東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜 作:蒼いなんでも屋
必ず#18まで読んでからでお願いします。
突然の先代巫女話。
どっちかというと先代巫女を知る者の話。
あややはともかく華扇は扱いにくいなぁ。
星羅が、紅い屋敷で色々な人(?)と出会っている頃。
博麗神社には、ひとりの新聞記者がやってきていた。
「なるほどなるほど、星羅さんはズバリ、謎と期待に溢れる有力な新人って事ですね!? やはり私の目に狂いはなかった!! 早苗さんとも話が合いそうですし、いいですねぇ~!!」
「……なんかズレてない? そんな事言ってないんだけど?」
「いえいえ、これくらいのズバッとした触れ込みじゃないとぱっと見で落ちますよ」
「…何が落ちるのよ」
Yシャツに黒スカート、赤い
腰には紅葉のような扇と、四角いカメラをぶら下げていた。
セミロング程度に整えられた黒髪から、探究心と好奇心と特ダネに飢えた瞳をらんらんと輝かせている。
幻想郷の古参にして、烏天狗の新聞記者。
特ダネや事件を目掛けて、幻想郷のあらゆる場所を、その自慢の飛行速度で飛び回り、集めた情報で『
……迫力重視なのか大袈裟に書いたり鋳造したりする事もあるが。
当然その取材の目は、博麗 霊夢に向いていた。
星羅が白玉楼を救った、というのを聞いたらしい。
風の噂というのは面倒だ、と霊夢は思った。
「あまり変な事を書かないでよ、アイツが困るから」
「勿論配慮はしますって。なにせ、清く正しい射命丸ですからね!」
「清く正しい、ねぇ」
霊夢の呆れ顔をよそに、文はペンを走らせてメモを充実させていく。
かれこれ30分は話した(言わざるを得なかった)からか、満足気な表情である。
「いやー、お忙しい中ありがとうございましたー、おかげでしばらくはネタに困りませんね!」
「個人情報保護くらいしてやりなさいよ?」
「はいはいわかってますって!それでは!」
そう言い残し、文はその最速の機動力で神社をあとにした。
「あ、そうそう!」
……と思ったらUターンして霊夢の前に浮遊し、
「……意外と、一番の
と、囁いた。
「ちょ!? どういう事なの射命丸っ!?」
しかし霊夢の問も虚しく、文は既に急加速で飛び去っていった後だった。
「……言うだけ言って帰ったって訳ね……」
彼女が消えていった空を見上げて、霊夢はぼやいた。
烏天狗の飛んだ煽りを食ったか、緑に色づいた葉が渦を巻くように舞っていた。
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「ほんと、お人好しですねぇ……霊夢さんは」
文は空を駆けながら、霊夢との会話を思い出していた。
『星羅の事? ……アイツは、確かに色々迷惑もかけるし謎だらけで困るとこもあるけど……いいやつだわ、基本。どんな相手にも別け隔てなく接するし、私や魔理沙の事もよく手伝ったりしてくれるのよ。あんなやつが、もしかしたらこの幻想郷には少ないのかも、しれないわね。まぁお人好し過ぎるのは困るけど』
『お人好しなのはあなたもでしょうに』
『他人との記憶共有。それがアイツの能力……まぁ断定出来ないけど。すでに妖夢とは絆と記憶を分かち合ってるわ、そして彼女のスペカも発展引用してる。今日はその咲夜仕様っぽいのがあったからアイツを紅魔館に行かせてるわ』
『はぁ、なるほど。……でもいきなり紅魔館に行かせるのはどうなんですか?』
『人間ってアンタと違って短命なのよ。それを知る機会にもなるわ、きっと。幻想郷についてはあの屋敷で知るのが手っ取り早い。百聞は一見に如かずってね』
『……短命、ですか』
「なんとまぁ、ぶ厚い待遇だ」
文が呟く。
「でも博麗の巫女って……やるときはやって、いつもはあんな感じ……。案外そういう方がいいのかもしれない。ねぇ……先代さん」
ここにはいない誰かに語りかけるように、文は言う。
「ま、そこが好きなんですけどね……あなたの
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「久しぶりね、霊夢。ちゃんと巫女やってる?」
「……誰かと思えば、仙人様じゃないの」
中華な服、お団子ヘア、右腕の包帯、そして全てを知るかのような瞳。
「何の用? 見ての通り忙しいんだけど」
「お茶を啜っておいて嘘を吐くな!」
「はいはい」
まるで日常茶飯事のような叱り声と返事を交わすと、華扇は話題をふっかけた。
「……あなたのところに、幻想入りした子が来たそうね」
「はぁ……またそれ? さっき烏天狗にその話したばっかなの」
何度も言いたくないといった顔で、霊夢は返す。
「……誰から聞いたの?」
「人里。甘味処でその話をしていた人がたくさんいたから」
「アイツ言いふらしてるの??」
「さぁ」
ため息をつく霊夢。
この博麗神社は(自分のせいとはいえ)妖怪たちがたくさんやってくるせいで魔理沙くらいしか人が来ない。
そんな、言わば「妖怪スポット」の神社に住んでるなんていう話をばら撒いて、なぜアイツの人気が落ちないのかわからない。
「ちゃんと実績残してるからじゃないの?」
そんな彼女の心を読んだように、華扇は言う。
「会った事はないからあまり言えないけれど……」
と付け加え、彼女は霊夢の隣に座る。
「ねぇ、少しでいいわ、聞かせてくれる? その子について」
「……わかったわよ」
華扇は霊夢の師に当たる人物だ。
そして仙人であり、鬼でもある。
謎は多いが、基本的に誰にでも優しい。だが(特に霊夢に対して)怒るとかなりの迫力があり、説教好きなだけでしょ、と霊夢がぼやいた事もある。
能力は不明だが、動物の心を読める、ともいわれている。
霊夢はこれまでの事を話し、星羅の謎の事を憂いている事も伝えた。
「……ふぅん、なるほど」
華扇は霊夢の話を受けて、ふむ、と頷いた。
霊夢が続ける。
「アイツは本当に謎が多い。多過ぎる。記憶もない、能力もわからない、記憶共有も原理不明、正体もわからない。時々そういうところで、本当に信用していいのかわからなくなる……」
「……」
「得体の知れないやつと一緒にいれば、アンタだって絶対戸惑うでしょ!?」
一気にまくし立てた霊夢を見て、華扇は言った。
「大丈夫じゃない? 案外、なんとかなるわよ」
「……はぁ? どうしてそんな事言えるのよ?」
「だって結局はわからないだけの存在、そんなもの信じてみれば認識も変わるわ」
「……でも」
「それにもしもの時はあなたがいるじゃない。博麗の巫女はなんで要るのよ、この世界に」
「うっ……」
「最初に言ったでしょう、『ちゃんと巫女やってる?』って。そんな調子じゃあ、まともに役目を果たせなくなるわよ」
「………………」
「あなたが迷えば、あの子……星羅もきっと戸惑い、本来の道を踏み外してしまうわ。
人が妖怪にならないための博麗の巫女。
誰かをそうさせないためのあなた。
誰かに、そう言われなかった?」
別の意味での説教を受け、霊夢ははっとしていた。
自分が迷えばアイツも戸惑い、道を踏み外してしまう。
そうならないための博麗の巫女、そうさせないための私。
どれぐらい前だろう……?
幼い頃……母が言っていた気がする。
ああ、確か私がまだ未熟で、妖怪退治にしくじって母に助けられた時の事だったか−−
『おかあさん、わたし…………』
『なぁ霊夢、よく聞いておけよ』
『……え?』
『博麗の巫女ってのはな、ただ強いだけじゃあ務まらない。
人間は妖怪になっちゃいけないっていうの、あるだろう? そもそもそんな気持ちにさせちゃいけない、そうならないための博麗の巫女、させないためのこの私だ。そうでなきゃ、あのスキマ妖怪や説教仙人様も安心出来ないさ』
『…………』
『ま、いつかはわかる。さ、帰ろう。私たちの神社に。いつかはお前も必ず、立派な巫女になれる。それまでは絶対に私がついているから、お前はただ高みを目指せ。な?』
『……うん!』
「……………………」
「どうしたの? 涙なんて浮かべて」
「……!! な、なんでもないわよ!」
……少し昔を思い出しただけ、なんて、言えない。
霊夢は袖でズバッと涙を拭くと、残ったお茶を飲み干した。
そんな彼女を、華扇ははにかみを見せて見守っていた。
「−−あなたの娘は、今こんなにも立派よ……」
霊夢には聞こえない声で呟きながら。
番外篇は分けました(知ってる人は知ってる)
これからこまめに出すつもり。
訂正
一部表現の追加と脱字の補填をしました
話の位置を変えました
この中で、番外編やってほしいのは?
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紅魔館組
-
レイマリ
-
うどみょん