閃の軌跡~剣神~   作:灰色の剣神

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新学期~初めての実習
12話 学院生活の始まり


S・1204年4月17日

第三学生寮

 

あのオリエテーリングから2週間程の月日が流れた

幸いなことにあのガーゴイル戦で怪我をした者等はいなかった

本当にそれに関しては不幸中の幸いであろう

リィンは身支度を整え、学院側から提供された寮の部屋から出る

 

「リィン、おはよう」

 

「ああ、エリオット

おはよう」

 

部屋を出たところに声をかけてきたのは同じクラスのエリオットだ

というかこの第三学生寮に関してはⅦ組専用にあてがわれた寮でⅦ組の関係者以外は住んでいない

築年数はそれなりに経っているのは建物の造りからしてうかがえるが整備されていて、各部屋もしっかりしている

無論帝都にいた時に住んでいた家と比べるとあれではあるが・・・

 

「他のみんなは行っちゃたのかな」

 

「ああ、気配もないし

先に行ったんだろ

ああ、1Fに二人ほど気配があるが・・・」

 

ー気配ってどう感じるんだろ・・・?

 

エリオットは困惑しながら内心呟く

 

リィンとエリオットが雑談しながら1Fに降り、出入り口に向かうと見知った顔の女子が見受けられる

アリサとエマだ

 

「よっ、二人とも

おはようさん」

 

「アハハ

アリサ、エマおはよう」

 

「あら、リィン、エリオット

おはよう」

 

「フフ、おはようございます」

 

リィンとエリオットの挨拶にアリサとエマもあいさつで返す

軽く雑談して時間も迫っていた為、アリサとエマは先に出発する

その後に続くようにリィンとエリオットも出発するのだった

 

あのオリエテーリングの後、リィンは改めて自己紹介をした

オリエンテーリングの際にサラの手によって落とされた面々に回避はしたものの強制的に落とされたフィーはあの場で簡単に自己紹介したようだ

リィンに関しては、オリエテーリングの後に簡単に自己紹介はした

ただ、例のVII組の強制参加の件もあり歓迎という空気ではなかった

マキアスもユーシスの時ほど態度が悪いわけではなかったが、いい印象は抱かれてはいなかった

ユーシス、アリサ、エマ、ラウラも手放しに歓迎というわけではない

まぁ、嫌悪感丸出しにされるよりはマシなぐらいだ

ガイウスは器が大きいのか特に気にした様子はなかった

フィーも同じくだ

エリオットも疑問には思ってるようだが、特になにか思うところがという部分は感じられない

父親である"彼"の薫陶の賜物かもしれない

というか家名を隠してるアリサには言われたくないとリィンは思うが、強制参加の方が色々不信感はあるかとすぐに思い直す

不信感は抱かれているようだが、関係性が悪いわけではない

普通に会話もするし、雑談程度はするほどではある

ラウラに関してはオリエンテーリング時の四肢と羽を斬り落とした際の剣の腕を評価され武術談義するほどだ

やりすぎたかとリィンは反省した

 

授業も通常の高等学校の授業に加えて徐々にではあるが、士官学校ならではの項目の授業も入ってきていた

勉学の方はトールズの卒業生であるクレアやオズボーンがいたこともあり入学前にリィンは散々詰め込まれた

一度、本気で逃走したが、後日クレアの雷が落ちかなりだるかったので最低限受けるようにした

そのおかげもあってか授業に置いて行かれることもなく、学院生活をそれなりに満喫していた

もちろん情報も探りながら・・・

 

だが未だに"テロリスト"の情報は得られてなかった・・・

正直曖昧な情報で確たる証拠があってこの学院に"潜入"したわけではない

なにもわかってないから今ある情報に飛びついただけだ

地道に探っていくしかないだろう

 

「それにしてもマキアスとユーシスすごいよね・・・」

 

「ああ、この前なんて殴り合い寸前だったか・・・?」

 

「うん、マキアスの言い方もあれだけど、ユーシスも挑発するんだもん」

 

「ああ、そうだったな・・・」

 

オリエンテーリングの時もそうだがマキアスとユーシスの仲の悪さは折り紙付きだ

オリエンテーリングの時はリィンの知る由もないが、ユーシスがマキアスの家族の話をして爆発寸前だったと聞く

現・帝都知事・カール・レーグニッツ

このエレボニア帝国に住んでいるものなら知らぬ者はいないだろう

そしてマキアスの父とのことだ

面識はないが、大した人物だと同僚(クレアたち)から聞いているし、オズボーンからの評価も高かった

彼らが絶賛するということは文字通り大した人物なのだろうと推測する

 

「あら、リィンさん

今から登校ですか?」

 

「ああ、ロジーヌ

今日も教会の手伝いか

精が出るな」

 

トリスタの教会の前を通ると見知った顔が教会の掃き掃除をしていた

シスター服に身を包んだ、ブロンドのショートヘアーの少女、V組のロジーヌだ

 

「ロジーヌも時間迫ってるから急いだほうがいいんじゃないか?」

 

「ふふ、そうですね

それではリィンさん、また後ほど」

 

「ああ」

 

「リィン、知り合い?」

 

「V組のロジーヌだよ

とある機会で知り合ってね

それから軽く挨拶するくらいの仲にはなったんだよ」

 

「へえ・・・」

 

エリオットが少し意地の悪い笑みを浮かべる

 

「な、なんだよ」

 

そんなエリオットにちょっと恐怖を抱きリィンは後ずさる

 

「いやあ、リィンも隅に置けないと思って〜」

 

「そんなじゃねぇって」

 

リィンとエリオットがそんなくだらないやりとりをしてると学院のチャイムが鳴り始める

 

「予令だな

急ごう」

 

「うん」

 

リィンとエリオットは走って学院に向かうのだった

 

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トールズ士官学院・教室

 

通常の高等学校の授業に士官学院ならではの授業を終わらせ、教室から外を見ると夕陽が照らしていた

 

「お疲れ

今日の授業も一通り終わりね

前にも伝えたかと思うけど明日は自由行動日になるわ

厳密に言うと休日じゃないけど

何をするにも生徒の自由にさせてるわ

帝都に遊びに行ったていいし、なんだったらあたしみたいに一日中寝ててもいいわよ」

 

「ニートかよ」

 

「コラァ、誰がニートよ

働いているわよ!?」

 

リィンの毒にサラは即座に反応する

 

「コホン

各施設も開放してるし、クラブも活動してると思うから興味ある人は見てみるといいわ

それと来週は実技テストがあるわ」

 

「実技テスト・・・」

 

「それは一体・・・」

 

「戦闘訓練の一環になるわ

評価対象にもなってるから体調管理等気をつけなさい

なまらない程度に身体を鍛えておくのもいいかも知れないわね

そして、その実技テストの後なんだけど、VII組ならではの重要なカリキュラムを発表するわ」

 

「そ、それは・・・」

 

ークレアたちが言ってた例の件か・・・

 

「ま、そう言う意味でも明日の自由行動日は有意義に過ごすことをお勧めするわ

副院長、挨拶して」

 

「起立、礼」

 

HRのあとリィンは他のVII組に軽く挨拶して一足先に教室から出る

 

「・・・・・」

 

リィンは2週間前にオリエンテーリングが行われた旧校舎の方面に視線を向ける

 

ーあの旧校舎・・・いや気のせいか・・・

 

リィンは"焔"がうずいた気がしたが、一旦は置いておくしかないと先送りにする

 

「よっ、後輩君

今帰りか?」

 

リィンが旧校舎方面に目を向けてると頭にバンダナをつけた男子生徒が声をかけてきた

肩には少し大きい袋をかけている

 

「えっと、あんたは・・・」

 

「おいおい

いきなりタメかよ・・・

ま、いいけどな

それより、入学して半月どうよ?」

 

「まぁ、それなりには

身内にこれでもかってくらい詰め込まれましたから」

 

「クク、そりゃあいい

お前さんたちの場合てんこ盛りだからな

大変なのはむしろこっからだろ」

 

「・・・成程

それより、あんたは・・・」

 

「まあ、焦んなって

お近づきの印に面白いもんみせてやるよ」

 

バンダナの男子生徒はわざとらしく袋を自分の両足の中間ぐらいの

ところに置く

 

「あーっと、すまんが50ミラ貸してくんね?」

 

「いきなりだな、まあいいけど」

 

リィンはバンダナの男子生徒に50ミラを渡す

バンダナの男子生徒は受け取った50ミラを上空に投げタイミングよくキャッチする

 

「どっちにあると思う?」

 

バンダナの男子生徒は両手を握り、リィンの前に突き出す

 

「・・・・」

 

まあ、視線を利用した手品ってところだろう

通常ならだが、そんな小手先の視線誘導に騙されるリィンではない

 

「どちらでもない

その袋の中だろ」

 

「おっ

初見で見破るとはね

おまえさん、見所あるぜ」

 

「なんのだよ」

 

「そんじゃ、これから大変だと思うけど精々頑張るんだな」

 

そう言うと、バンダナの男子生徒は去っていく

 

「50ミラ盗られたし

まあいいか・・・」

 

リィンはため息を吐き、正門を抜けて学生寮に戻るのだった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あれがヴィータの言っていた・・・

"候補者"・・・

そして、"あの男"の部下の一人・・・・」

 

先程リィンに手品をみせたバンダナの男子生徒はは学院の本校舎の壁からリィンを見た

"協力者"である彼女に"候補者"であるのと同時に"あの男"の部下の一人だという事を聞いた

探りを入れるために接触したが、流石に"渾名"を与えられてるだけあり、簡単にはボロを出さなかった

 

「"剣神"・・・

ハッ、大層な渾名じゃねぇか・・・」

 

バンダナの男子生徒はオリエンテーリングの時の戦闘の話もそれとなく耳にしていた

学生の中では相当な使い手みたいだが、"彼女"が忠告するほどかと疑問に思う

あくまで"学生の中"ではの話だろうとバンダナの男子生徒は結論づける

そして、"彼女"の忠告の意味を彼はこの先嫌でも理解することになるだろう

 

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第三学生寮・リィンの部屋

 

「まあ、確証はないが

怪しい奴は見つけた

 

『おっ、随分早いな、リィン』

 

「確証はないけどな

オレと話した後ずっと陰からオレをみてたからな」

 

『クク

お前のファンじゃねぇのって言いてぇが・・・・

入学して半月でそれはねぇか

派手なデビューを飾ったわけじゃないしな

まあ、平民のカワイ子ちゃんと仲良くしてるようでなによりだぁ

どこぞの姉弟子に妬かれない程度にしろよ~

これからも何かあったら連絡頼むぜ?』

 

「師姉とはそんなんじゃ・・・

チッ、切りやがったあの野郎」

 

ロジーヌのことを言ってるのだろう

相変わらず見透かしてくるようで気に入らない同僚だ

こちらには事情を話してこないが入学前にシズナの気配は感じていた

リィンがそれをわかってる前提でからかってきたのだろう

本当に癇に障る奴だ

 

「・・・とりあえず、次会ったらぶん殴る」

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