうやら昔果南姉とダイヤ、小原先輩でスクールアイドルをやっていた事しって、その真実を突き止めようと手始めに果南姉を尾行しているということ……いや可笑しいだろ。

 

「真実も何も……小原先輩がスクールアイドルを潰した。それだけだろ…」

「う~~ん…そうなのかな~」

 

千歌が何かうなっているがほおっておこう。

 

「あ!動いたずら!」

 

果南姉は走り出し、Aqoursの面々も同時に動き出した。

俺も流れでついていく事にしよう。

とても楽しそうに走る果南姉だが、それに比べAqoursは2年生を除いてついていくのに精一杯の様子だ。

そして果南姉は沼津にある弁天島神社に足を運んだ。

 

「ここ登るの!?」

「もう疲れたずら~」

「ピィギ~」

 

1年生たちはここで体力の限界のようだったので、置いていくことにした。

俺たち2年生は果南姉の後を追った。

そして階段を登り切った所で、果南姉が楽しそうに踊る姿が目に飛び込んできた。

綺麗に周り、飛び跳ね、体を動かす姿はブランクを感じさせない程の完成度だった。

その姿に見惚れていた。

 

「瑠璃くん」

「あ、ああ悪い」

 

曜に呼ばれ意識を戻す。

草むらに隠れている様子を伺う。

すると奥から、小原先輩が拍手をしながら現れた。

果南姉の楽しそうな顔から一気に顔をしかめて呟いた。

 

「鞠莉…」

「ようやく復学届提出したのね。やっと逃げるのを諦めた?」

 

は?逃げる?その意味が俺にはわからなかった。

 

「勘違いしないで。学校を休んでいたのは、父さんの怪我が元で…。それに復学してもスクールアイドルはやらない」

「私の知っている果南はどんな失敗をしても、笑顔で次に走りだしていた。成功するまで諦めなかった」

 

あの解散のことを話しているのだろうか?しかし小原先輩の言ったことには、同意できる。

すると果南姉はため息を吐きながら口を開いた。

 

「卒業まであと1年もないんだよ?」

「それだけあれば十分!それに今は後輩も…瑠璃だってまた手伝ってくれる」

「だったら千歌たちや瑠璃に任せればいい。どうして戻ってきたの?私は戻ってきて欲しくなかった」

 

……何だろう…うまく説明できないが、なにか違和感がある。

果南姉から発した言葉がまるで本心じゃないような…。

それに小原先輩の態度…旧Aqoursを潰したのは小原先輩だろ?まるで自分は待っているような言い方だ。

果南姉の言葉を聞いた小原先輩は、少し驚きつつ薄く笑みを浮かべて

 

「果南は相変わらず頑固な「もうやめて!」…!?」

「もうあなたの顔見たくないの」

「……果南」

 

何かが可笑しい。

その場を去る果南姉の後ろ姿を小原先輩は、悲しそうに見ている。

Aqoursを潰した人があんな悲しそうな顔をできるのか?そんな事を思った。

 

「瑠璃くん?」

「ッ!?な、何だ?」

「凄い汗だよ?」

 

曜にそう言われ、自分の顔を触れると湿っていた。

体温は熱くないが、この汗は冷や汗だろう。

果南姉と小原先輩の会話…小原先輩の悲しそうな表情から俺は心の何処かで思ったんだ。

2年間小原先輩への憎しみは、間違っているのではないかと俺は思ったんだ。

その後、千歌たちと別れ自宅に帰り、学校へ向かった。

学校生活でも俺の頭の中は果南姉と小原先輩との会話がグルグル回っている。

授業も余り集中できていない…そんなさなか、千歌から連絡があった。

放課後、部室に来てほしいっとのこと。

部室とはスクールアイドル部の部室だろう…あの部室には旧Aqoursのころに何度か足を運んだ事もある。

俺は了解っと千歌にメールを送信し、曇りだしている空を見上げ時間が過ぎるのを待った。

そして放課後。

スクールアイドル部の部室に着いた。

 

「あ〜!!イライラする〜!!」

「その気持ちよ〜く分かるよ〜!ほんと、腹立つよね!コイツ!!」

 

中から会話が丸聞こえだ。

中を覗くと現Aqoursだけでなく旧Aqoursの3人まで揃っている。

更には小原先輩は果南姉に指を指して、怒っている様子だ。

俺から言わせてもらうと…お前が言える立場じゃねぇだろっと言いたい。

とりあえず中に入る。

 

「あ、瑠璃くんいらっしゃい」

「ああ、遅くなったな」

 

俺が入ると一斉にこっちに視線が集まる。

小原先輩と目が合ったが、直ぐに目をそらし曜に視線を向けた。

 

「帰っていいか?」

「ダメ!!!」

 

俺は曜に聞いたはずだが、果南姉を見ている千歌に拒否をされた。

てか…かなり怒ってないか?すると果南姉が口を開いた。

 

「とにかく!私はもうスクールアイドルが嫌になったの!!もう…絶対にやらない!!」

 

そう言うと部室から出ていった。

スクールアイドルが嫌になった?神社で楽しそうに踊ってた果南姉が、そんな事を言うのはおかしい。

自分の頭の中が整理出来なくなり、俺はダイヤに尋ねた。

 

「ダイヤと果南姉が、Aqoursを辞めたのは…小原先輩がスクールアイドルを潰したからじゃないのか?」

「え?」

 

小原先輩は俺の言葉に反応し、こちらを見た。

ダイヤはその場からゆっくり立ち上がり……逃げた。

全速力でその場から去ろうとしている。

 

「善子ちゃん!」

「ギラうわっ!?」

 

津島の横を抜け、俺は逃げようとしたダイヤの手を掴んだ。

 

「な…なぁ、違うのかよ?姉ちゃん?」

「ッッ!?」

 

2年間…俺は小原鞠莉を憎んだ。

旧Aqoursを潰した小原鞠莉を憎んでいた。

しかし朝の会話と現在の会話を聞き、俺の中に疑問が生じた。

小原鞠莉は本当に旧Aqoursを潰したのか?っと。

小原先輩を憎んでいる感情…疑問に思っている感情…そして、もしかしたら無実では無いかと思う不安な感情が、俺の中でグチャグチャに混じり始めた。

いまの俺の顔は見れたものでは無いだろう。

そして、姉ちゃんは真実を話すといい場所を黒澤家へと移した。

全員を客間に案内し、口を開いた。

 

「「「「「「わざと!?」」」」」」

「ええ、果南さんはわざと歌わなかったのですわ」

 

ダイヤは淡々と過去を思い出しながら話を始めた。

いわく、小原先輩は当日練習で足首を痛めており、さらには留学の話が同時期に出ていた。

そこで果南姉と姉ちゃんは、これ以上足首に負担をかけたら小原先輩の将来の可能性を潰してしまう事になると、判断し果南姉がイベントで歌わず、Aqoursの解散を言い渡したとのこと。

その話を聞いた俺は理解した。

小原先輩は悪くない…しかし、2年間彼女を恨んでいた心は簡単には認めてくれない。

何処かで揚げ足を取れないか探している、自分に腹が立つ。

 

「まさか…それで…!!」

 

話を聞いた小原先輩は、顔を上げその場を去ろうとする。

その姿をみたダイヤは口を開いた。

 

「何処へ行くんですの?」

「ぶん殴る!一言も相談せずに!!」

「おやめなさい。果南さんはずっと貴方のことを見てきたのですよ?貴方の立場も…貴方の気持ちを…そして、貴方の将来も……誰よりも貴方のことを考えている」

 

すると鞠莉姉は目に涙をため口を開いた。

 

「そんなのわからないよ……。どうして言ってくれなかったの…?」

「ちゃんと伝えていましたわよ。あなたが気づかなかっただけ」

 

姉ちゃんがそう言うと小原先輩は、外が雨の中走り出した。

そしてその場に静寂が漂う。

 

「はっ!……一言も相談せずに?ふざけんな!あの人だってそうだ!留学?転校?怪我?俺だって初めて聞いたわ!結局おれは…3人との繋がりがなかったんだよ…何で話してくれなかったんだよ……」

 

おれはAqoursのサポート役だった。

3人と何かをするのが楽しかった。

そんな大事な話をされてない俺は…3人にとって何なのか…見失い始めた。

その瞬間、姉ちゃんの声が聞こえた。

 

「次は……瑠璃?あなたですわ」

 

すると姉ちゃんは千歌たちを見て

 

「2人っきりにしてもらえますか?」

「あ、はい!みんな行こ!」

 

千歌の合図でAqoursは客間から出ていった。

俺は顔を見せまいと膝を抱えて座る。

すると頭に重みを感じた。

姉ちゃんが俺の頭に手を置いて動かした。

暖かく…安心する手だ。

小さい頃はよく撫でられていたが、高校生になって撫でられるとは思わなかった。

そして、俺は口が開いた。

 

「俺知ってるんだよ…姉ちゃんが自分の部屋で泣いていたの」

「ええ」

「それが心配で…それが嫌で、話を聞こうとした!けど、誰も教えてくれなかった」

「…ええ」

「中学最後の大会の後に…鞠莉姉が来るって言ったのに…来なかった…」

「…」

「留学の話だって初めて知ったし、姉ちゃんや果南姉が抜けたタイミングでの留学………俺は鞠莉姉を恨んだ。Aqoursを潰した鞠莉姉を恨んだ」

 

もうわかっている。

3人の気持ちに気づかず、自分の中で勝手に解釈。

人の気持ちも考えないでの発言。

 

「これじゃ…クソ親父と変わんねぇじゃねぇか」

 

勝手に俺の人生を決め、水泳部を下らないものと解釈する親父と同じ事をした。

そんな自分が嫌になり、両膝に顔をうずめ深々と嘆く。

すると姉ちゃんは口を開く。

 

「…鞠莉さんが、貴方に留学の事や旧Aqoursの事を言わなかったのは、貴方の事が大切な存在だからこそ……心配をかけまいとしたのでしょう」

「心配?」

「それは…私たちも…一緒ですわ」

 

声が震えている?顔を上げるとそこには、涙で頬が濡れている姉ちゃんがいた。

急なことで驚くと続けて話出した。

 

「あの頃のあなたは、大会で上位を狙う為に遅くまで練習をしていましたでしょ?」

 

あの時の俺は大会が近づくに連れて、帰りが遅くなっていた。

それは、上位に入れば鞠莉姉や果南姉、姉ちゃんが喜ぶと思っていたからだ。

 

「貴方が留学の事を知れば…Aqoursのことをわかったら……その事で頭がいっぱいになって、水泳に手をつけられなかったでしょう?だから話さなかった……瑠璃?」

 

俺の頭から重みは消えて、今度は手を前につき頭を下げた。

 

「本当にごめんなさい。あなたにもっと速く…言えば貴方が嫌な気持ちにならずに済んだと思いますわ」

「姉ちゃんが謝る必要ないよ。俺の勘違いから生まれたことだよ…だから頭を上げてくれ」

 

姉ちゃんはゆっくりと頭を上げた。

俺は自分のハンカチを渡すと、ありがとっといいながら涙を拭く。

 

「それともう1つ…鞠莉さんは、あの日会おうとしていたそうですよ?」

「え?」

 

会おうとしていた?つまり来る予定ではあったってことか。

 

「急遽、飛行機の便が早くなり、貴方に話せないまま…行ってしまったそうですわ」

「ッ!?」

 

その瞬間、2年間の裏切られた感情の糸が切れ、瞳から雫が流れ始めた。

涙を流すのは、何時ぶりだろうか。

 

「ふふっ…相変わらず、泣き虫ですわね」

「…ズズズッ…うるせぇ…姉ちゃんだって泣いてるじゃん」

 

鼻をすすり、腕で涙を拭こうとしたら姉ちゃんが、先ほど渡したハンカチを俺に返してきた。

ハンカチを受け取り、涙を拭う。

 

「鞠莉姉は許してくれるかな?」

「鞠莉さんは、また昔に戻りたいと言っていましたわ。きっと許してくれますわ」

 

姉ちゃんは綺麗な笑顔で俺の質問に答えた。

久々に姉ちゃんの笑顔を、ちゃんと見た気がする。

ハンカチをしまい、俺は早速行動に移す。

 

「鞠莉姉のところに行ってくる」

「お父様とお母様には、遅くなると伝えておきますわ」

「ありがと」

 

そう言い残し客間から出ようと障子開けると

 

「うわぁ!?」

「ん?」

 

声のする方を見ると、何故かふせている曜がいた。

もしかして隠れているつもりか??

 

「何してんだお前」

「えっと…瑠璃くんが心配で…」

 

言いづらそうに話す曜。

相変わらず優しい所は、昔から変わらないな…。

曜の気遣いが嬉しくなり、曜の頭を雑に撫でた。

 

「うわぁ!?な…なに!?」

「心配かけた、ありがとな」

「!!…うん!」

 

曜は戸惑いながらも笑顔で答えてくれた。

やはり笑顔が一番だ。

俺は曜の横を通り、外に出ると先程の雨が嘘のように晴れていた。

その足でホテルオハラに全速力で足を動かした。

そして、ホテルオハラに無事に着きカフェスペースで鞠莉姉の帰りを待つ。

頼んだ飲み物も氷が溶けて、グラスの周りに水滴が出来ている。

 

「黒澤様、お待たせしました。お嬢様のお部屋へ案内します」

「あ…お願いします」

 

鞠莉姉は帰ってきたようだ。

外を見るとすっかり暗くなっている。

腹をくくり、俺は鞠莉姉の部屋へ案内してもらった。

鞠莉姉の部屋の前に着き深呼吸をする。

先ほどのスタッフさんは、ごゆっくりっと言い下がっていった。

 

「…よし」

 

ドアを2回ノックすると、中からはーいっと言いながらドアが開かれた。

寝間着姿の鞠莉姉が目を開き驚いている。

 

「瑠璃…どうして…?」

「…夜遅くにごめんなさい。少し話したいんだけどいいかな?」

 

俺が話しかけると、少しビクッと肩を動かした。

 

「え…ええ…どうぞ」

 

すると鞠莉姉はドアを大きく開けて向かいれる。

鞠莉姉の横を通り中に入ると、あの2年前とほとんど変わらない内装、相変わらず綺麗に内浦の海を覗ける大きな窓。

高級感が溢れている。

 

「いま…紅茶出すわね」

「うん、ありがと」

 

非常に気まずいが…鞠莉姉は直ぐに紅茶を出してきた。

高級な紅茶葉なのだろうか?部屋全体が紅茶の匂いに包まれるのに時間はかからなかった。

 

「どうぞ」

「ありがと」

 

紅茶を受け取り、口に含む。

やはり市販のとは違う風味でかなり美味しい。

向かいに腰を下ろした鞠莉姉も一口飲む。

静寂を破ろうと口を開こうとした瞬間。

 

「こうして、瑠璃と紅茶を飲むのは久々ね」

「…そうだね、2年ぶりかな」

「そう…2年」

 

この2年、鞠莉姉を忘れたことがない。

しかしそれは悪い意味でだ。

そして俺は口を開き、頭を下げた。

 

「ごめん」

「ッ!ど…どうして…」

「俺は、鞠莉姉がいなくなって2年間ずっと恨んでた!鞠莉姉の気持ちや思いも考えずに、かってに決めた。一番自分がやられて嫌なことを鞠莉姉相手にした。……けど許して欲しい何て言わない」

 

俺は鞠莉姉とどうなりたい?許しが欲しい?いや違う。

昔のようにふざけあって、遊んで、紅茶を飲んで、また笑顔で俺の名前を読んで欲しい……そんな都合のいい考えを持つ自分に吐き気がする…………!けどもし、鞠莉姉も同じ気持ちなら。

昔のように“親友”に戻れたら。

 

「瑠璃…」

「また…また…“友達”になってほしい」

 

鞠莉姉が困惑している声が聞こえる。

それもそうだろう、気が付いていたら目に涙を貯めていた。

すると……。

 

「私も…!」

 

鞠莉姉の顔を見ると涙でぐしゃぐしゃになっている。

 

「瑠璃にもっと早く相談すれば、こんな事にならなかったってあの時から考えているわ。…私も…また昔に戻りたい」

 

俺と鞠莉姉の涙はドンドンあふれてくる。

鞠莉姉は再度口を開く。

 

「だから、“友達”じゃなくて“親友”に戻りましょ?」

 

両手を広げてハグを待つ彼女の顔は、笑顔で目が腫れていた。

俺は鞠莉姉の両腕に入り抱きしめた。

昔は同じぐらいの身長だったが、いまでは俺のほうが大きい。

その後、俺と鞠莉姉は朝日が見えるまで、この空白の2年間を埋めるように話した。

 

 

 

 

 





瑠璃くんにとってのターニングポイントである今回の回。
リメイク前の"黒澤家の長男"を投稿している時からずっと考えていシチュエーションでもあります!

感想・評価をお待ちしております。

バレンタインストーリーについて

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  • 本編進めて!

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