9話 トールズ士官学院
S・1204年3月31日 トリスタ近郊
ー次はトリスタ、トリスタ
降りる方は準備をお願いします
尚、終点のため、他のお客様も乗り換え準備をお願いします
「ん・・・
やっとか・・・」
帝都ヘイムダルから早朝の便でトリスタに電車でやってきたリィンは降りる準備を始める
準備と言ってもオズボーンから渡された入学案内の通り、自分の武具と携帯用戦術オーブメント"
リィンも話にしか聞いてないがエプスタイン財団とラインフォルトの共同開発とのことだ
興味がなさすぎて半分以上聞き流してクレアの雷が落ちたのは記憶に新しい
「さて、2年間いることになるかわからないが
気楽にやるか・・・」
リィンは電車を降り、トリスタ駅を抜けてトリスタに出る
トリスタはヘイムダルと比べると栄えてるわけでは無いが最低限設備は揃ってるようで生活に困ることはないだろう
あたりを見渡すと、同じく今日の入学の学生らしき者が何名か見受けられるが、制服の色は緑や白の制服ばっかりで、リィンが着ている赤色の制服の生徒らしき人物は見たところ見受けられない
先に向かってるだけかもしれないし、考えるだけ無駄かとリィンは歩を進める
道中、金髪の少年と青髪の少女の同じ赤い制服と生徒と遭遇したが特に気にせずリィンは進む
リィンは特に寄り道せずに学院の正門前まで行く
そこには小柄な緑制服の少女と黄色いつなぎの男性が立っていた
「入学、おめでとうございます」
緑の制服の少女が祝いの言葉をリィンに言う
「うんうん、君で最後みたいだね
えっと、リィンくんでいいんだよね?」
「ええ、色々事情がありそうですね
この赤い制服といい、そしてオレの"名前"を知ってることといい」
「アハハ・・・
ごめんね、多分この後説明されると思うから・・・」
リィンの指摘に少女は苦笑いで答える
特にその気はなかったが、ちょっといじめてしまったかとリィンは内心思う
「それが申請した品かい?
一旦こちらで預からせてもらうよ」
つなぎの男性がリィンが肩にかけている刀袋を見ながら問いかける
「ああ、案内にあった・・・」
リィンは刀袋をつなぎの男性に手渡す
「確かに
後でちゃんと返されると思うから心配しないでくれ」
つなぎの男性はリィンから受け取る
「入学式はあちらの講堂であるからそのまま真っ直ぐどうぞ」
緑の制服の少女が場所を簡単に案内する
「あ、そうそう
トールズ士官学院へようこそ」
「充実した2年になるといいね」
「ええ・・・」
リィンは苦笑いしながら二人の言葉を受け取り正門を抜ける
正直、"仕事"が終わればここを去ることになるリィンは2年いるのが正直微妙なとこではある
そんなこと知らない二人には知る由もないことではあるが・・・
そう思案してるとチャイムが鳴り始める
入学式の時間の合図だ
「さて、時間か・・・」
リィンは急いで講堂に向かうのだった
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トールズ士官学院・講堂
「最後に君たちにひとつの言葉を贈らせてもらおう」
講堂の教壇に体格のいい白髪の男性が立ち、入学の進行をしていた
体格に関してはオズボーンと同等くらいだろ
このトールズ士官学院の学院長・ヴァンダイク学院長である
あの齢であの体格は相当やりそうだと内心思う
講堂内道中で会った、白、緑の制服の生徒、そしてリィンと同じ赤い制服の生徒も何名か見受けられる
学院長が喋ってる付近で立っているおそらく教官であろう・・・
なんか見知った顔が見受けられるがそんなことよりこの長い入学の挨拶早く終わってくれないかとリィンは思いながら大きくあくびをした
「本学院が設立されたのはおよそ220年前のことである
創立者はかのドライケルス大帝・・・
獅子戦役を終結させた
エレボニア帝国、中興の祖である
即位から30年余り・・・
晩年の大帝は、帝都からほど近いこの地で兵学や砲術を教える士官学院を開いた
近年、軍の機甲化とともに
本学院の役割も大きく変わっており、軍以外の道に進む者も多くなったが・・・
それでも大帝が残したあの言葉は今でも学院の理念として息づいている
若者よ、世の礎たれ・・・
"世"という言葉をどう捉えるのか
何をもって"礎"たる資格を持つのか・・・」
「マジかよ・・・」
リィンはまだ続く学園長の挨拶にげんなりする
早く終わってくれと天を仰ぐ
「これからの2年間で自分なりに考え、切磋琢磨する手掛かりにしてほしい
ワシの方からは以上である」
やっと終わったかとリィンは息を吐いた
「うーん、いきなりハードルを上げられちゃった感じだね」
いきなり隣に座っていた、リィンと同じ赤の制服のオレンジ髪の生徒に話しかけられる
「まあ、なるようになるだろう
えっと・・・」
「ああ、ごめんね
名乗ってなかったよね
僕はエリオット
エリオット・クレイグだよ」
「クレイグ・・・
帝国正規軍の・・・」
「あはは・・・
一応、僕の父親なんだ・・・」
「へぇ、威厳あって厳格な感じだったが・・・」
「あはは・・・」
エリオットは苦笑いする
軍での父は確かにリィンの言うような印象ではあるが、家での父はあれとは真逆なのだから・・・
「オレはリィンだ
よろしくな、エリオット」
「うん!」
「以上でトールズ士官学院
第215回入学式を終了します
以降は入学案内書に従い、指定されたクラスへ向かうこと
学院におけるカリキュラムや規則の説明はその場で行います
以上、解散!」
貴族風の服装をしたちょびひげの教官が仕切る
白と緑の制服の新入生徒は元々案内があったのか講堂から出ていく
「えっと・・・
送られてきた案内書にそんなの書いてあったけ?」
「いや、なかったはずだ
多分」
「リィン、なんでそんな自信なさげなの?」
「流し読みしたから」
「リィン!?」
エリオットは突っ込む
仮にもエレボニア帝国ゆかりの士官学院に合格して案内書を流したと言うのだからこの人本当に大丈夫なのだろうかとエリオットは心配になった
「はいはい
赤い制服の子は注目」
リィンを含めた赤い制服の生徒は声の主の方を向く
その人物はワインレッドの髪色をした女性教官であった
ー話には聞いてたが紫電がいるとはな・・・
リィンは目の前の女性教官の件をオズボーンや同僚たちからは聞いていたが本当に勤務してるとはなとリィンは内心思う
「実はちょっと事情があってね
君たちにはこれから特別オリテーリングに参加してもらいます」
「え?」
「特別オリエテーリング・・・」
「ふむ・・・」
「・・・・」
緑髪の少年と金髪の少女、青髪の少女が反応する
銀髪の少女はよくわからなかったが・・・
「ま、すぐにわかるわ
それじゃ全員、あたしに着いてきて」
女性教官はそれだけ言うと講堂から出ていく
「えっと・・・」
事態を飲み込めず、メガネの少女は困惑する
「とにかく行くしかなさそうだ」
「やれやれだな」
長身の少年は状況が分からない以上行くしかないといい金髪の少年は呆れながらも否定はしなかった
そして赤い制服の生徒は女性教官について行き行動を出る
「えっと、本当どう言うことなのかな」
「ま、とりあえず行こうぜ」
講堂に残されたリィンとエリオットも女性教官の後を追うのだった
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トールズ士官学院・旧校舎
リィン達は学院の外れにある古い建物に連れてこられていた
女性教官はずいぶんとご機嫌で旧校舎の扉の鍵を開け中に入っていく
「こんな場所で何を・・・」
「わけが分からないぞ」
「まぁ、考えても仕方あるまい」
困惑しながらも赤い制服の生徒は中に入っていく
「・・・・・・・・」
リィンは背後を振り向きある一点を見つめていたが他に続いて中に入っていく
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「ほっほー、あいつらがオレらの後輩ってわけだな?」
「まぁ名目こそ違うが似たような者だろうね
私たちの努力が報われたのならこんな嬉しいことはない
一年間、地道に頑張った甲斐があったと言う者だよ」
「だよなーって
お前は努力なんてしてねぇだろ
好き勝手やってただけじゃねぇか」
「フッ
それは君も同じだろ」
「しかし、アリサくんといい
可愛い子ばかりで嬉しいな
これは是非ともお近づきにならないとね」
「へぇ、知り合いでもいるのか
じゃなくて
コナかけまくるんじゃねーよ」
「お前のせいで、この一年どんだけ寂しい思いを男子がしたと思っってるんだ」
「ふっ」
「は、鼻で笑いやがったなぁ?」
旧校舎の崖から二人の男女がリィン達を見ていた
男性の方はバンダナをつけてる、
緑の制服の男子生徒で黒いライダースーツを着た女性だ
バンダナ生徒の訴えをライダースーツの女性は鼻で笑う
「二人とも喧嘩しちゃダメじゃない」
「やあ、二人ともお疲れ」
二人が漫才みたいなやり取りをしてるとそこに先程正門で新入生の対応をしていた小柄な女生徒と黄色いつなぎの男性が現れる
「他のひよこどもは大方仕分け終わった見てーだな」
「うん
みんなとてもいい顔をしてたかな」
バンダナ男の問いに小柄の女生徒は頷く
「よーし
充実した学院生活を送れるように
しっかりサポートしなきゃ!」
「ふふ
流石は会長殿」
「おーおー
張り切っちゃって」
小柄な女生徒が意気込んでるとバンダナ男とライダースーツの女性は揶揄う
「まぁ、多少の助けはないと最初は厳しいだろうね
それでそちらの準備を終わったみたいだね」
「ああ、教官の指示通りにね」
黒いライダースーツの女性が肯定する
「しかし、彼らには同情を禁じ得ないな」
「まあ、それは同感だぜ」
バンダナ男が同意する
「本年度から発足する
訳ありのクラス・・・
せいぜいお手なみを拝見するとしようかね」