閃の軌跡~剣神~   作:灰色の剣神

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6話 八葉の剣と亡き師の剣

帝都・ヘイムダル

 

偶然の巡り合わせによって、鉄血の子供たち(アイアンブリード)の一人となったリィンは帝都の地下に潜っていた

与えられた渾名は"剣神"、大層な渾名だとリィンは内心呟く

八葉の奥伝へと至り、"剣聖"の名を与えられたときどうなるんだろうなとどうでもよくはないが今はどうでもいいことを考える

今はあの"鉄血"から与えられた仕事をこなすかと集中する

"鉄血"直属の部下となり与えられた仕事は帝都地下の魔獣の定期的な討伐任務だった

そんなの遊撃士か衛兵にでもやらせとけよとリィンは思うが、帝国の遊撃士は事実上活動停止だし、衛兵も皇族の守護で手が離せないのだという

そこでリィンに話が周ってきた

 

「まぁ、実戦の勘を常に感じられるのはいいことか」

 

リィンは太刀を抜き、魔獣の討伐に向かうのだった

 

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帝都地下での魔獣討伐がおわったリィンは早々に報告し、衛兵たちが使っている訓練所に来ていた

リィンは意識を集中させ、太刀を振るう

"剣仙"と謳われるリィンの剣の師匠に拾われてから日課となっている型稽古だ

 

壱ノ型 "螺旋"

 

弐ノ型 "疾風"

 

惨ノ型 "業炎"

 

肆ノ型 "紅葉"

 

伍ノ型 "残月"

 

陸ノ型 "緋空"

 

悉ノ型 "無"

 

リィンはぞれぞれの型を順番に繰り出していく

それを繰り返し、何度も何度も太刀を振るう

そのリィンの型稽古をみた衛兵たちは目を奪われてしまったと後に語ったそうな・・・

八葉の型稽古が落ち着いたころリィンは一人考えていた

終ノ型 雷光

それは八葉の剣と亡き師の剣をうまく組わせて仕上げた言わば複合の剣

うまく、組み合わせればもっとやりようはあるんじゃないかとリィンは考える

八葉と"彼女"の剣・・・

やってみるかとリィンは稽古を再開するのだった

 

「弐ノ型 疾風・縮」

 

リィンは中段腰に構え、高速で移動し、訓練用の藁人形すべてを斬る

 

「うーん、発想は悪くはないと思うんだけどなぁ・・・

斬りこみの深さはともかく、速度があまり変わってないよな・・・」

 

リィンは八葉の疾風と縮地を組み合わせて疾風以上の高速の斬撃を繰り出そうとしてみたのだが、絶賛うまくいってなかった

斬撃自体は対象を一撃で斬り殺せる自信があるが、速度は普通の疾風と大差がないように感じられた

リィンの言うように発想自体は悪くない、ただ、初の試みの為、速度が思うように出てないだけに過ぎない

訓練を続ければ、できるようになるだろう

考えても仕方ないと繰り返し練習するのだった・・・

 

 

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帝都ヘイムダル・宰相執務室

 

「閣下、失礼します」

 

「クレアか・・・」

 

「はい、現状ですが・・・」

 

「フム・・・」

 

"鉄血宰相"ギリアス・オズボーンは執務室にて書類仕事を片付けていた

そこに"子供たち"の一人である、氷の乙女(アイスメイデン)の異名を持つクレア・リーヴェルトが定期連絡に訪れていた

 

「そういえば、"彼"の様子はどうかね」

 

「彼・・・

え、えぇ、リィンさんでしたら早々に仕事を片付けて、訓練所に向かったと報告を受けています」

 

クレアは一瞬誰の事だと思うが、つい最近、"子供たち"の一員となったリィンのことだと予想し、報告する

報告してきた部下がなんか興奮状態だったのはクレア自身気になるが、リィンの行動自体は特に怪しいものではない

訓練所で稽古でもしてることは想像に難しくない

 

「ほう、訓練所か・・・」

 

オズボーンはそう言うと椅子から立ち上がり歩き出す

 

「か、閣下

どちらへ!?」

 

「なに、剣神殿の腕を確かめにな

君もどうかね?」

 

「リィンさんの・・・

同行します・・・」

 

クレアはオズボーンの提案に少し考え、オズボーンの実力の高さは存じてるつもりだが、もしものことを考え護衛を兼ねてのとリィンの剣の腕も興味があったので同行することにしたのだった

オズボーンはクレアを引き連れ訓練所へ向かった

 

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帝都ヘイムダル・訓練所

 

「裏疾風・縮」

 

リィンは中段腰にし、太刀を構え、高速の斬撃を訓練用の藁人形に繰り出す

追撃に焔の飛ぶ斬撃を繰り出す

 

「ふぅ、形にはなってきたか・・・」

 

リィンはあれからずっと訓練所にこもって剣の稽古をしていた

八葉の弐ノ型 疾風と高速歩法 縮地を組み合わせ、高速の斬撃を更に一段階引き上げようとしていた

最初よりは形になってはいるが、本来の縮地の速度には程遠い、そこらへんの魔獣相手ならこれでも斬り伏せれるだろうが、老師やストーカー(姉弟子)相手ならすぐ対応されてしまうだろうと考える

繰り返し、やるしかないかと練習を再開する

同じく訓練所で稽古してる衛兵からもよくやるなぁなどと感心した声もちらほら聞こえるようになっていた

 

「すいません、訓練用の人形をまた・・・」

 

「か、閣下!?」

 

「な、なんでこんなところに・・・」

 

リィンは追加で訓練用の人形をもらおうとしたところ同じく訓練中のはずの衛兵の驚愕した声にかき消される

何事だとリィンは声があった方向に顔を向けるとそこには本来ここにいるはずのないリィンの直属の上司である"鉄血宰相"ギリアス・オズボーンと同僚の"氷の乙女(アイスメイデン)"クレア・リーヴェルトの姿があった

 

「おっさんにクレアじゃん

なんでこんなとこにいんの」

 

「フフ、君がここで剣を振ってると聞いたのでな

様子を見に来たのだよ」

 

「リィンさん、私に対してもですが、閣下にそのような口調・・・」

 

流石に無視を決め込むわけにもいかずリィンは中断し、クレアとオズボーンに話しかける

クレアはオズボーンに対しての口調を注意するがリィンは聞く耳もたずだ

 

「途中から見させてもらったが、流石の剣の腕だな

リィン

八葉の一端に"彼女"の剣、しっかり生きているようだ」

 

「修めてる流派までお見通しかよ」

 

「フフ、優秀な奴がいるからな」

 

「あのかかし野郎・・・」

 

オズボーンの一言でそれが誰からの情報源なのかリィンは察する

あのいけ好かない赤髪の青年のしてやったりの顔が容易に浮かんでくる

 

「リィンよ、藁人形相手ばかりではつまらないだろう

どうだね、ここは私と一戦、模擬戦というのは・・・」

 

「へぇ、あんたが?」

 

リィンが興味深そうに眼を細める

 

「君のお眼鏡に叶うかどうかはわからないが

これでも軍属出身でね

それなり戦えるつもりだ」

 

「折角の機会だ

その話、受けて・・・・」

 

「閣下、本気ですか!?」

 

リィンが滅多にない機会だと思い、その話受けようとするが、クレアが横から口を挟む

 

「フフ、勿論だとも」

 

「閣下の腕は存じておりますが、危険です!」

 

「クレアよ、模擬戦だ

実剣を使うわけでもあるまい」

 

「で、ですが・・・」

 

「あんたの前だとこうなるのか、この人」

 

その様子をみていたリィンは一人呟いた

普段の冷静沈着なクールな女性の姿はどこへやら、今のクレアにそんなものどこにも感じられない

めんどくさい過保護なお姉さん

それが今のクレアに抱いた感想だった

 

「それではリィンよ

模擬戦を始めようか・・・」

 

「この状況でよくそんなこと言えんなあんた」

 

過保護な部下(クレア)を無視し、オズボーンは模擬戦を強行するのだった

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