ココ率いる一行はメルヒェン社第二工場へと赴いた。
新たな戦いに備えて…
ヨルムンガンドを発動したココ率いる一行は、彼女達の拠点である南アフリカに設立されたメルヒェン社第二工場に赴いた。衛星が使えない以上、ココの動きをCIAが追跡している可能性は無いに等しかった。
「いずれヨルムンガンドを狙う連中が現れるに違いない。防衛という意味も兼ねて、しばらくは南アフリカに留まる事になる。」
とココは言っていたが、ヨナにはそれが退屈で仕方がなかった。以前はココ達と世界中を旅していたが、空を飛べない以上、それはもう叶わぬ願いだった。襲撃された場合、海での移動では早急な対処ができない。ならば備えるしかないのだ。と言っても、ココの手にヨルムンガンドがあるという事は、世界最強と言っても過言ではない。そんな安心感があるせいか、南アフリカに篭りっぱなしという事態がヨナには腑に落ちなかった。
大型のトレーラーが次々とメルヒェン社第二工場に終結した。航空機が使えず、車での長旅の疲れを隠しきれなかった。エントランスホールにはミナミ、バブーリン、ラビットフット、そして護衛のカレンの姿が見えた。
車が停車し、ココ達はそれぞれ車から降りて、荷物をコンテナから降ろし始めた。武器や装備、資材などが大量に積んであった。このメルヒェン社第二工場は、表向きにはただの"おもちゃ工場"という事になっているが、実際は2年前に打ち上げられた小型化されたヨルムンガンドとコンタクトを取る施設だ。HCLI本社とは関係なく、ココ・へクマティアルが自ら出資して作ったものであり、詳しい全貌はHCLIの人間には知られていない。製造工場という事もあり、武器などの生産も裏で可能だ。この工場の情報はヨルムンガンドによって統制され、外部に漏れることはまず無いだろう。電力は独自でまかなっている為、施設そのものが独立したココの居城となっているのだ。
「また随分と物騒なの持ってきたねぇ」
タバコをくわえながらミナミが言った。
「仕方ないよミナミ、我々は最後まで銃を持つ最後の兵である以上、ヨルムンガンドとこの世界を守り抜かなければならない」
ココは施設に運ばれていく武器を横目で追いながら厳しい口調で言った。
「結局、私達の戦いは終わらないってことね」
ミナミは流すような口調でそう言った。
ココはミナミの横をスッと一歩進み、ミナミの横に立ちながら施設を見上げた。
「ミナミ、しばらくは南アフリカに留まる事になる。ヨルムンガンドによる強制的世界平和は続くが、まだ計画は始まったばかりだ。空の閉鎖、海の閉鎖、そして最後は陸の閉鎖、これを全て成し遂げて初めて計画完了と言える。それまでは、我々はここでヨルムンガンドを守り抜く。異論は無いね?」
ココは低めの声で言った。
「もちろん無いよ、ココ。でもそれ以前に、前から外に行かせてくれなかったじゃん。篭るのにはもう慣れたよ。
世界中の蝶を集めたかったけど」
ミナミは不満げな口調で言ったが、ココの考えに反論するつもりは無かった。お互い顔を向き合わせていなかった為、どういう表情をしているかはわからなかったが、知る気も無かった。
MASADAを抱えながら、ヨナは遠くからココとミナミを見ていた。二人の会話は聞こえなかったが、愉快な内容では無いのは明白だった。船から見たロケット打ち上げの時と同様、あの時の二人の姿が重なって見えた。
あの時のままと変わらぬ姿を持った悪魔が、そこにいた。
〜to be continued
いかがでしたか?
ヨルムンガンドを最終段階まで進めようと考えるココとミナミ、そして新たな敵を危惧するココ、ヨルムンガンドを巡る戦いが刻々と近づいてきます。