S・1204年4月18日
リィンは早朝の剣の朝稽古を早々に終わらせ自室でだらけていた
昨日サラの発言に毒をかましたリィンだがその当人がだらけていた
"例の人物"に接触するのもありだが、探りを入れるにしてもまだなにもわかってない
今は鳴りを潜めてるが、リィンが忙しなく動くことになったテロリストの事件あれも事件自体が小さいことから特に大きくはしなかった
帝国政府と正規軍と一部の関係者にだけ留めて情報統制を行っている状態だ
そんな状態で探りを入れるのにテロリストの件を会話に出すわけにはいかない
一気に怪しまれてしまうだろう
下手をすれば潮時だと言わんばかり、学院から姿を消してしまうかもしれない
手詰まりだった
その怪しい奴の特徴は伝えてあるし今はレクターと情報局が洗ってくれてるがめぼしい情報はないのが現状だ
「さて、どうしたもんかね・・・」
リィンが自室のベッドで寝ころびながら思案していると
部屋のドアがノックされる
「この気配は・・・
サラ教官か・・・
はいはい、今出ますよっと」
リィンはベッドから起き上がり、ドアを開けると案の定サラがいた
「あんた・・・
みんなはそれぞれ出かけたってのに・・・」
「ま、みんなほどアグレッシブに動く身体じゃないんだよ
あと何の用だよ」
「昨日、渡し忘れたものがあってね」
サラはそう言うとⅦ組の学生手帳と鍵をリィンに渡す
「Ⅶ組はカリキュラムが特殊なのがあるから、発行が遅れてるのよ
まあ、その辺の事情も"兄弟筋"から聞いてそうだけど?」
「ハハ・・・
どうだかな・・・
それとこれは?」
リィンはごまかしながら鍵を見る
「それは旧校舎の鍵よ」
「なんでまたオレに・・・」
「あの旧校舎は色々不可解なことが起きていてね
手が空いてる時でいいから調べてほしいのよ」
「あんたらでやれよ」
「無理よ
めんどくさ・・・じゃなくて教官も色々忙しいのよ」
「おい
今めんどくさいって言ったか?、言ったよな?」
「忙しいのは本当よ
そこでカリキュラムの一環として君たちに白羽の矢がたった
だからといって他の子に任せるとしても懸念材料が残る
そこで君にお願いすることにしたのよ
"
これは学院長も承認してるわ
なんなら他の子連れて行っても問題ないわよ
だけど、他の子が調査するなら君の参加は絶対よ?」
「はあ、わかった
あくまで余裕があるときになるけどな・・・」
「ええ、それでいいわ
頼んだわ」
面倒なことになったとリィンはため息を吐いた
あの旧校舎に関しては気にはなっていたから好都合といえば好都合ではあるが、一任されるとは思いもしてなかった
「めんどくさ・・・」
リィンは自室で一人つぶやいた
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トリスタ・駅前
リィンは第三学生寮を出てトリスタの駅前広場に来ていた
さてどうするかと思案する
「あら、リィンさん」
第三学生寮前で腕を組んで考えてると見知った声がリィンの耳に届いた
「ああ、ロジーヌか」
クラスは違うが同じ1年のロジーヌだ
「どうされたんですか
なにか悩んでるみたいですけど」
「ま、悩みってわけでもないけどね
サラ教官に厄介ごとを頼まれたってだけさ」
「そうなんですか?
よろしければ手伝いましょうか?」
「申し出はありがたいけど遠慮しとくよ
君にケガとかあったら、教長に怒られそうだしね」
「そうですか?
なにか手伝えることあれば言ってくださいね?」
「ああ、その時は頼らせてもらうよ」
リィンはロジーヌの申し出をやんわり断る
シスター見習いをあんな魔獣だらけのところに連れ出すわけにもいかないだろう
「それにしてもお淑やかだな
淑女を絵に描いたような人物だ
姉弟子も・・・いや、姉弟子があんなお淑やかだったら気味が悪いな・・・」
シズナがロジーヌみたいになってるのを想像してすぐそれを打ち消した
気持ち悪すぎて見れたもんじゃない
その人間にあった立ち振る舞いは誰しもあるだろう
リィンは自身が想像した淑女シズナに精神的なダメージを多少受けたが、サラの依頼をこなすため旧校舎に向かう
「変な想像するんじゃなかったな・・・
顔見た時普通に笑ってしまいそうだ・・・」
リィン自分で想像した淑女シズナに吐き気を感じ項垂れながら旧校舎に向かう
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トールズ士官学院・旧校舎内部
「こいつは・・・
確かに"不可解"だな
"内部構造そのものが変化するなんてな"」
半月前オリエテーリングの会場として使われた旧校舎
その時に訪れたときは例の床のトラップと出入り口の扉だけだったはずだ
2回りほど小さくなり、もう一つの扉が増えていた
リィンは下に降りて増えた扉に手をかけ扉の向こうに向かう
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旧校舎・第一層
「ハハ
マジかよ・・・
こりゃあ不可解ってもんじゃねぇな」
リィンは不敵な笑みを浮かべる
まさか半月前とは違う全く違う空間が造られるなんて思いもしなかった
まさに超常現象そのものだ
「"仕事"で入学した学院だったが
退屈はしなさそうだな」
徘徊してる魔獣も半月前と比べると強力な魔獣が徘徊してるがリィンの敵ではない
リィンを見つけた魔獣はリィンに襲いかかってくるが一刀のもと斬り伏せる
道も前回同様そこまで迷うことなく最奥まで辿り着く
「・・・・・・・」
リィンが最奥に足を踏み入れると空間が歪み"それ"は顕現する
顔こそ2本ツノに子供が見たらそれこそ泣き叫ぶ悪魔みたいだが身体は猿人みたいだ
"ミノスデーモン"この層のボスだろう
「ウワぁぁァァァァァア!」
ミノスデーモンは雄叫びを上げるとリィンに向かって走ってくる
「力量差もわからねぇ雑魚が・・・」
リィンは中段腰に構え、腰に差してる太刀に手を添える
抜刀の構えだ
ミノスデーモンがリィンに段々近づいてくる
リィンはタイミングを見計らって抜刀しミノスデーモンに横水平に銀の線を走らせる
「ヴァ・・・・?」
ミノスデーモンが気付くより先に上半身と下半身が分断される
リィンは上半身の方に近づきミノスデーモンの脳天に太刀を突き刺す
生命活動を終えたからなのか一定のダメージを与えられたからなのか太刀を突き刺した瞬間、紫炎に包まれてミノスデーモンの姿は跡形もなく消えていた
「・・・・終点か」
リィンは辺りを見渡し道がないことを確認すると踵を返し、戻るのだった
道中起動してなかった装置が起動しており、試してみると入口まで戻る装置だった
ちなみに入口付近にも同じような装置が設置されておりこれは先程の最奥まで行くものだろうと予想した
「もう夕方か」
リィンが旧校舎を出ると空は夕日になっていた
「一応、サラ教官にも報告を・・・・!?」
リィンは何かしらの気配を察知し旧校舎の屋根に目むける
だが、そこには何もいなかった
「気のせいか・・・?
いや、確かに気配が・・・
はあ、仕方ない気にだけ止めるか・・・」
リィンは旧校舎を後にする
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トールズ士官学院・旧校舎
「・・・・危うく見つかるところだったわ
あいつの気配察知半端なさすぎでしょ
これじゃ容易に近づけないわね
"あの子"にも相談しないといけないかしら・・・
精々見守らせて貰おうかしら
大いなる力の一旦、担う資格あるかどうかをね」
リィンが去った後屋根の陰から綺麗な毛並みの黒猫が姿を表す
様子を見に来たのだが危うく見つかりそうになり咄嗟に隠れたのだが、探されなかったのが幸いだった
黒猫も"相棒"の所に戻るのだった