東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜   作:蒼いなんでも屋

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 唐突に東方だけでなく別の小説を書き始めました。
 メインはこっちなのであちらはヤベーイくらい亀更新ですけどね。

 今回は久しぶりに機怪を出しますのでよろしく。


020. 流転の中で

 紅魔館で一週間メイドとして働く事となった星羅。

 果たして、メモリの手掛かりは見つかるのか。

 

 

 

 

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「星羅、そのお皿はそこに並べて! あとお嬢様の紅茶はそこ! わかった?」

「は、はい!!」

 

 

 

 

 忙しなく動き回る星羅。

 

 咲夜と共に食卓を並べるが、経験差が祟って指示についていくのがやっとだった。

 

 

 

 

 高を括っていた自分と少しでも侮っていた自分と逃げの心を持ちかけていた自分をぶん殴りたいぐらい、星羅は焦っていた。

 忙しいとはこういうことか。

 

 

 ……否、「時間がいくつあっても足りない」といった表現の方が正しいだろう。

 

 

 

「時止めが羨ましいです……」

「気持ちはわかるけど今は集中しなさい」

「わかってますって……!」

 

 せかせかと動く星羅。

 

 

 

「……まぁ」

 

 だが。

 

 不思議と焦っているのにも関わらず、置き方や配置は咲夜が少し目を丸くするほどに的確だった。

 

 指示についていくのがやっとではあるのだが、やる事自体は何故かしっかりとこなしている。

 

 

「……随分綺麗に並べるわね」

「身体が覚えてるというか……なんとなくわかるんです。これはこんなんだ、とか、こいつはここにあるべき物だ、とか」

 

そう言って笑い、星羅は最後の一品をセットした。

 

「ふぅ。終わりましたね」

「……」

 

 

 −−的確過ぎる。

 経験がないはずの彼女が、多少遅れているとはいえ、ここまで私たちの趣に合わせてくるなんて、普通に考えてあり得ない。

 

 

 複雑な感情を抱きながらも、咲夜はひとまず彼女の行為に関心するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、彼女の疑問は膨らみ続ける事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「咲夜さん、これ忘れ物です!」

「あら、ありがとう」

「あとこれレミリアお嬢様からのお使いメモです、後で買い出しいきましょう」

「わかったわ、預かっておくわね」

 

 

 

 

 

「めーりんさーん! 起きてくださいよ〜」

「むにゃ……咲夜さん??」

「星羅です」

「はっ!? せ、星羅さん!? ありがとうございます……お仕事は??」

「取り敢えず咲夜さんに言われた分はもう終わってます」

「は、早いですね……」

「起きてないと叱られますよ?」

「あはは、すみませんね」

 

 

 

 

 

 

「パチュリーさんにお嬢様、お出かけですか」

「ちょっと霊夢のところに行ってくるわ。咲夜によろしく言っておいてくれる?」

「お任せを、お嬢様。お帰りになられたらお茶を淹れますね」

「ふふ、気が利いて助かるわ」

「レミィが見込んだだけの事はあるわね」

「恐縮ですよ。パチュリーさんは?」

「私も霊夢に聞きたいことがあるのよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーう星羅!! 遊びn」

「何だ魔理沙か……今忙しいから、悪いけど帰って」

「おいおい、塩対応しないでくれよ」

「ごめん。あぁ、それとパチュリーさんは今いないからね」

「え、なんだよそしたら図書館開いてないのか?」

「だからお帰りくださいませ〜」

「う、わかったよ……って……な、なぁ星羅。なんか馴染み過ぎじゃね? お前」

「そう? ……気の所為さ、多分」

「ならいいけどよ。無理はするなよ」

「ありがと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その他、星羅は慣れない環境の中にも関わらず、まるで熟知しているかのような振る舞いと言動を続けた。

 

 フランのところにご飯を持っていった際には、気を利かせたのか食べやすい並べ方に揃えてあったり、咲夜が指揮統一に手こずる妖精メイドを、何故か手足の様に指揮したり。

 

 その「偶然や必然で言い表せない何か」を持つ星羅に、咲夜はずっと目を瞠っていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……時間を止めないで見てきた結果が、これだなんて……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「星羅、少し休憩しましょう」

「え、良いんですか?」

「たまには息抜きしないと身体が持たないわ」

「ありがとうございます」

 

 

 

 

 咲夜に言われて、部屋のソファに座る二人。

 

 

 咲夜の淹れた紅茶を飲む。

 

「……」

「あら、お気に召さなかったかしら」

「……うぅ」

「まぁ私は気にしないから安心しなさい。お嬢様には言わないでおくから」

「すみません……」

 

 

 麦茶派です。

 星羅は思った。

 

 

「それで星羅、聞きたいことがあるのよ」

「はい?」

 

 咲夜は一呼吸置くと、単刀直入に尋ねた。

 

 

 

「あなた……これまでよりも前に、紅魔館に来たことある?」

 

 

 

「……は??」

「いや、あまりにも馴染みすぎていて……気になったのよ」

 

 呆気にとられた星羅だが、すぐに答えた。

 

「……どうなんでしょうね。私にもわからないです。ただ……」

「ただ?」

 

 

「昨日……咲夜さんとは初めて会った……そんな気がしないのは確かです」

 

「星羅?」

 

 

 星羅は貰った咲夜のナイフに触れる。

 

 今朝貰ったあのときから、違和感無く、寧ろその存在が馴染んでいた。

 

「やたらとしっくりくる感触。何故か感じる懐かしさ。そしてあのとき視た咲夜さんの夢。……多分、私が知らないタイミングできっと会った事があるのかも、しれないです」

「でも私はあなたと会うのは初めてよ」

「……そうなんですよね」

 

 

 星羅の言いたい事は咲夜にもわかる。

 

 何故、他人の記憶に触れられるのか。

 欠けた記憶は何を示すのか。

 

 何一つわからない彼女が、困惑しているのが。

 

 

「……今は気にしないことよ、星羅。パチュリー様も探してくれているわ。少なくとも今は……目の前の物事に、集中しなさい」

「はい」

 

 彼女なりの気遣いに、星羅は頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、星羅は(流石にノーミスとまではいかなかったが)様々な仕事を咲夜と共にこなしていった。

 たまに叱られる事もあったが、初日というのもあり咲夜がフォローしてくれた。

 

 そんな初日が終わり、星羅はあてがわれた部屋のベッドにひとり座り込んでいた。

 

 

 

「……はーぁ、疲れた」

 

 

 

 こんな日々があと六日続く。

 大変だろうけども、やるしかない、やりきるしかない。

 

 

 

 ふと、星羅は自身のもつメモリが気になった。

 だいたいメモリは何かしら自身に進展があると勝手に生成されている。

 妖夢との一件で使ったバスターソードなんかはその例だ。

 

 

「また増えてないかなぁ…………あっ?」

 

 

 半信半疑で適当に取り出したメモリは、案の定、見たこともないものだった。

 

 炎が描かれたメモリ。

 色はオレンジに近い赤……所謂、朱色だった。

 火炎弾でも放つスペカ……もといスペルメモリなのだろうか。

 

「えーと……ばーにんぐ、なっくる??」

 

 裏面にはアルファベットでメモリ名称が刻印されている。

 “Burning Knuckle”……「バーニングナックル」とあった。

 

 

「えっ……まさかの近接スペルカード??」

 

 

 バスターソードの立場は?

 

 星羅は心底思ったが、

 

「……まぁ使ってみるまでは、何とも言えない、か」

 

 

夜中というのも考慮し、大人しく眠る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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−−パリン。

 

 

 

 

「……ん?」

 

 

 

 

 

 星羅を起こしたのは、“何か”が割れる音だった。

 

 

 聴いたことがある。

 

 

 

「……!! まさか……っ!」

 

 

 

 

 星羅はベッドから飛び降りるように起きると、素早く服を着替えて部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「っといけない忘れ物っ!」

 

 

 

 

……取り忘れかけたメモリをがっと掴んで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美鈴!」

 

 

「咲夜さん! 見ての通りです!」

 

 

 

 

 

 いち早く駆けつけた咲夜は、美鈴と、彼女に襲いかかる機怪たちを見るやいなやナイフを乱射。

 彼女から何体か引き離し、美鈴のそばで構える。

 

 

「最近現れないと思ったらこれなのね」

「丁度いい、なまった身体のほぐしになってもらいますよ!」

 

 

 二人は踏み込んで機怪の群れに突っ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーもう! なんでやねーん!」

 

 

 

 その頃星羅は広すぎる屋敷構造と戦っていた。

 

 

 

 ……言うまでもないが、迷子だ。

 

 

 

 

 

「くそ……どうしよ」

 

 

 

途方に暮れかけた彼女だったが、

 

 

 

「…………!」

 

 

 

ふと、頭に何かが過ぎった。

 

 

 閃いたものに懸けるしかなさそうだ。

 

 

 

 

 半分無意識に、咲夜のメモリを取り出す。

 

 

 

 

 

 すると、不思議なことに玄関までの道のりが自然に浮かんできた。

 

 

 

「なんかよくわからないけど……いいや、急げ」

 

 

 星羅は救われた理由よりも走ることに専念した。

 

 

 

 

 このとき、そのメモリがほのかに輝いていたとは知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 咲夜は、時を操る力を持つ。

 

 

 文字通り自分以外の時間を停止させたり、遅くさせることで上手く回避したりできる。

 

 

 そして時間停止状態の咲夜が、戦いにおける彼女の真骨頂。

 

 

 

「……はぁっ!」

 

 

 ばら撒いたナイフが、数本から一瞬で数十本に増加し、軌道上の機怪に突き刺さる。

 それだけで数体の機怪を破壊した。

 

 

「さっすが咲夜さんですね!」

「いつもの事よ!」

 

 

 時間停止中は咲夜を除く全てのものが止まる。

 それを利用し、ナイフを“設置する”ように展開、時間の再始動と共に弾幕として放つのだ。

 

 基本的にいつでもどんなタイミングでも、時間を止めることができるため、スペルカードルールではある程度制限をかけている……が、それでも強いし、そもそもそんなルールなどお構いなしの、この鉄の塊どもには手加減など不要だ。

 

 

 

「はーっ、せやぁー!」

 

 一方の美鈴は“気”を操る格闘技が得意。

 拳ひとつ、蹴り一回で、次々と機怪を吹き飛ばし爆散させている。

 

「……はぁあっ、どりゃー!!」

 

 

 そして自らのオーラを波導弾として放つ。

 

 

 

「まだまだ! 虹符! 【烈紅真拳】!!!」

 

 

 

 

 さらにオーラの衝撃波を乱射。

 凄まじい勢いで各個撃破していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……とはいえ……」

 

 

 一段落ついた美鈴が、あたりを見回す。

 

 

「数が多過ぎる……咲夜さん!」

 

「えぇ、流石に参ったわね」

 

 咲夜も手こずっているようだ。

 

 

 次から次へと現れる鋼の生命体。

 そもそも減っているのかすら怪しい。

 

 

 

 

 再び囲まれ、二人が構え直した、その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「弾符!! 【プラズマチャージショット】!!」

 

 

 

 

 奥から蒼き雷撃弾が放たれ、数十体の機怪をそれだけで撃破した。

 

 

 

「咲夜さん! 美鈴さん! 大丈夫ですか!」

 

 

 星羅が駆けてくる。腕にはバスターが、発射による白煙を微かに昇らせていた。

 

 

 

 

 

 

「星羅さん遅かったですね!」

「まぁ今のに免じておくわ」

「ではお言葉に甘えて……!」

 

 

 星羅はメモリをばっと見る。

 

 

 

「……あ」

 

 

 だが星羅はその直後冷や汗をかいた。

 

 

 

 

 さっき適当に取ったメモリは……全てではなかった。なんの不運かP-C-S(プラズマチャージショット)ともう一枚だけ。

 

 

 しかも、よりによっていまいち使い方がわからない、B-K(バーニングナックル)だったのだ。

 

 

 

「えーいままよ……ってやつか!!」

 

 

 迷ってる暇は無さそうだ。

 

 

 

 

 

《Spell-memory confirmed……》

 

 

 やはりセットすると、記憶が蘇るように使い方が浮かぶ。

 

 

「……って……えぇ……」

 

 

 だが星羅にとってそれは全く自信がないものだった。

 

 

「……星羅さーん!」

 

「ぼさっとしてないで!」

 

「うっ……はーい!!」

 

 

 

 やっぱり迷ってる暇は無い。

 

 

 

 

 

 

 ぶっつけ本番など日常茶飯事。

 

 星羅は覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

「うおおおおおおおおお!」

 

 

 

 飛び出した星羅は、全力で叫ぶ。

 

 

 

 

 

「恒星!! 【バーニングナックル】!!」

 

 

 

 

 

 

 

 刹那、星羅の身体が浮く。

 

 バスターが紅蓮の炎に包まれる。

 

 

 

 

 星羅自身が弾丸のように、機怪のひとり目掛けて突っ込んだ。

 

 

 

 

[!?!?]

 

 

 予想外の行動になすすべなく爆散する機怪。

 

 

 突き出された右腕のバスターは、まさに炎の拳(バーニングナックル)

 

 

 

 

 しかもそのまま星羅は凄まじい速度で次々と鉄の身体たちに穴と火傷を刻みつけていった。

 

 

 

「ラスト〜っ!!」

 

 

 

 

 最後に残った指揮官機も、言葉すら言わせず軽々粉砕。

 

 

 

 ズザザ、と着地した星羅の背後で大爆発した機怪たちが、彼女の身体をくっきりと咲夜たちに刻むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「は、早すぎる」

 

 

 その様子を見た美鈴が、呟く。

 

 

「…………、星羅……」

 

 

 咲夜も、何かを言いたげにそれを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 巻き上がった爆煙が晴れた頃、星羅は排熱をするバスターを見つめて、その場にただ立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 バーニングナックルの元ネタは……なんだろう?
 特にないかも知れない。

 強いていうならば、ロックマンX4の特殊武器「ライジングファイア」かも。

この中で、番外編やってほしいのは?

  • 紅魔館組
  • レイマリ
  • うどみょん
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