閃の軌跡~剣神~   作:灰色の剣神

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11話 オリエテーリングII

旧校舎・地下

 

リィンが地下に降り立つと、そこは広場になっており、Ⅶ組の人数分の台座が置かれていた

リィンが来る前はそこになにかが置かれていたのは容易に想像できる

一つの台座に見覚えのある刀袋があり、リィンはそこに向かう

台座につくのと同時に学院側から至急されていた"ARCUS"が鳴り響く

すで同僚(クレア)から"ARCUS"の指南を受けていたリィンは一通り操作方法や機能もわかっているのでリィンは通信に出る

 

「まるで狙ってたかのようなタイミングですね」

 

「そんなんじゃないわ

あんたが降り立つ前に他の子の説明が終わったからかけただけよ

身内から一通りの説明も受けているだろうから、"ARCUS"の説明は省くわよ

なんとなく察してると思うけどこの旧校舎地下を攻略して、1Fに出られればクリアよ

まあ、"剣神"って呼ばれるくらいだから、その程度の魔獣なら問題ないと思ってるわ

それじゃあ、幸運を祈るわ」

 

「やれやれ・・・

まあ、のんびりやりますか」

 

サラは簡単に説明すると通信を切る

リィンは通信が切れたのを確認すると台座に置いてあるマスタークォーツを"ARCUS"に装着し旧校舎・地下の攻略の為進んでいく

旧校舎地下は建物自体は中世を彷彿とさせる造りになっており、内部もそんな入れ組んでいるわけではなく迷うこともなく奥まで行けるだろう

魔獣もそんな強い気配があるわけではないのでリィンのからすれば雑魚同然であった

そんな魔獣をリィンは一刀のもと斬り捨てる

 

「これは・・・・

奥からか・・・・」

 

リィンが雑魚(魔獣)を斬っているととりわけ強い気配が感じられた

強い気配といってもリィンからすれば特別強いわけでもない

あくまでこの旧校舎の魔獣と比べればの話ではある

 

「・・・・・あいつら大丈夫か?」

 

この先に行ってるであろうⅦ組の面々を思い浮かべリィンは呟く

武の心得がありそうなのは何名かいそうであったが、あれに勝てるかと言われればよくわからないし

そこそこ強い気配ではあるので少なくとも新入生にやらせる相手ではない

特に苦労することもなくリィンが旧校舎地下の最奥にたどり着くと言わばガーゴイルとも呼ぶべき魔獣・・・いや魔物とⅦ組が対峙していた

 

「成程、あれが・・・」

 

リィンはガーゴイルを見てあれが今回のオリエンテーリングの最終試験みたいなものかとリィンは内心呟く

だが、戦いの心得もない人物もいる新入生の歓迎会に対しては"強すぎる"

なんてものを用意してんだとリィンは舌打ちする

速攻でケリをつけることも考えるが、"今後"を考えあくまでサポートにまわることにした

 

「緋空斬・連」

 

焔を纏った飛ぶ斬撃をリィンは連続でガーゴイルに向って放つ

 

「ガァ!?」

 

リィンの攻撃はすべて命中し、ガーゴイルは怯む

 

「なんだ!?」

 

まったくの予想外の攻撃にⅦ組も驚く

 

「惚けてる場合か

怯んだ今がチャンスだ」

 

「あ、あぁ・・・」

 

リィンの言葉にⅦ組は攻撃を仕掛ける

マキアスはショットガンで怯んだガーゴイルに追撃をかけ

そこに銀髪の女生徒フィーがガーゴイルに飛び乗り双銃剣をガーゴイルに突き刺し引き金を引きゼロ距離からの銃撃を喰らわす

 

「ここだ・・・!」

 

怯んだところに更に追撃を仕掛けガーゴイルはダウンする

このチャンスを逃がさまいと青髪の女生徒ラウラが大剣を大きく振りかぶり振り下ろす

 

「グ・・ガァ・・・!」

 

だが、ガーゴイルの復活の方が一歩早い

ガーゴイルはダウンから回復し喰らってなるものかと言わんばかりにその鋭利な爪でラウラの斬撃を弾く

 

「ラウラ!!」

 

ガーゴイルの一撃によって自身の斬撃が弾かれたラウラは体制を崩し、片膝をつく

 

「ガァァァァァアアアア!!」

 

「させないわ!」

 

ガーゴイルはそんなラウラに襲い掛かる

させまいと金髪の少女アリサは弓を穿つ、だがそんなの気にしないかのようにガーゴイルはラウラにその鋭利な爪を振り下ろす

 

「チッ

仕方ねぇな」

 

そんな声がⅦ組の耳に聞こえた

リィンは一瞬でラウラの前まで移動し太刀を構える

 

「君は・・・」

 

「いつのまに・・・」

 

一瞬でラウラの前まで移動したリィンに各々驚く

 

「唸れ、一二三!!」

 

リィンは圧縮した焔を己の太刀に纏わせ三連撃を飛ぶ斬撃として中距離で攻撃するのではなく、"至近距離"で圧縮した焔を纏ったまま三連撃をガーゴイルに喰らわせる

 

「滅!!」

 

「ガァァァァ・・・・!」

 

リィンの掛け声と共にガーゴイルに放たれた圧縮した焔が爆発する

ガーゴイルはその爆発を受け、再度怯む

 

「おい、立てるか」

 

リィンはラウラに声をかける

 

「あ、ああ、済まぬ」

 

「ここだ、一気に仕掛けろ!!」

 

リィンの掛け声とともにⅦ組は攻撃を仕掛ける

その瞬間リィン達Ⅶ組の面々が"光った"

リィンたちというよりも"ARCUS"が反応したといったほうが正確かもしれないが・・・

エリオットとエマの魔道杖から放たれた疑似アーツがガーゴイルに向っていくが、速度が遅い

だが怯んだ今なら確実に"当たる"

 

「ガ・・・ァァァァ・・・・」

 

「喰らえ・・・!」

 

マキアスのショットガンがガーゴイルの頭を捉える

 

「せーの」

 

フィーが駆け抜け、ガーゴイルを斬る

 

「そこよ!」

 

アリサの弓がガーゴイルを穿つ

 

「坊ちゃん、しくじんなよ」

 

「フン、誰に言っている?」

 

リィンの煽りにユーシスが答える

ユーシスは騎士剣を構え水平に一閃し、その後に長身の男子生徒ガイウスが続き、十字槍での突きを喰らわす

 

「はぁぁぁぁああああ!」

 

ラウラが大きく飛び上がり、大剣をガーゴイルの首目掛けて振り下ろす

 

「ガ・・・ァァァァァァ・・・・ア!」

 

ガーゴイルは悪あがきと言わんばかりにラウラの斬撃を弾こうとするがもう遅い

 

「斬」

 

リィンがすでに動いていた

リィンはガーゴイルの手足と羽をすべて斬り落とす

 

「ここだ」

 

ラウラの大剣が今度こそガーゴイルを捉えその首を斬り落とす

首を斬り落とされたガーゴイルは全身が石に変わっていく

身体も斬り落とされた四肢に頭もすべてが役目を終えたと言わんばかりに・・・

 

「や、やったのか・・・」

 

「・・・生命活動は停止、動き出す気配もない

ひとまずは大丈夫だろうな」

 

リィンは石と化したガーゴイルに目を向け答える

 

「ふぅ、もうダメかと思ったよ・・・」

 

エリオットは緊張から解放されたのかその場に座り込む

 

「エリオット、大丈夫か?」

 

そんなエリオットにリィンは手を差し伸べる

 

「リィン・・・

ありがとう・・・」

 

エリオットはそんなリィンの手を取り立ち上がる

 

「リィンだったか・・・

先程はありがとう

助かった」

 

「ああ、気にするな」

 

ラウラがリィンに近寄り助けてもらったことへの感謝の言葉を言う

 

「それにしてもさっきの感覚は・・・」

 

「なんかみんなと"繋がった"ような・・・」

 

「ふむ、これこそが・・・」

 

「ええ、"ARCUS"の真価ってわけね

いやぁ、最後はやっぱり友情とチームワークの勝利よね

うーん、お姉さん感動しちゃったわ」

 

Ⅶ組の問いに答えるようにサラが現れ答える

サラの言動にリィンはわざとらしいと内心呟く

 

「これにてオリエテーリングは全て終了なんだけど・・・

何よ君たちもっと喜んでもいいんじゃない?」

 

「やれやれ」

 

リィンは肩をすくめる

先のガーゴイル戦、VII組の参加する資格含めた試験だと思うがそれにしても要求値が高すぎる

下手すれば死人が出てもおかしくない

他の面々が不信感があっても不思議ではないだろう

 

「よ、喜べるわないでしょう!!」

 

「正直、疑問と不信感しか湧いて来ないんですが・・・」

 

「あら?」

 

「単刀直入に問おう

特化クラスVII組一体何を目的としてるんだ?」

 

「身分や出身に関係ないのはなんとなく分かりましたけど・・・」

 

「何故我らが選ばれたのか

結局のところ疑問ではあるな」

 

「ふむ、そうね

君達VII組が選ばれたのは色々な理由があるんだけど・・・

一番の理由はその"ARUCS"にあるわ」

 

「・・・・・・」

 

「その"ARCUS"には様々な機能があるけど

真価は"戦術リンク"先程君たちが体験した現象にあるわ

例えば戦場においてそれがもたらす恩恵は絶大よ

どんな状況下でも

お互いの行動を把握できて最大限に連携できる精鋭部隊

仮にそんな部隊が存在すれば、あらゆる作戦行動が可能になる

まさに戦場における革命と言ってもいいわね」

 

「ふむ、確かに」

 

「理想的かも」

 

サラの説明に一部は同意する

軍事国家であるエレボニア帝国ならでは例え方だとは思う

だが、先程の学院長の話ではないが軍属以外の進路に進む者もいると聞く

他に例え方がなかったのかと思わなくもない

 

「でも現時点で"ARCUS"に個人的な適性があってね

新入生の中で君たちは特に高い適性値を出したのよ

それが君たちが身分や出自に関係なく選ばれた理由でもあるわ」

 

「成程・・・」

 

「な、なんて偶然だ・・・」

 

サラの説明にガイウスが納得し、マキアスが驚いていた

 

「さて、約束通り文句を受けつけてあげるわ

・・・トールズ士官学院はこの"ARCUS"の適合者として君たち9名を見出した

でもやる気のないものや気の進まない者に参加させるほど予算的な余裕があるわけじゃないわ

それに本来所属するクラスよりハードなスケジュールになるはずよ

それを覚悟した上でVII組に参加するかどうか聞かせてもらいましょうか

あ、ちなみに辞退したら本来所属するクラスに行ってもらうことになるわ」

 

サラが辞退した時の流れを簡単に説明する

 

「私は参加させてもらおう

元より修行中の身、此度のような試練は望むところだ」

 

「オレも同じく

異郷の地から訪れた以上

やりがいがある道を選びたい」

 

ガイウスとラウラが参加を表明する

 

「新入生最強の使い手に留学生のノッポ君は参加・・・と

さあ、他には?」

 

まあリィンを除けば最強ねとサラは内心呟く

リィンの戦闘を見たサラは正直なところ"底が知れない"だった

ガーゴイル戦では明らかに手を抜いていたし、あくまでVII組のサポートにまわっていた

リィンが本気でガーゴイルを倒しに行ってたのならこのオリエテーリングが意味をなさず一瞬で終わっていただろうとサラは結論づける

そう言わせるほどまでリィンの実力は高かった

"未知数"それがリィンに抱いた感想だった

そう考えるとリィンの"実績"は誇張でもなんでもなく事実っぽいわねとサラはリィンの認識を改める

 

「私も参加させて下さい

奨学金をいただいてる身ですし、少しでも協力させて頂ければ」

 

「ぼ、僕も参加します

これも縁だと思うし、みんなとは上手くやっていけそうな気がするから・・・」

 

「魔道杖のテスト要員も参加・・・と

"ARCUS"同様テスト段階の技術だから運用レポート期待してるわ」

 

「ふふ、了解しました」

 

「うぅ、早まったかな・・・」

 

エマとエリオットも参加を表明するが魔導杖のレポートの話をされ、エリオットはうなだれる

 

「私も参加します」

 

「あら以外ね

てっきり貴女は反発して辞退するかと思ったんだけど?」

 

「確かにテスト段階の"ARCUS"が使われてるのは個人的に気になりますけど・・・

この程度で腹を立てていたらキリがありませんから」

 

「フフ、それもそっか」

 

アリサの参加表明にサラは少し驚いた表情をするがそれだけで参加については特になにも言わなかった

 

「これで5名、フィーあんたはどうするの?」

 

「別にどっちでも

サラが決めていいよ」

 

「ダメ

アンタが決めなさい

自分のことは自分で決める

そう言う約束でしょ?」

 

「めんどくさいな

じゃ、参加で」

 

フィーもどっちでもいいような感じだったが参加の解答をする

 

「はぁ、まあいいわ

これで6名だけど・・・

君たちはどうするつもりなのかしら?」

 

サラは険悪の空気を出しているマキアスとユーシスに問いかける

参加するか否かを

 

「・・・・ユーシス・アルバレア

VII組の参加を宣言する」

 

「な、何故だ

君のような大貴族の子息が平民と同じクラスなんて我慢できないはずだろう」

 

「勝手に決めつけるな

アルバレア家からしてみれば他の貴族も平民も同じようなもの

勘違いした取り巻きにまとわりつかれる心配もないし、むしろ好都合というものだ

かと言って無用に吠える犬を置いておく趣味もない

ならばここで袂を分かつのがお互いのためだと思うがどうだ?」

 

「誰が君のような傲慢不遜な輩の指図を受けるものか!!」

 

「マキアス・レーグニッツ

特化クラスVII組に参加する!!

古ぼけた特権にしがみつく時代から取り残された貴族風情にどちらが上か思い知らせてやる!!」

 

「面白い・・・」

 

マキアスとユーシスは睨み合う

一周回って仲良いんじゃないかと思わなくもないが言うとめんどくさくなるのが分かりきってるので何も言わない

 

 

「さて、あとはリィン

君だけと言いたいんだけど、君に関しては拒否権ないのよね」

 

「でしょうね」

 

リィンは事前にこのクラスのことは聞いていたが、所属するとは聞いていなかった

大方レクターあたりがサプライズのほうが面白そうとかほざいて言わなかったんだろうとは思う

てかこの学院に潜伏してると思われるテロリストのリーダー格を探るのにこのクラスならではの"あれ"は都合が悪すぎる

何考えてんだとリィンは内心赤毛の男(レクター)を恨んだ

他にもなにか思惑はありそうだが、"あの男"同様レクターも何考えてるかよくわからない

流れに身を任せるしかないだろう

少なくとも"今は"

 

「えっと・・・」

 

「ふむ・・・」

 

リィンの待遇に他のⅦ組の面々は疑わし気な目線を送る

 

だろうなとリィンは納得する

他の面々は参加か否かを選ばせておいて自分だけが強制参加など当然こうなるのは目に見えてる

早くもリィンはこの"仕事"の先行きが不安になるのだった

 

「リィンのことは気になるだろうけど、気にしないでちょうだい

特殊なのよリィンは・・・

まあ、一部特例みたいなものだけど

とりあえずこれで9名全員参加ってことね

それではこの場をもって特化クラスVII組の発足を宣言する」

 

サラが一応フォローじみた事を言ってくれてるがまったくフォローになってない

更に疑いの視線が強くなった気がした

 

「・・・・・・・」

 

リィンはサラの言葉を聞き流しながら、旧校舎の直階段を昇った先の通路み見つめていた

懐かしいというか何度か会ったことのある高貴な血筋の"あの方"の気配を・・・

 

ー成程、このクラスは貴方の発案ってわけか

"あの人"に対抗する一手・・・

あちら側の人間であるが、精々行きつく先を見定めさせてもらいますよ"殿下"

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「やれやれ、まさかここまで異色の顔ぶれになるとはの・・・

これは色々大変かもしれんの」

 

旧校舎の直階段から外に出る通路付近からヴァンダイク学院長と金髪の青年が見守っていた

 

「フフ、確かに

ですが、これも女神の巡り合わせというものでしょう

ひょっとしたら彼らこそが光となるかも知れません

動乱の足音が聞こえるこの帝国において、対立を乗り越える唯一に光に・・・

まあ、"彼"についてはどう動くかは予測できませんがね・・・」

 

金髪の青年はリィンがこっちを見てるのを見て苦笑いしながら言う

 

ー久々に会ったが、あれから更に強くなったようだ

君にも精々期待させてもらうよ、"剣神殿"

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