東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜 作:蒼いなんでも屋
長かったでしょうか?
ひとつだけ。
妖々夢での事の拡大解釈をしています。あまりそういうのは……などの苦手な方は注意。
それでもしっかり見届けていただけると幸いです。
何かしらの「二次創作だからできる答え」を示せれば。
ブレイドの放った言葉に、惑う霊夢。
魔理沙との対話で、何もわからず、霊夢と魔理沙を信じるしかない状況の星羅をこちらから信じてみよう、と、心に決める。
そして、白玉楼へ赴く一行。
霊夢らが妖夢と半霊から話を聞く間、星羅は幽々子に
だが星羅は突如どこからか響く声に、気を失ってしまう……
_______________
ーー暗い、くらい空。
しかし集まる
ここは……どこ?
〈妖怪の鍛えた、この楼観剣に……斬れないものは、あんまりない!〉
〈……じゃあ、見せてもらおうかしら。その剣の力!〉
ーー誰かが、戦っている。
片方は二刀流の剣士。
もう片方は……紅白の巫女。
朧気な
〈辛気臭い春を返して貰うぜ、死人嬢!〉
〈なけなしの春をいただくわ、黒い魔!〉
ーー
映るのは、白黒の魔法使いと、薄紫色の光放つ幽霊……いや、亡霊?
曖昧にさせるノイズとぼやける映像で、よくわからない。
ーーこれは、誰かの……記憶?
〈……ゆゆこさま!〉
『……え?』
聞き覚えあるような声に振り返る。
銀髪のちいさな女の子が、誰かの方へ手を振る。
〈ゆゆこさま、早く早く!〉
〈急がなくてもご飯は無くならないわよ~、妖夢〉
『……よう、む……? それに……ゆゆこ?』
2人には私は見えていないのか、真横をすり抜けて歩いていく。
そして……私は気付く。
『……まさか……これは、
〈……〉
刹那、後ろに視線を感じる。
自動で視界が180度回転する。
まるで一人称視点の映画のように、
そこには、ついさっき見たような桜の木、そして……
〈……助けて〉
『……えっ……?』
〈わたしを……この
……暗い影を落とす、幽々子さんだった。
________________
「……はっ!?」
……気が付いた星羅は、白玉楼の中にいた。
ここのものだろう布団に寝かされている。
「……気が、付いた?」
「……妖夢」
左を向くと、妖夢が座ってこちらを見ている。多分、星羅が起きるのを待って見守っていたのだろう。
星羅はむくっと起き上がる。
「大丈夫? どこか傷まない?」
「うん、ケガは……無さそう」
軽く背伸びをする星羅。そのまま左右に揺れるーーというか傾くーーあたり、身体については平気なようだ。
妖夢は早速、話題を切り出すことにした。
「……ねぇ、さっきの事だけど」
「……うん」
星羅は間を置いて言う。
「……夢を、見た」
「……夢?」
「多分、冥界だと思う場所で、誰かが戦っている夢。あんまり覚えてないけど……」
妖夢を見つめる星羅。
彼女の中の予想は確信へと変わった。
「……うん。多分、その中に妖夢がいたよ」
「えっ……私?」
少し顔を赤くする妖夢に、彼女は続けた。
「でも夢にしては、やたらと現実味があったし……知らないものだらけだった」
「それは記憶が無いから、じゃないの?」
「……どうだろ。そこまではわかんない」
そして星羅は、段々思い出してきた夢の話から、鮮明に残ったあの事を話す。
「……妖夢。驚かないでくれる?」
「え?」
「……小さい頃の……妖夢を見たよ」
「……ええぇ!?!?」
「だから驚かないでってば」
「ご、ごめん……だってなんか凄く恥ずかしくて」
「……ごめん」
「……それって……まさか」
星羅はあまり触れないことにしたかったが、
「……あのね」
ーーここで言わないと、妖夢が可哀想になる。
そう思い、全てを伝えることにした。
「……幽々子さんと会った」
「? 幽々子様と……会った?」
「正確には…ここの幽々子さんじゃない。あそこの幽々子さん」
指を指す星羅。
そこには西行妖が立っている。
「え、西行妖?」
「あそこで……幽々子さんと同じ声が、私に呼びかけてきたの。
助けて、って」
「……助けて? ど……どういうこと?」
「そこまではまだ、わからない。でもその幽々子さんは……凄く、悲しそうだった。そして、辛そうだったよ」
「つまり……」
「私が観た夢は……多分……
妖夢の記憶と、西行妖からの呼び声だと思う」
「……私の記憶?」
困惑する妖夢に星羅は言った。
「……ごめん、これ以上は……わからない……でもお願い、この事は、まだ2人の秘密にさせて」
「……でも」
「今話したら、間違い無くこの場が混乱する。それに幽々子さんは多分この事を知らない、知ってても隠すと思う」
「……」
「お願い! 申し訳無いんだけど……今は……黙っていてくれる? いつかはその時がくる……話す時が。それまでは……お願い」
それは星羅なりの優しさ、思いやりだった。
妖夢も既に困惑しているのを承知で、これ以上彼女を惑わせないための事であった。
妖夢は悩んで、最後に言った。
「……わかった。その時まで……待つよ」
「妖夢……」
「今は星羅を信じてみる。それに……」
妖夢は半霊を向いて、そしてまた向き直って、
「半霊を助けてもらった、恩がある。それを……返してみせる」
と、いつものキリッとした、妖夢らしい表情をしてみせた。
「ありがとう、妖夢」
「こういう時は、お互い様だもん」
「……ごめん星羅」
黒い方は霊夢、黄色いのは魔理沙だ。何やら小さく囁いている
「……
「えぇ……でも、幽々子には言わないでおくわ」
「だな、霊夢。……星羅……私たちも黙っておいてやる……でも、先に知っておくぞ」
全てを聞き終えた2人は、そっと襖を閉じた。
「面倒な事になりそうね」
「……春雪異変の、
幽々子はひとり西行妖の前に立っていた。
「……」
ーー星羅の事で、思っていた事が現実となってしまった。
このままでは……
「早く、決着をつけなければ」
と、扇を握った、その時。
[……冥界のお嬢さんが、ナニをしている?]
空間が崩れた。
「……! 幽々子様!?」
何かを感じ取った妖夢が、臨戦態勢を整え立ち上がる。
「よ、妖夢?」
「……幽々子様が危ない……!」
たっと駆け出して行く妖夢に、ならうように星羅も飛び出した。
「おい、妖夢! どこ行く!?」
「幽々子様が危険なの! 二人も来て!」
「わかったわよ、ほら魔理沙!」
「お、おう!」
霊夢も滑空、魔理沙も箒をもって飛び、追い越しざまに星羅を掴んで後ろに乗せた。
「よ、よっと!」
「よし乗ったな、行くぞ!」
一行は妖夢を先頭に、西行妖へ向かった。
「……っ」
幽々子は、裂け目から飛び出した謎の拘束具に捕まっていた。
と言っても、両手足を宙に固定する円盤だが、それでも幽々子を捕縛するだけの拘束力と能力無効力がある。
抵抗するだけ無駄だと思い、幽々子はただ項垂れていた。
[無様だな……冥界の主が、コノ程度か]
ブレイド本人は何もしておらず、また彼(?)に続く雑魚機怪も何もしていない。
円盤は自律制御なのだ。
「……私をこんなところに縛って、どうするつもり」
[フン、どーするもこーするもナイわ。見てれば……その内わかる]
あからさまに余裕を見せるブレイド。
その様子に、幽々子はふっと笑った。
[……何がオカシイ?]
「まさか私が捕まって、思惑通りに上手く事が運ぶとでも思っているのかしら」
[なんだと?]
「ねぇ、妖夢……」
幽々子が顔を上げた時だった。
「人鬼! 【未来永劫斬】!!
だりゃぁあ!!」
四方八方から切り刻む光の刃。
ズザッと着地し、雑魚機怪を数体切り裂いた妖夢だった。
[……ナニィ!?]
だが驚いている暇などない。
「彗星!! 【ブレイジングスター】!!! どっせーい!」
[ウオォ!?]
まさに彗星の如き速度で、ブレイドを数メートル弾き飛ばすのは魔理沙。
後ろの星羅は「うおぉすげー!!」と目を丸くしていた。
そして、
「はぁぁ……っ……霊符……【夢想封印】っ!!!」
霊夢の必殺が発動、彼女を取り巻いた光球八つ、全てが機怪へ降り注いだ。
[ウワァ!!]
[ギャッ]
片っ端から吹き飛ぶ機怪たち。まだ何もしていないのに。
勿論、ブレイドも例外ではなく。
[く……ググゥ……!]
かなりダメージが入りふらついているものの、流石にまだ生きていた。
[……思っていたよりも……早かったナ]
態勢を立て直し、自慢の大剣を構える。
「今度はこの間のようにはいきません」
妖夢も楼観剣と白楼剣を引き抜き、両手に握る。星羅たちも各々の武器を構えた。
「幽々子をどうするつもりか知らないけど、取り敢えずアンタはさっさと退治させてもらうわ」
「この場で幽霊にしてやるぜ!」
「さぁ……行くぞ!」
[ソノ自信……いつまで続くか、ミモノだなぁ!!]
さっきのダメージはどこへやら、ブレイドはその刀身から弾幕を放射状にばらまいた。
横、縦、斜め、と次々に振るい、スキを与えてこない。
「……思っていたよりもやるわね」
「まぁ、折り込み済みだろ」
霊夢、魔理沙は持ち前の経験で縦横無尽に回避、ショットやレーザーで反撃をする。
妖夢も剣で弾幕を切り捨て、斬撃を浴びせる。
「幽々子様にこれ以上の事はさせない!」
[……フン]
だが当の本人はバリアで無効化してきた。
弾かれる妖夢。
「く、またあの光の壁……バリアか」
「うわー……またこりゃ面倒だな」
「星羅、あれ……剥がせる?」
「わかった、やってみる!」
霊夢の指示受け、星羅が飛び出す。
そしてポケットに手を突っ込んだ。
「……ん」
手先に感じる違和感。
メモリがいくつか増えた?
星羅は適当に取り出したメモリを見てみる。
出てきたメモリのイラストは、いつものプラズマチャージショット……ではなく、ビームサーベルのような光の刃。
剣のスペカだろうか。
よくわからなかったが、今朝の夢、そして妖夢に何か関係あるのかも……とは思った。
「まぁいいや、斬ればわかるってね」
《Spellmemory confirmed… now loading》
……効かないことは、恐らくないだろう。
そう判断し装填、バスターのチャージが始まった。
ダン、と大地を強く蹴る。
[そう簡単に、近づけるワケが……]
ブレイドはさらに大剣を振るが、
[……ナニッ!?]
その時には既に、目の前にいた。
一気に近づき、その力を解き放つ。
一点突破は、カッコつけなきゃ。
「……
銃口から伸びたのは、緑色に光るビームの刃。
腕と一体化した、
星羅はそれを下から弾き上げるように振り上げた。
「とおっ!!」
[な、なんだとぉ……!? 我がツルギが、マ、真っ二つだとぉ!?]
たったのそれだけでーー
なんと、ブレイドのバリアは割れ、大剣は横真っ二つにされ、半分先の部位は弾かれていった。
ばっくり折れた大剣に驚きを隠せないブレイド。
「たぁ!」
さらに星羅の一撃受けて、ブレイドはまたも大きく吹っ飛んだ。
[ヌワァッ……!]
「今だ!」
妖夢はこの瞬間を見逃さなかった。
両手の刀を強く握り締め、叫ぶ。
「……魂魄っ! 【幽明求聞寺聡明の法】!!!」
瞬間、二人になる妖夢。
勿論片方は半霊。証拠に目が赤い。
「『はぁぁっ!!』」
2倍……否、4倍の斬撃をもろに食らって、その鎧にも傷ができた。
[ぐ……まさか、ここまでとは……ココは一旦……]
武器は真っ二つ、胴にも切り傷でボロボロのブレイド。
またしても逃げようとする。
『逃がさない!』
「昨日の借りを返してあげる!!」
妖夢は刀身に、自然ともとれるような光を灯し、一気にブレイドへ突っ込んだ。
「『断命剣…… 【
二人は交差するように、敵の身体を切り裂いて、地に降り立つ。
その中から光が溢れ出す。
身を斬らず、命を刈り取る、妖夢の
それが瞑想斬だ。
「おぉ……スゴい」
「久し振りに見たぜ」
「相変わらず、ね」
「……妖夢、ありがとう」
4人はそれぞれの反応を見せた。
二人の妖夢は、春の光受けて輝くその刀を、静かに鞘に納めた。
[……フフフ……]
「!?」
爆発の光が漏れ始めるなか、ブレイドはなんとその目をこちらに向けてきた。
[コレで……勝ったと……思うナ]
よろよろと立ち上がり、ブレイドは欠けた剣を拾い上げ、何を思ったか、西行妖の方を向いた。
「アンタ、何のつもり!?」
霊夢が問い詰めようとしたが、既に手遅れだった。
[
今すぐ……呪いを味わって貰おう!!!]
「やめなさい!!!」
幽々子の叫びも、虚しく。
ブレイドはその剣を投げ、木の幹に突き刺した。
[フハハハ……!!]
「この!! 恋符 【マスタースパーク】!!」
魔理沙がこれ以上はと、マスパを放つ。
[フハハハ……オレ様は……負けたが、オマエラは……このまま死ぬのだ……ソレまで……せいぜい努力するんだナ…フハハハ、ハーハハハハ……
コレが……オレ様の狙いだったのサァ!!! 受け取れ……
光線命中直前、そう言い遺し、ブレイドは跡形なく消し飛んだ。
「……はあ、はあ……おい、幽々子は」
魔理沙が振り向いた時だった。
「どう……なっ……て」
「うあああああああああああああああ!!!!」
ーー刹那、つんざくように叫ぶ声。
「……うそ!?」
霊夢が目を見開く。
「……な、馬鹿な……!?」
魔理沙もあ然としてしまう。
「……そんな」
星羅もまた驚きの表情を浮かべ、
「『……幽々子様……!?』」
妖夢も、そして半霊も、愕然として、“
「………………よう、む……」
西行妖に刺さった剣から、漏れ出す「何か」。
暗い妖気を纏う「何か」は、幽々子を包み、星羅が今まで感じた事のない程のオーラを放っていた。
「…………私、を……
ここで、消してくれる?」
呪われた西行妖の妖力に呑まれた幽々子は、暗い影を落として、4人に襲いかかったーー
次回、星羅更に覚醒します。乞うご期待、です。
全く関係ないですが、メリークリスマスですね!
皆さんはどうお過ごしですか。
どのようにするにしても、素敵な一日となる事を願ってます。
この中で、番外編やってほしいのは?
-
紅魔館組
-
レイマリ
-
うどみょん