東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜 作:蒼いなんでも屋
紅魔館に向かう星羅、そして魔理沙とアリス。
一方霊夢は何を思うのか。
ところで最近。
正月更新ラッシュに今更気付いたのでこれからは気をつけます。ははは……。
それから、同時並行で物語の一部改訂を進めております。
今のクオリティに合わせる、とまではいきませんが(暫定的判断ですが)、1マス空けたりルビをふったりしています。
あのシーンが少しだけわかりやすくなっていたり、語彙が変で難解だったセリフがまともになってたりするので、気になったら探してみてください。
不思議な夢と共に星羅に与えられた、新たなるメモリ。
無彩色のそれのイラストから、紅魔館のメイド長・咲夜のメモリだと推測する霊夢。
そんな霊夢に紫は、機怪のコトバをよく考えておきなさいと改めて忠告する。
一方紅魔館では、既に機怪の刺客が現れており、美鈴と咲夜は彼女たちの仕えるお嬢様に報告する事にした。
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「……はぁ」
人間の里。
今朝から重い話で気が滅入りそうだった星羅は、頭を整理するのも兼ねて、気晴らしといってはアレだが散歩をしていた。
「おはよ星羅、散歩か?」
通りかかった少女に声をかけられた。
言わずもがな、魔理沙だ。
もう一人、魔理沙より少しだけ背の高い少女を伴っている。
ノースリーブの青いワンピースに、肩にケープのような羽織物を、脚には茶色のブーツをそれぞれ着用している。頭は短く整えられた金髪に赤いリボンがヘアバンド風に巻かれており、腰にはリボンで縛られた一冊の本が下がっていた。
そして、その肩には2〜3等身ほどの人形が、2体ほど捕まっている。
星羅は「気晴らし」と答えるのはどうかと思い、こう返事をした。
「……んまぁ、暇なもんでさ。……あれ、そっちは?」
魔理沙の横の少女に気付くと、魔理沙が答えた。
「ああ、お前は初めてだったな。紹介してやるぜ、こいつはな……」
「あなたに紹介されるくらいなら、自分でやるわよ」
そう遮って、彼女は自己紹介をした。
「私はアリス・マーガトロイド、都会派な魔法使いよ。あなたの事は魔理沙から聞いているわ、星羅よね。どうぞよろしく」
ぺこりとお辞儀をする、アリス。
すると肩に乗っていた人形たちがふわりと宙を飛び、同じようにぺこりと頭を下げた。
「わっ、人形が動いた」
星羅が動揺すると、魔理沙が補足した。
「こいつの人形はこいつ自身の魔法で動いてるのさ。まぁよーく見れば糸が付いてるがな」
言われて気付く。
アリスの指先にはリングが付いており、そこから糸が人形に向かって張られている。
なんかどこかで
「すげぇ、あとかわいい」
「あら、ありがとう。ほら二人とも、ちゃんと挨拶しなさい」
ほいと合図すると、人形たちは星羅の近くへ飛び、パタパタと両手を振った。
「シャンハーイ!」
「ホラーイ!」
「わーすっげぇしゃべるんだー、可愛過ぎる」
思わず撫でると嬉しそうに動き回った。
「上海と蓬莱よ、覚えてあげてね」
「うん! よろしくね、アリス、二人とも」
「因みにだがこいつの人形軍団はもっとたくさんいるぜ、しかもサイズもデカいやつがある」
「……人形軍団??」
「そのうち見せてあげるわ」
「で、二人はこれからどこへ?」
星羅が問うと、アリスが答えた。
「紅魔館に用事があって、これから行くところなのよ」
「誘ったのは私だけどな」
魔理沙が付け足す。
「……!」
二人の言葉に、思わずはっとする星羅。
『そのメモリ、紅魔館の十六夜咲夜ね』
朝の霊夢の言葉が脳裏を過る。
紅魔館に向かう、いい機会かもしれない。
「ねぇ、ついていってもいい?」
「「え?」」
突然の提案に、あ然とする二人。
「お前、紅魔館に行った事ないだろ、なんか用事あるのか?」
「実はかくかくじかじかでね」
「そこは説明しろよ……」
「事情があるの?」
少女説明中……
「……なるほどな」
魔理沙は納得した。
霊夢と共にこの間結論に至っているのだ、理解も難しくないのだろう。
一方のアリスは、
「……ごめんなさい、よくわからないわ」
魔理沙から聞いているとはいえ実感のない身、完全に把握するのは困難らしい。
「安心しろ、紅魔館に行くついでにゆっくり話してやるさ」
「あなたの説明で、果たしてわかるかしら」
「まぁまぁ」
「よし、じゃあついてこい星羅」
魔理沙は先導するように数歩先に進むと、振り返って自信満々に言った。
「
吸血鬼のお屋敷に、連れてってやるぜ!!」
「き、吸血鬼〜!?!?」
予想外の発言に、思わず星羅は天へ叫んだ。
「まぁそうなるわよね……」
アリスはひとつため息をつくと、先をゆく魔理沙と慌ててついていく星羅の後を追った。
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「……」
霊夢はひとり、神社の賽銭箱の横に座っていた。
どういう訳か魔理沙もやってこない。
珍しく人妖のひとりも現れない。
所謂、暇人状態だった。
慣れた事だ、とかつては思ったことだろう。
だが、今は不思議とそのような感情には至れなかった。
突然現れて、自分が承諾したとはいえ共同生活(という名の居候)をし始めた少女。
そんな星羅の存在ひとつで、変わりはしないと思っていた。
たかだか数週間。
それだけで、ひとりきりの時間が寂しくなるなんて、思わないだろうと。
しかし、星羅の存在はそれを変えてしまった。
不思議と寂しさがこみ上げて仕方がない。
なぜだろう、魔理沙の時もそうだったが、こんなすぐに心が変わるなんて考えもしなかった。
ひとりの時間には慣れている。それは変わらぬ事実だが、そこに「早く帰ってこないかな」という感情が加わったのだ。
何か、星羅には不思議なものがあるのだろうか。
そもそも彼女の存在自体謎と不思議の塊でしかないが。
自分が(あまり認めたくないけど)多くの人妖を惹き付けるように。
星羅にも、そういうところがあるんだろうか。
そして、霊夢を惑わせるものがもう一つ。
機怪が放った言葉たちだ。
そう、まるで、否、間違い無く自分たちを知っているとしか思えない言動のことである。
初めて現れた時。
彼女と魔理沙は敵に視認されるやいなや、名乗ってもいないのに名前を特定された。
ブレイドとの対決時。
封魔陣を見切って破壊、知っているというような言葉を放ってきた。
そして、妖夢がブレイドにとどめを刺した時も。
幽々子と西行妖の関係をはじめから見越して、あの現象を起こした。
極めつけは、「スペルメモリの存在」
機怪に対しての特攻効果がつくこと、(暫定だが)他人の記憶から一定条件下でメモリを作れること、星羅の武器はそれを運用する唯一の手段だということ。
星羅が現れて以来、謎が増え続けている。
機怪たちと星羅には、何かしらの繋がりがあるに違いない。
星羅が数多の記憶と共に落とした秘密が。
「……っていってもなぁ」
探す手段はないのよねぇ、と霊夢は呟いた。
手掛かりは多いが立証する方法や確実な証拠は今の所かなり限定的なものしかない。
それに、魔理沙との約束もある。
「今は……星羅が見せてくれるものに、期待するしかなさそうか」
その時が来たならば、その時だ。
そう高を括って、霊夢はお茶をまた一口飲んだ。
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紅魔館が建つ、霧に包まれた大きな湖である。
霧はそこまで濃くはないが、あまり遠くまでは見通せない程度には、視界を遮ってくる。
ここには妖精も多く住んでおり、魔理沙たちは道中何人か見かけた。
「あたいはチルノ! 妖精で、いや幻想郷でさいきょーの、氷の妖精! これからよろしくねー!」
そして今も、氷の妖精であるチルノに絡まれていた。
青いワンピースに、氷が6つ羽のように背中に浮いている見た目をしていて、水色の髪に同じく青いリボンを着けている。
態度の割に身長は星羅たちの3分の2程度、こればかりは妖精なので仕方ない。
「わぁかわいい」
「えっ、かわいい? ま、まぁそういうところも一番だし? えっへん」
「アリス聞いたかこいつチルノをかわいい言ったぞ」
「そういう人もいるんじゃない?」
星羅がチルノの醸すひんやり空気と見た目のかわいさに戯れていると、奥から声がした。
「チルノちゃーん? どこー?」
「はぐれちゃだめだよ、チルノちゃーん!」
「あ! 大ちゃんにルーミアだ! おーい! こっちこっち!」
「? だいちゃん? るーみあ?」
「星羅、増えるぞ」
「えっえっ??」
魔理沙の言葉通り、奥から現れたのは、緑髪の妖精と、金髪に小さな赤リボンの妖怪。
「わーお」
「ね、魔理沙の言った通りでしょう? バカが増えたわ」
「?」
アリスはそれを見て呟き、それに星羅は首を傾げた。
緑髪の方はチルノより薄いワンピースを着た、いかにも妖精な羽をもつ、その名もまんま、大妖精。通称、大ちゃんである。あまり強くないが、よくチルノと共に行動している。
もうひとりは黒い服を着た(一応)人食いの妖怪、ルーミア。見た目はアレだがこれでも人を襲う妖怪だ。両腕を横に上げているポーズをよくとっている。
因みにこの3人は昔から一緒にいて、皆身長がだいたい同じくらいでもあり、新参者な星羅以外の幻想郷住民には馴染み深い光景だった。
チルノのところに来た2人に、魔理沙が挨拶する。
「ようお前ら、相変わらず元気そうだな」
「あ、魔理沙さんにアリスさん、こんにちは~」
「魔理沙ー、この子は食べてもいいの?」
「第一声がソレかよ! ダメに決まってんだろ」
「そーなのかー」
ルーミアにツッコミを入れておいて、魔理沙は星羅に向かった。
「こいつはルーミア、人食いの妖怪だ。だからってまぁ勝手に襲いはしないと思うがな」
「そーなのかー?」
「お前に言ってるんじゃない! あと私に聞くなよ自分のことだろ!? ……えーっと、こっちは大妖精、チルノとよく一緒にいるやつだな」
「はじめまして、大妖精です。チルノちゃんからは大ちゃんと呼ばれています」
「へぇ、じゃ私も大ちゃんって呼ばせてもらうね。私は星羅、幻島 星羅。よろしくね」
「よろしくねー!」
「よろしくおねがいします、星羅さん!」
「仲間が増えたね大ちゃん!」
「うん、チルノちゃん!」
その後、3人は何処かへ遊びに飛んで行き、魔理沙たち一行は再び紅魔館へと歩みを進めた。
「妖精ってあんな感じなんだね、かわいい」
「星羅、お前らの博麗神社にも裏っかわに妖精がいるの知ってるか?」
「えっそうなの!?」
「今度霊夢に見せてもらいなさい、多分気乗りしないだろうけど」
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少女移動中……
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「うおおおお!? 真っっっっっっ赤!!!」
霧が唐突に晴れ、視界が良好になった途端、星羅は目に飛び込んできた光景に驚いた。
真紅、と呼ぶにふさわしい西洋風の洋館が現れたのだ。
壁で囲われた本館の中央には大きな時計が時刻を刻んでいて、レンガ造りの建物にソレらしさを一層強くしている。
これが噂の紅魔館、吸血鬼の住む館なんだ、と星羅は思った。
「よし、早速突入だぜ」
魔理沙に続いて、星羅とアリスは紅魔館へ再び歩いていった。
門の近くにはひとりの女性が立っていた。
緑の中華服に緑の帽子、赤い髪、左右のもみあげから垂れる三編み。
そして、
「…………ぐぅ」
……昼寝。
紅魔館の門番、紅美鈴は立ったまま休んでいた。
が、魔理沙が近づくと、何事も無かったかのようにすぐ起きた。
「んあ、起きてたのか?」
「寝ていても気でわかりますからね。どうせあなただろうなと思ったらほんとにあなたでしたよ、魔理沙」
美鈴は帽子のずれを直し、そう言った。
そして、その後ろの少女を見るやいなや、
「あっ! あなたは……!」
と言ったので、アリスが反応した。
「えっ!? 知ってるの?」
魔理沙も思わず美鈴を凝視する。
そして本人、星羅もどきっとして美鈴を見た。
「………………、誰だっけ?」
……その一言さえなけりゃ良かったのに……。
3人は一斉にズッコケた。
少しだけギャグをいれてみました。
シリアスとギャグとのバランスが難しくて……。
この中で、番外編やってほしいのは?
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紅魔館組
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レイマリ
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うどみょん