生温かい目で見ていただけたらと思います。
実は、ココの視点である一話もあったのですが、
誤って消してしまったため、予備で書いておいたキャスパーの視点を第一話としてアップします。
広大な海を、大きな貨物船が波を立てながらゆったりと進んでいる。甲板には男と女が立っており、海風に白髪がなびいていた。男は黒いスーツを身に纏い、まるで相手を見透かすような青い瞳を持っていた。相手を小馬鹿にするような密かな笑い声は、彼の見ている光景とは、似合わぬ空気を生み出していた。男の隣では、緑の瞳を持った女がその目を男に向けている。彼女の体は鍛え抜かれており、腰にはオンタリオのダイバーナイフが装備されていた。
「何がそんなに面白いの?キャスパー」
女が口を開き、穏やかな口調で言った。
「はい、面白いですよチェキータさん。 ココの考えには大方予想はついていましたが、今まさにヨルムンガンドを発動したようです。」
キャスパーは愉快そうに言った。
「そうなの?特別変わった様子は見えないけど」
チェキータは空を見上げながらそう言った。
「僕にはわかります。ただ、ココがヨルムンガンドを発動した以上、僕達 武器商人を取り巻く環境はこれから大きく変わっていきます。空を塞がれちゃあ世界は大混乱でしょうね。CIAもココが何かしでかすんじゃないかって嫌な予感はしていたのでしょうが、これは彼らの予想以上の事態でしょう。」
キャスパーの勘はあなどれない事を、長年共に旅してきたチェキータは身にしみて実感している。疑う気持ちなどは微塵も無かった。
「でもキャスパー、ココは世界平和の為にヨルムンガンドを発動したんでしょ?」
チェキータは腰に装備されたナイフをさすりながら聞いてみた。
「そうですよ。人類の恥によって世界から争いをなくす、それがココの考える世界平和…というよりは、新世界の創造ですね」
キャスパーは意外な質問に、不思議そうな表情で答えた。
「じゃあ、私達の武器、売れなくなっちゃうね」
そう言うチェキータの顔は、さっきとは少しも変わらなかったが、どこか寂しげだった。ここでキャスパーは、チェキータの意外な質問の意図が理解できた。
「そんな事はありませんよ。安心してくださいチェキータさん。僕達の武器商人としての旅は続きます。侵略は人間の本能だ。ココには悪いが、例え空が塞がれても世界から争いが無くなる事は無いでしょう。ただ、空を飛べない以上、これからは海の旅が多くなりそうです。僕が不安なのはそこだけですよ。退屈な時間が増えそうですから」
キャスパーの答えに、チェキータはほっとした様子だった。チェキータにとって武器商人としての旅というものは、人生そのものであるかのように心から楽しめるものなのだ。CCAT社の連中のようにレストラン経営などという結末を迎えるのは、まっぴらご免だった。
「それは良かった。でも私、海の旅は嫌いじゃないわ。退屈ならパーティーでもしましょ」
チェキータはくるりと背を向け、海風になびく黒髪を片手で添えながらそう言った。
「チェキータさんは本当にパーティーが好きですねぇ、ですが、ポーカーでの賭けは勘弁してくださいよ、僕がいつも負けるハメになるんですから」
キャスパーはチェキータの後を追いながら苦笑いでそう言った。
「キャスパーは顔に出やすいのよ、あと鼻で笑うクセ、みんなにバレバレよ?」
チェキータは笑みを浮かべながら言った。
「とにかく!今日はダーツをしましょうよ!僕ダーツ得意なんですよ」
「あらそう?私もダーツは得意よ。じゃあそれで決まりね」
チェキータは腰のナイフを抜き、クルクルと手のひらで遊ばせながら勝ち誇った表情で言った。
新世界が誕生する瞬間も、彼らにとってはいつもと変わらぬ一日だった。
〜to be continued
いかがでしたか?
これからも懐かしのメンバーがじゃんじゃん登場していきますのでご期待を!
バトルシーンにも全力を注ぐので、何卒よろしくお願いします