東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜   作:蒼いなんでも屋

24 / 54
 星羅、一日……否、一週間メイド頑張ります!


 という訳で紅魔郷編後半戦。
 機怪あり笑いあり涙あり?
 刮目してくださいね。

 今回はメイドになる回だけなので少し短めかも。




第四章 〜星羅と咲夜と時の色〜
019. メイドの一歩


 不思議な時計と、何かに悩む人の声の夢を視た星羅は、霊夢からその声の主がおそらく咲夜だろうと言われる。

 魔理沙とアリスに案内されて紅魔館へ赴いた彼女は、そこでレミリアと咲夜、パチュリー、こあとここあ、美鈴、そしてフランと出会う。

 咲夜の過去の一部を知り、またパチュリーが星羅の手がかりを探す事になり、星羅は翌朝また紅魔館に来ると咲夜と約束するのだった。

 

 

 

 

 

 

 だが、そんな星羅を待っていたのは………………

 

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝、早速でかけた星羅だったが。

 

 

 

 

 

 

「美鈴さん、こんにちはー」

「あぁ、星羅さん、いらしたんですね。みんな待っていますよ」

 

「……まってる??」

 

 

 美鈴に誘われるままに、紅魔館へ入っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、エントランスでわざわざ全員集合した状態で出迎えられ、昨晩の事と共に咲夜から伝えられたのがこのセリフであった。

 

 

 

 

 

「……という訳で。

 

星羅、あなたにはこれから私のメイド(部下)として、一週間働いてもらうわ」

 

 

 

 

 

「……はぁあぁあぁあぁ!?!?」

 

 

 

 

 

 

 あまりにも腑抜けていて、あまりにも情けなく、そしてあまりにも素っ頓狂な声が自然に口から漏れた。

 

 

 

 

 

 

「そこまで驚く??」

 

 ……逆にレミリアが少し引いている。

 

「……でもね星羅。あなたにはいい機会だと思うわ。咲夜との繋がりも知りたいんでしょう? ならここでしばらく働いてみて、何か手がかりを見つけ出すのが手っ取り早いわ」

「……はぁ」

 

 おぜうに言われちゃ仕方ない。

 半ば諦めの声が混じったトーンで返すと、星羅は咲夜を見た。

 

「……わかりました。なんでも屋にかけてやってみせますよ。それで咲夜さん、私メイド服無いんですけど」

 

「結局やるんだ」

「えらい」

「流石なんでも屋ね」

 

図書館組(パチェこあここあ)が驚く。

 

「そうねぇ、まずはそれからね。お嬢様、少しお時間頂きますわ」

「いいわよ」

 

 咲夜は星羅を伴って奥に進んでいった。

 

 

 

 

「まさかこんなあっさり私の案が通るだなんて思わなかったわよ、お姉様」

 

 今回の原案者、フランが言う。

 レミリアは笑って答えた。

 

 

 

 

「あの子……不思議な運命を視たのよ。その真偽を確かめたくて」

「ふぅん……どうせろくな運命じゃないでしょうけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________

 

 

 

 

 

 

 

「これでどうかしら」

 

 

 

 咲夜は予め仕立てておいたという服を星羅に着せた。

 

 

 時間操作で時を止め、昨晩作り上げたらしい。

 サイズのみ勘。

 

 

 だが伊達にお世話係をやっている身、その服は星羅にぴったりのサイズで仕上がっていた。

 

 

「わぁ……すっげー」

 

 星羅は身に纏ったメイド服をまじまじと見つめ、手足を動かしてみた。

 

 

 咲夜とお揃いの、紺色と白のメイド服。

 そこに、フリフリの付いたエプロンが映える。

 

 そして一番目に付いたのは……

 

 

「あのー、咲夜さん」

「あら、どこかきつかったかしら?」

「いやそーじゃなくってですね……これ……」

 

 

 

 脚に履いたタイツのリングに一本装備した、ナイフ。

 

 咲夜が使っているものの一つらしい。

 銀製の刃が黒地にすごくアクセントになっている。

 

 

 だが星羅にとっては、何かを切る以外に使い道の無さそうなものを持たされているような気分だった。

 

「……このナイフどうしろと?」

「あぁ、それはプレゼントするわ」

「はい??」

「あなたが持っておきなさい。いざという時の……護身用よ」

「護身って……バスターがありますよ、私」

「敵に近づかれたら使えないわよ、あの形。それに万一って事も考えなさい」

「……はぁ、わかりました」

 

 

 星剣【バスターソード】とか、妖夢のメモリとかあるんですけど〜……。

 

 星羅はそう突っ込みたい気持ちをぐっとこらえた。

 一応上司の前だし。

 

「先に言っておくけれど、お嬢様たちに変な事しないでね」

「んな事しませんしそんな事考えたりもしません! 立場ぐらいわきまえますよ!」

「なら結構。さ、お嬢様たちのところに戻りましょ」

 

 

 再び咲夜に連れられ、星羅はだだっ広い屋敷の中を歩いた。

 

 窓から薄く射す陽の光は、メイドになった彼女を祝福するように優しく照らしてくる。

 光が薄くなってるのはレミリアやフランへの配慮だろう。

 

 

 そしてそんな景色が階を跨いでも延々と続くので、星羅は今どこを歩いているのか見当もつかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ、素敵! 似合ってるわよ星羅」

 

「案外よく似合うわね……」

 

「「かわいい〜!!」」

 

「おお、ぴったりですね!」

 

「あら、予想してたよりも結構良いんじゃない?」

 

 

 全員から一斉に褒められて星羅は心底動揺した。

 

 −−私そんなにメイド服似合うやつなの??

 

 

 

「えーと……これからお世話になり、かつレミリアお嬢様たちのために尽くす事になりました。よろしくおねがいします」

 

 ぺこりとお辞儀する星羅。

 うんうんと頷き、レミリアは言った。

 

 

「一週間、しっかりと頑張ってちょうだいね。あなたの探すものがついでに見つかる事を祈ってるわ」

 

 

 

 

 マントのように羽広げ、一層大きな声で宣言する。

 

 

 

 

「改めて……ようこそ、紅魔館へ。

 

 

あなたは、新たな私たちの……家族よ」

 

 

 

 

 

「……はい、お嬢様っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それぞれが見守る中、星羅はキッと表情を引き締めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[……フン、新しいメイドにナッタのか……創造主(マスター)

 

 

 

 

 

 

 そんな様子を見る者がいる。

 

 

 

 蝙蝠とはかけ離れた、先進的な羽を背中に生やした機怪。

 

 それは、気づかれぬ内に窓から視線を移すと、

 

 

 

 

[……まとめて始末シテくれる]

 

 

 

 

と言い残して、まるで消えたかのように(・・・・・・・・・・・)、その場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それによってわずかに歪んだ(・・・)空間は、ただただ元に戻りゆくだけだった。

 

 

 

 

 

 

 




 咲夜メモリ(仮)の正体とは?
 新たな機怪現る!?

 急展開の次回を待て!

この中で、番外編やってほしいのは?

  • 紅魔館組
  • レイマリ
  • うどみょん

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。