夜の嵐の中、轟音に紛れながらも銃弾の空気を切り裂く音がレームの顔の横をかすめ、レームの顔から鮮血が飛び散った。血は雨にかき消され、よろめきながら思わず銃を落とした。
「おい!レーム!?大丈夫か!」
ルツがすぐに反応し、スコープから一瞬目を離した。その刹那、ブレイザーR93のスコープが撃ち抜かれ、ガラス片が飛んできた。ルツはとっさに顔を逸らし、傷を負う事はなかったが、レームの顔からは血が流れ続けていた。吹き付ける雨は血を洗い流し、その傷を露わにしていた。左目の目尻あたりが銃弾によってパックリと裂け、レームは片手で左目を覆っているが、事態が深刻なのは一目了然であった。
「すまねぇルツ...目をやられちまった..」
苦し紛れに発した言葉も、嵐にむなしくかき消された。ルツが片手でブレイザーR93を掴み、もう片方の腕でレームの肩を組み、低い姿勢で屋上出口に向かって移動した。
「しっかりしろオッサン!」
ルツが叫ぶ中、銃弾の空気を切り裂く音が頭上で絶えず鳴り響いていた。出口までたどり着くと、ルツはレームを壁にもたれかかせ、自分の服を破り、レームの頭にきつく巻きつけた。レームの表情が痛みにゆがみ、悲痛な声が漏れた。
「傷口をしっかり抑えるんだ、俺のもスコープがやられて使い物にならねぇ、とにかく撤退するぞ」
ルツは無線機を取り出し、まずワイリ達に繋いだ。
「ワイリ!俺達のとこはもうダメだ、これ以上奴らを抑えきれねぇ、そっちの準備はもう済んでるか?」
「あぁ、今済んだところだ。これから撤退する」
「こっちも撤退するが、レームのおっさんが負傷した。俺のR93もスコープがやられてもう使い物にはならねぇ、A棟に向かう途中俺達と合流してくれ、このままじゃおっさんと一緒に取り残されちまう」
「了解した!今どこにいる?」
「今屋上付近だ、これから階段を下りて地下通路を通ってA棟まで行くつもりだ。」
「なら東階段が一番近いな、東階段から下に下りてくれ!私たちは東階段から上に上っていく、合流し次第、地下階段まで向かおう」
「了解!」
ルツが無線をしまい、レームの肩を担いだ。ブレイザーR93はその場に放置する事にした。ホルスターからシグザウエルSP2022を抜き、片手で構えた。タクティカルライトを取り出し、もう片方の手で暗闇の中を照らした。
「おっさん、立てるか?」
「あぁ、もう大丈夫だ...」
レームが荒い息でそう言った。
「聞いていたと思うが、東階段から下りるぞ、痛むとは思うが、先を急ごう」
ルツが先導しながら先へと撤退していった。
~B棟1F~
「ココさん!爆弾の設置完了しました、私たちはこれから安全な場所まで退避します!」
「ご苦労だったワイリ!状況は?」
「ルツの報告ではレームさんが負傷し、ルツは武器が破壊され同じく戦闘続行が不可能のようです。これから撤退中のルツ達と東階段で合流し、地下通路を通ってA棟に向かいます」
「レームが負傷?そんな...。 わかった、ルツ達が撤退したなら奴らは容赦なくこっちに向かってくるだろう。細心の注意を払うんだ。」
「了解です!」
ワイリが無線を切り、マオと共に東階段へ向かって走り出した。彼らの敵、ナイトナインは蛇のように巻きつき、着々と首を絞めていくようだった。
~to be continued