共和国を一旦後にし、リィンはエレボニア帝国に訪れていた。
ストーカー(姉弟子)から逃れたリィンはエレボニア帝国のの中でも皇族が住まうとされる帝都ヘイムダルを訪れていた
だがリィンは、この帝国に来てから”なにかが”蠢いてるのを肌で感じていた。
それがなにかまではわからないし、それがリィンの運命を左右することも気づいてはいなかった
帝都ヘイムダルはその広大な街のため複数の区に分かれ、区それぞれの特徴が区には表れていた。
リィンは、皇城があるとされる”ヴァンクール大通り”まで来ていた
そこから少し北に進むと人だかりができており、リィンは興味本位でその人だかりの元へと進んでいく
そこではとある大男が皇城の前で演説をしていた
「我らが直面している、貴族と平民の壁・・・
そして、共和国の脅威・・・」
リィンも時報などで目にしたことのある
“鉄血宰相“ギリアス・オズボーンその人だった・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ギリアス・オズボーン、来るべき日に備えるため、定期的に帝都ヘイムダルのヴァンクール通りの皇城前で演説していた
そして、オズボーンは一人の少年が目に入った
今は亡き、かつての伴侶の面影を残した顔立ちに髪色、そして生きていれば間違いなく今目に映っている少年と同じぐらいの年齢である、行方不明になっており、生死さえ不明な自身の息子だと・・・
なにより、彼女の面影がある
オズボーンは確信していた”あの子に違いないと・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
リィンは今この瞬間十数年生きてきた中で一番困惑していた
帝都ヘイムダルのヴァンクール通りで演説していた、実質帝都のNo.2の鉄血宰相の演説を聞いていたのだが、終わるや否やこちらに向かって歩いてきている
リィンとオズボーンは接点はないはずだし、〝彼女“が生きていた頃は仕事の面で″要請”として間接的な接点こそあったものの直接的な接点はなく、“彼女“はもちろんのことリィン自信も接点はない。
あちら側が一方的に知っていた可能性もなくはないが、演説が終わるや否やこちらに向かってきている理由がわからない
オズボーンがリィンの目の前まで来ると身長差的にリィンを見下ろす形となる
「少年よ、お茶でもどうかね」
「え、嫌ですけど」
リィンは即答する
いきなり、熊みたいな大男にお茶に誘われれば誰だってこの回答となるだろ
オズボーン予想通りなのか表情に変化は見えないし、なにより意図が読めない
“底知れない゛
リィンがオズボーンと対面し、抱いた感想がまさにそれだった
「か、閣下!?」
「おいおい、おっさん
そっちの趣味もあったのかよ」
「レクターさん!
失礼ですよ
閣下にかぎってそんなわけ・・・」
オズボーンの突然の行動に困惑しているのはリィンに限った話ではなく
彼の護衛か何かだろう、軍服を来た、青髪の女性と赤髪・・・いやオレンジとも言うのだろうか、男性が近づいてきて、赤髪の方は茶化した口調ながらも困惑してるような感じだった
「いたいけな少年の誘拐は感心しないぜ
鉄血宰相ギリアス・オズボーンに“鉄血の子供達゛
リィンは何気ない口調で彼らに言う
彼ら・・・オズボーンは不敵に笑うだけでレクターは感心したような表情でクレアは警戒体制に入る
「ふふ、どうやら私たちのことは知っているようだな」
「あんたみてぇに存在感の塊みたいなやつを知らない方が少数派だろ」
「私のことはともかく、別に隠しているわけではないが我が子供達のことも知っているとなると事情は変わってくるのだよ
特に君のような若い少年はね」
「・・・・・まぁ、色々あったからな」
リィンもこれ以上ボロをだして、探られるわけにもいかないのでそれしか言えなかった
「少年よ、此処では話もできまい
お茶でもどうかね」
「いたいけな子供1人に大人がよってたかってるこの状況でよく言えたもんだ・・・」
「フフ、いたいけはともかく確かに子供相手に大人がないのは事実
だが、君はいつでも私たちを゛斬れる〝間合いであろう」
「・・・へぇ
構えてもねぇのに見抜くかい」
「「!?」」
そのオズボーンの一言にクレアとレクターは距離をとる
「距離を置いたところですでに間合いだぜ?」
クレアとレクターはリィンのその一言に冷汗をかく
斬るつもりがあったかどうかは置いとくとしてもオズボーンの一言がなければ自分たちは彼の間合いにずっといたことになる
見た目的年齢も相まって油断していたが、敵だった場合確実にその首を撥ねられている間合だった
だが、そんな距離など無駄かのようにリィンは言った、その距離でも間合いだと
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「それで、このエレボニア帝国の鉄血宰相とも呼ばれるあんたがいったい何の用だ?」
「フフ、なに特にというわけでもないのだが"彼女"の忘れ形見・・・
一度、この目で見ておきたかったものでね」
リィンと鉄血宰相と部下の二人はとりあえず目立つのでヘイムダルにある、鉄血宰相の部屋で話をすることになった
それはそれで目立ったためこいつ斬り殺してやろうかと内心リィンは思った
その殺気を感じ取ったのかクレアとレクターは警戒していたが、感じてるはずの鉄血本人は涼しい顔をしていたが、リィンはそれが余計に気に入らなかった
「・・・・・・・驚いたな
あんたが、こんな汚れの役目を負っていた"オレら"を認識していたとは」
帝国政府とは"彼女"が存命してた頃に間接的には関わっていた
だが、"要請"は間者を通してだったし、この目の前の鉄血とは接点がなかった
あくまで帝国政府にとって不穏分子の始末
それが"彼女"とリィンが請け負っていた要請だ
もっと言えば、革新派にとっての不穏分子であるが・・・
まぁそれが"彼女"の死に繋がったが・・・
「フフ、君たちには助けられたからな」
「ハッ、笑わせんな
オレもあの人もいいように使われたし、オレらがいなくても別のやつにあてがっただろ」
「フフ、否定はすまい
だが、君たちのような実力者には中々出会えなかったと思うとスムーズに事が進んだ」
「そりゃ、よかったな」
リィンは気に入らないと舌打ちする
「閣下になんて態度を・・・!!」
「クレア、落ち着けよ」
そんなリィンを見てクレアは今にも獲物を抜きそうだが・・・
レクターはそんな
「で、オレに何の用だ?」
「ほう?」
「オレがあそこにいたのはあんたらにとっても偶然なのは間違いない
だが、声をかけてきたのは別だろ
なにが目的だ?」
「フフ、なに君を勧誘しようと思ってな」
「なに・・・?」
「少年、私の直属の部下・・・
「は?」
リィンは間抜けな声を出す
「か、閣下!?」
「おいおい、おっさん
本気かよ?」
レクターとクレアも予想外の行動に驚く
「あんた、なにを言ってるのかわかってるのか?」
「フフ、勿論だ」
リィンは鉄血を睨む
本当にリィンは自信を引き入れる意図がわからない
確かに実力的な意味ならそこらの二人より強い自信がリィンはある
だが、"彼女"が死ぬことになった原因そのもの
復讐される可能性を考えてないわけでもないだろう
だからこそリィンはわからなかった
「あんた、自分は殺される可能性は考えないのか?
こっちはあんたらが持ってきた要請のおかげで親代わりともいうべき人が死んでるんだ」
「ならなおさら君には都合がいいだろう
この首とれるチャンスがあるかもしれんぞ」
「・・・・・成程
喰えねぇおっさんだ
いいだろう、その誘い乗ってやるよ」
「フフ、交渉成立だ
君は今より剣神と名乗るがいいだろう」
「大層な渾名だな
それと知ってると思うが、オレはリィンだ」
「フフ、これからよろしく頼むぞ
リィンよ」
この日リィンが帝国政府に身を置いた瞬間だった