共和国・首都イーディス・電車ホーム
「やあ、リィン
行くんだね」
「ええ、共和国には元々観光目的でしたし
"黑神一刀流”に"斑鳩”の存在も認知しておりませんでしたから
それに”裏弟子”の存在も・・・
ここまで長居するつもりはなかったので・・・」
八葉の源流とも呼ぶべき流派
黑神一刀流・・・
八葉の源流なだけありシズナから一通り型を模擬戦と称して見せてもらったが八葉に似通っている部分は見受けられた
千年にも及ぶ闇の剣と称される黑神一刀流
そしてそれを元に光の剣として老師が興した八葉一刀流・・・
なにか事情がありそうだが、今の自分ではこれ以上のことは教えて貰えないだろう
それに彼女・・・シズナ師姉もこれより先は聞いていない気がする
近い未来・・・あるいは遥か先の未来かもしれない
自身が八葉の奥伝へと至り、老師にこれまでの成果を見せ、認められた時はその先の話ももしかしたら聞けるかもしれない
八葉を興した理由とその役目を・・・・
それなら自分はその時までに己の八葉を高め続けるだけだ
「まあ、老師は言わないだろうねぇ・・・
君は老師が定めた"最後の弟子"闇の剣である流派の存在は今は伏せておきたかったんだろうね
君が奥伝へ至り、"八葉の後継"になるその時までは・・・ね」
「最後の弟子・・・」
「今は深く考えなくていいさ・・・
そのうちこれは知ることになる
だから君は、八葉の剣を磨くことだけ考えてればいいさ
なに君と私の因果は始まったばかりだ
いずれ再会できるだろう」
「そうですか
リィンは追いかけられたことを思い出す
波乱の日々だったがなんだかんだシズナとの日々はリィン自身のも楽しかったのが本音だ
大変ではあったが・・・
シズナのことは姉弟子としてはリィンも尊敬の意はある
同じ師匠を持つ者同士近親感もある
剣の腕もお互いに高めあっていける存在だろうと・・・
「おっ、かわいいこと言ってくれるね
このこの~」
「師姉、やめてください」
シズナはリィンの言葉に調子を良くしリィンの頭を乱雑に撫でる
「ところでこれからどこに向かうんだい?」
シズナは一通り満足したのか撫でるのをやめて問う
「一応、帝国の方に向かおうかと思ってます」
「帝国ってあのエレボニア帝国かい?」
「ええ、そのつもりですけど」
「そうか・・・
帝国は今"色々"あるから気を付けた方がいい」
「ええ、心得ておきます」
「けど、帝国か
行ったことないんだよねー
リィンに着いて行こうかなー」
「え"」
リィンはシズナの言葉になんとも言えない表情をする
この姉弟子なら本当にやりかねないと心から思った
「クロガネさん」
「リィン殿
お任せを・・・」
リィンはシズナの従者にアイコンタクトをする
それだけでクロガネは伝わったのかリィンに対して返事をした
「フフ、冗談だよ
こっちでの仕事も残ってるからね
けど、リィンまた会おう
次に再会する時までに君が老師から賜った"無ノ型"磨いておくといい
時代に求められる時が必ず来る
錆びさせないようにね」
「ええ、シズナ師姉も息災で・・・
それでは"また"」
「ああ、また会おう"リィン"」
そして、帝国行きの列車の汽笛が鳴った
出発時刻の合図だ
リィンはそれを聞いて、列車に乗り込む
そして、列車は帝国に向けて発車するのだった・・・
「クロガネ
例の件、どうなってる?」
「はい、"受ける"方向で進んでいます”」
「そうか、そうか
どうやら、"弟弟子"との再会・・・
すぐに会えそうだね」
「"姫"・・・
どうやら、あの少年が気に入ったようですね」
「フフ、そうだね
あの潜在能力まだ伸びそうだし
"本気"も見れてないしね・・・
次の仕合でそれをみれるといいな」
シズナは例の森で忍衆とリィンの戦闘を思い出しながら言う
忍衆の猛攻を凌ぎ、更に斑鳩の中でもトップクラスの実力を持つクロガネに手傷を加えてみせた
中々どうして興味はつきないね
そして不意打ちであるシズナの"双"も読み切ってかわして見せた
本当に先が楽しみな弟弟子だ
「"姫"
あまりやりすぎないように・・・
あの少年はあの御仁の・・・」
「わかってるよ
それに私自身が気に入ったんだ
"後継"とだけではなく"リィン"という人物を気に入ったのさ」
「そうですか・・・」
「フフ、次の邂逅が楽しみだよ」
クロガネは内心リィンに合掌する
リィンのことは評価している、あの森での圧倒的戦闘能力
シズナの不意打ちですらかわし切り、無傷で"斑鳩"の忍衆を戦闘不能まで追い込んだ
もしあれが生死を分けた殺し合いだったとすると、ゾッとしない話だ
シズナのリィンに対しての熱の入れ様から察するに相当気に入ったようだ・・・
―まあ、あの少年との縁を繋いでおくのは悪い話じゃない
敵対すると考えると犠牲者がでるのは前提で事を運ばなければならない
少年には気の毒だと思うが"姫"には頑張って少年との縁を繋ぎ続けてほしい―
「な、なんだ
急に寒気が・・・」
リィンは急な悪寒に身体を震わせるのだった・・・