東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜 作:蒼いなんでも屋
めーさく要素あり?
念の為ご注意を。
紅魔館の主レミリアに、咲夜との関連性を視たと言われた星羅。
パチュリーはそんな星羅の「幻想入り」「記憶喪失と記憶媒体システム」「能力不詳」というキーワードを元に、大図書館から条件に当てはまる物を皆で探す事にする。
のだが……
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「うぅ……疲れたわ! 少し休憩させてくれるかしら?」
レミリアはあまりにも地道かつ進展のない作業から、一時的に抜けた。
「お嬢様……」
「本来の言い出しっぺが休まないでよ……レミィ」
「私はあくまで咲夜との関連性を言っただけよ、パチェ?」
「あのねぇ……はぁ、レミィったら」
パチュリーは少しだけ咎めると、本を再び漁った。
「咲夜さーん……私も疲れました」
「美鈴! と言いたいけど流石に本といつまでもにらめっこしていると、目も疲れるわね……」
「ここあ、どう?」
「だめだよお姉ちゃん……本当にあるのかなー」
他の面々にも、徐々に疲労が溜まってきている。
だがそんな中で、一人だけ真面目に取り組む者がいる。
「……
星羅だ。
素早く本を見極めてはパラパラと読み、次々に本の山を作っていく。
「……っ、だめだだめだ、これでもない
だが……
その一言一言に、どこか、感じ方に抵抗がある。
「……星羅?」
その独り言に、咲夜だけは違和感を感じたのだった。
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「……はあ、みんな一旦止めましょう。言い出しておいてアレだけど、予想以上に効率が悪過ぎて終わらないわ……」
「はーい」
パチュリーの一声で、皆は出していた本を片付けて彼女の机に集まった。
「進展、無し。これじゃ今日中に見つけるは無理だわ」
まぁそのつもりは無いけど、とパチュリーはため息をつく。
星羅は思わずうつむいた。
パチュリーは本をばばっとめくりながら続けた。
「もう少し、絞り出すことが出来れば、具体的な本のテーマも絞れて探しやすくなるんだけど」
「そもそも記憶喪失ですもんねぇ」
美鈴の言葉に頷く一同。いくつか上がっているものの、抽象的なものばかりで実際には手掛かりが無いも同然なのだ。
「星羅。……悪いけど、今日は一旦諦めてくれるかしら。このまま闇雲に探しても進展がまるで見えないわ」
「パチュリーさん……」
「……まぁ、でも……」
パチュリーは人差し指を立てて言う。
「なにはともあれ、ダメ元で探しておいてあげるわ」
「……えっ」
パチュリーの意外な言葉に、皆は視線をパチュリーに注ぐ。
「パチェ? 急にやる気になったの?」
「レミィ、何言ってるのよ」
レミリアの方を向くと、
「私はただ……彼女に興味を持っただけ。そう最初に言ったのはあなたじゃなかった?」
と、微笑んだ。
「……ふふ、そうだったわね、パチェ。……星羅、光栄に思いなさい。こういう時はこの私たちに任せておいて構わないわ」
「……は、はい!」
パチュリーの笑みとレミリアの励ましを受け、星羅も元気になったのだった。
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「はーぁ、流石に疲れたわ。咲夜、少し早いけれどお茶にしましょうか」
「わかりましたお嬢様。用意してきますね」
「咲夜、私のもお願い」
「こあも!」
「ここあの分もお願いします!」
「お任せを」
「みなさん、とっても仲がいいんですね」
星羅は前を行くレミリアたちを見て、呟いた。
「ええ、そりゃあ勿論ですよ」
美鈴が振り向いて答えてくれた。
「個性豊かで、いつもはこんな感じですけど……皆凄い人ばかりですよ」
前を向いて、咲夜を見る。
「特に咲夜さんは……私の、私たちにとっての大切な人ですから」
「……美鈴さん?」
再び星羅に視線を変えると、美鈴は言った。
「ここじゃあれですから、場所を変えましょうか」
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美鈴は咲夜に一声かけて、外に出た。
「わぁ……」
「こう見えて門番だけが私の仕事じゃありませんからね」
美鈴が連れてきた場所は、館の裏庭にある花壇。
日当たりの良い位置に作られた、ちょっとした憩いの場所である。
「綺麗だなぁ……」
「暇を見て手入れしているんです。お嬢様のお墨付きですよ」
「へー……すげぇ(語彙力皆無)」
しばらく見とれていた星羅だったが、ふと美鈴にこんな事を聞いた。
「そういえば……なんでここに連れてきたんですか」
「あー、そうでしたね」
美鈴はわざとらしくぽんと手を叩くと、視線を少し斜め上にやった。
「……咲夜さんの話、でしたね」
その目が、星羅にはどこか懐かしむような遠い目をしていたように写った。
「…美鈴、さん?」
「実は……咲夜さんって、昔、貧しい孤児だったんですよ」
「ほえ? そうなんですか??」
「ええ。
確かそれなりに昔、たまたまこの紅魔館を通りかかった、まだ幼い少女がいまして。
レミリアお嬢様が
十六夜の日に、少女の新たな運命が咲いた夜。
だから、十六夜咲夜よ、と仰っていた……はずです」
美鈴の目が、やはり懐かしむような視線で空を見ていた。
そんな事があったのか、と星羅は思わず黙ってしまう。
それ以前に。
美鈴の視線……否、表情がうまく読めなかった。
「それからはメイドとしてここで住み込みする事になりまして。数年はお嬢様の頼まれ事や色んな仕事に追われてましたよ」
「……」
「でも、真面目に努力し続けたおかげか、私はもちろん、パチュリー様やお嬢様からも信頼を得て行き、いつの間にか紅魔館のちゃんとした一員になっていましたね。
かけがえのない、大切な仲間として……ね」
明後日の方向を見ながら、何かに思いを馳せるような表情をしながら。
美鈴はそう言って、星羅に語り続けた。
「咲夜さん、今も勿論ですけど、昔から可愛かったんですよ」
「えっ?」
「昔、私が居眠りしていると、ゆさゆさと私を揺らして『美鈴ー、起きてー!寝ちゃだめだよー!』って言って起こしてくれるんですよ。たまに寝たフリしてそれを楽しんだりしたなぁ……」
「……そうだったんですね」
「あと、いつも私のためにお昼ご飯持ってきてくれたり、時々心配してくれたり。私もいつの間にか、咲夜さんの事を大切な存在だって思うようになったんですよ」
まあ今は流石に厳しいですけどね、と言いながら、美鈴はあははと頭を掻く。
居眠りについては色々ツッコミ入れたかったが、それよりも、星羅は美鈴の言う咲夜の意外な一面を知って驚いていた。
「すげー」
「あ、そうだ。星羅さんは確か咲夜さんらしき夢を見たそうですね」
「はい」
「具体的にはどんな夢を?」
星羅はまだ言ってなかったな、と思いながら、美鈴にざっくりと説明した。
少女説明中……
「はぁはぁなるほど、懐中時計……ですか。そっかぁ……」
美鈴は「時計」、つまり咲夜の持つ懐中時計に、何か思う事があるらしい。
「何か知ってるんですか?」
「そりゃあそうですよ。だって……」
一呼吸置いて、美鈴は言った。
「その懐中時計……私が感謝を込めて咲夜さんに渡したものですから」
「……え? えええええ!?!?」
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「めーりん! めーぃりーん! 起きてー!」
「ん…あっ……咲夜さん、ごめんなさい」
「もう! レミリアお嬢様に叱られても知らないよ?」
「あはは、これでも気をつけているんですがね」
「本当なの?」
「ははは……あ、そうだ咲夜さん」
「ん?」
「はいこれ、似合うかなと思ってこっそり買ってきました」
「これは……懐中時計? どうして急に」
「咲夜さんがいつも持ってるやつ、ボロボロだったでしょう? いつもお世話になっている、私からのほんの感謝の気持ちですよ」
「わぁ……あ、ありがとう」
「えへへ、喜んていただけるなら幸いですよ。これからも一緒に頑張っていきましょう、咲夜さん」
「うん!」
「……あ、賄賂したって昼寝はだめだからね」
「うへーい……てか賄賂なんてこんな子がどこで覚えるのやら……」
「パチュリーさまが言ってた」
「えー……」
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「それからは咲夜さん、みるみる内に信頼を勝ち取り、そしてどんどん大きくなっていって……今はあんな感じに」
昔、とりわけ咲夜を語る美鈴の顔は、自然とほころび、笑みを浮かべていた。
懐かしさなのか、それとも。
そんな美鈴を見ながら、星羅は思った。
人間ってのは、本当に儚い命なんだなぁ。
妖怪のみんなには、どれぐらいの長さで写ってるんだろう……。
美鈴が咲夜に会った頃、既にもうこんな姿……大人の姿だったのだろう。
妖怪は命が人間に比べて遥かに長い。
そんな事を霊夢が言ってた気がする。
その事を、きっと美鈴、いやこの館の全員は気づいてる。
咲夜さんは、人間……唯一の人間だ。
皆との、いつか訪れるだろう別れを……
あの人は、怖くないのだろうか。
あれ?
そんな事を……夢で、言ってなかったっけ……
「……んで咲夜さんったら、顔を真っ赤にしてですね……って、あれ? 星羅さん? 聞いてます?」
「ええ? あっ……ごめんなさい」
「もしかして咲夜さんの事で思う事があったんですね?」
「……わかるんですね」
「その時になったら向こうから仰ってくれますよ、気にしない気にしない」
心配し過ぎですよ、と美鈴は笑った。
その笑顔に、星羅の悩みは一旦かき消え、それからは美鈴の面白おかしい紅魔館あれこれを聞いていた。
不思議と、とても楽しい気分で居続けられた。
流石にいつまでも外にいた(上に話し込んでいた)ので、咲夜に美鈴と星羅が叱られたのは言うまでもない……。
最近一週間一回ペース(ひどいとそれ以上)ですいません。
忙しくって……ほんとに。
多分次にはみなさんお待ちかねのアイツが出る……。
……はずなので期待しててくださいね!!
この中で、番外編やってほしいのは?
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紅魔館組
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レイマリ
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うどみょん