私の担当だった彼女は後に最速のウマ娘と呼ばれるようになった。
そんな彼女は6ハロン(1200m)すら長いと言われていたのだ。
これはスター揃いの世代の中で遅く、速く、諦めずに駆け上がていったウマ娘とトレーナーのお話。
連携様(https://twitter.com/axartist)主催の未実装ウマ娘合同企画の参加作品となります。
元ネタは千直のレコードホルダーです。
日本一速かったある一人のウマ娘の話。
「GIレースを勝ちたい」
デビュー前の担当ウマ娘からこの言葉を一度も聞いたことのないトレーナーはいないだろう。
本気で勝てると思っている自身に満ち溢れた子もいれば、冗談交じりで話すだけの子もいる。想いの強さはそれぞれだが、GIウマ娘の称号が彼女たちにとっての夢であることは間違いない。
しかし、この勇敢な言葉がトレーナーの最も聞く言葉かと言われるとそうではない。
デビューをしてレースを重ねるうちに多くのウマ娘の言葉はこう変わるのだ。
「何とか一つ重賞を勝ちたい」
「勝負服を一度は来てみたい」
「中央のレースで走り続けたい」と。
何度も走るうちに彼女たちの目標は低く、切実なものになっていき、最終的に告げられる言葉は
「今までありがとうございました。お世話になりました」である。
そう、俗に言う引退宣言だ。怪我や実力不足、能力の衰えと理由はその時々になるが、多くのウマ娘はシニア級の二年が終わるまでにはこの言葉を口にして表舞台から去っていく。
こんな話をしたところで一つお話をしよう。
それは私が担当していたある一人のウマ娘の話だ。
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私の担当ウマ娘である彼女のレース人生はなかなかに厳しいものだった。
『メジロだ! メジロだ! 今年の朝日杯はメジロ───』
デビューから二連勝で臨んだ初の夢舞台は勝ちウマ娘と1秒以上離された10着に終わり、距離の壁という残酷な敗因を告げることになり、
『中山2000メートル、道をつなぎました。アグネスタキオンまず一冠!!』
同期のウマ娘たちがクラシックで輝かしい勝負を繰り広げる中、彼女は一人、裏街道のスプリント路線を走っていた。
『テイエムは来ているが届きそうもない! 勝ったのはマンハッタンカフェ!』
彼女がシニア級の壁に苦しんでいる時、同期はそんなものは知らないと言わんばかりにシニアGIを勝ち進んでいた。
『爆走だ! 爆走だ! 二番手以下を大きく離して3連勝でGI制覇!』
シニア級に上がった年の高松宮記念。出走すら叶わなかったスプリントGIをつい先日までOPクラスにすらいなかった同期があっさりと勝利していった。
『驚くべきはこのタイム! 53秒7はレーコドの赤い文字です!』
一瞬だけ光明が見えたのは新設二年目にして二度目の挑戦となったアイビスサマーダッシュだった。1000メートルの長い直線を見事に先頭で駆け抜けレコード勝ち。嬉しい初重賞勝利を飾り、いざ秋の短距離王者決定選へ、と意気込むも脚の状態が急激に悪化。騙し騙しでレースへ出走するも勢いに乗ることはできず、最終的には約一年の休養を余儀なくされることになった。
そして、復帰二戦目となったスプリンターズステークス。
『大外から聖剣の一閃だ! GI初制覇です!』
一つ下の後輩が豪快に大外一気で同期の連覇を阻み派手なガッツポーズで喜びを爆発させる中、彼女はズルズルと後方でゴール板を通過する。
逃げることすら叶わず、最後の坂では前にいたほかの子たちにおいていかれるだけのレース。
朝日杯以来二度目となった夢舞台は、残酷な現実を彼女に伝えたかのように思えた。
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「トレーナーさん、後で話があります」
俯きながら控室に戻ってきた彼女に開口一番にそう伝えられる。
長期休養明けの復帰二戦はどちらも二桁着順。彼女が燃え尽きてしまっていてもおかしくはない。
彼女の一言は私が覚悟を決めるのには充分な言葉であった。
笑顔を作り、ライブを終えた彼女を迎える。
2人きりの空間には痛いほどの沈黙が訪れ、GIのウイニングライブが終わった後とは思えない空気だった。
そんな中で私にできることは彼女が口に出す言葉を待つことだけだ。彼女の決心が迷わないようにじっくりと息をひそめて待ち続けた。
「決めました」
長い長い沈黙の末に彼女がこちらを向き声を上げる。
「今日、初めてシニア級のGIに出れました。クラシックの前に決めた二人の目標のレースを走れました。そして、高い高い壁を感じました。走り終えた時にはもう二度と届かないレースじゃないかとも思いました」
溜め込んでいたものをすべて吐き出すように、矢継ぎ早に彼女の言葉は続く。
「それでも、それでも久しぶりに勝負服でターフに脚を踏み入れた時には震えるほどに感動しました! クラスメイトの子はこんな凄い世界で戦っていたんだって初めて実感できました! 最後のウイニングライブは何もかもが新鮮でした。センターで踊っている子はもの凄く綺麗で、かっこよくて、輝いて見えて…………悔しかった。悔しかった! そんな風に思ってしまう私が悔しかった!! だからトレーナさんっ! お願いです。全力で、今まで以上に頑張りますから、私を……私をGIウマ娘にしてください!!」
無口な普段の彼女からは考えられないような涙ながらの絶叫だった。
見当違いの思いを勝手に抱いたことを恥じると同時に、見当違いだった彼女の熱い思いに嬉しさがあふれそうになる。
「約束するっ! 必ずGIを勝たせるから!」
泣き続ける彼女を抱きしめて、誓いを交わすように宣言する。
悔しい思いをした二回目の夢舞台は私達に火をつけて幕を閉じたのであった。
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そして迎えた年末。
大方の予想通り、多くのウマ娘が中央の舞台から降りるというニュースが飛び込んできた。
実績のあるものはドリームリーグへ。夢破れたものは地方での再出発、あるいは完全にレースの世界から去るなど物悲しい空気になる時期でもある。
彼女の同期も例外ではなかった。
凱旋門賞で無念の故障をしたマンハッタンカフェをはじめ、ダービーウマ娘に二冠ティアラウマ娘、スプリンターズステークスで一緒に走ったスプリントクイーンなど多くのスターウマ娘が惜しまれながらも新たなステージへ進むと発表した。
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「最初に伝えておくね。高松宮記念には出走せず、スプリンターズステークス一本を目標に取りに行くから」
新年になってからの初練習の日。挨拶を済ませるとすぐに私は彼女に向かって宣言した。
もちろん理由があっての選択だ。貴重なスプリントGIであるとはいえ、脚元に不安があった彼女を休みなく出走させても良いコンディションで臨むことは難しいだろう。よしんば状態が良くても私たちは挑戦者の立場だ。右にもたれる癖や同舞台であるCBC賞の結果を踏まえても左回りの中京1200メートルは厳しい勝負を強いられるのは間違いないことであり、無理に出る場面でもない。
彼女は輝かしい経歴を残して引退した同期たちとは反対に、シニア三年目というGIウマ娘になるための勝負の一年なのだ。
トレーナーとして悩みに悩んで決断した最善の策である。
「………………わかりました」
幸いなことに彼女は嫌がることもなく、こくりと頷いてくれた。
後、私ができることは彼女がさらなるパワーアップをするためのトレーニングを組み、GIで最大限に力を発揮できるよう策を考えていくだけだ。
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約半年間、休養とトレーニングに費やし、彼女がレースに復帰したのは6月のことだった。
「想像以上に力が付いたかもしれません」
結果はクビ差の二着と悔しいものだったが、彼女がそう漏らしたように上々の滑り出しといって良かった。
少なくとも昨年度よりは確実に力がついている。
私が決めた
次走は函館の重賞レースに挑戦して3着。
そして三戦目は二年前にレコードタイムを出して勝った千直重賞アイビスサマーダッシュとなった。
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「スタートを決めたら、外ラチに向かって前目につけてね。それで勝てるはずだから」
4年目となった1000メートル戦。外が有利だというデータはもうトレーナー間に広まっている。出走ウマ娘のほとんどが同じような指示を受けてレースに臨むだろう。今回は大外だった前回とは違い内よりの5番での出走となった分、枠だけが不安材料だった。
『スタートしました。一人出遅れたでしょうか。さぁ誰が先手を取るか? おおっ! 5番がスーッと外ラチにつけてきました』
作戦通りといっていいのか。
その後は圧巻の走りだった。
『これはもう楽勝といっていいのか!?』
一度も後続に影を踏ませることもなく、彼女は誰よりも速く駆け抜けた。
1000メートルという短い距離、しかもスプリンターばかりが集まったレースで、1バ身、2バ身と後続を突き放していく。
『これは余裕の走りだ! 快勝でゴールイン!!』
大歓声を浴びての圧勝劇でのゴール。
レコードだった二年前のタイムにこそ届かなかったが、それがフロックではないことを大いに知らしめる勝ち方だ。
拍手が鳴りやまないレース場と少し照れ臭そうにしながらファンに手を振る彼女を背に、私は最後の策を決めに行った。
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「お見事なレースでした。レース前に何か作戦などは伝えたのでしょうか?」
「いえ、私から伝えたのは外を目指せと言ったくらいで……今日のレースは彼女のおかげですよ」
そう、私がいるのは取材対応の場だった。
ウマ娘がライブなどの準備をしている間に行われるトレーナーへの取材。たくさんの記者がネタをとろうと多くの質問を投げかけてくる。
「トレーナーさんから見ていても気持ちの良い快勝劇でしたが、次走はどこに向かうのでしょうか?」
「そうですね。少し彼女の状態を確認してからになりますがスプリンターズステークスに向かおうと思っています」
「前哨戦は使わずにということですか?」
「はい、昨年は前哨戦から臨みましたが残念な結果でしたからね。間隔を少しとっての方がよいかと思いまして」
まずは、GIへ挑戦しますという意思表明から。
GIレースの情報はメディアにとっても大切な情報だ。質問は次走の話を中心に盛り上がっていくことになった。
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そして、いくつかの質問を受け答えした後に狙っていた質問が飛んできた。
それはどちらかというとマイナーな、意地の悪い内容を掲載することで有名な雑誌の記者からの質問だった。
「一つ聞いてもいいですか。今日のレースは見事なでしたが、巷ではあなたの担当を『1200メートルでも距離が長い千直専門のウマ娘』と呼ぶ声もお聞きします。今年も1200メートル戦は二回入って勝てていないのですし、正直GIレースは厳しいのではないでしょうか?」
若干、私の担当を馬鹿にしたような、人にとってはこれで取材がお開きになってしまうような内容。他の記者、特に質問が終わっていない記者は質問者を睨み、そうでない人も慌てて次の質問をしようと食い気味に手上げるようとするなど、場の空気が悪くなっていく。
私はそんな悪い空気に乗るようにして、あえて語気を強めて質問に答えた。
「なかなかに攻めた質問ですね……。確かにそのような厳しい声も聞こえてくるのは事実です。ただ、マスコミの方はそういうマイナスなことを書かないでくださいね。彼女が気にするようだと困りますので。それと、当然ですが距離やGIということで作戦は色々と考えていますよ!!」
「ほう、作戦があると・・・。よろしければお聞かせいただけませんか?」
上手く挑発が決まったと言わんばかりに目を光らせて質問者は追求してくる。
他の記者も先程の咎める様子はどこへ行ったのか、興味津々といった様子でペンを準備している。
「いいでしょう! 作戦なんて単純ですよ! 逃げて逃げて逃げまくる、ただそれだけです。今日のレースを見たでしょう。見事なスタートからの逃げ切り勝ち。1000メートルで三バ身もですから、1200メートルなんてもっと着差が付きますよ! 逃げられなかった去年の敗因から考えてもこの一点しか作戦なんてありません。大逃げとまでは言いませんがとにかく逃げるのは決めています!! ………………あ、これは記事に載せたりしないでくださいね」
失礼な質問に激昂して思わず言ってしまったかのように大きな声で伝え、そのまま取材の場を立ち去る。
記事に載せないでなんて言ったが、記事にならないわけがないだろう。私を怒らせたという部分は省いて、話した内容は狙い通り紙面を飾ってくれるはずだ 。
私は大失態のような大成功を収めて、意気揚々と彼女の待つ控室に引き上げていった。
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【千直クイーン 次も逃げます! スプリンターズステークスへ!!】
翌日の紙面には予想通りの記事が載った。
その後の取材でも徹底的に「潰れたとしても逃げます」と言い続ける。
作戦がばれてしまっても、他の陣営へ意識づけができればいい。
当日の人気なんていらない。一着を取りに行くためにも、完全に舐めてもらった方が助かるのだ。
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そして迎えたGIスプリンターズステークス。
天気は土砂降りの雨。バ場は当然のように不良と表示されていた。
「全く、いつもにまして顔が固いよ。天気も私たちを応援してくれてるしもっと力を抜いて行こう。ほら」
一年ぶりに勝負服を身にまとい緊張気味な彼女の頬をグイっと挟みながら声をかける。
ガチガチになって
何度も話したように今日の作戦は逃げ一択。どれだけ策を巡らせても、挑戦者である私達は腹をくくって逃げるしかないのだ。
緊張をほぐすように肩をもんだり、軽くレースについて話しているとあっという間に出走時刻が近づいてきた。
「では、行ってきます。トレーナーさん。本当に
「ええ、前回と同じで、スタートを決めたらラチに向かって。後は全力で走れば大丈夫よ」
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『今年も今日から秋のGI戦線が始まります。今年は外国から二名のウマ娘も出走。短距離王者決定戦スプリンターズステークスまもなくスタートです』
彼女を送り出してからスタンドに出ると強い雨風が打ちつけてきた。
思わず顔をしかめるも、恵の雨だと思い直す。
多くのウマ娘が苦手な雨と不良バ場は、私達には追い風になるのだ。
運も味方していると良い方向に捉えながら、スタート地点へ向かった彼女の様子を伺う。
……たぶん大丈夫だろう。去年のように震えているようには見えない。
もう、私の仕事は彼女が一着になることを祈り、全力で応援することしか残っていないのだ。
気合を入れ直すと同時にファンファーレが鳴り響いた。
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『さぁ、今年は不良バ場。運命を大きく変える究極の70秒。第☓☓回スプリンターズステークス、スタートしました!! 好スタートは─────』
「よしっ!! うまく出れた!」
レースはは去年とは大違いの好スタートで始まった。
『さあ逃げ宣言をしていましたが、おお、今年は先行策です』
ラチ沿いにスッと入るところまでは順調そのものだ。
作戦がビタッと決まっていると言っても過言ではない。
そのまま飛ばしに飛ばしながら後続を引きつれて逃げていると
「「「おおっっ!!!」」」
スタンドからどよめきと歓声が沸き上がった。
『600通過は33.6! これはハイペースだ!』
その原因は表示された600メートルのタイムだ。
彼女が刻んだラップは不良バ場とは思えないほどの異常なハイラップ。流石にまずいと思ったのか、後続のウマ娘たちは少しずつ控えだしている。
『さぁ、どこまで逃げられるかというところ。新潟の二度のチャンピオン。先頭のままで400通過、不良バ場最後の直線スプリンターズステークス!!』
あっという間に最後の直線を迎えた。
彼女は先頭を保ったまま、前へ前へと振り返ることもなく脚を動かしている。
流石に前半のペースからしても苦しくなってくるころだ。
勝つためにも、後は何とかこのまま粘り切れば─────
『むしろリードは開いている!!!』
目に入ってきたのは信じられないような光景だった。
逃げていたはずの彼女が進むたびに後続との差が
『さぁ、ラチ沿いに! 新潟のチャンピオンが逃げる逃げる! 突き放すように逃げている! 問題は二番手争いだが────』
口をぽかんと開けている間にさらに差はついていく。
後ろの子たちも追い上げているのに、彼女だけが加速しているかのように一人きりでゴールへ向かってくる。
「いっけぇぇ!! 逃げきれぇぇぇ!!」
その状況を理解するよりも早く出てきたのは目いっぱいの叫び声。
スタンドにいる誰よりも大きな声で彼女に届くように応援する。
そこからは私の人生で一番の声援を送り続けた。
『行ってしまうぞ! これは逃げ切ってしまうぞ!』
ゴールはもうすぐなのに、もの凄い距離が残っているかのように、彼女の走りがスローモーションになっている。
一完歩、二完歩と踏み出す姿がもどかしく、差はあるはずなのに少しも安心できない。
「いけっ! いけっ! 勝てっっ!!」
最後の最後まで祈るようにして叫び続ける。
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『───切れる脚で迫ってくるがもう前とは離れている。勝ったのは────』
まず目に飛び込んできたのはゴール板をたった一人で駆け抜けた彼女が控えめにガッツポーズをする姿だった。
無口な彼女が小さく、何度も何度も喜びを表すように拳を握りしめている。
悲鳴と歓声がこだまする中で表示された着差はスプリント戦にもかかわらず4バ身という大きな数字。
それは彼女のとんでもない圧勝劇の証拠だった。
それは彼女が
「おめでとう! そしてありがとう! 」
控室に戻ってきた彼女を思いっきり抱きしめながら祝福する。
去年は涙で終わった控室だったが、今年は二人とも笑顔での抱き合いだ。
そして「私こそありがとうございます」と返してきた彼女は、満面の笑みを浮かべながらこう言うのであった。
「トレーナーさん。またGIレースを勝ちたいです!!」
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その後の彼女の戦績は各々で調べてもらいたい。
私はトレーナーを引退した今でも思いだすのだ。
どれだけ周りに先に行かれても、どれだけ悔しい思いをしても、諦めずに頂点を掴み取った彼女の姿を。
彼女が記録した芝1000メートル53.7のレコードタイムは15年以上たった今でも破られていない。
無口で目立つことの少なかった彼女は最速のウマ娘だったのだ。
彼女の話はここでおしまい。
いつか彼女のレコードを破る快速ウマ娘が出てくることを夢見て、最後の文とさせていただく。
お読みいただきありがとうございました。
興味を持っていただけた方は02年、04年のアイビスサマーダッシュと04年のスプリンターズステークスを一度見てみてください。